(【2023年8月23日 島澤諭氏 YAHOO!ニュース】日本のジニ係数の推移)
【世界で最も裕福な5人の総資産が2020年比で2倍超の8690億ドルに増えた一方、全世界で50億人が以前より貧しくなった】
自分とはまったく縁もない世界で最も裕福な方々の話。
どのくらい資産をお持ちなのか・・・こういう方々は自社株など価値が大きく増減する資産を多くお持ちですので、調査地点によって異なりますが【2023年7月25日 Forbes】によれば・・・
トップは電気自動車(EV)大手テスラを率いるイーロン・マスク氏で2407億ドル(約34兆円)
次いで、フランスの高級ブランドグループ、モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH)の会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるアルノー氏が2349億ドル。
3位はアマゾン・ドット・コムの創業者ジェフ・ベゾス氏で、保有資産額は1519億ドル。
4~7位は上位から順に、オラクル創業者のラリー・エリソン氏(1481億ドル)、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏(1206億ドル)、バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットCEO(1173億ドル)、マイクロソフトのスティーブ・バルマー前CEO(1049億ドル)・・・だそうです。
34兆円・・・想像もつきません。
他人の懐具合を云々しても仕方ないとは言えますが、一方で日々の生活にも困る者、更には飢餓に直面している者も世界には多数(「多数」という言葉では不十分なくらい大勢)いる現実を考えると、すっきりしないものも感じます。
もちろん、こういう富裕層の積極的経済活動によって経済全体が活性化し、結果的に皆が少しずつ豊かになる・・・という話(本当に現実がそうなっているのかは定かではありませんが)はありますが、それでも・・・
国連報告によれば、2022年、世界人口の約29.6%、24億人に相当する人びとに食料への安定したアクセスがなく、中等度または重度の食料不安に陥っていました。
****飢餓人口2019年と比較して1億2200万人増加 複数の危機が要因で =国連報告書****
飢餓に直面している人口は2019年に6億1,300万人であったのに対し、現在は約7億3,500万人に増加していると最新の調査が明らかにしました。
国連の5つの専門機関が共同で本日公開した、最新の「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」報告書によると、新型コロナウイルス流行や度重なる気候危機、ウクライナでの戦争を含む各地での紛争の影響で、世界で飢餓に直面している人口は、2019年以降、約1億2200万人増加しました。
もしこの傾向が続けば、2030年までに持続可能な開発目標「飢餓をゼロに」は達成できないだろうと、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連児童基金(UNICEF)、世界保健機関(WHO)、世界食糧計画(WFP)は警告しています。
飢餓との闘いへの警鐘
2023年のSOFI報告書によると、2022年に飢餓に直面した人は6億9100万人から7億8300万人で、その中間値は7億3500万人でした。この数は、新型コロナウイルスの流行前の2019年と比較して1億2200万人増加しています。
2021年から2022年にかけて世界全体の飢餓人口は安定したものの、世界には食料危機が深刻化している地域が多くあります。アジアとラテンアメリカでは飢餓が減少した一方、西アジア、カリブ諸国、そしてアフリカの全地域で、2022年も飢餓は増加し続けました。アフリカは依然として最も深刻な影響を受けている地域で、5人に1人が飢餓に直面しています。これは世界平均の2倍以上です。
「希望の光がないわけではなく、2030年の栄養目標達成に向けて前進している地域もあります。しかし、全体としては、持続可能な開発目標を達成を目指すには、今すぐ集中した世界的な取り組みが必要です。私たちは紛争から気候変動に至るまで、食料不安の要因となる危機やショックに対するレジリエンス(強靭性)を構築しなければなりません」と国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏はニューヨークの国連本部で行われた報告発表会のビデオメッセージで述べました。
(中略)報告書の序文で次のように述べています。「2030年までに飢餓をゼロにするという持続可能な開発の達成は、間違いなく困難な課題です。実際、2030年においても6億人近くが飢餓に直面していると予測されています。食料不安と栄養不良の主な要因となっているものは私たちの“ニューノーマル”であり、持続可能な開発目標2の達成のためには、私たちはアグリフードシステムを変革し、それらを活用する努力を倍増させる以外に選択肢はありません。」
飢餓を超えて
食料安全保障と栄養の状況は、2022年も厳しいものでした。報告書によると、世界人口の約29.6%、24億人に相当する人びとに食料への安定したアクセスがなく、中等度または重度の食料不安に陥っていました。このうち、約9億人が深刻な食料不安に直面していました。
また、健康的な食生活へのアクセスは世界中で悪化しています。2021年には、世界の31億人以上(世界人口の42%)が健康的な食事に手が届きませんでした。この数は、2019年に比べて1億3400万人増加しています。
何百万人もの5歳以下の子どもたちが栄養不良に苦しんでいます。2022年、1億4,800万人の5歳以下の子ども(22.3%)が発育阻害に陥っており、4,500万人(6.8%)が消耗症、3,700万人(5.6%)が体重過多でした。
生後6ヵ月未満の乳児の完全母乳率は48%となり、2025年の目標に近づいています。しかし、2030年までに栄養不良に終止符を打つという目標を達成するためには、より一層の努力が必要です。(後略)【2023 年7月12日 WFP】
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どうも現実は改善というより悪化しているように見えます。
冒頭の富裕層を再び引き合いにだすと・・・
****富裕層上位5人の資産が20年比2倍超、抑制必要 NGOが報告書****
オックスファムは15日公表の報告書で、世界で最も裕福な5人の総資産が2020年比で2倍超の8690億ドルに増えた一方、全世界で50億人が以前より貧しくなったと指摘し、各国政府に富の集中是正策を講じるよう呼びかけた。
報告書は15日開幕の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に合わせて発表。世界の企業上位10社のうち、富裕層が経営者あるいは主要株主の企業が7社を占めているとした。
各国政府に対し、独占企業の解体や超過利潤および過剰な富への課税導入、社員持ち株制度など株主による支配に代わる制度の推進によって、企業の権力を抑制するよう呼びかけた。
最も裕福な5人は米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)、仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンCEOのベルナール・アルノー氏、米アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏、米オラクルの共同創業者ラリー・エリソン氏、著名投資家ウォーレン・バフェット氏で、インフレ調整後の資産が大きく増えた。
一方、過去2年間で8億人近い労働者の賃金の伸びがインフレ率に追いつかず、年間で労働者1人当たり平均25日分の所得が失われたと指摘した。【1月15日 ロイター】
報告書は15日開幕の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に合わせて発表。世界の企業上位10社のうち、富裕層が経営者あるいは主要株主の企業が7社を占めているとした。
各国政府に対し、独占企業の解体や超過利潤および過剰な富への課税導入、社員持ち株制度など株主による支配に代わる制度の推進によって、企業の権力を抑制するよう呼びかけた。
最も裕福な5人は米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)、仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンCEOのベルナール・アルノー氏、米アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏、米オラクルの共同創業者ラリー・エリソン氏、著名投資家ウォーレン・バフェット氏で、インフレ調整後の資産が大きく増えた。
一方、過去2年間で8億人近い労働者の賃金の伸びがインフレ率に追いつかず、年間で労働者1人当たり平均25日分の所得が失われたと指摘した。【1月15日 ロイター】
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【日本 実質賃金19カ月連続マイナス】
“労働者の賃金の伸びがインフレ率に追いつかず・・・”
周知のように日本もこの状況が続いています。
****10月実質賃金2.3%減少、物価上昇で19カ月連続マイナス 残業減も響く=毎月勤労統計****
厚生労働省が(12月)8日に公表した10月の毎月勤労統計(速報)によると、実質賃金は前年比2.3%減少し、19カ月連続のマイナスとなった。物価上昇に賃金の伸びが追いついていない状態が続いている。製造業の残業減なども響いた。賃上げ効果などでマイナス幅は9月の2.9%から縮小した。
労働者1人当たり平均の名目賃金を示す現金給与総額は、前年比1.5%増の27万9172円。9月は0.6%増だった。
一方、消費者物価指数は前年比3.9%上昇と9月の3.6%からプラス幅が拡大し、実質賃金は前年比マイナスとなった。
現金給与総額のうち、所定内給与は前年比1.4%増(9月は同1.0%増)の25万2825円と伸びが拡大した。春闘による賃上げの影響が寄与した。
一方、所定外給与は同0.1%減(9月は同0.5%減)の1万9466円と2カ月連続のマイナスだった。10月は所定外労働時間が前年比1.8%減少しており、厚労省は製造業などの残業時間減少が影響したとみている。【12月8日 ロイター】
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一般的に賃金は物価上昇の後追いになるので、物価上昇時の当初は実質賃金はマイナスになる傾向がありますが、やがて物価上昇に賃金上昇が追いついてプラスになるはず・・・ですが、19カ月連続マイナスというのは、物価上昇が収まらないせいか、名目賃金の引上げが不十分なのか・・・。
【高齢化進行でジニ係数増加も、年金給付などの再分配で格差状況維持 若年層では世代内格差拡大も】
「寡(すくな)きを患(うれ)えずして均(ひと)しからざるを患う」
論語のなかで孔子が政治の要諦について語ったことばですが、これは為政者の心得を表したもの。
一方で、国民の側からしても、やはり「均(ひと)しからざるを患う」というのが人間心理でしょう。
かつて、日本は世界でも「平等」な国、格差が少ない国として高く評価されていましたが、ジニ係数拡大など、最近は様相がやや異なるような報道も。
****世帯間の所得格差 過去最大の平成26年に次ぐ水準に 厚生労働省****
厚生労働省は、おととし行った所得格差の調査結果を発表し、公的年金などを除いた世帯間の所得の格差は過去最大だった平成26年の調査に次ぐ水準であることがわかりました。
厚生労働省は、公的年金などの社会保障や税による再分配で所得の格差がどの程度改善されているのか明らかにするため、おおむね3年に1度「所得再分配調査」を行っています。
おととし令和3年は7月から8月にかけて調査を行い、全国のおよそ3300世帯から回答を得ました。
その結果、世帯間の所得の格差を表す「ジニ係数」と呼ばれる指標は0.5700でした。
「ジニ係数」は「0」から「1」までの間で表され「1」に近づくほど所得格差が大きいことを示すもので、格差が過去最大だった平成26年の0.5704に次ぐ水準となりました。
おととし令和3年は7月から8月にかけて調査を行い、全国のおよそ3300世帯から回答を得ました。
その結果、世帯間の所得の格差を表す「ジニ係数」と呼ばれる指標は0.5700でした。
「ジニ係数」は「0」から「1」までの間で表され「1」に近づくほど所得格差が大きいことを示すもので、格差が過去最大だった平成26年の0.5704に次ぐ水準となりました。
一方、公的年金などの社会保障や税による再分配をしたあとの「ジニ係数」は0.3813となり、再分配により格差が33.1%改善されているということです。
また、今回の調査で、公的年金などを除いた1世帯当たりの年間の平均所得は423万4000円でしたが、公的年金などによる再分配をしたあとの平均所得は504万2000円だったということです。
厚生労働省は「高齢化が進むと一般的にジニ係数が悪化するが、年金などの受給で改善されている。社会保障が十分機能していると言えるのではないか」と話しています。【2023年8月22日 NHK】
また、今回の調査で、公的年金などを除いた1世帯当たりの年間の平均所得は423万4000円でしたが、公的年金などによる再分配をしたあとの平均所得は504万2000円だったということです。
厚生労働省は「高齢化が進むと一般的にジニ係数が悪化するが、年金などの受給で改善されている。社会保障が十分機能していると言えるのではないか」と話しています。【2023年8月22日 NHK】
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確かに、再分配をしたあとの「ジニ係数」は、さほど大きく悪化はしていません。
ただ、年金などの受給で改善されている・・・・とは言っても、「日本は先進7か国で米国、英国に次いで所得格差が大きい国です」【2023年12月4日 yomiDr.】とも。
なお、再分配の仕組みは、再分配給付額約190万円のうち、年金が6割を占めるというように、高齢者に手厚いようにみえますが、給付には児童手当や奨学金の一部、出産手当金、育児休業給付金などもあり、若者も再分配の恩恵を受けている・・・そうです。【同上より】
年金などの再分配については、いつまで今のレベルを維持できるのか・・・という問題もありますし、世代間の政治的意見対立を招くことにもなります。
格差については、若者と高齢者という世代間格差がよく取り上げられますが、若者について、世代内の格差も拡大しているとの指摘も。
****少子化問題に影を落とす若年層の経済状況****
(中略)
2│世代内格差の拡大
第二に、若年層、と一括りにできるほど、現在の若年層の経済状況は似通ってはいない点も指摘できるだろう。若い世代における経済状況の世代内格差は拡大傾向にある。そのため、貧しい若年層はかつてよりも経済的に厳しい状況に置かれていることが想定される。
格差の度合いを測るための指標としては、ジニ係数が広く用いられている。(中略)
第二に、若年層、と一括りにできるほど、現在の若年層の経済状況は似通ってはいない点も指摘できるだろう。若い世代における経済状況の世代内格差は拡大傾向にある。そのため、貧しい若年層はかつてよりも経済的に厳しい状況に置かれていることが想定される。
格差の度合いを測るための指標としては、ジニ係数が広く用いられている。(中略)
厚生労働省の調査から各世代内における所得(当初所得)のジニ係数の推移を確認すると、中高年世代はジニ係数が小さくなる傾向がみられる世代が多いのに対し、30代が世帯主である世帯のジニ係数は、大きくなっている。これは、30代における労働所得の格差が大きくなっている、すなわち世代内格差が広がっていることを意味している。
格差の拡大という点においては、非正規雇用労働者の賃金が低いことが、依然として大きな課題であり続けている。正社員・正職員と比較して、非正規雇用に当たる正社員・正職員以外の労働者の賃金は、男女いずれの場合も低い水準に留まっている。
それに加えて、非正規雇用労働者の賃金カーブはほぼ横ばいに推移していることから、労働者にとって、将来賃金が上昇するだろうとの期待感も乏しいものとなってしまう。結果として、労働者の抱く将来への経済的な不安は大きくなってしまう。
もっとも、将来の賃金上昇期待が乏しく、将来の経済不安を抱えているのは非正規雇用労働者に限った話ではないかもしれない。
前述の図表4の通り、確かに20代においては男女ともに実質賃金水準は上昇傾向にある。しかし、他の年代を確認すると、女性については社会進出が進んだこともあり全年代で上昇傾向が見られるものの、男性の実質賃金水準は中高年世代のほとんどで低下しているのが現状だ。(後略)【2023年11月02日 坂田 紘野氏 ニッセイ基礎研究所】
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日本の現況・将来については、どうも明るい話題が少ないです。