テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 布と、糸と、ひとの暮らし ~

2023-04-17 22:05:13 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 わわわゥ! ひょうゥ~ッ??」

「がるる!ぐる~!」(←訳:虎です!退避~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 お天気不安定な関東エリアですが、

 黄色い山吹のお花やモッコウバラが見頃ですね。

 そろそろバラも咲き始めるかな?と目で探しつつ、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 織物の世界史 ――

 

 

 著者はソフィ・タンハウザーさん、

 原著は2022年に、画像の日本語版は2022年12月に発行されました。

 英語題名は『WORN : A People's History of Clothing』、

 『人類はどのように紡ぎ、織り、纏(まと)ってきたのか』

 と日本語副題が付されています。

 

 前回記事でご紹介したのは『バレエの世界史』でしたが、

 今回は、同じ“世界史“ものでも、

 『織物の世界史』。

 

 表紙を彩るヴェラスケスさんの傑作『アラクネの寓話』に導かれ、

 いざ、本文へと進んでみれば。

 

「むゥ? りねんッ?」

「ぐるるるぅ?」(←訳:麻ですかぁ?)

 

 『リネン』

 『綿』

 『絹』

 『合成繊維』

 『羊毛』

 

 と、5つのパートから構成されていて、

 いちばん初めは『リネン』になっています。

 

 ええ、そうなんです。

 もしも《人類の友》と言える布地があるとしたら、

 それは『綿』でも『絹』でもなく、

 『リネン(麻)』であると申せましょうか。

 

 綿花を栽培して収穫し、

 『綿』を作り上げる技術や製法が整ったのは、

 日本では江戸時代中期以降。

 世界的にも、

 『綿』の大量生産が可能になるのは、

 産業革命が到来してからのこと。

 

 『絹』はといえば、

 古代ローマの時代からその存在が知られていましたが、

 製造法は長く秘匿されていましたし、

 そもそも安易に大量生産できるような品物ではありません。

 

 けれど、『リネン』は。

 

「ぐんぐんッそだつゥ!」

「がるるぐいる!」(←訳:収穫も容易!)

 

 植物の、亜麻(あま)を原料とする『リネン』。

 

 紀元前7000年頃のトルコの遺跡内で

 リネン片が発見された、といいますから、

 人類と『リネン』のお付き合いは

 少なくとも9000年超、になりますね。

 

 そして、布地だけではなく。

 

 糸、も人類にとって非常に重要なアイテムでした。

 

 糸のおかげで、

 ヒトは網(あみ)をこしらえ、

 罠をしつらえ、

 縄紐を縒(よ)って、

 釣り糸を作り、

 道具と道具をつないだり、が出来る。

 獲物を捕獲したり、食べものを集めるためにも、

 糸は欠かせないもの、だったのです。

 

 衣服だって、

 布を糸で縫い合わせたもの、ですしね。

 

「めだたないィけどォ~」

「ぐるるがるる!」(←訳:VIPなんだ!)

 

 『リネン』から出発する

 人類と織物の歴史を追いながら、

 著者・タンハウザーさんは

 合成繊維という新素材、

 紡績技術のいっそうの進展も見逃していません。

 

 米国でカジュアルウェアとなったデニム、

 その“先端地“が日本へと移り、

 藍染の美しさも加えられて、

 タンハウザーさんとお友達が

 日本製の藍染ジーンズにうっとりする場面には

 デニム愛好家さんは嬉しくなっちゃうんじゃないかしら。

 

「じゃぱんぶるゥ~!」

「がるるぐるるるる!」(←訳:きれいなんだよね!)

 

 織物の、過去と、未来。

 

 ヒトと布は今後どう変容してゆくのかをも思索する力作は、

 歴史好きな活字マニアさんに激おすすめですよ。

 巻末の、訳者・鳥飼まことさんによる

 『訳者あとがき』も含めて、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

コメント
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