テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ “音”のパイオニア ~

2016-01-07 21:47:56 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 きゃぽゥ! かちましたでスよッ♪」
「がるる!ぐっるるー!」(←訳:虎です!勝ったどー!)

 こんにちは、ネーさです。
 ふっふっふ、ユヴェントスFCは2016年初勝利を挙げました♪
 今後のさらなる連勝快勝を祈願しつつ、
 さあ、本日の読書タイムは、
 こちらの御本を、どうぞ~!

  



        ―― ナディア・ブーランジェ ――



 著者はジェローム・スピケさん、
 原著は1987年に、画像の日本語版は2015年9月に発行されました。
 原題は『Nadia Boulanger』、
 『名音楽家を育てた“マドモアゼル”』と日本語副題が付されています。

 著者スピケさんは御本の『まえがき』で、
 
   これは伝記ではない。
   伝奇に必要な詳細はいまだベールに包まれているからだ。

 と記していますが、
 実質的には伝記作品と言えるでしょうね。

「ふむふむゥ、ひょうしのォおしゃしんがァ~…」
「ぐぅるるがる?」(←訳:ナディアさん??)

 音楽マニアの方々には
 《伝説の教師》として知られているであろう、
 この女性の名は、

 ナディア・ブーランジェさん(1887~1978)。

 ロシア人の母、
 フランス人の父、
 双方から音楽の才能を受け継ぎ、
 ことに母・ライサさんの厳格な音楽教育は、
 ナディアさんを一流の演奏家に育てあげました。

 若くしてコンセルヴァトワールに入学、
 16歳にして、
 フランス大統領や演劇界の重鎮たちが居並ぶトロカデロ宮殿で
 演奏を披露する機会を得ます。

「ふァ~! すごいィでスッ!」
「がるるるぐる!」(←訳:天才少女だね!)

 そうね、現代ならば、
 天才少女現る!若き新星!
 とかって持てはやされて、
 目標はカーネギーホールでのリサイタルです!
 アルバートホールでソロ公演!
 なんて具合に、路線が定まっちゃうんでしょうけど。

 ナディアさんの選んだ道は、
 それほど単純なものではありませんでした。

 教師になる――教えるということに、
 彼女は情熱を注いだのです。

「えッ? せんせいィ??」
「ぐるるがる~…」(←訳:なんか地味~…)

 いえ、決して地味ではなかったわ!

 コンセルヴァトワールの学生たちに
 グループレッスンを行う。

 若く才能ある、でも無名な音楽家に
 チャンスを与える。

 後援してくれる実力者を紹介し、
 公演や作曲などの活動を応援する。

 21世紀の現在、
 こういった援助をする国際的な財団はいくつかあるようです。
 その、いわばヒナ形を完成させたのが
 ナディアさん、だったのでした。

「せんけんのォめいィ、ありッ!」
「がるるぐるるる!」(←訳:見抜くチカラも!)

 周囲に偉大な才能が集結していたことも、
 ナディアさんの仕事を援けました。

 ストラヴィンスキーさん、フォーレさん、
 ラヴェルさん、ドビュッシーさん、
 ジャン・コクトーさん、モナコ王室、
 ナディアさん同様に数奇な運命を辿る
 ポリニャック公爵夫人ウィナレッタ・シンガーさん。

「きらぼしィみたいなァ~」
「ぐるるるがる!」(←訳:20世紀の才能!)

 矯正するのではなく、
 個性を、本来の才を見定めて、育てる。

 そのやり方は間違っていなかったのでしょう、
 数多の音楽家のタマゴが彼女の羽根のもとで孵化し、
 世界へと羽ばたいていったのですから。

「ふらんすではァ、いまもォ、そんけいのォまとでス!」
「がるるるぐるるるるる!」(←訳:偉大なるマドモワゼル!)

 読み終えて、想うことは。

 もっと知りたいナディアさんの業績!
 
 新たな完全版伝記が出版される日が待ち遠しい!
 音楽史家さんの奮起を求む!

「おんがくまにあさんでなくてもォ~」
「ぐるるるがるぐる!」(←訳:楽しめる御本です!)

 ひとりのパイオニアの物語を、皆さま、ぜひ!

 
  
コメント
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