テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

文学者《肖像》列伝。

2019-09-19 23:17:12 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 くんかッくんくんッ! このォかおりィはァ!」
「がるる!ぐるるる!」(←訳:虎です!銀木犀だ!)

 こんにちは、ネーさです。
 ラグビーワールドカップ明日開幕!を祝福するかのように、
 銀木犀の花が咲きましたよ♪
 秋の香りに包まれながらの本日の読書タイムは、
 さあ、こちらの大型本を、どうぞ~!

  


 
       ―― 図鑑 世界の文学者 ――



 監修はピーター・ヒュームさん、日本語版監修は斎藤孝さん、
 原著は2018年に、日本語版は2019年8月に発行されました。
 英語原題は『writers: THEIR LIVES AND WORKS』、
 世界の文学者さん198人と代表作品の解説、
 肖像画・写真も多数収録した《文学者図鑑》です。

「いッちばんめェはァ~…」
「ぐるるがる!」(←訳:ダンテさん!)

 御本の本文は、

 CHAPTER1『18世紀まで』
 CHAPTER2『19世紀前期』
 CHAPTER3『19世紀後期』
 CHAPTER4『20世紀前期』
 CHAPTER5『20世紀後期』
 CHAPTER6『現代』

 と、6つの章で構成されています。

 『18世紀まで』の章は、
 13世紀のイタリアの
 詩聖ダンテ・アリギエーリさんを筆頭に、
 14世紀のジョヴァンニ・ボカッチョさんや
 ジェフリー・チョーサーさん、
 16世紀のミゲル・デ・セルバンテスさんと
 ウィリアム・シェイクスピアさん、
 16~17世紀のジョン・ダンさん……

 と、世界文学史上の巨匠さんが紹介されていますが、
 この第1章では時代的にまだ
 《写真》というものが発明されていませんので
 油彩や銅版画の肖像画が掲載されています。

「しゃしんがァ、とうじょうゥするのはァ~」
「がるるるるぐる!」(←訳:19世紀の中頃!)

 えーと、この御本の中で
 最も古い肖像写真は、
 本文84ページの、
 エドガー・アラン・ポーさん、でしょうか。

 ポーさんのお写真は1848年撮影のもので、
 そのポーさんのお写真のひとつ前、
 本文82ページには、
 ハンス・クリスチャン・アンデルセンさんの
 お写真がありますが、
 これは1860年撮影のもの……

 ということは、
 “カメラの前に座った文豪”さんの先駆けは、
 ポーさんだったのかもしれませんね。

「しゃしんッなのかァ、かいがァなのかァ~…」
「ぐるがるる!」(←訳:迷うところ!)

 自分の肖像画を残すとしたら、
 油彩画にしようか、
 それとも写真機とかいう最新の機械を使ってみようか?

 19世紀の文学者さんたちは
 けっこう迷ったとみえ、
 アレクサンドル・デュマさんは写真、
 バルザツクさんやヴィクトル・ユーゴーさんは油彩、
 チャールズ・ディケンズさんも油彩派?

 それが19世紀も後半に近付くと、
 写真派さんが断然多数派になってゆきます。

 『白鯨』のハーマン・メルヴィルさん、
 『悪の華』のボードレールさん、
 『人形の家』のイプセンさんも
 写真の中からじっとこちらを見詰めている……

「つぎのォじだいィはァ、いうまでもォなくゥ!」
「がるるぐるる~!」(←訳:写真がずらり~!)

 20世紀に入ると、
 文学者さんたちはカメラの前に立つことを
 躊躇しなくなりました。

 カフカさんも
 T・S・エリオットさんも、
 アルベール・カミュさんも。

「んッ? あれれッ?」
「ぐるがぅる?」(←訳:これなぁに?)

 カメラに向かって
 鋭い目線を向けているのは、
 フワフワした黒い塊。

 本文203ページの、
 1ページまるごとを占めるそのお写真の、
 主役は、はたして黒いフワフワ塊なのか、
 フワフワ塊を腕に抱く紳士さんの方なのか。

「それはァもうゥ!」
「がるぐるるるるがるぐる!」(←訳:黒いフワフワの方が主役!)

 えへん、違います。

 黒いフワフワな塊は、
 猫のタキちゃん。

 タキちゃんを抱いている紳士さんの名は、
 レイモンド・チャンドラーさん。

 この御本の中で
 動物を腕に抱いて登場しているのは、
 どうやらチャンドラーさんただひとり?

 あの『高い窓』や『長いお別れ』を著した
 気難しそうな作家さんが。
 ドーベルマン犬やジャーマンシェパード犬が似合いそうな、
 ハードボイルド作家さんが。

 実は、愛猫家さんだったとは……!

「びッくりィ、でしたでスねッ!」
「ぐるるっ♪」(←訳:ぷふふっ♪)

 私の、ボクの、
 大好きな文学者さんは、詩人さんは、
 こんな眼差し、
 こんな容貌をしていたのか――

 予想外の驚きと発見が詰まっているこの御本には、
 もちろん英米圏だけではなく、
 南米やアフリカ、
 中国や日本の文学者さんも
 取り上げられています。

 文学好きな方々にも、
 写真好きな御方や
 肖像画マニアさんにもおすすめの一冊です。
 本屋さんで、図書館で、
 見かけたなら、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫

 
 

  
 
コメント
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