テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 変転の《美人画》史 ~

2022-04-26 22:33:39 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ♪るるゥ~♪なつもォちかづくゥ~♪」

「がるる!ぐるるる~♫」(←訳:虎です!八十八夜~♫)

 

 こんにちは、ネーさです。

 立春から数えて88日……

 今年2022年は5月2日が《八十八夜》になるんですって。

 そろそろ新茶のシーズンなのね~と

 茶摘み歌など口遊みつつ、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらのアート本を、どうぞ~!

  

 

 

      ―― 近代美人版画集 ――

 

 

 編者は阿部出版の皆さん、

 2022年3月に発行されました。

 『Prints of Japanese beauties in the 20th century』

 と英語題名が付されています。

 

 《美人画》……というと、

 喜多川歌麿さんに代表される

 江戸時代の浮世絵を思い浮かべますが、

 この御本で取り上げられている《美人画》は、

 英語題名からも分かりますように、

 20世紀の《美人画》です。

 

「ずいぶんッちがうゥ~?」

「ぐるるがるぐるる!」(←訳:浮世絵とは違うね!)

 

 江戸期に確立した木版画の技術を受け継ぎながらも、

 大正~昭和初期に制作された『新版画』には、

 “写実“という要素が

 より強く意識されるようになりました。

 

 この御本でも、

 表紙を飾っている橋口五葉さんの『髪梳ける女』をはじめ、

 伊藤深水さんの作品、

 鏑木清方さんの『築地明石町』など、

 多くの作品が江戸期の“平面的表現“や

 “様式的表現“とは異なる方向へと

 踏み出そうとしています。 

 

 それとはまた別に、

 竹久夢二さん、小村雪岱さんたちの作品には、

 江戸由来の“平面的表現“と“西洋的な新しさ“、

 両方ともが窺えますね。

 

「でもねッ、びッくりィしたのはァ~…」

「がるるー!」(←訳:これだー!)

 

 ほとんど巻末に近い場所に

 掲載されているのは、

 中原淳一さん(1913~1983)の作品。

 

 雑誌『それいゆ』『ひまわり』の編集・デザイン、

 イラストレーター、洋画家としても知られる

 中原さんですが、

 ここでは

 『娘十二ヶ月』という連作が紹介されています。

 

 これが……最強に可愛い!!

 

 『それいゆ』とは真逆の和風路線、

 日本髪に着物、

 人物像を囲むように描き込まれた小物類も

 ほぼ和もの尽くしでありながら、

 江戸の浮世絵から一歩も二歩も先を行く

 新時代の美人、いえ、

 美少女像が完成しています!

 

「いまもなおォ、あたらしいィ!」

「ぐるるるるる!」(←訳:古びてないよ!)

 

 あでやかな美女たちの肖像に加えて、

 巻頭には、

 濱中真治さんによる

 『近代日本にみる《美人画》と美人表現』、

 エイミー・R・ニューランドさんによる

 『《新版画》の欧米での評価――両大戦間(1915-40)』

 という読み応えある評論2編も収録されています。

 

 中原淳一さんの他に、

 上村松園さんの異色作(本文95ページ)、

 岡田三郎助さんの作品(本文93ページ)にも

 注目していただきたい美人版画集は、

 アート好きな方々に、

 近代史好きな活字マニアさんにも

 おすすめですよ。

 本屋さんで、図書館で、

 ぜひ、探してみてくださいな~♪

 

 

 

コメント
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