「こんにちわッ、テディちゃでス!
いいぞォ、はんぞうゥさァ~んッ!」
「がるる!ぐるるるるがるる!」(←訳:虎です!半蔵さんを主役に!)
こんにちは、ネーさです。
大河ドラマ『どうする家康』での私たちの最推しは、
山田孝之さん演ずる服部半蔵さん!
半蔵さんと服部党をメインにした
スピンオフ作品制作を熱望しつつ、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 編み物ざむらい ――
著者は横山起也(よこやま・たつや)さん、
2022年12月に発行されました。
はい、時代は家康さんの頃から幾星霜……
お江戸に大きな町が作られて、
徳川家による政権の機構もしっかり確立して。
なのに、とあるお武家さんの屋敷から
聞こえてきたのは。
「でていけェ~ッ!」
「ぐるがるる!」(←訳:この阿呆が!)
ほどなく、とぼとぼ、という足取りで門を出、
川べりに座り込んで溜息をついたのは、
黒瀬感九郎(くろせ・かんくろう)さん。
そう、出ていけ!とか、この阿呆が!とか、
怒鳴られまくっていたのは、
感九郎さん、だったのですね。
「でてけッてェ、つまりィ~…」
「がる!」(←訳:勘当!)
きっかけは、些細な、いえ、大したことでした。
江戸市中で人気の医師が
不正を働いている――という話を耳にした感九郎さん、
その旨を奉行所に訴えたのですが、
事実無根、との裁定が下されたのです。
そうなると、責められるのは感九郎さんの方で、
勤め先の凸橋(とつばし)家を召し放ちになり、
父からも勘当されてしまって……あーあ。
「どうしようゥ~…」
「ぐるがっるる~…」(←訳:お先真っ暗だ~…)
しかし、古来より言われておりますね。
《芸は身を助く》
と。
ええ、そうなんです、ずっしり落ち込んでいる感九郎さん、
実は《芸》を、
ちょっと特別なスキルをもっているんです。
それが、編み物。
「あみものォ~…???」
「がるぐる?」(←訳:それ本気?)
私ネーさも、御本の題名を読んだときは、
これ何かの冗談なの?と思いました。
お武家さんが、編み物?
笑いのネタ? スラングなのかしら?
ところが、冗談ではなかったので、もうビックリ。
編み針を使って、
ひぃふぅみぃ、と糸を手繰って
生地を編み上げてゆく手仕事は、
感九郎さんの得意技だったのでした。
名門ではあるけれど、
財政状態は火の車になっている家計の足しにと、
せっせと内職をしている感九郎さんは
本物の“編み手”です。
そして、
家を追い出され、
しょんぼりしている現場でも
編み針と糸を離さなかったことが、
彼の身を助けてゆきます。
「そのォ、すきるゥ!」
「ぐるるるがるる?」(←訳:活かしてみない?)
正体がよく分からない一団に誘われ、
《仕組み》の一員となった感九郎さん。
感九郎さんの編みスキルが、
隠れた才能が、
お江戸の未来をも助く……んでしょうか?
「ふしぎなァ、だいぼうけんッ?」
「がぅるるるっるぐる!」(←訳:ファンタジックだよ!)
剣……ではなく、
糸をもってものごとを動かし、織り成す、感九郎さん。
この作品が小説デビューとなる著者・横山さんは、
オンライン手芸サロンで活躍する
正真正銘の編み物作家さんです。
ニットのプロフェショナルが
編んでは解いてゆく新機軸お江戸ファンタジー作品を、
ぜひ、一読してみてくださいね~♪