「こんにちわッ、テディちゃでス!
ぐすんッ、かなしいィでスよゥ~…」
「がるる!ぐるるる^…」(←訳:虎です!寂しいよ~…)
こんにちは、ネーさです。
パリのノートルダム寺院で火災というニュースに
朝から打ちのめされました……
私ネーさ、ノートルダムのガーゴイル君が大好きなんです。
数々の小説作品にも登場しているガーゴイル君が
どうか無事でありますようにと祈りながら、
本日の読書タイムは、
“かけがえのないもの”をテーマにしたこちらの御本を、
さあ、どうぞ~!

―― 京都東山 美術館と夜のアート ――
著者は高井忍(たかい・しのぶ)さん、2019年1月に発行されました。
東京・上野のあたりを東日本の“美術館のメッカ”とするなら、
西日本では――
「ここォでスねッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:京都の東山!)
京都府京都市の、地下鉄東山駅から
歩いて10分とかからない場所に、
平安神宮の大鳥居を挟むようにして
新旧ふたつの美術館が向かい合っています。
SF映画に出てきてもおかしくない近未来風フォルムの、
国立近代美術館――
通称《キンビ》。
対照的にレトロなデザインの、
赤レンガの洋館が市立美術館――
通称《イチビ》。
そして、この物語の主人公さんは、
《イチビ》の若き女性警備員さんです。
「さいきんッ、おおいィのでスゥ!」
「がるるぐるるるる!」(←訳:女性の警備員さん!)
美術館で働きたい!
というのが、
神戸静河(かんべ・しずか)さんの
かねてよりの希望、でした。
ええ、そうなんです。
名画や彫刻に囲まれてのお仕事は
お似合いだね~!いいところに就職できたね!
と静河さんの友人たちは祝福してくれましたが、
職種を聞いて目をパチクリさせるのです。
警備員さん……?
ガードマンってこと……?
お人形さんみたなルックスの、
細っこくて、大人しいタイプなのに、
警備員なんて、大丈夫……?
「いまのォところはァ~」
「ぐるがるるぅる!」(←訳:全然だいじょぶ!)
警備員さんとはいえ、
警備のお仕事イコール荒事(あらごと)ではありません。
美術館の建物内部の保全、点検、
行列の整理、お客さんの案内、
迷子ちゃんの保護、夜勤の係さんとの引継ぎや、
落し物があれば事務室で保管し、
建物の外――敷地内を巡回して、
異常がないか、チェックする。
「いちにちじゅうゥ、おおいそがしィ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:お疲れさまです!)
暑さがこもる、京都盆地の夏の宵。
静河さん、いつもはまっすぐ家に帰る……ところを、
今日は同僚の葉月(はづき)さんと一緒に
お芝居を観に行く約束をしていました。
お芝居の会場は美術館のご近所でしたから、
事務所に手荷物を預けていたふたりは、
観劇後、広い敷地を横切って
夜の美術館へと
気分よく歩いて、歩いて……あ?
「むむゥ! あやしのォ、ひかりィ!」
「ぐるがぅるるる!」(←訳:外灯じゃないよ!)
庭園の外灯とは違うその光は、
小さく、赤く、
幾匹ものホタルが群れているかのよう……?
明らかな“異常”事態に、
ふたりの頭の中に警戒警報が鳴り響きます。
あの光の、正体は……!
「かッ、かくにんッ、しまスかッ」
「がる~っる!」(←訳:そ~っと!)
……と、
緊張と緊迫に満ち満ちたシーンをご紹介いたしましたが、
表紙の可愛らしいイラストから推察できますように、
美術館運営の裏側を描く連作ミステリは
のんびりしたい連休にぴったりの
“知力”派短編4作品で構成されています。
次代へと受け継がれゆく美しいものたちが
暫しの眠りに就く夜、
ひっそりと行き過ぎる不思議な出来事の物語を、
活字マニアの皆さま、ぜひ。
ぐすんッ、かなしいィでスよゥ~…」
「がるる!ぐるるる^…」(←訳:虎です!寂しいよ~…)
こんにちは、ネーさです。
パリのノートルダム寺院で火災というニュースに
朝から打ちのめされました……
私ネーさ、ノートルダムのガーゴイル君が大好きなんです。
数々の小説作品にも登場しているガーゴイル君が
どうか無事でありますようにと祈りながら、
本日の読書タイムは、
“かけがえのないもの”をテーマにしたこちらの御本を、
さあ、どうぞ~!

―― 京都東山 美術館と夜のアート ――
著者は高井忍(たかい・しのぶ)さん、2019年1月に発行されました。
東京・上野のあたりを東日本の“美術館のメッカ”とするなら、
西日本では――
「ここォでスねッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:京都の東山!)
京都府京都市の、地下鉄東山駅から
歩いて10分とかからない場所に、
平安神宮の大鳥居を挟むようにして
新旧ふたつの美術館が向かい合っています。
SF映画に出てきてもおかしくない近未来風フォルムの、
国立近代美術館――
通称《キンビ》。
対照的にレトロなデザインの、
赤レンガの洋館が市立美術館――
通称《イチビ》。
そして、この物語の主人公さんは、
《イチビ》の若き女性警備員さんです。
「さいきんッ、おおいィのでスゥ!」
「がるるぐるるるる!」(←訳:女性の警備員さん!)
美術館で働きたい!
というのが、
神戸静河(かんべ・しずか)さんの
かねてよりの希望、でした。
ええ、そうなんです。
名画や彫刻に囲まれてのお仕事は
お似合いだね~!いいところに就職できたね!
と静河さんの友人たちは祝福してくれましたが、
職種を聞いて目をパチクリさせるのです。
警備員さん……?
ガードマンってこと……?
お人形さんみたなルックスの、
細っこくて、大人しいタイプなのに、
警備員なんて、大丈夫……?
「いまのォところはァ~」
「ぐるがるるぅる!」(←訳:全然だいじょぶ!)
警備員さんとはいえ、
警備のお仕事イコール荒事(あらごと)ではありません。
美術館の建物内部の保全、点検、
行列の整理、お客さんの案内、
迷子ちゃんの保護、夜勤の係さんとの引継ぎや、
落し物があれば事務室で保管し、
建物の外――敷地内を巡回して、
異常がないか、チェックする。
「いちにちじゅうゥ、おおいそがしィ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:お疲れさまです!)
暑さがこもる、京都盆地の夏の宵。
静河さん、いつもはまっすぐ家に帰る……ところを、
今日は同僚の葉月(はづき)さんと一緒に
お芝居を観に行く約束をしていました。
お芝居の会場は美術館のご近所でしたから、
事務所に手荷物を預けていたふたりは、
観劇後、広い敷地を横切って
夜の美術館へと
気分よく歩いて、歩いて……あ?
「むむゥ! あやしのォ、ひかりィ!」
「ぐるがぅるるる!」(←訳:外灯じゃないよ!)
庭園の外灯とは違うその光は、
小さく、赤く、
幾匹ものホタルが群れているかのよう……?
明らかな“異常”事態に、
ふたりの頭の中に警戒警報が鳴り響きます。
あの光の、正体は……!
「かッ、かくにんッ、しまスかッ」
「がる~っる!」(←訳:そ~っと!)
……と、
緊張と緊迫に満ち満ちたシーンをご紹介いたしましたが、
表紙の可愛らしいイラストから推察できますように、
美術館運営の裏側を描く連作ミステリは
のんびりしたい連休にぴったりの
“知力”派短編4作品で構成されています。
次代へと受け継がれゆく美しいものたちが
暫しの眠りに就く夜、
ひっそりと行き過ぎる不思議な出来事の物語を、
活字マニアの皆さま、ぜひ。