孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

イスラエル  ガザでの戦闘「次の段階へ移行」 これまで水面下ではハマスを支援してきた戦略が破綻

2023-12-16 22:49:09 | パレスチナ

(イスラム組織ハマスに拘束されていた人質3人への誤射を巡り、抗議する人々=イスラエル中部テルアビブで2023年12月15日、ロイター【12月16日 毎日】 人質は白旗を掲げていたとも)

【「次の段階へ移行」 ハマス指導者を狙った戦闘形態に移行 具体的な時期や戦闘規模については不明】
イスラエル軍の激しい攻撃が続くパレスチナ・ガザ地区出の戦いが転機を迎えたのか・・・

****イスラエルの作戦「次の段階へ移行」 米高官会見、ハマス指導者を標的に****
米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は15日、イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザでの軍事作戦が、イスラム原理主義組織ハマスの指導者に標的を絞った「次の段階へ移行」すると述べた。

訪問先のイスラエルで記者会見し、同国と移行時期について話し合っていることを明らかにした。米政権は民間人被害を伴う大規模な戦闘から縮小するようイスラエルに要請していた。

サリバン氏は14日、イスラエルのネタニヤフ首相らと会談。米メディアによるとイスラエルのガラント国防相は、サリバン氏に「ハマス壊滅の戦いは数カ月以上続く」と述べ、壊滅作戦を継続する方針を伝達していた。

サリバン氏はイスラエル側に、数週間内に大規模攻撃を終え、ハマス指導者を狙った戦闘形態に移行するよう要請した。

サリバン氏は15日の会見で、イスラエル軍がハマス戦闘員を標的とし、民間人を巻き添えにしない努力の「成果を確認」したいとも話した。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、バイデン米大統領は「3週間程度」で戦闘形態を転換するよう望んでいる。

サリバン氏とイスラエル側の会談ではガザの戦後処理も話し合われた。サリバン氏は14日、現地テレビで、占領地ヨルダン川西岸とガザに分裂する自治区が「パレスチナ自治政府の下で結びつく必要がある」と話した。

米政権はパレスチナ国家とイスラエルの「2国家共存」による和平実現に向け、ガザ統治を自治政府に委ねるのが望ましいとの立場だ。ネタニヤフ政権は2国家案そのものに否定的で、溝が縮まるかが焦点となる。【12月15日 産経】
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イスラエル側も同意したようですが、詳細はまだ不明です。

****米、戦闘規模縮小でイスラエルと合意=時期や規模は示さず****
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は15日、オンラインでの記者会見で、パレスチナ自治区ガザでの軍事作戦の規模縮小を巡り、イスラエル側と「一般合意」したと明らかにした。ただ、具体的な時期や規模については触れなかった。【12月16日 時事】 
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【相次ぐイスラエル軍の不祥事 その意味でも「転機」かも】
イスラエルとしても、軍の不祥事が相次いでおり、そろそろ「次」を考える必要がある次期かも。
不祥事の最大のものは、誤って人質を殺害してしまったというもの。

****イスラエル軍、ガザで人質3人を誤って殺害=報道官****
イスラエル軍の報道官は15日、パレスチナ地区ガザでイスラム組織ハマスに拘束されている人質3人を戦闘中に誤って殺害したと発表した。現在調査が進められているという。

イスラエル軍は声明で、ガザ地区での激しい戦闘中に「3人のイスラエル人質が脅威と認識され、その結果、部隊が発砲し、3人は殺害された」とした。

ネタニヤフ首相は「イスラエル国民全体とともに、深い悲しみに頭を下げ、3人の死を悼む」とする声明を発表した。

イスラエル軍はハマスと激しい戦闘を繰り広げているが、ハマス戦闘員は民間人のような服装をしていることが多いという。

ガザ地区にはなお約100人の人質が拘束されている。イスラエル軍はこの日、民間人1人と兵士2人の遺体を収容したと発表した。【12月16日 ロイター】
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イスラエル国内で人質救出を最優先すべきとの声が強い中で、ハマスへの攻撃を優先させてきたネタニヤフ首相としては責任を追求されることにもなるでしょう。

その他にも・・・

****モスクでユダヤ教の歌を歌う・商店を破壊、イスラエル兵の規律乱れる…映像や画像の投稿も****
パレスチナ自治区ガザとヨルダン川西岸で戦闘を続けるイスラエル兵の規律の乱れが目立っている。占領したモスク(イスラム教礼拝所)でユダヤ教の歌を歌ったり、商店を破壊したりする映像がSNS上で拡散している。軍の報道官は「兵士の行為は軍の価値観に反する」と火消しに追われ、パレスチナ人の反発は強まるばかりだ。

西岸北部のジェニン難民キャンプのモスクでは、イスラエル兵がマイクを使ってユダヤ教の光の祭り「ハヌカ」の歌を歌った。「我々は暗闇を追い払うためにやってきた」というヘブライ語の歌詞をイスラム教徒のパレスチナ人住民に聞かせた。

同キャンプでは14日まで3日間にわたりイスラエル軍の侵攻が続き、11人が殺害された。パレスチナ自治政府の議長府報道官は「恥ずかしい行為だ」と非難し、「この地域を宗教戦争に引き込む」と警告した。

ガザ北部ジャバリヤでは、イスラエル兵が商店の棚にある商品を周囲に投げつけ、棚を倒した。同僚の兵士からは笑い声が上がった。軍には予備役が多く、若い兵士らがふざけ半分で撮影した映像や画像をX(旧ツイッター)に投稿している。軍は行為にかかわった兵士を任務から外した。【12月15日 読売】
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****中東テレビのカメラマン死亡 イスラエル軍、救急活動を妨害か****
中東の衛星テレビ、アルジャジーラは15日、同社のカメラマン、サーメル・アブダッカ氏(45)がパレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスでイスラエル軍の攻撃により死亡したと発表した。軍が5時間以上救急活動を妨害したとし、「人道に対する罪だ」と激しく指弾した。


米ニューヨークに本部を置く民間団体、ジャーナリスト保護委員会(CPJ)によると、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まった10月7日以降、死亡したメディア関係者は今月15日時点で計64人。レバノン南部では、軍が意図的に記者を殺害したとの調査もあり、批判が高まる。【12月16日 共同】
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【「ポスト・ハマス」の青写真では米・イスラエルに溝 「2国家共存」を認めないネタニヤフ政権】
大規模攻撃を終え、民間人を巻き添えにしない形で、ハマス指導者を狙った戦闘形態に・・・というのはよいとしても、問題は以前から指摘しているように、「ポスト・ハマス」の青写真の合意がないこと。

冒頭記事にあるように、アメリカはパレスチナ自治政府がヨルダン川西岸に加えてガザ地区の支配も回復したうえで、パレスチナ国家とイスラエルの「2国家共存」による和平実現を目指すとしていますが、ネタニヤフ首相はこうした考えを否定しています。

****ガザとヨルダン川西岸、「刷新された」パレスチナ自治政府が統治すべき=米高官****
米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は14日、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区とガザ地区は「刷新され、活性化された」パレスチナ自治政府が統治する必要があると述べた。

イスラエル訪問中のサリバン氏は地元のテレビ局チャンネル12とのインタビューで、「最終的にはヨルダン川西岸とガザの統治を結び付ける必要があり、刷新され活性化されたパレスチナ自治政府の下で、結び付けられる必要がある」と述べた。

それが何を意味するのかという質問に対しては「イスラエル政府だけでなく、まずパレスチナ側との集中的な協議が必要ということだ。しかしそれには改革が必要で、パレスチナ自治政府の統治への取り組み方を刷新する必要があるだろう」と応じた。(後略)【12月15日 ロイター】
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****駐英イスラエル大使、2国家解決は「絶対にノー」****
イスラエルのツィピ・ホトベリ駐英大使は14日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスの掃討作戦終了後も、イスラエルとパレスチナ国家が共存する「2国家解決」を受け入れるつもりはないと述べた。

ホトベリ氏は英スカイニューズに対し、英政府と国連が長年にわたりオスロ合意(パレスチナ暫定自治宣言)に基づき、パレスチナ国家を樹立すべきだとの立場を取っているのはあり得ないとし、「答えは絶対にノーだ」と述べた。

(中略)ホトベリ氏は「オスロ合意が失敗したのは、パレスチナ人が隣国にイスラエルを持つことを望まなかったからだ。このことを今のイスラエルは理解している。世界も知るべきだ」「パレスチナ人はヨルダン川から地中海まで(英委任統治領パレスチナ全域)の1国家を望んでいる」と述べた。

「あなた方はなぜ全く機能せず、パレスチナ側にこうした過激な人々を生み出した案(2国家解決)に固執するのか」と続けた。(後略)【12月15日 AFP】AFPBB News
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【自治政府 かねてよりの腐敗で住民支持を失っており、「改革」が必要】
かねてより「2国家共存」を主張してきたパレスチナ自治政府は当然の如く、アメリカ案を歓迎しています。

*****「ガザはパレスチナ国家と不可分」 アッバス議長****
パレスチナ自治政府のマハムード・アッバス議長は15日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸の本部で米国のジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と会談し、「ガザ地区はパレスチナ国家の不可分の一部だ」と述べた。

アッバス氏は「パレスチナ国家の一部について、分離または隔離しようとする試みは容認できない」と強調した。

(中略)これに先立ちサリバン氏は、イスラエルのテルアビブで同国の高官と会談した後の会見で、イスラム組織ハマス掃討後のガザについて、「イスラエルが長期にわたってガザを占領もしくは再占領するのは道理にかなっておらず、適切でもない」「ガザの統治、行政、治安維持は最終的に、パレスチナ人に移管されなければならない」と述べていた。 【12月16日 AFP】
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ただ、問題は腐敗した自治政府が住民の信頼を失っており、(敗北も予想される)選挙もできない状況が続いていることです。「刷新され、活性化された」パレスチナ自治政府に生まれ変わる必要があります。

【ネタニヤフ政権 これまで水面下ではハマスを支援 ハマスとの戦闘をコントロールする戦略が破綻】
一方、これまでのガザ地区への関与の責任を問われるのはイスラエル・ネタニヤフ政権です。ヨルダン川西岸とガザの一元支配と言う考えも、これまでのネタニヤフ政権の戦略とは異なります。

現在ハマスへの激しい攻撃を行っているように、イスラエルの存在を認めていないハマスと、ハマスをテロ組織と見なすイスラエルは“不倶戴天の敵”と思われていますが、実は水面下ではイスラエルはこれまでハマスのガザ地区支配を支援してきたとも言われています。

ありえないような指摘ですが、「敵の敵は味方」ということからすれば、イスラエル保守派にとってパレスチナ国家を主張する自治政府が敵であり、その敵に盾突き、弱体化させるハマスは「味方」ともなります。

イスラエル保守派にとっても、ハマスにとっても、「2国家共存」といった和平は受け入れがたいものであり、そうした合意を潰すという共通の利害を有するとも言えます。

****日本のテレビが触れないタブー、#イスラエル は #ハマス を支援してきた!― #ガザ 攻撃の闇****
(中略)ハマスについて、日本のテレビ報道の中で語られていない重要な問題があります。それは、イスラエルのネタニヤフ首相ら同国の右派政治家達が、ハマスを利用し支援してきたことです。この問題は、現在のガザ攻撃にも大きく関係しているのです。(中略)

〇ハマスへの資金移送を容認してきたネタニヤフ首相
ある意味、ネタニヤフ首相は、ハマスにとって最大の「支援者」の一人だとも言えるのかもしれません。

ハマスにとって最も重要なスポンサーは、中東の石油・ガス産出国の一角、カタールです。このカタールからのハマスへの送金を見逃してきた、いや、むしろ庇ってきたのは、あろうことか、イスラエルの首相であるネタニヤフ氏であることが、現地紙「エルサレルム・ポスト」「タイムズ・オブ・イスラエル」等、複数のメディアで暴露されているのです。

これらの報道によれば、2019年にネタニヤフ首相は与党の会議の中で、「パレスチナ国家に反対する人々はガザへの資金移送を支持すべきだ」と語ったとされています。また現地紙「ハアレツ」は「ネタニヤフ氏は過去14年、ハマスの権力を強化させ続けてきた」と批判しています(2023年10月20日付のコラム)。
なぜ、ネタニヤフ氏はハマスを支援するようなことをしてきたのでしょうか?それは、現地報道で暴露された発言などからもうかがい知れる、ネタニヤフ氏含むイスラエルの右派政治家の中東和平に対するスタンスがあります。

1993年、米国の仲介でまとまったオスロ合意による中東和平で核となるのが、パレスチナが将来、国家として独立しイスラエルと平和的に共存する、いわゆる「二国家共存」です。

しかし、ネタニヤフ氏ら、イスラエルの右派政治家達は、当時から「二国家共存」に反対してきました。それは彼らが、オスロ合意に沿ってパレスチナ国家となるはずのヨルダン川西岸までイスラエルの領土だとする「大イスラエル主義」に固執しているからです。

オスロ合意後、パレスチナ自治政府が発足しましたが、その主流派のファタハのライバル関係にあるのが、ハマスなのです。つまり、ネタニヤフ氏らイスラエル右派政治家達にとって、イスラエルとの衝突を続けるハマスが勢力を強め、対イスラエル穏健派のファタハと対立していた方が、中東和平による「二国家共存」の実現阻止という点で都合が良いのです。

実は、ハマスが穏健化する機会がオスロ合意後の流れの中で幾度かあったのですが、それをことごとく拒んできたのが、イスラエルの右派政権でした。

中でも、衝撃的だったのは、2004年3月、ハマスの創設者で精神的指導者であったヤシン師が、イスラエル軍の攻撃ヘリによるミサイル攻撃で殺害されたことです。

ハマス側は当然、激怒。イスラエルに全面戦争を宣言することになりますが、生前、ヤシン師はその態度を軟化させ、イスラエルとの停戦を主張していたのでした。つまり、中東和平を支持していたヤシン師を殺害することでハマスを過激化させることにより、当時のイスラエルのシャロン政権は「二国家共存」への道を頓挫させたのです。

〇中東和平を阻止してきたネタニヤフ首相
1996年から現在に至るまで、実に6度もイスラエルの首相となっているネタニヤフ氏も、中東和平の枠組みを揺るがし続けてきました。

ネタニヤフ政権が続く中で、激増したのがヨルダン川西岸のユダヤ人入植地です。入植地の人口は、2000年代には20万人程度であったのが、現在は約50万人にも倍増しています。

こうした入植地はパレスチナ人の家々を破壊し、土地を奪って建設される上、入植者の中には武装して近隣のパレスチナ人の村々を襲うテロリストの様な過激派も少なからずいます。(中略)

その入植者達を護るためイスラエル軍も来るので、入植地建設は、イスラエルによるパレスチナ占領を固定化し、拡大させていくものです。

入植地の拡大から、ヨルダン川西岸やエルサレム周辺でも、パレスチナ側とイスラエル側の衝突は続いてきましたが、こうした衝突を利用し、「強いリーダー」をアピールしてきたことが、ネタニヤフ氏が権力を維持し続けてきた要因でもあるのです。

しかし、入植地の建設は、ヨルダン川西岸の住民達だけでなく、ハマスも強く憤ってきました。今回の大規模襲撃についてのハマスの声明の中でも入植地について言及しているのです。

ガザでの「草刈り戦略」
紛争を「適度なもの」にコントロールしながら、政権運営や外交安全保障政策に利用する―そうした戦略はガザにも適用されていきました。

イスラエルは、ガザに対し、2008年末から2009年1月、2012年、2014年、2021年、2022年と大規模な攻撃を行いました。これはハマス等のガザの武装勢力を生かさず殺さずにする、つまり、現地武装勢力が或る程度力を蓄えてきたら打撃を与えるということを数年おきに繰り返すもので、伸びてきた草を刈るというイメージから「草刈り戦略」とも呼ばれています。

米国の軍事シンクタンク「ランド研究所」が2017年にまとめた報告書は、イスラエルはハマスを殲滅することはできるが、権力の空白でのガザの混乱に対する責任を取ることを嫌い、またより過激な組織が台頭する可能性から、ハマスを殲滅することはしなかったと分析しています。つまり、ネタニヤフ氏らイスラエルにとってハマスは、いわば、利用するのにちょうど良い程度の脅威だったのです。

(中略)これまでのガザ攻撃でのイスラエル側の被害はガザのそれにくらべれば、10~30分の1程度と少なく、ネタニヤフ首相らイスラエルの右派政治家達は、「紛争をコントロールできている」と考えていたようです。それが過信であったことを示したのが、今回のハマス等によるイスラエル側への襲撃だったのでした。

〇ネタニヤフ首相の責任を追及しない日本のメディア
ハマスを利用することで、中東和平に背を向けてきたネタニヤフ首相の戦略が、今回のハマス等による大規模襲撃を招いたとの指摘は、イスラエルの各メディアで指摘されていることです。しかし、日本のメディア、特にテレビでは、「いつ地上軍が侵攻するのか」と表面的な解説ばかりで、この間のイスラエルの右派政権の対パレスチナ政策の問題を批判的に分析するというような解説はほとんどありません。(中略)【10月26日 志葉玲氏 YAHOO!ニュース】
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“このカタールからのハマスへの送金を見逃してきた、いや、むしろ庇ってきたのは、あろうことか、イスラエルの首相であるネタニヤフ氏である”ということ、加えて、ネタニヤフ政権のこうしたハマス支援を“米国のオバマ、トランプ、バイデンという歴代政権も支持した”ということを“なぜハマスは戦闘を続けられるのか イスラエルの誤算”【12月14日 WEDGE】も指摘しています。

ネタニヤフ首相がイスラエルで問われているのは、単にハマスの奇襲を防止できなかった責任だけでなく、これまでの「紛争をコントロールできている」という考えからハマスを水面下で支援してきた戦略が破綻した責任です。

それだけに、ネタニヤフ首相としては何としてもハマスを根絶やしに・・・と突き進んでいるのでしょう。

上記のような指摘に関して言えば、カタールからの資金援助は「民生用」ということで行われていたもので、これをハマスが軍事目的にかすめ取っていたこと、そのことをイスラエルが承知していたことも事実でしょうが、イスラエル側に自治政府弱体化・「二国家共存」否定のためにハマスを利用するという明確な意図があったのかどうかは微妙かも。ただ、ハマスが資金を利用してもコントロールできるし、結果的には保守派の目的に沿うという考えはあったのかも。

もし、こうしたカタールからの支援がなかったら、「天井のない監獄」とも言われていたガザの住民生活は更に厳しいものになっていただろうとも思えますので、どうすべきだったかのかも併せて議論する必要があるでしょう。
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