「こんにちわッ、テディちゃでス!
くんくんッ! かおりィ~まスゥ!」
「がるる!ぐるがるぐる!」(←訳:虎です!梅の花の香り!)
こんにちは、ネーさです。
ロウバイに続いて、
紅白の梅のお花も咲き始めましたね。
次は桃の花かなぁ、菜の花かなぁ、と
春の散歩を楽しんだあとは、
さあ、こちらの御本で読書タイムを、どうぞ~♪
―― 英国クリスマス幽霊譚傑作集 ――
著者はチャールズ・ディケンズさん他、
編訳は夏来健次(なつき・けんじ)さん、
2022年11月に発行されました。
『A CHRISTMAS TREE : and Other Twelve Victorian Ghost Candles』
と英語題名が付されています。
「あわわッ! ゆうれいィ~!」
「ぐるるがるぅ!」(←訳:怖いの来たぁ!)
はい、ちょっと季節はズレちゃいましたが、
久々に怪談モノがやってまいりましたよ。
著者名にもある、
英国の文豪ディケンズさんの代表作といえば、
現代の日本でもよ~く知られている
『クリスマスキャロル』。
聖なる季節を背景にした、
愛と寛容、許しと再生の
ハートウォーミングな物語ですよね♫
……なぁんて思っているのは、
ふふふ、日本人だけかもしれません。
『クリスマスキャロル』、
いえ、原題『スクルージ』の本質は、
幽霊譚!
日本的に言うなら、怪談なんです。
「とびかうゥおばけッ!」
「がるるぐるる?」(←訳:幻視や幻聴も?)
怖いお話を、クリスマスシーズンに。
というのが、実は英国の伝統芸、否、伝統文化ですので、
『スクルージ』以外にも
クリスマスの家庭を舞台にした幽霊譚は
少なくありません。
この御本に収録されている短編12作品も、
折り紙つきの”聖なる季節の幽霊譚”です。
巻頭を飾っているのは、
大御所であるディケンズさんの
『クリスマス・ツリー』。
『スクルージ』とは異なるタイプの、
幻想的な幽霊譚、でしょうか。
「ほかにもォ~ぞろぞろッ!」
「ぐるる~!」(←訳:幽霊が~!)
恐怖が堂々と、或いはジワリと背筋に忍びくる12の作品は
ヴィクトリア朝の英国の雰囲気を
鮮やかに蘇らせてくれます。
その中で、これちょっと異色じゃない?
と驚かせてくれるのは、
J・H・リデル夫人著
『胡桃邸(くるみやしき)の幽霊』……
ロンドンから少し北の某所に
赤煉瓦造りの大きな邸宅が建っていました。
7年間、空き家であったその邸宅を
新しい所有者が訪問すると。
そこには、幽霊が。
「ひいいいィ~ッ!」
「がるるるぅ!」(←訳:怖いいいぃ!)
そうよね、それが普通の反応よね。
なんて恐ろしい!助けて!
騙された!こんな家もうゴメンだ!
って怒ったりするわよね。
ところが、
邸宅の新所有者・エドガーさんは、
無闇に怒ったり不安がったりはしない、んです。
家の中で子どもの幽霊に会えば、
ひどい格好だけど、
お腹が空いているのかい?
可哀想に、何か食べる?
という反応をする人物で。
「……うむむゥ?」
「ぐるるるがるぐる!」(←訳:不思議なお人です!)
エドガーさんが来たことで、
近隣から怖れられていた邸宅は、
人びとを震え上がらせていた幽霊は……?
ネタバレ回避のため、
これ以上は書けませんが、
幽霊譚とは何だろう?
と考えさせられる『胡桃邸の幽霊』
『クリスマス・ツリー』をはじめ、
快作奇作名作が詰まった怪談集は、
英国文学好きな方々におすすめですよ。
春の宵の暗がりに
ふと”なにか”の気配を感じつつ、
ぜひ、一読してみてくださいね~♪