孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アメリカ大統領選挙、予備選挙段階が15日開始 トランプ復活が世界・日本、民主主義にもたらす危機

2024-01-12 22:59:36 | アメリカ

(【1月12日 WSJ】 ヘイリー氏急浮上のためには、先ずはトランプ氏圧勝が固いアイオワでデサンティス氏を抑えて2位につける必要があります。)

【“トランプ復活”がもたらす危機的状況】
2024年アメリカ大統領選挙11月の本選挙に向けて、今月15日のアイオワ州共和党党員集会で「予備選挙段階」がスタートします。

他国の選挙の心配をしても仕方ありませんが、「トランプ前大統領復活の可能性が大きい」という状況は、あまりにも世界にも日本にも影響が大きく、また、民主主義の在り方という点でも懸念すべきことが多大であり、その行方を注視しています。 そうした懸念は私だけではないようです。

****トランプ政権復帰へわれわれが備えておくべきこと****
フィナンシャル・タイムズ紙コラムニストのエドワード・ルースが、12月6日付け同紙掲載の論説‘The world cannot hedge against Donald Trump’で、トランプにヘッジを掛けることは不可能であり、彼のような独裁政治に傾く人物が大統領に復帰すれば欧州やアジアの民主主義国にとっては全てが変わるだろう、と述べている。主要点は次の通り。

・トランプの復帰は最初の任期よりももっと悪いものになる。
・トランプの狙いは、独裁政治だ。
・短期的なヘッジでは足りない。世界は、米国が「永遠に」変わったと受け取らねばならないだろう。
・プーチンと習近平は、トランプの勝利を彼らの課題の推進への青信号だと考えるだろう。
・米国の同盟国は、米国がもはやこれらの国の安全保障を保証することのない世界に適応していかねばならならない。
・トランプの10%均一輸入関税計画は、開かれた世界貿易体制とは程遠い貿易体制になる。
・パックス・アメリカーナからの退出に対する懸念すべき保険は、核保有への急速な拡大である。日韓豪は数カ月で核保有できるし、ドイツも可能性がある。イランから、サウジアラビア、トルコ、エジプトにも波及し得る。
・米国の同盟国のもうひとつの選択肢は、修正主義国家への接近だ。独仏の対ロ宥和が想定し得る。ロシアへの宥和は、欧州防衛連合結成よりも可能性が高い。
・欧州諸国は、アジアの同盟国に比べれば、遥かに深い相互協力の習慣を有している。また、ロシアへの対抗は、中国に対するよりは容易だろう。しかし、トランプが勝利すれば、すべてが変わる。

*   *   *
 このルースの議論は興味深い。大統領選挙の世論調査は、共和党はトランプが圧倒的に強いことを示している。本選挙についても、6の接戦州でトランプは強く、バイデンがリードしているのはウィスコンシンだけだ。これから1年何が起きるか分からないが、トランプ再選となる場合の対処につき日本も種々検討しておくことが必要である。(中略)

アジアへの6つの懸念
ルースの記事では、残念ながらアジアの議論が少ない。習近平は、トランプの登場を歓迎、新たな機会が開けると期待しているだろう。中国の台湾政策も一層活発化するかもしれない。「ロシアより中国が難しい」とルースは書いている。  

アジアについては次の幾つかの点が指摘できよう。
(1)中国の台湾への締め付けが強まる。奇襲の可能性に要注意だ。中国は日本に対し軍事的に一層際どいことをやってくる可能性もある。日本は適正な対中政策を維持していくべきだ。  
(2)北朝鮮も追随して動くだろう。
(3)トランプは同盟国に乱暴な議論をしてくるだろう。財政面や軍事的役割の面で「負担の分担」について強硬な要求があり得る。
(4)米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」もどうなるか、分からない。
(5)日米豪印4カ国による連携の枠組み「クワッド」も継続されるか不透明になり得る。  
(6)国際貿易秩序はいよいよ崩壊する。トランプの10%均一関税は国際貿易秩序への決定的一打になる。TPPへの攻撃も続くだろう。インド太平洋経済枠組み(IPEF)も同様だ。バイデンの一連の政策は逆転されることになろう。【1月11日 WEDGE】

****“草の根運動”が生み出す独裁政権 あなたも知らない間に“独裁”に加担する?【報道1930】****
(中略)(現在コロラド州で裁判闘争になっているトランプ氏の立候補資格問題が司法的にクリアされ)立候補できるとなれば、優勢なトランプ氏の返り咲きはかなり現実味を増してくる。新トランプ政権は何をし、何をしないのか…。これまでの発言から推察した。

外交面…ウクライナ戦争を24時間以内に終わらせる
    中国からの輸入を段階的に停止する
    「トランプ氏はNATOから脱退」(ボルトン発言)

内政面…大統領権限を大幅に拡大
    人事は忠誠心重視
    「不法移民は国の血を汚している」
   〜ヒトラーの『我が闘争』と類似しているとも指摘されている

つまり、国際的には“アメリカ・ファースト”、国内的には“独裁”ということか…。

笹川平和財団 渡部恒雄 上席研究員
「前回は初めてだったから、やれないことがいっぱいあったし、わからなかった。でも4年経験したので自分がやりたいこと、やれないことはどうしたらいいか理解してる。(中略)」

「不満の受け皿を政治的な力にする」
トランプ大統領誕生の可能性に世界が戦々恐々としているが、ヨーロッパでは既に不穏な動きが始まっている。“右傾化の波”だ。

この選挙イヤー。欧州だけでも15か国で大統領選や議会選挙が予定されている。中でも注目はEU市民約5億人の直接選挙で選ばれる『欧州議会』の選挙だ。

実は欧州議会における極右政党の議席数が10年前には36議席だったのに対し、今年2024年の選挙では91議席に伸ばすことが予想されている。EUの政治に詳しい筑波大学の東野教授は選挙のたびに右傾化は顕著になると語る。

筑波大学 東野篤子教授
「2019年の欧州議会選挙で極右政党が特に議席を増やし大騒ぎになりました。で今回の動きを見ていると極右政党はまた躍進するとみられ…。大変心配な状況です」

右傾化は国民の不満の表れだと渡部恒雄氏は言う。
笹川平和財団 渡部恒雄 上席研究員
「ヨーロッパでもアメリカでも現状に不満を持った人たちがいる。その不満の行き先が、例えば自分たちの経済が上手くいかないのは移民が来るからだとか、外から安い製品が入ってくるからだとか…。その不満の受け皿を政治的な力にするんです、政治家は。今に始まったことじゃなく、歴史的にそうしてきた。残念ながら、(不満が募れば右傾化)そういうことは起こりかねない…」

右傾化は独裁・専制につながり、それは民主主義とはかけ離れた場所に位置すると思われてきた。しかし、ヨーロッパの右傾化も、アメリカでトランプ政権が生まれるとしても、どちらも国民による民主的な選挙が選んだ結果だ。つまり…。

「ドイツは民主的な手続きを経てナチスを成立させユダヤ人を虐殺」
民主主義を続けている先に誕生する専制国家がある。
例えばフィリピンで独裁体制を築いたドゥテルテ政権は国民の熱狂的支持を集めていた。だがそれはSNSを使ったフェイクニュースで民衆の支持をコントロールしていたことが後に暴露された。これを暴露し偽情報の危険性を書いたことを評価されたジャーナリスト、マリア・レッサ氏はノーベル平和賞を受賞している。

こういったケースについて専修大学の武田徹教授は「SNSを駆使して下から自発的動員を実現する独裁国家は民主主義国家のひとつの未来形だ」と話す。

元駐米大使 杉山晋輔氏
「これは民主主義に対する非常に大事な警告だと思う。過去一番典型的な例は、ワイマール憲法下、ドイツは民主的な手続きを経てナチスを成立させユダヤ人を虐殺させた。決してやってはいけないことが民主的な手続きで行われた。それを学ぶべきだということ。これからはさらに加速する…。あの時代SNSがなくても民主的な手段で大衆を動員した」

草の根運動はこれまで民主化運動に用いられた言葉だが、これからは“草の根運動”が生む独裁国家、専制国家があるということ。ポピュリズムと熱狂、民主主義の最も危険な側面だ。(BS-TBS『報道1930』1月8日放送より)【1月12日 RBS NEWS DIG】
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【同盟国との価値観共有に興味なく、ヒトラーを彷彿とさせる発言も厭わない ロシア・中国は大歓迎】
トランプ氏の懸念すべき言動については、一体何からあげればいいか迷うほどに多彩ですが、とりあえず上記記事との関連で三つだけ。

まず、同盟国との関係。下記はNATO関連の発言ですが、日米関係においても同様でしょう。発言の背景には欧州側の負担の不足へのトランプ氏の不満があってのものですが、「カネを払わないなら見捨てる」というのは「同盟」というより「用心棒」でしょう。そして多くのドラマ・小説でわかるように用心棒は自分の都合でいつでも容易に寝返ります。

****EUが攻撃受けても「助けない」、トランプ氏が過去に発言=高官****
欧州連合(EU)のブルトン欧州委員(域内市場担当)は9日のイベントで、トランプ大統領が在任中に欧州が攻撃を受けても米国は「決して助けに行かないし支援もしない」と発言していたことを明かした。

ブルトン氏によると、トランプ氏は2020年1月に開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、フォンデアライエン欧州委員長に対しこう発言したという。

トランプ氏は、「北大西洋条約機構(NATO)は死んだ。われわれは離脱する」とも語り、ドイツが防衛費の未払い分として米国に4000億ドルを借金していると述べたという。 ブルトン氏も会議に出席していた。

フォンデアライエン委員長の報道官は、当時のトランプ氏の発言を記憶しているかとの問いにコメントを控えた。

再選を目指すバイデン米大統領陣営の報道官は「自分の思い通りにならなければ同盟国を見捨てるという考えは、われわれが知るトランプ氏の人物像を浮き彫りにしている。自分のことしか考えていない」と批判した。【1月11日 ロイター】
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予備選挙スタートにあたり、バイデン米大統領は8日、白人至上主義者による銃乱射事件が2015年に起きた南部サウスカロライナ州チャールストンの黒人教会で演説し「米国を苦しめている毒がある。白人至上主義だ」と述べ、トランプ前大統領の在任中に勢いを増した白人至上主義と決別する姿勢を明確にし、支持を呼びかけました。

トランプ氏の言動には白人至上主義などの民主主義の価値観とは相容れないものが多く存在しており、民主主義そのものが変容することが危惧されます。

最大の懸念は、そんな主張をふりかざすトランプ氏をアメリカ国民の多くが支持しているという現実です。「ドイツは民主的な手続きを経てナチスを成立させユダヤ人を虐殺」という歴史を思い起こします。

****トランプ氏、ナチズム想起発言で波紋 「国の血を汚している」 支持は下がらず****
来年11月の米大統領選で返り咲きを狙う共和党のトランプ前大統領がこのところ、白人至上主義やナチズムを想起させる発言を連発している。

移民問題を巡る発言が、ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーが著書『わが闘争』で用いた表現に酷似していると指摘されるが、本人は「ヒトラーが使った表現とは知らなかった」などとして意に介していない。

トランプ氏は12月16日、東部ニューハンプシャー州で開いた支持者集会の演説で、不法移民について「やつらは国の血を汚している」「アフリカやアジアから来る」などと語った。トランプ氏は9月にも保守系ネットメディアで同様の発言をしていたが、演説で大々的に考え方を表明した形だ。

政界や言論界からは、ナチズムとの類似を指摘する声が相次いだ。ヒトラーはドイツ民族の優越性やユダヤ人差別など、自身の人種主義的な思想をまとめた著書『わが闘争』で「過去の偉大な文明が滅びたのは、最初に生み出された人種が血を汚されて死に絶えたからだ」などと主張しているためだ。

再選を目指す民主党のバイデン大統領側は「トランプのロールモデル(お手本)はヒトラー」「ファシストや暴力的な白人至上主義者のグロテスクなレトリックを繰り返している」などと非難した。

これに対してトランプ氏は保守系ラジオ司会者とのインタビューで12月22日、「わが闘争を読んだことはない」「ヒトラーのことは何も知らない」と説明。悪びれることなく「やつらは国の血を汚している」と同じ発言を繰り返した。

トランプ氏は11月の演説でも、左派の政敵を、根絶やしにすべき「寄生虫」だと表現。ナチスが権力を掌握した際のプロパガンダ(政治宣伝)に似通っていると指摘された。

ただ、こうした批判は、少なくとも共和党内ではトランプ氏への打撃にはなっていない。来年1月15日に指名争いの初戦が行われる中西部アイオワ州で地元紙デモイン・レジスターなどが実施した世論調査によると、「血が汚れる」発言を受けてトランプ氏に投票する気持ちが「弱まった」と答えた共和党支持者は28%。むしろ投票する気持ちが「強まった」とした人は42%に上った。

トランプ氏は大統領選に向けた公約の柱として、不法移民の大規模な拘束や国外退去を主張。不法移民の子であっても米国で生まれれば米市民権が付与される「出生地主義」の見直しなどにも言及している。

米政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」による各種世論調査の集計によると、共和党内でのトランプ氏の支持率(12月28日現在)は62・5%で、指名レースに参戦する南部フロリダ州のデサンティス知事(11・3%)、ヘイリー元国連大使(11%)ら他候補を圧倒している。【12月29日 産経】
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短期的な国際問題への影響、例えばウクライナについて見ると・・・ロシアは宥和的なトランプ復活を心待ちにしています。

****揺らぐ西側のウクライナ支援 もしトランプ勝利なら……****
2023年12月6日、米国連邦議会の上院は、ウクライナへの軍事支援法案を51対49で否決した。野党・共和党がウクライナ支援と引き換えに求めていた米国国境での移民流入阻止をめぐって合意に至らなかったためだ。

1060億ドル(約15兆6000億円)の支出案には、ウクライナ支援のほか、イスラエルと台湾への軍事支援も含まれていた。バイデン政権は、ウクライナへの支援金が間もなく枯渇すると警告していた。

米国議会によるウクライナへの追加支援拒否は現代国際関係史上最も深刻な事態の一つだといえる。この背後にトランプ氏がいることは誰の目にも明らかだった。

果せるかな、この米国議会の決定はロシアを大いに喜ばせた。翌日のロシアTVでは鬼の首を取ったといわんばかりの様相だった。

「これでウクライナ戦はロシアの勝利だ」、「米国共和党がロシアを勝利に導いてくれた」、「共和党万歳」という叫び声がロシアTVに充満し、勝利の祝賀ムードだった。後日、情報通のツイート記事によると、ロシアの学校の教科書が一斉に書き換えられ、「2020年の米国総選挙は違法選挙であったため、トランプ氏は勝利を盗まれてしまった」と書かれているという。プーチン大統領にとってはトランプ氏に謝意を伝えることはいとも簡単なことなのだ。(後略)【1月12日 WEDGE】
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【「独裁」に対する「選挙」というブレーキは、今アメリカに存在するのか?】
もちろん、こうしたトランプ氏が多くのアメリカ国民に支持されているのは理由があってのことでしょうが、「そうであるにしても、トランプ復活の先にある闇はあまりにも深く怖い」という思いがあります。

なぜこんな事態になっているのか? 本来は、「選挙」によってこうした危機がおきるのが阻止されるのが民主主義ではなかったのか?

****見落としてならない中国の民意を汲み取る能力****
(中略)中国には、言論が不自由で異論を認めないという体質への批判はあるだろう。しかし、民意を汲み取る機能も、問題を解決する能力も備わっていると言わざるを得ない。

権威主義との批判についても、中国を批判するアメリカの現状も褒められたものではない。権威に対し「本当のことを口にできない」のはトランプ政権発足後の共和党も同じ特徴を備えてきたからだ。

とくに2021年1月6日に起きた議会乱入事件(以下、事件)以降、その傾向は顕著になったと言わざるを得ない。
事件後、トランプ前大統領に対する批判をにわかに口にし始めた共和党議員の多くが、次の中間選挙で勝つため、再びトランプ批判を封印し、その軍門に下って行った姿は「盲従」との誹りを免れない。実際、アメリカ国内の多くの専門家がこれを「権威主義的な政治」として批判している。

選挙結果を認めず暴力でそれをひっくり返そうとした元大統領を批判できないのだから、深刻である。

アメリカのニュース番組では「あなたは本当に『選挙は盗まれた』と思っているのか?」とキャスターに突っ込まれて言葉を濁す共和党議員の姿がしばしば見られるが、象徴的なシーンと言わざるを得ない。

独裁的な中国に対し、「選挙というブレーキが存在する」ことが、これまでの西側世界の優位性を担保してきたのではなかっただろうか。 果たしていまのアメリカに、そのブレーキは機能していると言えるのだろうか。【1月12日 MAG2NEWS 富坂聰氏 “習近平は本当に「秩序破壊者」なのか。西側の“上から目線”なレッテル貼り”】
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【ヘイリー元国連大使の“奇跡”的な展開は起こり得るのか?】
意気軒高なトランプ氏、盤石な支持基盤に対し、高齢バイデン氏・民主党サイドははなはだ頼りない感じも・・・
そんな状況では“奇跡”のような展開にも一縷の望みをかけたくもなります。

共和党サイドで支持を伸ばしている元国連大使のヘイリー氏、もし、アイオワ・ニューハンシャーで好調スタートをきれたら・・・・ヘイリー氏本人も、副大統領候補指名への色気を捨てて、「反トランプ」で腹をくくったようです。

****米大統領選、共和党のヘイリー氏「反トランプ」鮮明 アイオワ州討論会****
11月の米大統領選に向け共和党指名争いの火ぶたを切る15日のアイオワ州党員集会を控え10日夜、州都デモインに支持率トップのトランプ前大統領(77)、2位を争うデサンティス・フロリダ州知事(45)とヘイリー元国連大使(51)が集結した。ヘイリー氏がデサンティス氏との討論会でトランプ氏との対決姿勢を示す一方、欠席のトランプ氏は集会に出演し、独走を印象付けようとした。

CNN主催の討論会は冒頭からヘイリー氏とデサンティス氏が互いを「噓つき」とののしり合う泥仕合となった。政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」が集計した同州の平均支持率はトランプ氏が52%と独走し、ヘイリー氏16・6%、デサンティス氏16・4%。15日の党員集会でデサンティス氏が2位争いに敗れれば先の展望はない。

討論会の直前には共和党穏健派のクリスティー前ニュージャージー州知事(61)が撤退を表明し、ヘイリー氏に追い風が吹いた。CNNの最新世論調査では23日に予備選を控えたニューハンプシャー州で首位のトランプ氏の39%に対し2位のヘイリー氏は32%と7ポイント差に肉薄。12%と3位のクリスティー氏の票がヘイリー氏に流れればトランプ氏に追いつき、追い越すのも夢ではなくなる。

ただ、「私一人がトランプ氏の真実を語ってきた」と語るクリスティー氏の支援を得るには、ヘイリー氏は前大統領との対決姿勢を鮮明にする必要があった。態度が煮え切らないと批判されてきたからだ。

ヘイリー氏はまず「ここに来るべきだった」とトランプ氏の欠席を批判したうえで、トランプ氏の支持者による21年1月の議会襲撃事件を「ひどい1日だった」と指摘。「トランプ氏になればあと4年混沌が続く」と訴え「新世代の指導者が必要だ」と強調した。

さらに共和党候補とバイデン大統領との仮想対決で「私は(トランプ氏を超す)17ポイント差でバイデン氏を破った」と一部の世論調査を引き合いに自身が本選で勝てる候補と訴えた。

終了後、ヘイリー氏の陣営幹部は取材に「ここでつかんだ勢いをニューハンプシャー、さらに他州へ広げていく」と自信をみせた。

一方、トランプ氏は同時間帯に3・7キロ離れた会場で保守系FOXテレビ主催の集会に出演。地元紙によると、副大統領候補選びの質問に「誰になるかを私は知っている」と答え、党指名獲得を前提にした発言をして余裕をみせた。【1月11日 産経】
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