テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― この手で、選ぶ ―

2019-09-03 23:08:59 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 はぴィ~ばァすでいィ、どらちゃんッ!」
「がるる!がっるーぐるる~!」(←訳:虎です!ハッピー誕生日~!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日9月3日は、ドラえもんくんのお誕生日!
 ドラちゃん、おめでとう!
 世界中の科学者さん、どうか兵器や銃ではなく
 ドラちゃんを一日でも発明しておくれ!と願いつつ、
 さあ、本日の読書タイムは
 こちらの御本を、どうぞ~♪

  



     ―― ぼくたちが選べなかったことを、
        選びなおすために。 ――



 著者は幡野広志(はたの・ひろし)さん、
 2019年5月に発行されました。
 現在、ネット書店さんの“闘病記”ジャンルで
 トップをひた走るベストセラー本……ではありますが、
 “闘病”という枠組みには収まり切れない、
 大きな意味を持つ作品です。

「しゃしんかさんッ、なのでス!」
「ぐるるるがる~!」(←訳:八王子市在住~!)

 著者・幡野さんは
 2010年に『海上遺跡』で『Nikon Juna21』受賞、
 2012年にはエプソンフォトグランプリ入賞、と
 輝かしい経歴をお持ちの写真家さんであり、
 そして。

 現在、闘病只中の《患者》さんでもあります。

 幡野さんが身体の異変に気付いたのは、
 2017年の3月のことでした。
 
 背中から、腰にかけての痛み。
 これは……

「しょくぎょうゥびょうゥ??」
「がるぐるぅ?」(←訳:腰痛かなぁ?)

 写真を撮る――プロのカメラマンである、とは、
 重い荷物を抱え、
 あちこちを移動する激務の連続に他なりません。

 腰痛くらいじゃ休めないよ、とボヤきながらも、
 幡野さん、痛み止めを飲んでは
 病院へ足を運びました。

 整形外科へ、
 内科へ、
 鍼灸院へ。

 けれど、どの病院でも
 痛みの原因は判然とせず、
 精神的な問題ではないかとまで言われたのち。

 精密検査の結果、
 病名が明らかになりました。

 背骨に腫瘍……がん細胞がある。

「えッ?」
「ぐるる!」(←訳:そんな!)

 お医者さんの説明に耳を傾けた幡野さんは、
 まさかそんな、とは思わなかったそうです。

  《少しほっとしている自分がいた。》

 そう、痛みの正体は分かった、
 精神的な問題じゃなかったんだ、
 れっきとした病気、
 病気がもたらした激痛だったんだ、
 と、安堵さえ感じて。

「でッ、でもォ!」
「がるるるるぐるるるがるる!」(←訳:そこからがたいへんだよう!)

 痛みの原因は分かった、けれど。

 そこから、嵐をも上回るたいへんな日々が始まります。

 家族に、病名を告げる。
 より精密な検査。
 写真のお仕事をキャンセル。
 友人さん知人さんからのお見舞いコールラッシュ。
 痛苦と副作用を伴う治療の開始。
 がんであることをブログで公表。
 親族からの干渉……。

 幡野さんは、明るい筆致で、
 ユーモアも交えてこれらの出来事を綴っていますが、
 実際にはこの御本に記した以上の、
 やるせなく、つらい毎日だったことは間違いありません。

 そんな時間の中で、
 幡野さんが考えに考え、
 考え抜いたのは。

 自分にとって大切なものは何か。

「ほんとうゥのォ、ほんとうゥにィ~…」
「ぐるるがる……!」(←訳:大事なもの……!)

 今こそ、決めなくては。

 何が必要か、不要か。
 何を選び、
 何と生きるか。

 幡野さんが下す決断を、
 その想いを、
 皆さま、
 終章まで、
 『あとがき』まで、
 その先の『謝辞』までも
 丁寧に読み進んでみてください。
 どうか、ぜひ。
 

 
コメント
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