テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 春の夕べも……幽霊譚を! ~

2023-02-12 21:50:13 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 くんくんッ! かおりィ~まスゥ!」

「がるる!ぐるがるぐる!」(←訳:虎です!梅の花の香り!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ロウバイに続いて、

 紅白の梅のお花も咲き始めましたね。

 次は桃の花かなぁ、菜の花かなぁ、と

 春の散歩を楽しんだあとは、

 さあ、こちらの御本で読書タイムを、どうぞ~♪

  

 

 

    ―― 英国クリスマス幽霊譚傑作集 ――

 

 

 著者はチャールズ・ディケンズさん他、

 編訳は夏来健次(なつき・けんじ)さん、

 2022年11月に発行されました。

 『A CHRISTMAS TREE : and Other Twelve Victorian Ghost Candles』

 と英語題名が付されています。

 

「あわわッ! ゆうれいィ~!」

「ぐるるがるぅ!」(←訳:怖いの来たぁ!)

 

 はい、ちょっと季節はズレちゃいましたが、

 久々に怪談モノがやってまいりましたよ。

 

 著者名にもある、

 英国の文豪ディケンズさんの代表作といえば、

 現代の日本でもよ~く知られている

 『クリスマスキャロル』。

 

 聖なる季節を背景にした、

 愛と寛容、許しと再生の

 ハートウォーミングな物語ですよね♫

 

 ……なぁんて思っているのは、

 ふふふ、日本人だけかもしれません。

 

 『クリスマスキャロル』、

 いえ、原題『スクルージ』の本質は、

 幽霊譚!

 日本的に言うなら、怪談なんです。

 

「とびかうゥおばけッ!」

「がるるぐるる?」(←訳:幻視や幻聴も?)

 

 怖いお話を、クリスマスシーズンに。

 というのが、実は英国の伝統芸、否、伝統文化ですので、

 『スクルージ』以外にも

 クリスマスの家庭を舞台にした幽霊譚は

 少なくありません。

 

 この御本に収録されている短編12作品も、

 折り紙つきの”聖なる季節の幽霊譚”です。

 

 巻頭を飾っているのは、

 大御所であるディケンズさんの

 『クリスマス・ツリー』。

 

 『スクルージ』とは異なるタイプの、

 幻想的な幽霊譚、でしょうか。

 

「ほかにもォ~ぞろぞろッ!」

「ぐるる~!」(←訳:幽霊が~!)

 

 恐怖が堂々と、或いはジワリと背筋に忍びくる12の作品は

 ヴィクトリア朝の英国の雰囲気を

 鮮やかに蘇らせてくれます。

 

 その中で、これちょっと異色じゃない?

 と驚かせてくれるのは、

 J・H・リデル夫人著

 『胡桃邸(くるみやしき)の幽霊』……

 

 ロンドンから少し北の某所に

 赤煉瓦造りの大きな邸宅が建っていました。

 7年間、空き家であったその邸宅を

 新しい所有者が訪問すると。

 

 そこには、幽霊が。

 

「ひいいいィ~ッ!」

「がるるるぅ!」(←訳:怖いいいぃ!)

 

 そうよね、それが普通の反応よね。

 なんて恐ろしい!助けて!

 騙された!こんな家もうゴメンだ!

 って怒ったりするわよね。

 

 ところが、

 邸宅の新所有者・エドガーさんは、

 無闇に怒ったり不安がったりはしない、んです。

 

 家の中で子どもの幽霊に会えば、

 

   ひどい格好だけど、

   お腹が空いているのかい?

   可哀想に、何か食べる?

 

 という反応をする人物で。

 

「……うむむゥ?」

「ぐるるるがるぐる!」(←訳:不思議なお人です!)

 

 エドガーさんが来たことで、

 近隣から怖れられていた邸宅は、

 人びとを震え上がらせていた幽霊は……?

 

 ネタバレ回避のため、

 これ以上は書けませんが、

 幽霊譚とは何だろう?

 と考えさせられる『胡桃邸の幽霊』

 『クリスマス・ツリー』をはじめ、

 快作奇作名作が詰まった怪談集は、

 英国文学好きな方々におすすめですよ。

 

 春の宵の暗がりに

 ふと”なにか”の気配を感じつつ、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

コメント
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