テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 鵠沼のひかり ~

2019-09-20 22:32:32 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ついにィ、じつげんッしましたでス!」
「がるる!ぐるるるる~!」(←訳:虎です!おめでとう~!)

 こんにちは、ネーさです。
 祝!ラグビーワールドカップ開幕!
 現役選手さんとOBさん、
 日本のすべてのラグビーファンの夢がとうとう実現しました。
 素晴らしい大会になることを心から願いつつ、
 読書タイムも頑張ります!
 本日は、こちらのご本を、さあ、どうぞ~♪

  


 
      ―― もっと知りたい 岸田劉生 ――



 著者は蔵屋美香(くらや・みか)さん、
 2019年9月に発行されました。
 『生涯と作品』と副題が付されておりますように、
 画家・岸田劉生さんの画業と生涯を紹介するアートムック本です。

「ことしはァ、めもりあるゥ!」
「ぐるがるるぐるるる!」(←訳:没後90年なんです!)

 岸田劉生(きしだ・りゅうせい)さんは、
 1891年に生まれ、
 1929年に病没……
 38歳での、早過ぎる旅立ちでした。

 今年2019年は、
 岸田さんの没後90年にあたる年であり、
 ちょうどいま、東京ステーションギャラリーで
 『岸田劉生 展』が開催されています
 (10月20日まで)。

 展覧会のポスターやチラシ(フライヤー)で
 いわば“主役”となっているのが、
 この御本の表紙にもなっている、

 《麗子肖像(麗子五歳之像)》(1918)。

「ゆうめいィでスねッ!」
「がるるるるぐるる!」(←訳:岸田さんの代名詞!)

 そうですね、
 岸田さんの名を聞けば
 先ず《麗子像》が思い浮かぶ御方も多いことでしょう。

 しかし、著者・蔵屋さんは
 本文14ページで
 このような文章を記しています。

  『《麗子像》の誕生、
   そして突然の終り』

「むゥ? おわりィ??」
「ぐるる?」(←訳:突然の?)

 1916年7月、
 岸田さんは肺結核と診断されました。

 病気の療養のため、
 東京郊外へ、
 次いで神奈川県の鵠沼(くげぬま)へ、
 岸田さん一家は転居します。

 海まで歩いて15分のそこは、
 現在の湘南とは比べものにならぬほど
 静かで穏やかな土地柄であったせいでしょうか、
 岸田さんは健康を取り戻し、
 作品の制作に力を注ぎました。

 この“鵠沼時代”に生み出されたのが
 岸田さんの長女・麗子ちゃんをモデルにした
 《麗子像》シリーズ。

「ひとめェみればァ、わすれないィ!」
「がるるぐるる!」(←訳:印象的だよね!)

 御本の巻末近くには、
 麗子像を論じた特集ページ
 『いい子のれい子、いいれい子ォ』があり、
 そこには《麗子像》シリーズについて、
 
   制作当時から人気が高く、
   ほしいというコレクターも多かった―― 

 と書かれています。

 思うに、この“鵠沼時代”が
 岸田さんにとって
 もっとも幸福な時間だったのではないでしょうか。

「えふでとォ、ともにィ~」
「ぐるるがる!」(←訳:充実の日々!)

 残念なことに、
 幸福な時間は長く続きませんでした。

 1923年9月、
 関東大震災が発生し、
 岸田さんの自宅は半壊してしまいます。

「あァ~…」
「がる~…」

 銀座生まれの都会っ子・劉生さんが、
 海辺の風の中で目にした
 つかのまの光。

 展覧会で、
 この御本で、
 岸田さんが描いた《麗子像》を、
 切り通しの赤土の風景を、
 皆さま、ぜひご覧になってくださいね。
 おすすめです!
 

 
 
コメント
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