(【23年7月22日 COURRIER JAPON】)
【積極的移民受け入れで高い成長率 一方で、住宅価格高騰などひずみも】
日本を含めて欧米先進国社会の多くが移民の受入れに抵抗を示し、移民増加に反対する極右勢力の台頭などの政治的問題も惹起しているなかで、多文化主義を掲げる「移民の国」カナダ・トルドー政権は積極的移民受け入れで経済成長を図ろうとしています。
****カナダが試みる移民の積極受け入れ策は「少子高齢化問題に対する処方箋」なのか****
移民を経済政策と位置付ける政府と、それを受け入れる国民
2017年に建国150周年を迎えたカナダは、世界に先駆けて多文化主義を掲げた「移民の国」として知られている。労働力が不足する同国は近年、移民の受け入れを急激に拡大している。それによって経済的な効果が生まれる一方で、社会ではひずみも生じた。米メディア「ブルームバーグ」が変化するカナダのいまを追った。
「経済政策」としての移民受け入れ
世界中の先進国が出生率の低下と労働力の高齢化に直面するいま、カナダは経済衰退を食い止めるために移民に賭けている。
6月半ば、カナダの人口は史上初めて4000万人を超えた。カリフォルニア州と同程度の人口しかいないこの国は、ここ1年でサンフランシスコの全住民よりも多くの移民を受け入れた。国外から多くの移民労働者、難民、留学生を受け入れるカナダは、今後も急速なペースで人口が増加し続けると予想されている。
ジャスティン・トルドー首相にとって、大規模な移民受け入れは労働市場を拡大するための手段だ。熟練労働者をめぐる世界的な競争は激化している。また、カナダの国際的なプレゼンスを高め、お隣の米国の影から抜け出そうという長期的な野心の表れでもある。両国の面積は同程度だが、米国はカナダの約8倍の人口と、約12倍の国内総生産を誇る。
6月半ば、カナダの人口は史上初めて4000万人を超えた。カリフォルニア州と同程度の人口しかいないこの国は、ここ1年でサンフランシスコの全住民よりも多くの移民を受け入れた。国外から多くの移民労働者、難民、留学生を受け入れるカナダは、今後も急速なペースで人口が増加し続けると予想されている。
ジャスティン・トルドー首相にとって、大規模な移民受け入れは労働市場を拡大するための手段だ。熟練労働者をめぐる世界的な競争は激化している。また、カナダの国際的なプレゼンスを高め、お隣の米国の影から抜け出そうという長期的な野心の表れでもある。両国の面積は同程度だが、米国はカナダの約8倍の人口と、約12倍の国内総生産を誇る。
「カナダには、人々がやってきて使える空間がたくさんあります。農業、工業、技術の基盤を拡大するためには、より多くの人々にここに来てもらう必要があるのです」と、トロント・メトロポリタン大学でカナダの移民政策を研究するユーシャ・ジョージ教授は言う。
一方、かつてないほど多くの人々がカナダに流入したことで、課題も生じている。問題は、すでに人口が膨れ上がった都市部への負担を最小限に抑え、新たな人材を必要とする地方部の成長をいかに推進できるかだ。
移民を受け入れた効果は明らかだ。人口の増加によって雇用と消費は押し上げられ、カナダ中央銀行が利上げを続けても経済は耐えられている。しかし、移民を増やそうとする政府の計画は、経済生産高を押し上げるだけで、個人の生活水準を高めないという批判を生んでいる。
一人当たりの実質GDPは過去10年間でほとんど変化していない。カナダ中銀の生産高予測によれば、2022年のピークから減少するとされている。生産性は高まらず、可処分所得の伸びは住宅価格の増加に追いついていない。カナダの住宅価格の上昇は世界で最も激しい。
著名な移民推進派のエコノミストでさえ、カナダのやり方は行き過ぎているとコメントしている。数十年前に現在の移民プログラムの起源となる制度に携わった元カナダ中銀総裁のデビッド・ドッジは言う。
「この短期間でこれほど急速に移民を増やすのは合理的ではありません。調整スピードが速いほどコストが増大し、生産性が低下します。調整にはそれなりに時間を要するからです」
一方、かつてないほど多くの人々がカナダに流入したことで、課題も生じている。問題は、すでに人口が膨れ上がった都市部への負担を最小限に抑え、新たな人材を必要とする地方部の成長をいかに推進できるかだ。
移民を受け入れた効果は明らかだ。人口の増加によって雇用と消費は押し上げられ、カナダ中央銀行が利上げを続けても経済は耐えられている。しかし、移民を増やそうとする政府の計画は、経済生産高を押し上げるだけで、個人の生活水準を高めないという批判を生んでいる。
一人当たりの実質GDPは過去10年間でほとんど変化していない。カナダ中銀の生産高予測によれば、2022年のピークから減少するとされている。生産性は高まらず、可処分所得の伸びは住宅価格の増加に追いついていない。カナダの住宅価格の上昇は世界で最も激しい。
著名な移民推進派のエコノミストでさえ、カナダのやり方は行き過ぎているとコメントしている。数十年前に現在の移民プログラムの起源となる制度に携わった元カナダ中銀総裁のデビッド・ドッジは言う。
「この短期間でこれほど急速に移民を増やすのは合理的ではありません。調整スピードが速いほどコストが増大し、生産性が低下します。調整にはそれなりに時間を要するからです」
急増した移民流入
トルドー政権は、毎年永住者を約50万人増やすという目標を掲げている。それとは別に、2022年には留学生、臨時労働者、難民が大量に流入し、総入国者数は過去最高の100万人に達した。カナダの年間人口増加率は2.7%となり、先進国で最速のペースとなっている。この速さは発展途上国のブルキナファソ、ブルンジ、スーダンに並ぶ。
「移民を受け入れなければ、社会的、経済的にさまざまな問題が生じ、地域社会に悪影響が出ると理解しなければなりません。大勢の人々の適切な統合に必要なのは歓迎する人の数を減らすことではなく、賢明な移民政策を進めることです」と、カナダのショーン・フレーザー移民相は言う。
カナダの人口はG7で最も少ないが、4人に1人近くが移民であり、その割合は7ヵ国中最大だ。現在の増加ペースが続けば約26年後には人口が倍増し、2050年にはイタリア、フランス、英国、ドイツを上回る。
高齢化は税収の減少や予算の縮小につながり、その脅威は世界各地でさまざまな形で現れている。フランスでは定年を2歳引き上げて64歳とする計画が全国的に抗議デモを引き起こした。ドイツでは10年後までに労働者が500万人減少する恐れがあり、工業中心の経済にはすでにひずみが出ている。
「移民を受け入れなければ、社会的、経済的にさまざまな問題が生じ、地域社会に悪影響が出ると理解しなければなりません。大勢の人々の適切な統合に必要なのは歓迎する人の数を減らすことではなく、賢明な移民政策を進めることです」と、カナダのショーン・フレーザー移民相は言う。
カナダの人口はG7で最も少ないが、4人に1人近くが移民であり、その割合は7ヵ国中最大だ。現在の増加ペースが続けば約26年後には人口が倍増し、2050年にはイタリア、フランス、英国、ドイツを上回る。
高齢化は税収の減少や予算の縮小につながり、その脅威は世界各地でさまざまな形で現れている。フランスでは定年を2歳引き上げて64歳とする計画が全国的に抗議デモを引き起こした。ドイツでは10年後までに労働者が500万人減少する恐れがあり、工業中心の経済にはすでにひずみが出ている。
政府が長年、移民受け入れに否定的だった日本では、深刻な労働力不足、急激な人口減少、地方都市の衰退に見舞われている。米国では、移民の受け入れは分裂を招く政治問題になっている。毎日何千人もの移民がメキシコとの国境を通過してやってくるため、その対立はさらに深まっている。
これとは対照的に、カナダは1967年以降、熟練労働者をターゲットに、ポイントベースで移民ビザを与える仕組みを採用してきた。移民の年齢、学歴、雇用機会、英語またはフランス語の能力に基づいてポイントが割り当てられる。
しかし、移民の大部分はカナダの大都市に留まりがちだ。すでに強力なエスニック・コミュニティが発展しており、新たにやってくる移民も惹きつける。人口が集中する地域ではここ1年間で移民が60万人以上増えた。一方、小さなコミュニティに定住したのはわずか2万1000人に過ぎない。
これとは対照的に、カナダは1967年以降、熟練労働者をターゲットに、ポイントベースで移民ビザを与える仕組みを採用してきた。移民の年齢、学歴、雇用機会、英語またはフランス語の能力に基づいてポイントが割り当てられる。
しかし、移民の大部分はカナダの大都市に留まりがちだ。すでに強力なエスニック・コミュニティが発展しており、新たにやってくる移民も惹きつける。人口が集中する地域ではここ1年間で移民が60万人以上増えた。一方、小さなコミュニティに定住したのはわずか2万1000人に過ぎない。
人口急増で急騰する住宅価格
その結果、すでに住宅が不足していた都市部では不動産需要が強まった。価格が上昇したため、多くの人には住宅を所有するのが難しくなっている。苦しむのは移民と現在の住人、特に若い世代だ。
「ここは自由な国です。移民に対して辺鄙な場所に行くように指示はしません。しかし、新たな移民に対して大都市以外の地域に行くインセンティブは与えられます」
「ここは自由な国です。移民に対して辺鄙な場所に行くように指示はしません。しかし、新たな移民に対して大都市以外の地域に行くインセンティブは与えられます」
そう語るのは、カルガリーを拠点とする不動産会社メインストリート・エクイティ・コーポレーションの創業者で最高経営責任者(CEO)のボブ・ディロンだ。彼もまたシーク教徒の移民である。(中略)
ブリティッシュ・コロンビア大学のデビッド・グリーン経済学教授は、このような不動産ショックからカナダ人の移民に対する支持が低下するリスクがあると指摘する。
ブリティッシュ・コロンビア大学のデビッド・グリーン経済学教授は、このような不動産ショックからカナダ人の移民に対する支持が低下するリスクがあると指摘する。
「他の国で見られるような問題が見られはじめています。強硬な右派は、不動産の問題を持ち上げようとします。住宅不足に関する彼らの主張の少なくとも一部は現実になるでしょう。そうすると、彼らのシナリオの他の部分にも信憑性が出てくる。これは非常に危険なゲームです」
移民受け入れを支持する大多数の国民
フレイザー移民相は、政府はさまざまなプログラムでこの状況に対応しようとしていると述べる。受け入れる許容のある地域に移民を割り当てるもの、医療従事者や住宅建設業者などの需要の高いスキルを持つ人々をより多く受け入れるものなどがある。
移民に対しては国民も寛容的で、カナダの価値観の一つであると考えられているようだ。最新の調査では、回答者の70%近くが「カナダへの移民は全体として多すぎる」という意見に同意しないと答えている。この数字は1977年の調査開始以来、最高だった。
移民に対しては国民も寛容的で、カナダの価値観の一つであると考えられているようだ。最新の調査では、回答者の70%近くが「カナダへの移民は全体として多すぎる」という意見に同意しないと答えている。この数字は1977年の調査開始以来、最高だった。
一方、「移民が多すぎる」と答えた27%の回答者が、最も多く理由として挙げたのが「文化が脅かされる」だった。
人口動態の変化に対する懸念は、カナダで2番目に人口の多い東部のケベック州でも見られる。フランス語圏である同州は、永住権取得数目標の引き上げに抵抗しており、人口一人当たりにすると、その目標値は連邦レベルの半分にとどまる。フランソワ・ルゴー州首相はフランス語の衰退を懸念し、他州のようには大幅に新たな移民の受け入れはしないと述べる。
一方、同州の業界団体は、より多くの正規労働者を得るため、移民受け入れを増やすよう繰り返し要求している。同州の企業は、人材確保のために有期契約の臨時労働者をより多く採用するようになり、外国人の臨時労働者の数はわずか3年間で65%も急増した。
また、カナダ全土において、資格認定機関の多くや雇用プロセスは、新たな人材の急増に追いついていない。その結果、スキルを持った移民の多くがエントリーレベルの仕事をするか、外国の資格が認定されるまで待たされている。
最近流入した移民の半数以上は、熟練労働者や起業家に関連する経済区分で入国した。つまり、彼らは「カナダで経済的に確立する能力」に基づいて選ばれている。しかし、近年急増しているのは臨時労働者だ。これでは賃金の伸びが損なわれ、所得格差が拡大するという批判が生まれている。
しかし、カナダ全土で労働者は不足しており、スキルを持つ者も持たない者も必要とされている。アルバータ州で地元住民や移民の就職を支援するプロスペクト・ヒューマン・サービス社のケビン・マクニコルCEOは次のように語る。
一方、同州の業界団体は、より多くの正規労働者を得るため、移民受け入れを増やすよう繰り返し要求している。同州の企業は、人材確保のために有期契約の臨時労働者をより多く採用するようになり、外国人の臨時労働者の数はわずか3年間で65%も急増した。
また、カナダ全土において、資格認定機関の多くや雇用プロセスは、新たな人材の急増に追いついていない。その結果、スキルを持った移民の多くがエントリーレベルの仕事をするか、外国の資格が認定されるまで待たされている。
最近流入した移民の半数以上は、熟練労働者や起業家に関連する経済区分で入国した。つまり、彼らは「カナダで経済的に確立する能力」に基づいて選ばれている。しかし、近年急増しているのは臨時労働者だ。これでは賃金の伸びが損なわれ、所得格差が拡大するという批判が生まれている。
しかし、カナダ全土で労働者は不足しており、スキルを持つ者も持たない者も必要とされている。アルバータ州で地元住民や移民の就職を支援するプロスペクト・ヒューマン・サービス社のケビン・マクニコルCEOは次のように語る。
「移民の大部分は経済に貢献しています。彼らは何かを奪っているのではなく、与えてくれているのです。そうして経済が成長し、雇用が増え、お金が増えるのです」
人口倍増を目指す州
人口減少の苦しみを知る、大西洋に面した東部のノバスコシア州では、このような利点が感じられつつある。製鉄や炭鉱などの主要産業が操業停止して生産年齢人口が減少し、10年ほど前まで地域社会は徐々に衰退していった。そして残ったのは高齢者と、自立できない町だった。(中略)
フレイザー移民相の出身地である同州ピクトー郡には、外国人経営者、医療従事者、工場労働者が流入し、地域は劇的に変化した。この10年足らずの間に、モスク、シリア料理レストラン、メキシコ料理店、アジア食料品店ができている。
「裕福な南の隣国が良い道路、良いサービスなど、素晴らしいものを得られるのは、人口が多く、税収基盤が大きいからです。私たちカナダ人が同様のものを得るには、税収基盤を拡大する必要があります」。同郡に本社を置くeラーニング・トレーニング・ソフトウェア会社、ヴェルソフトの創業者兼CEOのジム・フィットはそう話す。
フレイザー移民相の出身地である同州ピクトー郡には、外国人経営者、医療従事者、工場労働者が流入し、地域は劇的に変化した。この10年足らずの間に、モスク、シリア料理レストラン、メキシコ料理店、アジア食料品店ができている。
「裕福な南の隣国が良い道路、良いサービスなど、素晴らしいものを得られるのは、人口が多く、税収基盤が大きいからです。私たちカナダ人が同様のものを得るには、税収基盤を拡大する必要があります」。同郡に本社を置くeラーニング・トレーニング・ソフトウェア会社、ヴェルソフトの創業者兼CEOのジム・フィットはそう話す。
人口約48万人の州都ハリファクスでは、人口増加によって2LDKのアパートの家賃は2022年10月時点で前年比9.3%も上昇した。この上がり幅はカナダの主要都市の中で最大だった。
しかし、マイク・サベージ・ハリファックス市長にとって、この負担には価値がある。「成長にともなう問題は、停滞よりも管理しやすいのです」【23年7月22日 COURRIER JAPON】
しかし、マイク・サベージ・ハリファックス市長にとって、この負担には価値がある。「成長にともなう問題は、停滞よりも管理しやすいのです」【23年7月22日 COURRIER JAPON】
********************
急激な移民流入は「ひずみ」も生みます。上記記事にあるように住宅価格上昇、新たな移民が公共サービスを圧迫するといった問題。 一方で、高齢化による労働人口減少を一部相殺する「成果」も。
****移民受け入れ拡大のカナダ、経済繁栄は「蜃気楼」か****
カナダのトルドー首相は、移民受け入れの拡大によって経済成長を促進し、労働者不足を埋めてきた。しかし、足元では新たな移民が公共サービスを圧迫し、経済の過熱を助長しているとエコノミストは指摘する。
2015年の政権発足以来、トルドー氏は推定250万人の新規永住者を受け入れ、人口を4000万人以上に押し上げた。
カナダ統計局によると、人口は昨年、1957年以来最も速いペースで増加。経済成長率は世界のトップ20に入った。移民の増加が高齢化による労働人口減少の一部を相殺している格好だ。
TDエコノミクスのエコノミスト、マーク・アーコラオ氏によると、カナダは過去10年間の国内総生産(GDP)成長率が年平均2%強と、主要7カ国(G7)平均の1.4%を大きく上回り、米国と肩を並べた。これは移民のおかげによるところが大きいという。
だが、急速な移民増加による問題も顕在化し始めている。第一に、カナダ銀行(中央銀行)は現在、経済成長を抑制する金融政策を実施中だが、その中で新規移民による影響を突き止めるのに苦心している。【23年7月29日 ロイター】
***********************
必ずしも移民だけが原因ではないでしょうが、住宅価格高騰は以前取り上げたアメリカ同様にカナダでも深刻な問題を惹起しています。
****家賃高騰で追い出され…カナダで路上生活者が急増****
カナダで、家賃や不動産価格の高騰から路上生活者が急増している。
東部ケベック州では、路上生活者は大都市であるモントリオールが中心だったが、9月に公表された報告書によると、2人に1人は農村部で生活していた。
モントリオール東方80キロに位置する人口7万人の町グランビーに住むダニー・ブロダールコテさんは、数か月前から墓地に近い森の中でテント生活を送っている。恋人とアパートを借りていたが、6月に退去を迫られた。
用務員として「週5日」働いている。「住める場所がほとんどないのは、家賃が高過ぎるから」だと話した。
数ブロック先の公園は、老若男女が野宿をする仮設のキャンプサイトと化している。ブロダールコテさんのように定職に就いている人もいる。
ケベック州政府の報告書によれば、路上生活者となった4人に1人近くは、家に住み続けられなくなったことが原因だ。 2018〜22年に州内のホームレス人口は44%増加し、昨年1万人に達した。反貧困団体の代表を務めるカリーヌ・ルシエ氏によれば、カナダの人口の5%を占める先住民族の中でも特に先住民イヌイットが多いという。
(中略)こうした状況は氷山の一角にすぎないと指摘するのは、首都オタワから川を隔てた対岸に位置する、人口30万人弱のガティノーのフランス・ベリル市長だ。州がまとめた報告書の数値は「1年前のもの」だと話す。
今年に入りインフレが加速する中で、現状は統計よりはるかに悪いと懸念する。「もはや収入の範囲内でやり繰りできるレベルではなくなっている」と話した。(後略)【23年10月28日 AFP】
******************
住宅価格高騰については、ジャスティン・トルドー首相も23年9月、「収入が十分にある人でさえ住居の確保に苦労している状況にある」と認めたています。
【移民受け入れにブレーキをかけ始めたトルドー政権】
こうした状況で、ケベック州は移民抑制をトルドー首相に求めています。
****移民急増の加ケベック州、トルドー首相に抑制措置と拠出要請****
カナダ・ケベック州のルゴー首相はトルドー首相に対し、州サービスが難民増加により「崩壊点」に近づいているとして、同州への難民流入を食い止め、関連費用を拠出するよう求めた。
ルゴー氏は17日にトルドー氏に送付した書簡で、難民流入により学校が収容人数超過の状態となっているほか、住宅不足が悪化し、ホームレス収容施設が満杯になっていると説明。
「ケベック州に毎月到着する亡命申請者が多すぎて、われわれは崩壊点に近づいている。対応不能な状況だ」と訴えた。
また、ケベック州で2023年1─11月に登録された亡命申請者は約6万人に上り、24年にさらに6万5000人の流入が予想されると指摘。州民1人当たりでは他州の3倍の亡命申請者を受け入れていると述べた。【1月19日 ロイター】
ルゴー氏は17日にトルドー氏に送付した書簡で、難民流入により学校が収容人数超過の状態となっているほか、住宅不足が悪化し、ホームレス収容施設が満杯になっていると説明。
「ケベック州に毎月到着する亡命申請者が多すぎて、われわれは崩壊点に近づいている。対応不能な状況だ」と訴えた。
また、ケベック州で2023年1─11月に登録された亡命申請者は約6万人に上り、24年にさらに6万5000人の流入が予想されると指摘。州民1人当たりでは他州の3倍の亡命申請者を受け入れていると述べた。【1月19日 ロイター】
******************
世論の変化を受けて、トルドー首相も移民受け入れにブレーキをかけ始めています。
****カナダ首相が移民受け入れにブレーキ、住宅逼迫で世論激変****
カナダのトルドー首相はこれまで、経済成長と人手不足の穴埋めを移民に依存してきた。しかし、世論が激変して次の選挙での勝機が脅かされかねない状況となり、現在は移民受け入れにブレーキをかけている。
1970年代初頭に首相として移民を擁護し、政府の政策として「多文化主義」を推進したのはトルドー氏の父、ピエール・トルドー氏だった。時の経過とともに、カナダ国民は多様性をメープルリーフやホッケーのように国家のアイデンティティーの一部とみなすようになった。
だが、新型コロナウイルスのパンデミックが起こり、留学生を中心に移民が急増すると、家賃が高騰するとともに医療などのサービスが逼迫したため、国民のムードは悪化した。
持続可能な住宅に焦点を当てたシンクタンク、プレイス・センターの創設ディレクターであるマイク・モファット氏は「私たちがこのような事態に至ったのはそもそも、(州政府や連邦政府が)外国人嫌いと思われるのを恐れ、この問題に触れようとしなかったことが一因だ」と語る。
ロイターに独占提供された世論調査会社エコス・リサーチのデータによると、カナダ国民の移民への支持は2020年に過去最高を記録したが、23年末には30年ぶりの低水準に落ち込んだ。
エコスが昨年10月に行った調査では、国民の44.5%が「移民が多すぎる」と答え、主な理由として「手ごろな価格の住宅がない」ことを挙げた。22年2月にこの比率は過去30年で最低の14%を記録していたが、その後、急上昇している。家賃の上昇率は昨年の第4・四半期に7.8%に達した。
世論調査では野党・保守党のポワリエーブル党首が圧倒的にリードしているため、トルドー首相にとって移民問題は非常に重要だ。トルドー氏が、来年実施される可能性が高い国政選挙で4度目の勝利を収めるには、数百万人の有権者を奪い返す必要がある。(中略)
15年に政権の座に就いて以来、トルドー政権は徐々に移民を増やしてきた。現在は国民の5分の1以上が外国生まれだ。昨年、カナダの人口は過去60年以上で最も急速に増加しており、そのほとんどが移民によるものだった。
ポワリエーブル氏は、新規移民の数と入手可能な住宅の数をリンクさせる政策を採ると述べているが、詳細は明らかにしていない。一方で、同氏はトルドー氏を打ち負かすために移民コミュニティーの票を獲得しなければならず、米共和党政治家のように移民問題にかみつくことはしていない。
上院議員で元労働党党首のハッサン・ユスフ氏は、ポワリエーブル氏は移民の2世、3世が多い都市部で勝利する必要があるため「私の考えでは、保守党はこの問題に乗じることはできない」と語った。
とはいえ、政府はこうした世論の変化を受け、来年から永住権取得者の上限を50万人とし、4月からは留学生の就学許可を35%削減し36万人とすることを決定した。
ミラー移民相は先月のロイターのインタビューで、こうした措置は「制御不能になった」新規移民の「膨大な数」を大幅に減らす取り組みだと説明。カナダも米国のような二極化と無縁ではないため、移民増加への反発に対処する必要があると語った。【2月23日 ロイター】
1970年代初頭に首相として移民を擁護し、政府の政策として「多文化主義」を推進したのはトルドー氏の父、ピエール・トルドー氏だった。時の経過とともに、カナダ国民は多様性をメープルリーフやホッケーのように国家のアイデンティティーの一部とみなすようになった。
だが、新型コロナウイルスのパンデミックが起こり、留学生を中心に移民が急増すると、家賃が高騰するとともに医療などのサービスが逼迫したため、国民のムードは悪化した。
持続可能な住宅に焦点を当てたシンクタンク、プレイス・センターの創設ディレクターであるマイク・モファット氏は「私たちがこのような事態に至ったのはそもそも、(州政府や連邦政府が)外国人嫌いと思われるのを恐れ、この問題に触れようとしなかったことが一因だ」と語る。
ロイターに独占提供された世論調査会社エコス・リサーチのデータによると、カナダ国民の移民への支持は2020年に過去最高を記録したが、23年末には30年ぶりの低水準に落ち込んだ。
エコスが昨年10月に行った調査では、国民の44.5%が「移民が多すぎる」と答え、主な理由として「手ごろな価格の住宅がない」ことを挙げた。22年2月にこの比率は過去30年で最低の14%を記録していたが、その後、急上昇している。家賃の上昇率は昨年の第4・四半期に7.8%に達した。
世論調査では野党・保守党のポワリエーブル党首が圧倒的にリードしているため、トルドー首相にとって移民問題は非常に重要だ。トルドー氏が、来年実施される可能性が高い国政選挙で4度目の勝利を収めるには、数百万人の有権者を奪い返す必要がある。(中略)
15年に政権の座に就いて以来、トルドー政権は徐々に移民を増やしてきた。現在は国民の5分の1以上が外国生まれだ。昨年、カナダの人口は過去60年以上で最も急速に増加しており、そのほとんどが移民によるものだった。
ポワリエーブル氏は、新規移民の数と入手可能な住宅の数をリンクさせる政策を採ると述べているが、詳細は明らかにしていない。一方で、同氏はトルドー氏を打ち負かすために移民コミュニティーの票を獲得しなければならず、米共和党政治家のように移民問題にかみつくことはしていない。
上院議員で元労働党党首のハッサン・ユスフ氏は、ポワリエーブル氏は移民の2世、3世が多い都市部で勝利する必要があるため「私の考えでは、保守党はこの問題に乗じることはできない」と語った。
とはいえ、政府はこうした世論の変化を受け、来年から永住権取得者の上限を50万人とし、4月からは留学生の就学許可を35%削減し36万人とすることを決定した。
ミラー移民相は先月のロイターのインタビューで、こうした措置は「制御不能になった」新規移民の「膨大な数」を大幅に減らす取り組みだと説明。カナダも米国のような二極化と無縁ではないため、移民増加への反発に対処する必要があると語った。【2月23日 ロイター】
*********************
政府の移民政策は批判するが、移民そのものを敵に回しては選挙に勝てない・・・アメリカとは政治状況が異なるようです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます