テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

黄金のチケットを手に。

2019-09-10 23:16:26 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うゥ! うらやましィ~のでス!」
「がるる!ぐるるぅるる!」(←訳:虎です!憧れちゃうよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 はるか西の彼方、スペインで開催中の
 《ブエルタ・ア・エスパーニャ2019》は、
 最終週に入って佳境を迎えていますが、
 気になるのは……沿道の観客さんに長袖多し?
 スペインってもう寒くなってるのかしら?と、
 今日も猛暑の東京から羨望の溜め息をもらしつつ、
 さあ、ここからは読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御御本を、どうぞ~♪
 
  


 
   ―― ドナルド・キーンのオペラへようこそ! ――



 著者はドナルド・キーンさん、2019年4月に発行されました。
 『われらが人生の歓び』と副題が付されています。

「ふァ? おぺらァ、でスかッ??」
「ぐるるるがーるぐる?」(←訳:オペラとキーン先生?)

 ドナルド・キーンさん(1922~2019)。

 いうまでもなく、
 日本文学と日本文化研究の第一人者であり、
 外国出身の学術研究家としては
 初めて文化勲章を受賞した
 比類なき“智の巨人”さんですね。

 けれど、キーンさんが超、いえ、
 超超超超超……と、
 アタマに超を100個付けちゃってもいいくらいの
 オペラ愛好家さんだったとは、
 申し訳ありません、
 私ネーさ、知りませんでした。

「はじまりィはァ、しょうねんじだいィ!」
「がるるぐるがるるぐるる!」(←訳:蓄音機から流れるアリア!)

 キーンさんがまだ幼かったころ、
 お家にがお父さんの蓄音機がありました。

 その蓄音機で聴いた曲といえば、
 《道化師》《真珠採り》や《リゴレット》などの、
 それもイタリア人テノール歌手によるオペラ作品で、
 交響曲や室内楽のレコードはまったく無かった――
 キーンさんはそう回想します。

 ニューヨーク育ちのキーンさんですから、
 蓄音機のレコードを聴き、
 トスカニーニさん指揮のNBC交響楽団の演奏を
 劇場やラジオ放送で聴き、
 そして、メトロポリタン歌劇場で
 “人生初”のオペラを観ることとなりました。

「もうゥこのさいィ!」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:定期会員になろう!)

 メトロポリタン歌劇場、
 通称“メト”の定期会員になったキーンさんは、
 ニューヨークで、
 そしてケンブリッジ大学留学中はロンドンで、
 数多の舞台に接し、
 すっかりオペラのとりこになってゆきます。

 モーツァルトさんの『フィガロ』、
 ビゼーさんの『カルメン』、
 ベートーヴェンさんの『フィデーリオ』……

「ふかまるゥ~ねッきょうゥ!」
「がーるるる・ぐーるるる!」(←訳:ノーオペラ・ノーライフ!)

 この御本では、
 キーンさんとオペラとの出会い、
 オペラについてのエッセイ、
 著名なオペラ作品の解説、
 オペラ歌手さんについての評論等、
 キーンさんの《オペラ論》が展開されていますが、
 さて、
 キーンさんが最も愛するオペラ歌手さんは、というと。

「あのォおかたァ、でス!」
「ぐるるるるる!」(←訳:20世紀の星!)

 マリア・カラスさん(1923~1977)こそが、
 キーンさんにとっての
 唯一無二の歌姫でした。

 『マリア・カラスを偲ぶ』
 と題された終章には、
 カラスさんの公演のチケットを手に入れるため、
 コヴェントガーデンの入場券売場に並んだ思い出が
 詳しく記されています。

 大評判の公演ですから、
 チケットの売れ残りなどあるはずがない。
 でも、とりあえず並んでみようと、
 10~15人ほどの行列に加わってみる……も、
 辛抱強く待つうち。

 列に並んでいた人は、ひとり、ふたりと、
 諦め顔で離れてゆく。
 まもなく開演と告げられた時には、
 キーンさんの前に並んでいたのは、
 わずか3、4人。

「これはァ、もしやッ!」
「がぅるるる!」(←訳:チャンスが!)

 チケットを握りしめ、
 劇場へと急ぐキーンさん。
 はたして、間に合うのか?

「いそげやァ、いそげッ!」
「ぐるがっるぅ!」(←訳:間に合ったぁ!)

 かくして、
 マリア・カラスさんの『ノルマ』は
 キーンさんの眼に、耳に、こころに、
 確固として焼き付けられることとなりました。
 
「けッしてェ、わすれないィ!」
「ぐるるがる!」(←訳:永遠の歌姫!)

 キーンさんのオペラ熱には
 どうやら伝染力があるようです。
 読み進んでゆけば、
 だんだん、どんどん、ほぉら、
 オペラが観たく、聴きたくなってゆく――

 そんな不思議な気分を、
 活字マニアの皆さまも
 ぜひ、体感してみてくださいね。
 おすすめですよ♪
 


 
コメント
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