テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 剣よりも、糸を ~

2023-02-27 22:01:09 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 いいぞォ、はんぞうゥさァ~んッ!」

「がるる!ぐるるるるがるる!」(←訳:虎です!半蔵さんを主役に!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 大河ドラマ『どうする家康』での私たちの最推しは、

 山田孝之さん演ずる服部半蔵さん!

 半蔵さんと服部党をメインにした

 スピンオフ作品制作を熱望しつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

   

 

 

       ―― 編み物ざむらい ――

 

 

 著者は横山起也(よこやま・たつや)さん、

 2022年12月に発行されました。

 はい、時代は家康さんの頃から幾星霜……

 お江戸に大きな町が作られて、

 徳川家による政権の機構もしっかり確立して。

 

 なのに、とあるお武家さんの屋敷から

 聞こえてきたのは。

 

「でていけェ~ッ!」

「ぐるがるる!」(←訳:この阿呆が!)

 

 ほどなく、とぼとぼ、という足取りで門を出、

 川べりに座り込んで溜息をついたのは、

 黒瀬感九郎(くろせ・かんくろう)さん。

 

 そう、出ていけ!とか、この阿呆が!とか、

 怒鳴られまくっていたのは、

 感九郎さん、だったのですね。

 

「でてけッてェ、つまりィ~…」

「がる!」(←訳:勘当!)

 

 きっかけは、些細な、いえ、大したことでした。

 

 江戸市中で人気の医師が

 不正を働いている――という話を耳にした感九郎さん、

 その旨を奉行所に訴えたのですが、

 事実無根、との裁定が下されたのです。

 

 そうなると、責められるのは感九郎さんの方で、

 勤め先の凸橋(とつばし)家を召し放ちになり、

 父からも勘当されてしまって……あーあ。

 

「どうしようゥ~…」

「ぐるがっるる~…」(←訳:お先真っ暗だ~…)

 

 しかし、古来より言われておりますね。

 

   《芸は身を助く》

 

 と。

 ええ、そうなんです、ずっしり落ち込んでいる感九郎さん、

 実は《芸》を、

 ちょっと特別なスキルをもっているんです。

 

 それが、編み物。

 

「あみものォ~…???」

「がるぐる?」(←訳:それ本気?)

 

 私ネーさも、御本の題名を読んだときは、

 これ何かの冗談なの?と思いました。

 お武家さんが、編み物?

 笑いのネタ? スラングなのかしら?

 

 ところが、冗談ではなかったので、もうビックリ。

 編み針を使って、

 ひぃふぅみぃ、と糸を手繰って

 生地を編み上げてゆく手仕事は、

 感九郎さんの得意技だったのでした。

 

 名門ではあるけれど、

 財政状態は火の車になっている家計の足しにと、

 せっせと内職をしている感九郎さんは

 本物の“編み手”です。

 

 そして、

 家を追い出され、

 しょんぼりしている現場でも

 編み針と糸を離さなかったことが、

 彼の身を助けてゆきます。

 

「そのォ、すきるゥ!」

「ぐるるるがるる?」(←訳:活かしてみない?)

 

 正体がよく分からない一団に誘われ、

 《仕組み》の一員となった感九郎さん。

 

 感九郎さんの編みスキルが、

 隠れた才能が、

 お江戸の未来をも助く……んでしょうか?

 

「ふしぎなァ、だいぼうけんッ?」

「がぅるるるっるぐる!」(←訳:ファンタジックだよ!)

 

 剣……ではなく、

 糸をもってものごとを動かし、織り成す、感九郎さん。

 

 この作品が小説デビューとなる著者・横山さんは、

 オンライン手芸サロンで活躍する

 正真正銘の編み物作家さんです。

 ニットのプロフェショナルが

 編んでは解いてゆく新機軸お江戸ファンタジー作品を、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする