(23日、ロンドンで開催されたソマリア支援の国際会議に抗議する女性たち “ソマリアから手を引け!”というのも、国外勢力の支配を拒否するひとつの主張でしょう。 “Kenya stop violating our sea coast”というのも、ケニヤが港湾都市キスマヨを狙っているという意味で、ひとつの主張でしょう。 ただ“Respect the Rights of Women”とはどういう主旨でしょうか?価値観に大きな溝があるようです。 “flickr”より By Dan Finnan http://www.flickr.com/photos/danielfinnan/6923224995/in/photostream/ )
【「危機は終わっていない」】
事実上の無政府状態で、暫定政府を支援する国際社会と国土の広いエリアを実効支配する急進的イスラム武装組織アルシャバブの抗争が続いている東アフリカのソマリアでは、昨年7月に60年に1度とされる大干ばつに見舞われ、飢饉が発生して大きな犠牲を出しましたが、今月初旬、国連は飢饉の終息を宣言し、危機的状況は脱したようです。
しかし、依然として継続的支援が必要とされる状況が続いています。そうした支援なしでは飢饉が再発するとも警告されています。
****ソマリアに「飢饉終息宣言」=234万人の支援継続必要―国連****
国連食糧農業機関(FAO)は3日、東アフリカのソマリアで昨年7月に発生した飢饉(ききん)が終息したと宣言した。国連機関などによる食料援助活動が奏功し、発生から約6カ月で危機的な事態が改善した。ただ依然234万人に継続的な支援が必要といい、FAOは警戒を続けている。
ダシルバ事務局長は声明で「待ちわびた雨と農機具や肥料の確保、人道支援により飢饉の終息宣言に至った」と強調。一方で「危機は終わっていない」とも述べ、援助を続けなければ再び飢饉に陥る恐れがあると警告した。【2月3日 時事】
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なお、234万人の支援には15億ドルが必要だとされていますが、うち170万人は欧米を敵視するアルシャバブが支配する南部に住み、支援は届きにくい状況にあります。
食糧の主な運び役だった赤十字国際委員会(ICRC)も1月、シャバブに活動を公式に禁じられ、国連は地元NGOに運搬を頼んではいますが、その支援能力が低くなっています。
【少年兵を「捨て駒」に】
急進的イスラム武装組織アルシャバブは、“子どもたちを戦闘に送り出し、「捨て駒」にしている”との批判も人権団体から出されています。
痛ましいことではありますが、襲撃して捕獲した子供たちを少年兵として洗脳し、最前線で使うのはアッシャバブだけでなく、アフリカでの多くの紛争・内戦で見られることです。
ウガンダ・コンゴなどで活動する「神の抵抗軍」が有名ですが、シエラレオネ内戦を舞台にした映画「ブラッド・ダイヤモンド」でも、その実態を垣間見ることができます。
また、実際の元少年兵を使って撮影された異色の映画「ジョニー・マッド・ドッグ」では、その狂気が窺えます。
****ソマリア武装勢力、子どもらを「捨て駒」に利用 人権団体****
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は21日、ソマリアのイスラム過激派組織アルシャバブが、子どもたちを戦闘に送り出し、「捨て駒」にしていると発表した。
米ニューヨークに本部を置く同団体によると、アルシャバブは、10歳の子どもを戦闘に送り出したり、女児を誘拐して前線で戦う戦闘員の妻にしたり、子どもが紛争に巻き込まれないよう抵抗した親に目をつけて殺害した事例もあったという。過酷な訓練を経て前線に送られた子どもたちの中には、成人の兵士を守るために「捨て駒」として利用されることもあるとした。
ヒューマン・ライツ・ウオッチによる現地での聞き取り調査で15歳のある少年は、「100人ほどの級友の中で、自分ともう1人だけが脱走し、残りは全員殺された」と語っている。また同団体は、「子どもの招集や誘拐を阻止しようとする家族、そして脱走を試みる子どもらが厳しい仕打ちを受け、時に殺されることさえある」と説明した。(後略)【2月23日 AFP】
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【衰え見せるアルシャバブの勢力】
一時は首都モガディシオの多くを支配下に置いていたアルシャバブですが、飢饉にあたって国際的支援を拒否・妨害したことでも批判を浴びました。
そうした住民生活を無視した行為は結果的に民心の離反を招き、また、飢饉によって活動資金が枯渇し、若い失業者をカネで釣って兵士にリクルートすることもできず、その勢力範囲が急速に縮小しつつあります。
現在は首都モガディシオから撤退を余儀なくされており、そうした勢力衰退を好機として、首都を防衛するアフリカ連合(AU)の平和維持部隊に加え、隣国のエチオピア・ケニアが国境を越えて侵攻を開始し、アルシャバブ拠点への攻撃を行っています。
****ソマリア 民主化の波 支配勢力衰退、23日に国際会議****
・・・飢饉はアッシャバーブも直撃。活動資金が枯渇し、若い失業者をカネで釣って兵士にリクルートすることもできず、勢力範囲が急速に縮小した。
さらに「アラブの春」と呼ばれる中東の民主化運動の矛先がアッシャバーブを支援していたサウジアラビアやドバイのイスラム原理主義勢力の富裕層にも向けられ、海外からの送金も先細りしている。
アッシャバーブ内にはアルカーイダの影響を受ける外国人テロリストが流入、自爆テロを実行しているのに対し、軍閥出身の土着グループは伝統的な戦闘を主張するなど、路線対立も顕著になっている。
アッシャバーブはモガディシオの3分の2を支配していたが、昨年8月に全面撤退。他地域でもアフリカ連合(AU)ソマリア平和維持部隊に押されている。
ソマリア沖の海賊については出没地域が広域化し、身代金は高騰したものの、成功例は激減するなど国際社会による海賊対策が功を奏している。(後略)【2月20日 産経】
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AUの平和維持軍も増強されることになり、アルシャバブ包囲網が形成されつつあります。
****ソマリア武装勢力包囲を強化 支援国、国際会議を開催****
ソマリア中南部を支配するイスラム武装勢力「シャバブ」に対し、アフリカ連合の平和維持軍や周辺国の軍隊が攻勢を強め、シャバブは最大拠点都市の一つバイドアから撤退した。ロンドンでは23日、ソマリア支援を協議する国際会議が始まり、ソマリア情勢は大きな転機を迎えている。
バイドアは、首都モガディシオの北西約250キロの地点にあり、交通、軍事上の要所で人口は約80万人。暫定政府の拠点があったが、2009年にシャバブが制圧した。現地からの報道によると、エチオピア軍と暫定政府軍は22日、戦車や歩兵部隊で進軍し、シャバブを掃討。飛行場に防御線を張り、検問所などを設置したという。
エチオピア軍は昨年末以降、ソマリア西部から進攻、南からはケニア軍が昨年10月、シャバブ掃討作戦を開始した。
ケニア政府は、国内で外国人がシャバブに連れ去られる事件が発生したため軍隊の派遣を決定、国境付近に軍事拠点を設置し、シャバブの拠点に対し空爆を続けている。ケニア軍は南部の16の町、計2万5千平方キロメートルの地域でシャバブ掃討に成功したとしている。
ケニア軍のオグナ大佐は「バイドア攻略はいい知らせで、シャバブが弱体化している証しだ。各国からの圧力が功を奏している」と話した。
ケニア軍は、バイドアとともにシャバブの重要拠点の南東の港湾都市キスマヨへの進攻を計画しているという。制圧に成功すれば、シャバブの資金や武器の供給の面で大きな打撃を与えることができる。
シャバブは、昨年8月に暫定政府との激戦の後に首都モガディシオから撤退して以来、弱体化が顕著になっているとされる。モガディシオ周辺で活動するアフリカ連合の平和維持軍の要員もほぼ倍の約1万8千人に増強されることになり、包囲網はさらに強まる見通しだ。
しかし、シャバブの支配地域が狭まっているとはいえ、テロ遂行能力は依然高く、モガディシオなど撤退地域では断続的な爆弾テロが起きている。また、軍事作戦への報復としてケニア国内で手投げ弾を使ったテロを相次いで行うなど、活動範囲を拡大しており、周辺国にとっても脅威となっている。(後略)【2月24日 朝日】
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【「ソマリアは一回の会議では変えられないが、支援は強化できる。我々の義務だ」】
こうしたアルシャバブの勢力衰退を国家再建の大きなチャンスとする国際社会は、ソマリアに関する国際会議を23日にロンドンで開き、民主化プロセスなどを協議しました。
国際会議にはクリントン米国務長官や国連の潘基文事務総長ら50以上の国や国際機関などの代表が出席。テロ・海賊・人道対策に加えて、連邦制を念頭に新憲法を制定、選挙の早期実施などソマリア主導の民主化プロセスが協議されました。
****ソマリア:支援強化で合意…安定化国際会議****
過去20年にわたり内戦が続き、テロ組織や海賊の温床となっている東アフリカ・ソマリアの安定化を協議する国際会議が23日、ロンドンで開かれた。現地の治安情勢に改善の兆候があるとの認識に基づき、統一政府の樹立に向けた政治プロセスへの支援を強化することなどで合意した。
英政府主催の会議にはクリントン米国務長官やソマリア暫定政府のアハメド大統領ら約55カ国の代表が出席。キャメロン英首相は閉会後、「ソマリアでは(情勢の)進展の兆しが見られる。国際社会全体で支援しなければならない」と語り、アフリカ連合(AU)平和維持部隊への財政支援の強化▽人道支援の強化▽テロ・海賊対策での国際連携の強化--などで合意したと発表した。
会議では特に、今年8月で権限が切れる暫定政府を延長せず、全土を代表する統一政府への移行を実現する必要性を確認。ソマリア支援の国際調整を図るため、「連絡グループ」の次回会合を6月にトルコ・イスタンブールで開くことを決めた。
ソマリアでは昨年、AU部隊などがイスラム過激派組織「アルシャバブ」を首都モガディシオからほぼ駆逐。治安情勢に改善の兆しが見える一方、地方が独立や自治を宣言するなど、事態は混とんとしている。【2月24日 毎日】
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会議を主催した英国のヘイグ外相は「ソマリアは一回の会議では変えられないが、支援は強化できる。我々の義務だ」と強調しています。
ソマリアの無政府状態と貧困は、海賊行為やアルカイダなどのテロ活動の温床ともなっています。
“治安情勢に改善の兆しが見える一方、地方が独立や自治を宣言するなど、事態は混とんとしている”というように、ソマリア自立への道のりは長く険しいものがありますが、これまで以上の継続的支援が国際社会に求められています。