「こんにちわッ、テディちゃでス!
きょうじゅゥ~…!」
「がるる!ぐるがるるるるる~…」(←訳:虎です!もう泣きそうです~…)
こんにちは、ネーさです。
坂本龍一さんの訃報に接し、言葉もありません。
YMOの音楽を、『戦場のメリークリスマス』の名場面を、
幾度となく脳内再生しながら、
元気の素となるチカラを読書からいただきましょう。
本日は、こちらの御本を、さあ、どうぞ~!
―― よって件のごとし ――
著者は宮部みゆき(みやべ・みゆき)さん、
2022年7月に発行されました。
『三島屋変調百物語八之続』と副題にありますように、
江戸の袋物屋・三島屋さんを舞台にした百物語シリーズの
第8作です。
「ううッ、かいだんッ!」
「ぐるがるる!」(←訳:でも新展開!)
ええ、そうなんですよね。
百物語や怪談ときたら普通は、
怖くて、ゾッとして、冷や汗が背中に……
ってなるところなんですけれど、
今回の三島屋さんでの《怪》談は、
ちょっとばかり違います。
それは、物語を織り成す《縦》の糸。
この御本に収録されている3編をつなぐ縦糸が、
喜ばしい光を放っているから。
「おめでたァ、なのでスゥ!」
「がるるぐ~る!」(←訳:おちかさ~ん!)
三島屋百物語の、初代の聞き手さんであった
おちかさん。
先ごろ貸本屋へ嫁いでいったおちかさんに、
なんと、赤ちゃんが!
と聞いては、
二代目の聞き手となった
三島屋さんの次男坊・富次郎(とみじろう)さんは、
いえいえ、三島屋さんの主人御夫妻、
女中さんたち、手代さんたち、
お店の跡取りの伊一郎(いいちろう)さんまで、
そわそわ、どきどき。
「だよねッ!」
「ぐるがる!」(←訳:うんうん!)
おっかさんも、番頭さんも、皆いっしょに
胸を高鳴らせている中で、
富次郎さんには大事な務めがあります。
おちかさんから引き継いだ百物語の聞き手の役目を、
こんなときでも、こんなときだからこそ、
おろそかには出来ない――
第一話『賽子と虻(あぶ)』
第二話『土鍋女房』
第三話『よって件のごとし』
と、震え上がるような“こわいはなし“を聞かされながら、
それでもやっぱり想うのは、
この世に新しくやって来る
小さないのちのこと。
……ここで、富次郎さんの“生地“が浮かび上がります。
気が好い次男坊の彼は、
こんな不安定で先行きの見えない世の中に赤子が生まれるなんて、
と無闇に心配したりしないのです。
ただただ、わくわく。
赤子がもたらす変化を
きっと素晴らしいものだと信じ、疑わず、
ただ一心に待ちわびる。
早く可愛い顔が見たいものだなあ、と。
「したくゥ、しなくちゃねッ!」
「がるる!ぐる!がるるぅ!」(←訳:おむつ!寝具!おもちゃ!)
そんな嬉しい光に照らされては、
物語の横糸たる怪異譚も、
いささか座り心地が悪そう……ですが、
表題作品『よって件のごとし』は
超特級呪物、いえ、特別な力作です。
著者・宮部さんは、
ずっとこのテーマというかネタというか、
或るモノについて書いてみたかったそうで――
「しィ~ッ!」
「ぐるるるがる~!」(←訳:ネタバレ駄目~!)
えへん、そうですね。
宮部さんを魅了し、
これ書いてみたい!と願っていたテーマとは何なのか、
シリーズのファンの方々は、
怪談好きな活字マニアさんは、
御自身の目で確認を!
そして、三島屋さんの新たな物語は……
いったいどうなる?!?
「きたいとィ、しんぱいィ!」
「がるるるるぐる~!」(←訳:待ち遠しいよう~!)
未読の方々は、
ぜひ、春の読書リストに加えてくださいね。