テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 西と東と、時代のアート ~

2019-04-26 22:10:18 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 はッ、はじまッてるゥのでスよゥ~!」
「がるる!ぐるぅっるがる!」(←訳:虎です!来ちゃった連休!)

 こんにちは、ネーさです。
 既に空港は行列?
 高速道路にも大渋滞の兆し?
 お出掛けする方々に楽しんできてね~♪と手を振りながら、
 本日の読書タイムはこちらの御本を、
 さあ、どうぞ~!
 
  


 
        ―― そのとき、西洋では ――



 著者は宮下規久朗(みやした・きくろう)さん、
 2019年3月に発行されました。
 『時代で比べる日本美術と西洋美術』と副題が付されています。

 美術史家である著者・宮下さんは、
 御本冒頭の《序》でこんな風に述べています――

   日本は各時代にすばらしい美術作品を生み出し、
   しかも、それらの多くが遺っている幸運な国である。

   戦災や天災で多少のものが失われたとはいえ、
   各時代の重要な作品の殆どは現存しており、
   きちんと美術の流れを辿ることが出来る。

   世界を見渡すと、
   そのような幸運な国の方が
   めずらしいのである。

「ええッ? そうなのォでスかッ?」
「ぐるるるっる~!」(←訳:知らなかった~!)

 言われてみると、
 そうかぁ、なるほど、と頷かざるを得ません。

 応仁の乱があっても、
 富士山が噴火しても、
 江戸や京都を町を大火が襲っても、
 維新後の神仏分離による混乱があっても、
 現代へと受け継がれてきた美術品たち。

 ゆえに、
 “時代で比べる”ことが可能になるんです。

 奈良・法隆寺の釈迦三尊像(623年)と、
 イスタンブールのアヤ・ソフィア寺院(537年)。

 鎌倉時代の運慶さん快慶さんと、
 フランス・ランス大聖堂の予言者像。

 室町時代生まれ(15世紀中頃)の雪舟さんと、
 ルネサンス時代に生まれたレオナルド・ダ・ヴィンチさん。

「あはァ! おなじィ~じだいィ!」
「がるるるるぐるるるるるるる!」(←訳:雪舟さんとレオナルドさんが!)

 資料が豊富で、
 より対比が際立つのは、
 《二都物語 京都とヴェネツィア》
 でしょうか(本文161ページ)。

 円山応挙さんや伊藤若冲さんたち――
 近年大人気のスター画師さんが活躍した18世紀の日本と、
 ティエポロさんカナレットさんが筆をふるった
 18世紀のヴェネツィア……

 江戸美術がが華やかに花咲く時代と、
 バロックが最後の光芒を放つ時代は
 重なっていたんですねえ。

「じゃくちゅうゥさんとォ、ばろッくゥ?」
「ぐるがるるぐる!」(←訳:意外だけど納得!)

 日本美術、
 すなわち東アジア文化圏の美術と、
 西洋美術のうねり。

 それぞれの時代と国で
 美術品を守ってきた大勢の方々の努力に
 感謝をしながら味わいたいアート論は
 歴史好きな活字マニアさんに
 おすすめしたい快作です。
 アート好きな皆さま、ぜひ一読を~♫
 
 
 
コメント
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