テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

なぜか、我が手に?

2017-11-13 22:22:43 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 がけッぷちィ、なのでス!」
「がるる!ぐるがるー!」(←訳:虎です!後がないー!)

 こんにちは、ネーさです。
 スイスが、クロアチアが、モロッコが、
 2018ロシアW杯出場を決めました。
 あとはイタリア!
 どうかイタリアよ、プレーオフを勝ち抜いておくれ!
 と祈りながらの本日の読書タイムは、
 イタリアと縁がなくもないこちらの御本を、
 さあ、どうぞ~♪

  



          ―― どうしても欲しい! ――



 著者はエリン・L・トンプソンさん、
 原著は2016年に、日本語版は2017年9月に発行されました。
 英語原題は『POSSESSION:
 The Curious History of Private Collections from Antiquiry to thePresent』、
 『美術品蒐集家たちの執念とあやまちに関する研究』と
 日本語副題が付されています。

 前回記事で御紹介いたしましたのは、
 オードリーの若林さんによる《旅欲》エッセイ作品でしたが、
 このノンフィクション作品は
 題名の通り、
 もっとどっしり《欲》に結びついています。

 《物欲》――

 この《欲》から完全に逃れ得る人間が存在するでしょうか。

「たぶんッ、いませんッ!」
「ぐるるる!」(←訳:たぶんね!)

 ヒトの持つ《物欲》の歴史を暴きにかかるのは、
 著者・トンプソンさん。

 トンプソンさんの履歴がまた、
 なかなかの変わりダネなところが
 私たち読み手の好奇心を刺激します。

  アメリカでただひとりの、
  美術犯罪を専門とする大学教授さん。

 って、そういう分野があることがもう!

「びッくりィ、しましたでス!」
「ぐるがるぅ!」(←訳:レアだねぇ!)

 美術犯罪と耳にすれば、
 ボストンの美術館から盗まれたフェルメールさんの作品や、
 ナチスに強奪され行方不明の名画たち……が思い浮かびます。

 しかし、著者・トンプソンさんは、
 この御本で取り上げる美術犯罪のジャンルを
 ぐいっと絞りました。

 古代ギリシア・ローマ時代。

 中世や近代の美術品ではなく、
 古代ギリシア・ローマ人が創作し、
 現代のギリシアやイタリアで見つかった美術品について。

「それッてェ、つまりィ~」
「がるぐる?」(←訳:彫像とか?)

 ええ、そうですね、
 何かの工事や、土壌の調査をしていたら、
 土の中から、ひょっこりと。

 世にも美しい大理石の彫像が!

「これェ、ほしいィ~♪」
「ぐるがるる!」(←訳:所有したい!)

 御本冒頭の文章『蒐集の始まり』で、
 トンプソンさんは蒐集の起源を
 アレクサンドロス大王の死後の時代、という
 はるかな古代に設定しつつ、
 ローマ帝国の将軍たちにも注目します。

 遠征した土地でギリシアの美術品を買い入れ、
 或いは強奪した将軍たちは、
 それを故国に持ち帰る――

 持ち帰った美術品はどうなるか、というと。

 美術品を扱う市場が、
 ローマには既にあり、
 修復士がいれば、
 鑑定士もいて、
 複製士、
 贋作者までもいる……!

「ええッ? そのころからァ??」
「がるっ!」(←訳:はやっ!)

 美術品たちを見舞う様々な高波を、渦を、
 これ欲しい!の念に憑りつかれてしまった人々を、
 古代から現代まで、
 著者・トンプソンさんはすくい上げます。

 ハミルトン提督、メディチ家出身の教皇さん枢機卿さん、
 米国の大富豪ゲッティさんとハーストさん……。

「おかねもちはァ~」
「ぐるるるるがる?」(←訳:欲しがり屋さん?)

 なぜ、欲しがるのか。
 その欲に限界や限度はあるのか。

 怖ろしく、狂おしく、またもの哀しい、
 《蒐集》の世界史を、
 皆さま、ぜひ、一読あれ♪



 
コメント
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