孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ベラルーシ  「ニート罰金法」あるいは「社会寄生虫(パラサイト)駆除法」 勤労は義務か?

2017-03-29 00:43:30 | 欧州情勢

(現在エジプトを旅行中 昨夜、ホテルから“ただ見”した、ピラミッドのライトアップショー)

先日3月24日ブログ“AIロボットが人間に代わって仕事をする社会が機能するためには・・・・”http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20170324で、AIロボットが普及する「将来」においては、働き場を失った人間の大量失業の危険があるとの疑念や、もし、そうした危機を回避するためにすべての者の一定の所得を保障するベーシックインカムのような分配政策を導入した場合、「ひとは何のため働くのか?」という、労働に関する根源的問題も表面化するかも・・・・といった話題を取り上げました。

一方で、「現在」にあっては、ひとは生きるために働かねばなりませんが、働きたい意欲はあるいものの適当な仕事がなく失業を余儀なくされている者、あるいは、遺産や資産を有しており働く必要もない者などが存在します。

東欧ベラルーシでは、年間の半分について働いていない者に対する罰金課税である「ニート罰金法」あるいは「社会寄生虫(パラサイト)駆除法」とも称される法律が施行され、社会的な反発を招いているとか。


****【ロシア革命100年】ベラルーシでも抗議行動 ソ連崩壊は「未完」だった? ****
今年は1917年のロシア革命から100年の節目。ロシアの一部識者には、91年のソ連崩壊も一種の「革命」ととらえ、それが「未完」だったとする見方がある。

05年の第一次ロシア革命が中途半端に終わり、17年に再燃したのと同様、ソ連崩壊の原動力となった民主主義や民族自決への希求が、時を経て再び表面化する−という視点だ。
 
これを裏付けるように、ロシアの兄弟国ベラルーシでも2月以降、異例の反政権デモが続いている。「欧州最後の独裁者」と称されるルカシェンコ大統領が、貧困層に課税する新法を導入したことへの抗議だ。

25日には首都ミンスクで数千人がデモを行い、700人以上が治安当局に拘束された。「ベラルーシ人」の民族意識や欧州志向が強まり、反政権運動につながっている側面もある。
 
05年の第一次革命は、皇帝への請願を行おうとした群衆に軍が発砲した「血の日曜日事件」が端緒。皇帝は選挙制の国会開設などを約束したものの、情勢が落ち着くと反転に出た。

ロシアでは2000年以降、ソ連崩壊後の混乱や困窮に対する反動から、プーチン大統領の強権統治が支持を得てきた。【3月27日 産経】
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上記記事タイトルの“ベラルーシでも”というのは、反プーチン政権運動の中心的存在でもあるアレクセイ・ナワリヌイ氏の呼びかけでロシア各地で行われたデモ行進や集会などの動きを踏まえてのものです。

ソ連崩壊という「革命」が「未完」だったかどうか、民主主義や民族自決への希求が時を経て再び表面化するのかどうか・・・・という「政治的問題」はさておき、ベラルーシのルカシェンコ大統領が進める貧困層に課税する新法というのが、冒頭の「ニート罰金法」あるいは「社会寄生虫(パラサイト)駆除法」のことでしょう。

****「社会寄生虫駆除法」成立 働かない者は罰金、拘束も****
「プー太郎からは金を絞り上げろ」とばかり、半年以上、働いていない者に罰金を課すトンデモナな法律が旧ソ連のベラルーシで成立し、物議を醸している。

「社会寄生虫駆除法」「ニート罰金法」などの悪名も賜るほどで、最悪の場合、当局に拘束されてしまうという。

欧州最後の独裁者による新法
隣国ロシアの英字紙モスクワタイムスによると、同法は「市民の就労を促すとともに、憲法上の義務である国家財政に寄与してもらう」のが目的。無職で税金を払わずにいる者は社会に甘えており、「けしからん」というわけだ。
 
ベラルーシは、スターリンばりの旧ソ連的強権支配が生き残る国。ルカシェンコ大統領は1994年の就任以来、同職にあり、欧米諸国からは「欧州最後の独裁者」と言われ、ヒトラーの信奉者ともされる。
 
新法は183日以上、仕事をしなかった者に約3万円の罰金を課す。同国ではほぼ平均月収にあたる金額だというから重い。支払えなければ拘束された上、無理矢理、“奉仕活動”に従事させられるそうだ。

労働人口の4分の1が「闇の商売」「脱税」
AP通信は、同国では労働人口の4分の1が正規の就業登録をせず、闇の商売で稼ぎ、脱税していると報じており、これを取り締まる狙いもあるという。

だが、政府の無茶ぶりに市民も黙っていない。英紙ガーディアンによると、同法に異議を申し立てるサイトには2万5千人以上が署名を寄せ、「(働きたくても)まともな仕事がないのに、よくこんな法律を作ったもんだ」などと怒りをぶつけている。

政府は「一時的な法だ」と主張しているが、誰も信じていない。【2015年5月26日 産経WEST】
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当然に働けない事情がある者はいますので、“未成年や障害者、学生、55歳以上の女性と60歳以上の男性は除かれるが、それ以外の無職は対象になるようだ。”【https://news.careerconnection.jp/?p=11341】とのことです。

“闇の商売で稼ぎ、脱税している”という事情はあるにしても、本来なら失業者に仕事を手当てすべき政府が、罰金課税や拘束するは”とんでもない”という話にもなりますが、本来ひとは働かねばならないのか?という根源的な問題にもかかわってきます。

****東欧で「ニート罰金法」が成立 労働はどこまで「義務」なのか?****
旧ソ連の東欧ベラルーシで「ニート罰金法」が成立したと報じられ、ネットで話題となっている。東スポWebによると、半年以上職に就かず納税していない国民に対して、約3万円の罰金を科すのだという。

もちろんこの法律には「強制労働だ」「人権上問題が」などと国際的にも批判が集中しているようだが、ネットユーザーからは「日本も割と真面目に考えた方がよい」など意外な擁護もある。

賛成者「日本社会の負の部分の根本はここ」
この法律では、罰金を支払わなければ拘束され、地域のボランティアをさせられる。未成年や障害者、学生、55歳以上の女性と60歳以上の男性は除かれるが、それ以外の無職は対象になるようだ。

このニュースに対しては、当然「奴隷じゃねーかw」「ニートでもいろいろいるだろうに」と批判する人もいる一方で、「意外に正道な気がするんだが」など、日本にも同じような制度を導入すべきではないかという書きこみがあった。

「無職ニートはかなり日本社会にはマイナスになってきてる。少子化や経済面でもあらゆる日本社会の負の部分の根本はここ」

日々働いた収入の中から、かなりの金額を税金や保険料として月々引かれるサラリーマンからすれば、働かずに社会インフラや社会保障の恩恵を受けている人に不満や不公平感が高まってもムリはない。

憲法を根拠にする人もいる。「納税の義務」や「教育を受けさせる義務」を怠った場合には罰則があるのに、もうひとつの義務に罰則がないのはおかしいというわけだ。

「日本でも勤労の義務が定められているから、別に働かない奴に罰を与えても不思議はない」
現行憲法は「不労所得を否定」するのが趣旨?

しかし「勤労」がなぜ義務なのかと問われれば、明確に説明できない人も多いだろう。識者の間でも、解釈や評価が分かれているようだ。

高崎経済大学教授の八木秀次教授は、産経ニュース「中高生のための国民の憲法講座」の中で、自由主義国が勤労を国民の義務と規定するのは異例とし、現行憲法をこう批判している。

「勤労の義務はスターリン憲法に倣って、国民を総プロレタリアート(労働者)化せよ、という社会主義の発想に基づいたものです。国民の中には先祖や親の財産を相続して地代や家賃、利息などで生活できる人もいます。そのような『不労所得』を否定するのが本来の趣旨なのです」

ネットにも「過去に努力して不労収入がある人もいるからなぁ」という書き込みがある。そういう人も含めて全員働けというのは、この国ではムリがある。罰金が約3万円と比較的安いこともあり、払っておけばいいと嘯く人もいる。

「蓄財して3万の罰金を払い続ければ、無職生活を続けられるということ」
「ブルジョアニートは免罪されるようなものだね」

また、正真正銘のニートなら、罰金も払わずボランティアも放棄して刑務所に入りたがるとして「ニートを舐めちゃいかん」という人もいた。【2015年5月.12日 キャリコネ編集部】
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“勤労の義務はスターリン憲法に倣って、国民を総プロレタリアート(労働者)化せよ、という社会主義の発想に基づいたもの”というのは、「そうなのか・・・・?」とも。
おそらく異論もあるところでしょう。

ベラルーシの「ニート罰金法」あるいは「社会寄生虫(パラサイト)駆除法」は、単なる“とんでもない法律”にとどまらない、労働に関する大問題ともかかわるもののようです。

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