テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 百物語の、縦糸、横糸 ~

2023-04-03 22:06:00 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きょうじゅゥ~…!」

「がるる!ぐるがるるるるる~…」(←訳:虎です!もう泣きそうです~…)

 

 こんにちは、ネーさです。

 坂本龍一さんの訃報に接し、言葉もありません。

 YMOの音楽を、『戦場のメリークリスマス』の名場面を、

 幾度となく脳内再生しながら、

 元気の素となるチカラを読書からいただきましょう。

 本日は、こちらの御本を、さあ、どうぞ~!

  

 

 

         ―― よって件のごとし ――

 

 

 著者は宮部みゆき(みやべ・みゆき)さん、

 2022年7月に発行されました。

 『三島屋変調百物語八之続』と副題にありますように、

 江戸の袋物屋・三島屋さんを舞台にした百物語シリーズの

 第8作です。

 

「ううッ、かいだんッ!」

「ぐるがるる!」(←訳:でも新展開!)

 

 ええ、そうなんですよね。

 百物語や怪談ときたら普通は、

 怖くて、ゾッとして、冷や汗が背中に……

 ってなるところなんですけれど、

 今回の三島屋さんでの《怪》談は、

 ちょっとばかり違います。

 

 それは、物語を織り成す《縦》の糸。

 

 この御本に収録されている3編をつなぐ縦糸が、

 喜ばしい光を放っているから。

 

「おめでたァ、なのでスゥ!」

「がるるぐ~る!」(←訳:おちかさ~ん!)

 

 三島屋百物語の、初代の聞き手さんであった

 おちかさん。

 

 先ごろ貸本屋へ嫁いでいったおちかさんに、

 なんと、赤ちゃんが!

 

 と聞いては、

 二代目の聞き手となった

 三島屋さんの次男坊・富次郎(とみじろう)さんは、

 いえいえ、三島屋さんの主人御夫妻、

 女中さんたち、手代さんたち、

 お店の跡取りの伊一郎(いいちろう)さんまで、

 そわそわ、どきどき。

 

「だよねッ!」

「ぐるがる!」(←訳:うんうん!)

 

 おっかさんも、番頭さんも、皆いっしょに

 胸を高鳴らせている中で、

 富次郎さんには大事な務めがあります。

 

 おちかさんから引き継いだ百物語の聞き手の役目を、

 こんなときでも、こんなときだからこそ、

 おろそかには出来ない――

 

 第一話『賽子と虻(あぶ)』

 第二話『土鍋女房』

 第三話『よって件のごとし』

 

 と、震え上がるような“こわいはなし“を聞かされながら、

 それでもやっぱり想うのは、

 この世に新しくやって来る

 小さないのちのこと。

 

 ……ここで、富次郎さんの“生地“が浮かび上がります。

 気が好い次男坊の彼は、

 こんな不安定で先行きの見えない世の中に赤子が生まれるなんて、

 と無闇に心配したりしないのです。

 

 ただただ、わくわく。

 赤子がもたらす変化を

 きっと素晴らしいものだと信じ、疑わず、

 ただ一心に待ちわびる。

 早く可愛い顔が見たいものだなあ、と。

 

「したくゥ、しなくちゃねッ!」

「がるる!ぐる!がるるぅ!」(←訳:おむつ!寝具!おもちゃ!)

 

 そんな嬉しい光に照らされては、

 物語の横糸たる怪異譚も、

 いささか座り心地が悪そう……ですが、

 表題作品『よって件のごとし』は

 超特級呪物、いえ、特別な力作です。

 

 著者・宮部さんは、

 ずっとこのテーマというかネタというか、

 或るモノについて書いてみたかったそうで――

 

「しィ~ッ!」

「ぐるるるがる~!」(←訳:ネタバレ駄目~!)

 

 えへん、そうですね。

 宮部さんを魅了し、

 これ書いてみたい!と願っていたテーマとは何なのか、

 シリーズのファンの方々は、

 怪談好きな活字マニアさんは、

 御自身の目で確認を!

 

 そして、三島屋さんの新たな物語は……

 いったいどうなる?!?

 

「きたいとィ、しんぱいィ!」

「がるるるるぐる~!」(←訳:待ち遠しいよう~!)

 

 未読の方々は、

 ぜひ、春の読書リストに加えてくださいね。

 

 

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