韓國映画「王になった男」(2012年)をDVDで観る。
藥物中毒で倒れた王の“影武者”として、妓楼で王を風刺した道化師が引っ張り出されるが……──
李朝が舞台の韓國時代劇は、大抵が時代設定だけを借りたお伽噺である場合が多いが、この映画は虚實綯ひ交ぜ噺のなかでも特に秀逸な出来だと思ふ。
昨年の今頃に地上波で初放送された同名のTVドラマ版は、影武者と王妃との戀愛噺がやや無理に挿入した感はあったもののそれはそれで惡い出来ではなく、けっきょく最終回まで目が離せなかった。
それはさておき、映画版の公開は2012年。
映像の画質は當時のままだが、この當時を生きてゐた私の記憶は、“浮世見聞記”を見返しても既に色彩が抜けてぼんやりしてゐる。
それでよい。
明日の記憶のために、
要らない記憶は消して容量を確保せねばならぬ。