テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 《闇》の画家伝 ~

2017-11-27 22:22:06 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぱふふゥ! かちましたでェ~スゥ♪」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!完封で快勝!)

 こんにちは、ネーさです。
 は~い♪ ユヴェントスが勝利してくれると
 週明けの月曜日もココロ平穏に過ごせますわ♪
 さあ、平穏なまま、本日の読書タイムは……あらら、
 平穏とはほぼ縁のない或る巨匠さんの評伝作品を、どうぞ~!

  



        ―― カラヴァッジョの秘密 ――



 著者はコスタンティーノ・ドラッツィオーさん、
 原著は2013年に、日本語版は2017年10月に発行されました。
 伊語原題は『Caravaggio Segreto』、
 以前に御紹介しましたドラッツィオーさんの著作
 『レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密』の姉妹編といえる作品です。

「うむゥ! もんだいじィさんッ!」
「ぐるがるぐるる!」(←訳:超のつく問題児!)

 カラヴァッジョさん――

 本名は、ミケランジェロ・メリージさん(1571~1610)。

 この御本の巻末にある『訳者あとがき』で
 訳者の上野真弓さんも触れておりますように、
 日本では“誰もが知っている画家”さんだとは
 言えないかもしれません。

 けれど、カラヴァッジョさんの描いた作品を
 画集で一目見れば、
 或いは幸運なことに原画に接する機会を持てたなら、
 その漆黒のパワーをひしひしと感じるはずです。

 この光。
 光を受け止める闇。
 革新的な人物造形を支える確かな技術。

「ざんしんッ、なのでス!」
「がるぐるる!」(←訳:今も新しい!)

 ドラッツィオーさんが著したこの御本は、
 難しい学術書ではありません。
 訳者・上野さんは『物語風の随筆』と評していますが、
 カラヴァッジョさんの人生に係わった人々を
 《主な登場人物》と呼び、
 “できごと”や“事件”ごとに
 章をふりわけてゆくスタイルは、
 演劇、いえ、
 ドキュメンタリー映像を観賞しているかのようです。

「じけんッだらけェ、でスからァ~」
「ぐるるるがるるるぅっる!」(←訳:どの章もドラマティック!)

 読みやすく、を念頭に書いてはいても、
 ドラッツィオーさん、手を抜くことはしません。

 カラヴァッジョさんの名を一気に高めた
 『聖マタイの殉教』
 『聖マタイの召命』
 の制作過程を描くくだりでは、
 時代考証、近年の鑑定や分析結果を踏まえ、
 その上で想像の翼を羽ばたかせます。

 彼は、こんな風に描いた――

 こんな風に喧嘩をして、
 こんな風に逃げて、
 こんな風に自分で自分を破滅に追い込んで行った――

「むちゃくちゃァ、だッたのでス!」
「がるるぐる!」(←訳:誰とも衝突!)

 破滅一筋に突き進んでいった画家さんの生涯に、
 ドラッツィオーさんは御本の巻末近くで
 《疑問》を寄せています。

 カラヴァッジョさんの命日――
 1610年7月18日に彼が亡くなったというのは
 本当だろうか?

 いや、カラヴァッジョさんが亡くなったことに疑いの余地はない、が。

 本当にその日、だったのか?

 マラリア熱に罹って
 アルジェンタリオの海岸で心臓発作に見舞われたのが
 直接の死因と伝えられているけれども
 それって、
 病身の画家さんが徒歩で百数十キロも移動した、
 っていうことになっちゃうぞ?

「おおいィなるゥ~むじゅんッ?」
「ぐるがるるぅ!」(←訳:謎が増えるぅ!)

 画家として生きた年月は、あまりにも短く。

 しかし、残した爪痕は、深く、大きく、
 現代の私たちをも魅了してやまない
 《漆黒》の画家――

 アート好きさんに、
 ヨーロッパ史好きな方々にもおすすめしたい一冊です。
 皆さま、ぜひ♪

 
コメント
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