テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

素顔は、いったい?

2016-01-18 21:53:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うぎゃわわァ、ゆきィ、ふりましたでス!」
「がるる!ぐるるるるぅ~!」(←訳:虎です!溶けてないぃ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 ユヴェントス破竹の10連勝!単独2位!
 首位ナポリとの勝ち点差はたったの2点!に浮かれるヒマもなく、
 東京・多摩地域は雪で真っ白に……。
 明日の朝の路面凍結に、多摩のみならず全国各地の皆さま、
 くれぐれもご用心を!
 では、暖冬さん、どうか戻ってきて~!と祈りつつ、
 本日の読書タイムは、こちらを、どうぞ~♪

  



             ―― 消滅 ――



 著者は恩田陸(おんだ・りく)さん、2015年9月に発行されました。
 『――VANISHING POINT』と英語題名が付されたこの小説は、
 2013年10月から2014年10月まで読売新聞に連載されていた作品ですので、
 読売さんを購読している活字マニアさんは
 既に御存知でしょうか?

「ぼりゅーみィーでス!」
「ぐるる!」(←訳:分厚い!)

 本文500ページ超、
 手にずしんと来る重みで展開される物語は、
 或る空港のシーンから幕を開けます。

  早くお気に入りのお店の肉ワンタン麺が食べたい――

「ふァ? わんたんめんッ??」
「がるるぐるる~?」(←訳:それはもしや~?)

 海外から日本へ帰って来た旅行者さんなら、
 いえ、国内での旅行でも往々にして憶えがあるでしょう。

 地元に帰り着いたら、
 馴染みのお店のあの料理を、
 真っ先に味わおう!

 小津康久(おづ・やすひさ)さんは
 それを励みに、長いフライトを耐え抜いたというのに、
 入国審査の行列で愕然といたします。

「あれれッ、しまッちゃうゥ??」
「ぐるるー??」(←訳:なんでー??)

 空港フロアにいきなり鳴り響く警報、
 断りもなくクローズしてしまう入国審査窓口、
 携帯電話の不通、
 迫りくる大型台風。

 戸惑う小津さんに、
 さらなるアクシデントが降りかかります。

「うわあァ、どうしようゥッ!」
「がるるぅ!」(←訳:悪夢だぁ!)

 空港で、いちばん我身に起きてほしくないこと。
 言われたくないこと。
 それは。

 《すみませんが、別室へどうぞ》

「いやでスゥ~!」
「ぐるる!」(←訳:嫌だあ!)

 そんな事態が、いままさに小津さんを見舞おうとしています。
 いいえ、小津さんの他にも、
 別室へ連れて行かれる人が、
 一人、二人、三人……

「こッこわいィよゥ!」
「がるるるる!」(←訳:どうしよう!)

 いったいこれは何事か。
 “別室”に集められた人々は、やがて知ります。

   この中に、テロリストがいるらしい?

「テディちゃじゃァありませんッ!」
「ぐるるがるー!」(←訳:ボクも違うー!)

 ボクじゃない、
 私じゃない。

 どうやら皆が各々そう思っているようです。
 
 ……それとも、本性を隠し、仮面を被った危険人物が、
 真実、ここに居合わせているのでしょうか。

「ううむゥ、にせものはァだれだッ?」
「がるるるるる!」(←訳:見抜けないよ!)

 私ネーさ、読んでいて連想したのが、
 萩尾望都さんの名作『11人いる!』です。

 ええ、この物語でも、
 疑惑の対象となるのは、
 11人(+1匹)。

 隔離された彼/彼女らは、
 不安ま気持ちで互いの顔を見やります。
 もしや、この人が……あの人が……?

「それもォ、こわいィでスゥ!」
「ぐるる……」(←訳:暗黒だ……)

 と、パニックムービー調の重苦しさばかりではありません。
 逆境の底でも、ふいと湧き出る笑い。
 個性強過ぎ!なキャラさんたちが右往左往して、
 吹き出してしまう場面も多々ありますよ。

 ゆ~っくり進む前半から、
 一気にたたみかける終盤まで、
 著者・恩田さんの達者な語りに牽かれ、
 ぐぐいっと読み切ってください!
 SF好きさんにもミステリ好きさんにも、
 おすすめです~♪
 

 
コメント
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