テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 書物のよろこび ~

2019-04-01 22:07:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふむむむゥ! なァるほどッ!」
「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!令和とは!)

 こんにちは、ネーさです。
 年度の始まりもエイプリルフールも吹き飛ばした
 新元号《令和》の発表……!
 万葉集か古今和歌集から選ばれたら良いなぁ♪と思っていたので、
 とても嬉しい一日になりました♫
 では、新年度第一回目の読書タイムは、
 こちらのブックガイド作品を、さあ、どうぞ~!
 
  


 
       ―― 吾輩はライ麦畑の青い鳥 ――



 著者は斎藤美奈子(さいとう・みなこ)さん、
 単行本(刊行時題名は『名作うしろ読みプレミアム』)は2016年に、
 画像の文庫版は2019年2月に発行されました。
 『――名作うしろ読み』と副題が付されています。

「いッ、いいんでスかッ??」
「ぐるるがるるるぐるるぅるる?」(←訳:名作を後ろから読んじゃうの?)

 そうよね、
 ちょっと……いえ、けっこうギョッとさせられますよね。
 
 名作文学を、
 わずか数行でまとめちゃう!
 この登場人物がキーパーソン!
 犯人は/トリックはこれだ!
 という具合に切り刻んでしまう心無いブックガイドも
 世の中には存在するのですけれど、
 この御本はその類とは違って。

 著者・斎藤さんの狙いは、
 “結末をバラす”
 ことではないんです。

「たいせつゥなのはァ~…」
「がるぐるる!」(←訳:過程なんだ!)

 そもそも、
 物語ひとつを丸ごと記憶する、
 そんなスゴいことが出来ちゃう人も
 広い世にはいるかもしれないにしても。
 
 大好きなシーン、
 大好きなセリフはいつも心にある。

 とはいえ、物語の、隅から隅まで、
 一行残らず憶えているなんて、ほぼ無理。

 なので、大抵の場合、
 私たちは淡い忘却の霧の中にいます。

「でもォ、ときどきィ!」
「ぐるがるるるる!」(←訳:火が点くんです!)

 ええ、著者・斎藤さんは
 忘却の霧を一瞬で晴らす松明を掲げています。

 その松明に照らされれば、
 物語をいめくくる最後の一行はこうだったのだ、
 と示されれば、
 あっという間に思い出すことでしょう。

 素晴らしいものがたりに出会ったときの感動、
 その一篇を読み終えたときの涙を。

「じかんがァ、くるりッ!」
「がるるるる!」(←訳:巻戻ります!)

 私ネーさがそんな思いをしたのは、
 本文244ページの――

   澁澤龍彦さん著『高丘親王航海記』。

 そして、本文202ページの――

   メアリー・シェリーさん著『フランケンシュタイン』。

 ラストの一行/ラストの一文を、
 添えられている斉藤さんの解説文とともに
 ゆっくり読んでゆけば、
 魂はふらふらと、
 物語の世界へ翔んで行くかのようです。

「よんだことォあるひとにはァ~」
「ぐっるがるるる!」(←訳:きっと分かるよ!)

 岡倉天心さん著『茶の本』、
 ルイス・キャロルさん著『不思議の国のアリス』、
 バーネットさん著『小公女』、
 池波正太郎さん著『鬼平犯科帳』、
 柴田錬三郎さん著『眠狂四郎無頼控』、
 レイモンド・チャンドラーさん著『長いお別れ』……

 斉藤さんのガイドのもと、
 “結びの一文”を読み返してみれば、
 読書好きな方々は
 きっと思い出すに違いありません、
 かけがえのない一冊と巡り会えた日の喜びを。

 新しい月、新しい年度、
 新しい時代の始まりにぴったりな御本です。
 活字マニアの皆さま、ぜひ♪
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする