「こんにちわッ、テディちゃでス!
さいごまでェ、だいにんきィ~なのでスゥ!」
「がるる!ぐぅるるぅる~!」(←訳:虎です!シャンシャン~!)
こんにちは、ネーさです。
シャンシャンちゃんを乗せたトラックは
大勢のファンさんが見守る中、空港へ……
名残惜しいけれど、どうか元気でね、ありがとう、と
私たちも感謝の気持ちを送りながら、
さあ、ここからは読書タイムですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― ジェラール・フィリップ 最後の冬 ――
著者はジェローム・ガルサンさん、
原著は2019年に、画像の日本語版は2022年11月に発行されました。
仏語原題は『LE DERNIER HIVER DU CID』、
フランスの名優ジェラール・フィリップさんの
“最後の日々”を追ったノンフィクション作品です。
「とにかくゥ、かッこいいィのでス!」
「ぐるがるぅ!」(←訳:美男だよう!)
1950年代のフランスで
最大の支持を獲得した俳優さん、といえば、
ジェラール・フィリップさんでした。
21世紀となった現在でも、
ジェラールさんのお姿は
『パルムの僧院』『赤と黒』『花咲ける騎士道』など
映画作品で偲ぶことが出来ます。
私ネーさがジェラールさんを知ったのは、
ジェラールさんが画家モディリアーニさんを演じた
『モンパルナスの灯』という作品がきっかけでしたが、
もう本当にノックアウトされてしまいましたよ。
「あんまりィにてないィのにィ~!」
「がるるぐるがるる!」(←訳:本人と錯覚しそう!)
その実力を疑うまでもない、
超一流の役者・ジェラールさん。
しかし、キャリアの絶頂期で彼を待っていたのは、
急な病でした。
この御本では、
ジェラールさんが身体の不調を自覚して以降の出来事が
ほぼ時系列に沿って記されています。
それがまた、どうにも切なくて……
「はやくゥ、びょういんへッ!」
「ぐるる!がるる!」(←訳:検査を!手術を!)
ええ、本文が始まるやいなや、
私たち読み手はそう思い、はらはらさせられます。
ただ……フランスは日本とは医療システムが異なるのか、
時代性や技術の問題なのか、
或いはジェラールさん御自身が検査を忌避したのか、
結果から言えば……
間に合いませんでした。
いえ、急いで検査や治療をしたとしても、
おそらく間に合わなかった……
ジェラールさんを襲ったのはそういう病気だったようです。
「ただァもうゥ~…」
「がるる……」(←訳:ため息……)
未来は無い?
いいや、未来はきっとある。
病気が進行する中でも、ジェラールさんはそう信じていました。
でなければどうして、
映画『モンテクリスト伯』出演を
約束したりするでしょう?
ローレンス・オリヴィエさん主演『ハムレット』の舞台を
観るために英国へ旅したり、
『ハムレット』仏訳版脚本を持ち歩いたりするでしょう?
「すごいィ~きゃくほんッ!」
「ぐるるるるるる!」(←訳:信じられないよ!)
『ハムレット』仏訳版の脚本は、4種類。
アンドレ・ジッドさん、マルセル・シュウォップさん、
マルセル・パニョルさん、
ピエール・レリスさんがそれぞれ仏訳した脚本って……
私ネーさ、豪華さに目眩がしました。
あのパニョルさんが翻訳した『ハムレット』!
もしそれをジェラールさんが演るとしたら!
観たい! なんとしても観たい~!!
「えんげきかいのォ、きせきィ?」
「がるる!」(←訳:至宝だ!)
ジェラールさんが夢見た未来。
実現しなかった未来。
ジェラールさんのエドモン・ダンテスも、
王子ハムレットも、
叶えられることないまま、去ってしまいました。
けれども、
すべてが消えてしまったわけではありません。
舞台俳優として、
世界を魅了した映画俳優として、
ジェラールさんの名は残ります。
願わくば、永遠に。
ジェラール・フィリップさん(1922~1959)。
彼が過ごした《最後の冬》の記録を、
皆さま、ぜひ。