「こんにちわッ、テディちゃでス!
♪るるゥ~♪なつもォちかづくゥ~♪」
「がるる!ぐるるる~♫」(←訳:虎です!八十八夜~♫)
こんにちは、ネーさです。
立春から数えて88日……
今年2022年は5月2日が《八十八夜》になるんですって。
そろそろ新茶のシーズンなのね~と
茶摘み歌など口遊みつつ、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらのアート本を、どうぞ~!
―― 近代美人版画集 ――
編者は阿部出版の皆さん、
2022年3月に発行されました。
『Prints of Japanese beauties in the 20th century』
と英語題名が付されています。
《美人画》……というと、
喜多川歌麿さんに代表される
江戸時代の浮世絵を思い浮かべますが、
この御本で取り上げられている《美人画》は、
英語題名からも分かりますように、
20世紀の《美人画》です。
「ずいぶんッちがうゥ~?」
「ぐるるがるぐるる!」(←訳:浮世絵とは違うね!)
江戸期に確立した木版画の技術を受け継ぎながらも、
大正~昭和初期に制作された『新版画』には、
“写実“という要素が
より強く意識されるようになりました。
この御本でも、
表紙を飾っている橋口五葉さんの『髪梳ける女』をはじめ、
伊藤深水さんの作品、
鏑木清方さんの『築地明石町』など、
多くの作品が江戸期の“平面的表現“や
“様式的表現“とは異なる方向へと
踏み出そうとしています。
それとはまた別に、
竹久夢二さん、小村雪岱さんたちの作品には、
江戸由来の“平面的表現“と“西洋的な新しさ“、
両方ともが窺えますね。
「でもねッ、びッくりィしたのはァ~…」
「がるるー!」(←訳:これだー!)
ほとんど巻末に近い場所に
掲載されているのは、
中原淳一さん(1913~1983)の作品。
雑誌『それいゆ』『ひまわり』の編集・デザイン、
イラストレーター、洋画家としても知られる
中原さんですが、
ここでは
『娘十二ヶ月』という連作が紹介されています。
これが……最強に可愛い!!
『それいゆ』とは真逆の和風路線、
日本髪に着物、
人物像を囲むように描き込まれた小物類も
ほぼ和もの尽くしでありながら、
江戸の浮世絵から一歩も二歩も先を行く
新時代の美人、いえ、
美少女像が完成しています!
「いまもなおォ、あたらしいィ!」
「ぐるるるるる!」(←訳:古びてないよ!)
あでやかな美女たちの肖像に加えて、
巻頭には、
濱中真治さんによる
『近代日本にみる《美人画》と美人表現』、
エイミー・R・ニューランドさんによる
『《新版画》の欧米での評価――両大戦間(1915-40)』
という読み応えある評論2編も収録されています。
中原淳一さんの他に、
上村松園さんの異色作(本文95ページ)、
岡田三郎助さんの作品(本文93ページ)にも
注目していただきたい美人版画集は、
アート好きな方々に、
近代史好きな活字マニアさんにも
おすすめですよ。
本屋さんで、図書館で、
ぜひ、探してみてくださいな~♪