テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 近代日本文学の基本は……怪談? ~

2023-02-20 22:07:32 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 まつもとォせんせェいィ~ッ!」

「がるる!ぐるがるるぐる……」(←訳:虎です!ああ出発のベルが……)

 

 こんにちは、ネーさです。

 松本零士さんが旅立たれたというニュースに、涙……涙……

 今頃は銀河鉄道の座席で

 メーテルさんと朗らかに語り合っておられることを祈りしつつ、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  

 

 

         ―― 文豪と怪奇 ――

 

 

 著者は東雅夫(ひがし・まさお)さん、

 2022年11月に発行されました。

 雑誌『幽と怪』に連載された

 《文豪たちの幽と怪》を書籍化した評論エッセイ集……

 いえ、オバケ好き文豪さんへのラブコールと申しましょうか。

 

「みィ~んなァ、だいすきィ!」

「ぐるがるる!」(←訳:怖いお話が!)

 

 この御本に登場する文豪さんは、

 

   泉鏡花さん、

   芥川龍之介さん、

   夏目漱石さん、

   小泉八雲さん、

   小川未明さん、

   岡本綺堂さん、

   佐藤春夫さん、

   林芙美子さん、

   太宰治さん、

   澁澤龍彦さん、

 

 という、 近代・現代の日本文学に多大な影響を与えた

 まさに文豪と呼ぶべき方々なのですが、

 著者・東さんは作家さんたちの《怖い話嗜好》とともに

 意外な事実やつながりをも明らかにしてくれます。

 

 芥川龍之介さんは、大の泉鏡花さんファン!

 定期試験中でも、

 鏡花さんの新作が出たとあれば、

 手に入れる!

 徹夜で読んじゃう!

 ……試験の結果は散々なものだってけれど。

 

 鏡花さんが『遠野物語』という書物を誉めている、

 と聞き知ったなら、

 発行部数がたった350部!な自費出版だろうと、

 なんとかして手に入れる&読む!

 

「じょうねつゥてきィ!」

「がるるるぐるる!」(←訳:ほとんど推し活!)

 

 芥川さんの弟子筋というべき

 夏目漱石さんも、同好の士、ですねえ。

 

 英国留学中に神経衰弱に陥った漱石さん、

 帰国後、東京帝国大学の雑誌

 『帝国文学』(1904年1月号)に発表したのは、

 『マクベスの幽霊に就(つい)て』。

 

「ふわわァ~…またもォ、ゆうれいィ!」

「ぐるるがるるぐる!」(←訳:みんなオバケ好き!)

 

 東京帝国大学で英文学の教師となった

 ギリシア生まれのアイルランド人

 ラフカディオ・ハーンさんこと

 小泉八雲さんは、なんと、

 少年時代に幽霊……いえ、生霊を目撃しています。

 

 そして、

 八雲さんを“ハーン先生“と呼んで慕ったのが、

 童話作家として知られている

 小川未明さん。

 

 その未明さん、実は……

 怪談作家である!と、

 東さんは喝破しています。

 

 そう! そうよね!

 『赤い蝋燭と人魚』って、

 童話というより怪談よね!

 

「むむむゥ~むッ!」

「がるるっる~!」(←訳:つながった~!)

 

 あの作家さんとこの作家さんをつなぐ、

 《怪奇》という糸。

 

 次代へ、未来へ、と手渡されてゆく

 糸の文様。

 

 本文の最後に取り上げられている

 澁澤龍彦さんと著者・東さんの出会いまでをつなぐ

 近現代日本文学の《怖いモノ志向》秘話は、

 怪談好き&文学史好きな方々に

 ぜひのおすすめですよ。

 

 北村紗希さんによる文豪さんたちを描いた挿絵も

 本当に素晴らしいので、

 どうか、お見逃しなく~!

 

 

コメント
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