テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 光が《視》せる! ―

2019-04-30 22:01:22 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 へいせいィもォ、きょうゥでェおわりィ~…」
「がるる!ぐるるるがる~…」(←訳:虎です!しんみりです~…)

 こんにちは、ネーさです。
 平成の30年――
 ひとつの時代が締めくくられる今日この日の読書タイムに、
 さて、文芸かエンタ系ミステリか時代小説か、
 SFか歴史ものかノンフィクションか、
 どんな作品をご紹介すべきなのか、
 う~んう~んと悩みまくった結果は……
 はい、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  


 
       ―― フェルメールと天才科学者 ――



 著者はローラ・J・スナイダーさん、
 原著は2015年に、画像の日本語版は2019年2月に発行されました。
 英語原題は『EYE OF THE BEHOLDER』、
 『17世紀オランダの《光と視覚》の革命』と日本語副題が付されています。

 ええ、またしても、またまたしても、フェルメールさんです。
 先日は、福岡伸一さん著『フェルメール 隠された次元』について
 お喋りいたしましたけれども、
 今回もまたフェルメールさん……

 ではなくて。

「むゥ? ちがうゥのでスかッ?」
「ぐるるるがる~??」(←訳:どうゆうこと~??)

 平成が始まる以前に、
 つまり、既に20世紀の中頃あたりから、
 画家ヨハネス・フェルメールさん(1632~1675)の評価は
 既に確固たるものになっていました。

 では、この30年の間に
 何か変化があったか、というと。

 先ずは、絵画の分析・修復技術の、
 よりいっそうの進歩がありました。

 現存するフェルメールさんの作品の多くが
 数ヶ月、ときには数年にわたる
 入念かつ細密な修復作業を施され、
 再び美術館の展示室へと戻ってきたのですけれども、
 同時に。

「けんきゅうゥもォ、しんてんッ!」
「がるるぐるる!」(←訳:議論も活発に!)

 分かりやすい例をあげれば、近年、
 『真珠の首飾りの少女』の唇の端には、
 光の点を表わす小さな白色が乗せられました。
 
 20世紀後半の時点ではなかった光の点は、
 修復時の解析から、
 フェルメールさん自身が仕上げた画面には
 この点があった、と判断されてのことです。

 また、作品の脇役、いえ、
 “隠れた主役”の存在も徐々に判明してきました。

 その“隠れた主役”こそが、
 アントニ・フン・レーウェンフックさん(1632~1725)。

「あまちゅあァ~だけどォ!」
「ぐるがるる!」(←訳:腕は超一流!)

 1674年、オランダの小都市デルフトで、
 或る発明が為されました。

 肉眼では見ることが出来ない世界を、
 くっきりととらえる――
 顕微鏡の誕生です。

 それまでにもう望遠鏡や
 初歩的な拡大鏡(凸レンズ)は発明されていましたし、
 流通してもいたのですけれども、
 レーウェンフックさんが造り上げた顕微鏡は
 精度が段違いに良好。

 さらに、レーウェンフックさんが手掛ける
 カメラ・オブスキュラの技術は、
 遠近法表現とも密接な結びつきを持っている――

 いまや、フェルメールさんとレーフェンフックさん、
 同じ1632年に生まれ、
 同じ市のご近所で育った二人が親しく交流していたことは
 確実視されています。

「ふたりでェ、あみだすゥ!」
「がるるぐるるる!」(←訳:新たな視覚世界!)

 この御本で描かれるのは、
 フェルメールさんとレーウェンフックさんの生涯と、
 レンズの製造法、
 視覚理論の歴史、
 フェルメールさんが
 作品上で実際に用いた光学・遠近法の技法、
 同じ17世紀オランダで活躍した画家さん科学者さんたち。

 最新技術を手に、
 フェルメールさんレーウェンフックさんたちが
 切り拓いてゆく未来とは――

「いッしょにィ、まきおこそうゥ!」
「ぐるがる!」(←訳:光の革命!)

 伝記風ノンフィクション、
 或いは科学ドキュメンタリーともいえるこの御本、
 フェルメールさんの熱烈なファンの方々におすすめです。

 また、巻頭にはフェルメールさんの作品に加え、
 顕微鏡に関する図版も掲載されているので、
 博物学好きな皆さまも、
 ぜひ、一読してみてくださいね~♫

 

コメント
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