テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ おんじの来た道 ~

2019-09-06 22:26:02 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うぎゅゥ~まけちゃッたでスゥ~…」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!ドンマイだよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 バスケW杯日本代表は米国に完敗となりましたが、
 まだまだ、7日にはニュージーランド、
 9日にはモンテネグロとの対戦が予定されています。
 八村塁くんが離脱してしまったチームジャパンに
 さらなるエールを送りながら、
 さあ、今日も読書タイムとまいりましょう。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  


 
    ―― 『ハイジ』が見たヨーロッパ ――



 著者は森田安一(もりた・やすかず)さん、
 2019年7月に発行されました。
 大人にもチビっ子にも広く親しまれる『アルプスの少女ハイジ』、
 その原作小説と
 日本でアニメ化された『ハイジ』を対比させつつ、
 欧州の歴史をも探るノンフィクション作品です。

 ……が、
 私ネーさ、本題に入る前に
 ちょいとばかり言いたいことがございます。

「わわゥ? おこッてるゥ??」
「ぐるる!」(←訳:怖いぞ!)

 現在、NHKで放送中の朝ドラ『なつぞら』。
 毎朝きちんと拝見しております。
 だって、アニメーターのお話だっていうから、
 日本のアニメーションを
 ここまで育て上げた方々の物語だっていうから。

 でもね、出てこないじゃん!
 『白蛇伝』と
 『太陽の王子ホルスの大冒険』を想わせる作品がチラッと登場して、
 おお!これから『どうぶつ宝島』が
 『長靴をはいた猫』が、
 『赤胴鈴之介』が、
 『アトム』や『鉄人28号』といった
 アニメ史上重要な意味を持つ作品も出てくる……と思ったら。

 ぜ~んぜん出てこないじゃありませんか~!

「……かなしィでスゥ~…」
「がるるぐる~…」(←訳:寂しいよね~…)

 今日は出るか、明日こそは出るかも、と
 期待に期待を重ねてきたのに……
 すっかり裏切られた気分です。

 ていうか、
 そもそもTVに期待したのが間違ってたんだわ、
 やっぱり本だ!
 活字マニアは活字マニアらしく、
 書物の世界に立ち戻ろう!
 と思い改めまして、
 この御本を手に取った次第です。

「げんさくゥのォ、はいじィ!」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:高畑さんのハイジ!)

 著者・森田さんは『ハイジ』の歴史を辿ります。

 ヨハンナ・シュピリさん(1827~1901)の
 『ハイジの修業時代と遍歴時代』が、
 どういう形で日本へやって来たか。

 ペーターやハイジの生活から窺われる
 19世紀スイスの教育事情や、
 “働く子どもたち”の存在。

 フランクフルトへの移動手段となった
 スイスの鉄道網、
 夢遊病など医学についての認識。

 スイスの温泉大国ぶりと、
 おばあさんの心を癒す讃美歌。

 さまざまな『ハイジ』世界の考察が為されてゆく中で、
 際立って素晴らしいのが、
 
 《おじいさんの履歴――スイス傭兵制》

 の章です。

「ふァ? ようへいィ??」
「がるるぐるるる?」(←訳:アルムおんじが?)
 
 彼には名前がない。
 おそらくは、トビアス、ではないかと推察される。
 出身地は、スイス南部のドムレシュク。
 
 アルムおんじは、
 そのドムレシュクの、
 “もっとも裕福な農場の持ち主”
 だったのですが、
 仰天の《波乱と流転の人生》を送ることに……!

「ふゥ! そうぞうゥいじょうゥ!」
「ぐるるる!」(←訳:大遍歴だ!)

 統一前夜のイタリア半島に
 吹き荒れる戦乱と混乱、
 揺れ動くヨーロッパ各国の政治制度、
 王座に忍び寄る破滅の兆し――

 欧州近代史を凝縮したかのような、
 アルムおんじの経歴は、
 私たち読み手を圧倒します。
 
「わかきィひのォ、おじいさんッ!」
「がるるるぐるるるるる…?」(←訳:どんな顔してたんだろ…?)

 アニメの『ハイジ』には描かれなかった、
 原作の小説『ハイジ』にも詳述されなかった、
 アルムおんじの隠された物語へのアプローチは、
 歴史好きな御方に、
 もちろん『ハイジ』ファンの方々にもおすすめですよ。
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪
 



 
コメント
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