テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

攻防、ここに極まれり!

2017-11-24 22:09:34 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふァむむゥ! これはァ、もうゥ~!」
「がるる!ぐるがるるる!」(←訳:虎です!事件なのです!)

 こんにちは、ネーさです。
 祝日と週末の狭間の、
 ちょこっと気がゆるんでしまうよう今日のような日は、
 ふっふっ♪ ちょこっとどころじゃなくメリハリのきいた御本での
 読書タイムはいかがでしょうか。
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  



           ―― 〆切本 2 ――



 編者は左右社編集部の皆さん、2017年10月に発行されました。
 《〆切》をテーマとした大ヒット異色アンソロジー『〆切本』に続く、
 シリーズ第2弾の『〆切本2』は、
 いやー、凄いです。凄まじいです。
 泣いたり笑ったりの、
 《〆切》をめぐる攻防、最高潮です!

「このよォにィ、なぜかァ、あるゥものォ……!」
「がるるぐる!」(←訳:それは〆切!)

 どんなお仕事にも、まず有りますよね、
 〆切とまでは言わなくても、
 期日はこのくらい、とか、
 納品はここらが目安で、といった“約束”が。

 出版の世界では、
 目安、なんてヌルい呼び方はせず、はっきり
 〆切日というものが存在することは
 活字マニアの皆さまも御存知の通り。

 けれど。
 この〆切日を守らない、
 いえ、守らない者もまた、
 確かにこの世に存在する、んです。

「かけませんッ!」
「ぐーるるるぅる!」(←訳:ノーアイディア!)

 まだ拙ブログでは御紹介できていないのですが(申し訳ありません)、
 『〆切本』では
 明治から現代にかけての
 〆切にまつわるエッセイ・手紙・日記・対談など
 90人の作家さんたちの
 《〆切との闘い》が収録されていました。

 そして、こちらの『〆切本2』では、
 《〆切との闘い・ふたたび》!な
 80篇が収録されています。

「わらッちゃだめェでスゥ!」
「がるぐるるるるぅ~!」(←訳:ダメなんだけどぉ~!)

 ええ、作家の皆さん、真面目なんです。
 ごく真面目に、《〆切》をのばそう、
 知らんぷりしよう、忘れたことにしよう、と
 全力を注いでおられるのです。

   明日やる。もう呑まぬ。明日からやる。本当にやる。
   ――山本周五郎さん。

   〆切日の書いてない原稿の催促なんか、およそナンセンスです。
   ――萩原朔太郎さん。

   私はこの締切りという言葉が嫌いだ。
   ――野間宏さん。

 などなど、この御本は〆切を呪う名文に満ち満ちておりますが、
 たぶん最も笑っちゃう、あ、失礼、
 腹筋が引きつりそうになるのは、
 校條剛さんによる
 『野坂昭如《失踪》事件始末』。

「しッそうゥ、だもんねェ~」
「ぐるがる~」(←訳:怖いよね~)

 昭和の人気作家・野坂昭如さん、
 編集者さん泣かせの“〆切やぶり”大魔王でした。

 家を訪れてみても、
 いない、なんてことは当たり前で。

 ホテルにカンヅメにすれば、
 履物を捨て、裸足で逃亡してしまう。

 それがエスカレートして、
 或る時、ついに行方不明に?

 連絡途絶、
 家族も行く先を知らず、
 まったく音沙汰なし……!

「せんせェ~いィ!」
「がるぐるるっ!」(←訳:どこですかっ!)

 野坂さんVS.編集者さんのガチの一戦、
 ネタばれ厳禁なので、
 決着の詳細は、さあ、御本の本文で!

「おなかァ、よじれるゥ~!」
「ぐるぐるっ♪」(←訳:くすくすっ♪)

 漫画家の赤塚不二夫さん、江口寿史さん、
 高橋留美子さん、水木しげるさん、
 それにタモリさんまでも!

 《締切りとは何なのか》

 を、御自身の方法で熱く語っておられます、けれど。

「しんみりィ~」
「がるる~…」(←訳:じわり~…)

 そう、読むうちに涙させられる作品も、あるんです。

 澁澤龍子さん著『執筆の日々』は、
 ありし日の澁澤龍彦さんを想う、
 どうしようもなく美しい文章です。

 現在、世田谷文学館で展覧会も開催中の
 澁澤龍彦さんのファンの方々必読ですよ~!

「しりーずゥ、だいさんさくゥ!」
「ぐるがるっ?」(←訳:あるかなっ?)

 守ればいいのに、守れない。
 破ればいいのに、無視できない。
 〆切の魔力。

 次作がありますようにと祈りたくなる、
 《〆切》シリーズ、
 皆さま、ぜひ、一読を♪
 

 
コメント
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