テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― トワイライトゾーンの中世 ―

2016-01-31 21:43:50 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 げんきだまァ、とどいたかなッ?」
「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!利きますように!)

 こんにちは、ネーさです。
 ちょうど今頃(日本時間では31日8:30~)、
 ユヴェントスの選手さんたちは闘っております!
 はるか伊太利にブン投げた元気玉の効果があることを願いつつ、
 久しぶりの読書タイムですよ♪
 さあ、本日は、こちらの御本を、どうぞ~

  



         ―― 怪しいものたちの中世 ――



 著者は本郷恵子(ほんごう・けいこ)さん、2015年12月に発行されました。
 東京大学史料編纂所教授である著者・本郷さんの専門は、
 この御本のテーマとなっている時代――
 日本中世史です。

「それはァ~、ええとォ~…?」
「ぐるるるるがるる?」(←訳:いつのことですか?)

 そうね、いつからいうまでを中世とするか、
 色々な説があるのですけれど、
 この御本で本郷さんが取り上げているのは、
 おもに、鎌倉時代とされるころ、でしょうか。

 平家が滅び、
 藤原定家さんが巷の噂を『明月記』に書き込み、
 源頼朝さんが政権を獲ったものの、
 北条家が執権として立つ、
 といったあたりまでの、
 “激動の時代”です。

 御本の冒頭で、本郷さんはその時代を次のように評しています。

  《日本の中世は、圧倒的に管理されていない社会である》

「かんりィされていないィ??」
「がるるぐるる?」(←訳:つまり野放し?)

 野放しというべきか、
 ユルいというべきか。

 中世の日本にも、
 もちろん法律はあります。
 悪行を為せば、
 六波羅探題の御家人さんたちに捕縛され、
 刑罰を処されるのです。

 しかし、管理がされていないというのは、
 現代とは事情が異なって、
 検挙率は高くなかったのでしょうか?
 罪悪感がなかったのでしょうか?

 いえ、それとも、
 人間の本性は今も昔も変わらないのでしょうか、
 法の網をかいくぐり、
 《怪しいもの》たちが
 ダークサイドを闊歩するのは、いつものこと?

「けッこんさぎしィ、とかッ!」
「ぐるるるがるるるぐる!」(←訳:インチキ超能力者とか!)
「ぎゃんぶらァー、とかッ!」

 また、《怪しいもの》たちは、
 しばしば貴族社会にも出現します。
 こちらは、ダークサイドよりは、
 トワイライトゾーンの住人と呼んだ方がいいかもしれません。

 地震の夢を見る或る貴族は、
 自分が天下を取るべき、と秘かに思っている?

 出所も定かではない噂が、或る姫君の命を縮める?

 恨みつらみが、
 朝廷の人事を動かし、
 ついには怨霊となって京の都へ還ってくる?

「うわわッ、おおごとでスゥ!」
「がるるぐるる!」(←訳:怪しのチカラ!)

 怪しい、けれど、完全な悪とはやや違う者たち。

 そんな彼/彼女たちは、
 中世に於ける潤滑油であったのか、
 先の見えない社会に風を送り込む存在であったのか。

「あやしさがァ、なさすぎてもォ~」
「ぐるがるぅる!」(←訳:窒息しちゃう!)

 著者・本郷さんが丁寧に発掘する、
 《怪しいもの》たちの彷徨と、末路……

 日本史好きな活字マニアさんには
 ぜひ、おすすめしたい歴史研究書です。
 一読してみてくださいね~♪
 
 

 
コメント
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