孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

エジプト  面倒なチップの習慣 中国的対処法は・・・・

2017-03-30 13:31:25 | 人権 児童
現在エジプトを旅行中です。

今はアスワン(イシス神殿やアスワンハイダム)から、スーダン国境も近いアブシンベル神殿に向けて、砂漠(アスワン付近は岩砂漠ですが、アブシンベルに近づいてきた今は砂砂漠に変わりました)の中を120kmぐらいのスピードで移動中です。

手配当初は、警察官が同乗してコンボイを組んで移動・・・といった、物々しい話も聞いていたのですが、実際のところは、最近はそこまでのことはしないようで(治安が改善したのでしょうか?)普通に専用車で移動しています。

ただ。アスワン郊外の検問所(当然、自動小銃を持った治安要員がいます)で、ドライバーがパーミッション(入域許可書)みたいなものを渡していました。パーミッションなのか何なのかは知りません。

エジプト旅行中、頭(と懐)を悩ますのがチップというかバクシーシ(イスラム的な寄付)です。
普段チップの習慣がない国を旅行することが多いので、この寝れない習慣は煩わしくてこまります。

日本的感覚からすると、「対価は支払っているのに、どうして上乗せして支払う必要があるのか?」という理不尽な感覚を持つのが本音です。

まあ、現地の習慣なので従うことにはしますが、どんな場面で、どのくらい支払えばいいのか迷います。

昨日カイロ空港のトイレを利用した際に、入り口付近に清掃担当みたいな女性が一人、何をするでもなく佇んでいます。

作業中だろうか?チップのためだろうか?・・・と思いながら用をすませ、トイレを出ると3人に増えていました。
その中の一人がチップを求めるようなそぶりを見せたような気もしたのですが、タイミングがずれて渡さずに通り過ぎてしまいました。

そうしたところ男性が中指を立てて「払わニアのか?ケチな野郎だ」みたいなそぶりも見せていたようにも。

あとで確認すると、公共トイレではやはりチップを払うのが習慣のようです。

ただ、指を立てられた不愉快さもあってのことですが、チップをもらうために(特に何をするでもなく)二人も三人も待ち構えているというのは、労働の効率性からみて非常に問題があるようにも思えます。「そんな時間がるなら、他の仕事をしろよ!」

もちろん、彼らにそれを言っても仕方ありません。彼らは、できる範囲でやっているだけでしょうから。
国全体のシステムの問題です。

トイレのチップはせいぜい10円、20円ですむ話ですが、ドライバーやガイドへのチップとなると金額が問題になります。

ネットで日系の現地旅行社のアドバイスなど見ると、10ドル前後の金額が示されています。
ドライバーがいて、ガイドがいて、現地係員がいて・・・1週間ほどの旅行でもチップ代だけで1万円ほどになるような金額です。日本的感覚では“謝礼”の範囲を超えています。

昨夜のホテル(駅前の安宿)代は7ドルぐらい、夕食は2~3ドル(安いときは0.5ドルですませ日も)・・・そんな旅行をしている者が10ドル、20ドルのチップを払うというのもおかしな話です。

グループ旅行なら一人当たりの金額は少なくなりますが、一人旅ですので、全額を負担する形になります。

安全・安心、快適さを求める日系旅行社はすべてが相場の倍ほどの高価格設定ですが、チップも少し高いような気もします。(現地事情はまったくわかりませんが)

カイロからアスワンへの飛行機は、乗客の半分ぐらいが中国系でした。中国人が目立つのはエジプトだけではありません。街を歩いていても、チャイナとか、ニーハオとか声をかけられます。

そんな中国人は、チップについて独自の解決法を見つけたようです。

****中国人のエジプト旅行、チップは「軟こう」で****
タイガーバームの赤い缶、数十個を持参する旅行者も
カルナック遺跡の神殿を訪れた中国人旅行者のイエ・サンシさん(25)は石造りの礼拝堂、塔、支柱の間で道に迷った。エジプト人の案内係が道を教えてくれたので、イエさんは感謝の気持ちを示すため、大きめの硬貨ほどのサイズの赤い丸い缶を案内係に手渡した。
 
中には清涼感のあるメントール入りの軟こうが入っている。これがエジプトを旅行する中国人にとっての「通貨」だ。イエさんは6日間の旅行でチップとして手渡すのに50個を用意してきた。

イエさんは「エジプトに来る前、旅をスムーズにする贈り物として清涼感のある軟こうを持参するよう、旅行代理店に繰り返し言われた。(エジプト人は)中国人旅行者に非常に親切で、彼らはこの小さな贈り物を気に入っている」と話した。イエさんの家族はオンラインで漢方薬を販売している。
 
紅海沿岸のフルガダにあるセレニティー・ビーチで清掃員を務めるユネス・モハメドさん(34)は、「中国人旅行者はよくこれをくれるが、なぜだかは分からない」と話した。頭痛の時に軟こうをこめかみに塗ることはあるが、それ以外の使い道を彼は知らない。「毎日、両手いっぱいになるほどもらう。大半は友人と親戚に配る」

首都カイロ近郊ギザのピラミッドから紅海に至るまで、エジプトを旅する中国人は現金のチップではなく軟こうを手渡す。欧米人の間で「タイガーバーム」ブランドとして知られる商品だ。ホテルのスタッフから小物行商人、税関職員、ライフル「AK-47」を担いだ警官など、旅先で出会った多くの人に配る。
 
エジプト人は時に、親指で額に何かを塗るしぐさをすることで軟こうを要求しているようだ。中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」に投稿した中国人旅行者は「なぜエジプト人がひんやりする軟こうを好むのか本当に知りたい」と書いた。この旅行者は72個を用意していったという。
 
エジプト人の中には、外国人旅行者の大半は現金でチップをくれるのに、なぜ中国人が軟こうばかりをくれるのか分からず困惑している人もいる。
 
どのようにして軟こうが2つの古代文明の関係を円滑にするようになったのかは、ちょっとした謎だ。北京に拠点を置く旅行代理店のヘラ・ジさんによると、旅行会社がこうしたトレンドを生み出したわけではないが、トレンドを長続きさせる役割は果たしているという。
 
「当社は旅行客に軟こうを持参するよう促している」とジさんは話す。エジプト人は時々、なぜ(中国の)人々はいつもこれを持ってくるのかと私に尋ねてくる。他のものは持ってこられないのかと」
 
エジプトには中国人旅行者がなだれ込んでいる。5000年の歴史を持つとされる母国の文明よりも古い文明に対する畏敬の念が理由の一つだ。

エジプトでは欧州からの旅行者数の方が圧倒的に多いが、中国国営メディアによると同国からの旅行者数は2015年に13万5000人に達し、前の年からほぼ倍増した。習近平国家主席も1月にエジプトを訪問し、3400年前に建てられたルクソール神殿に立ち寄った。
 
イエさんが参加した6日間のツアーで案内係を務めたエジプト人、モフセン・ルイスさんによると、警官の間ではこんなジョークがある。検問所で中国人旅行者の数を数える時、警官はバスに乗っている人数ではなく「軟こうのパック」の数を数えているのだと。
 
この軟こうはメントール、虫よけに使われる樟脳(しょうのう)、ハッカ油などを原料としている。においが強い。頭痛や虫さされ、吐き気、足のまめなどの症状を和らげるとされる。
 
進取の気性に富む中国の薬売りが1世紀以上前に、恐らく古い治療法を押しのける形でこの軟こうを商業化し始めた。初期の軟こうは1870年代に現在のミャンマーに住んでいた華人の漢方医が開発し、現在はタイガーバームというブランド製品で売られるようになった。

大部分の中国人はこの軟こうを「清涼油」と呼んでいる。中国で最も人気のあるブランドを製造する上海中華薬業はこれを「エッセンシャルバーム(Essential Balm)」と翻訳し、硬貨のような形の赤い缶にこの英訳を付けてある。
 
中国語が話せるエジプト人ガイドのワリード・コリエンさんは、背中の炎症に大量の軟こうを塗り、メントール効果でもだえ苦しんだことがあると話した。ガイドの多くは、硬くなった関節に塗るために両親や祖父母に与。
 
コリエンさんのように豊富な経験を持つエジプト人ガイドらによると、この慣行は1980年代の中国外交使節団までさかのぼる。当時の中国は毛沢東時代の孤立の殻を抜け出したばかりで貧しかったが、中国文化の象徴がえているという贈り物として提供されたという。
 
東北師範大学のエジプト学者、李曉東氏の説によると、当時は中国人旅行者が自分で使うために軟こうを持参したが、やがてエジプト人がそれを気に入っていることが分かった。同氏は「エジプトは非常に暑いので、ひんやりする軟こうを気に入るのは理にかなっている」と説明した。
 
中国人旅行者の中には、現金よりも贈り物を手渡す方が良い気分になると感じる人もいる。「金銭を渡せば、物乞いにお金をあげているように感じる」とイエさんは語った。「エッセンシャルバームなら友人に渡すような感覚が強い」【2016 年 10 月 13 日 WSJ】
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自分たちの行動に疑いを持たないところが中国的とも思えます。
まあ、日本人も以前は海外旅行時はボールペンをたくさん持っていって配った・・・ということもありますので、似たようなものかも。


エジプト南端のアブシンベルは非常にネット環境が悪く、このブログ更新ができたのは忍耐と幸運の賜物です。
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