「こんにちわッ、テディちゃでス!
わわわゥ! ひょうゥ~ッ??」
「がるる!ぐる~!」(←訳:虎です!退避~!)
こんにちは、ネーさです。
お天気不安定な関東エリアですが、
黄色い山吹のお花やモッコウバラが見頃ですね。
そろそろバラも咲き始めるかな?と目で探しつつ、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 織物の世界史 ――
著者はソフィ・タンハウザーさん、
原著は2022年に、画像の日本語版は2022年12月に発行されました。
英語題名は『WORN : A People's History of Clothing』、
『人類はどのように紡ぎ、織り、纏(まと)ってきたのか』
と日本語副題が付されています。
前回記事でご紹介したのは『バレエの世界史』でしたが、
今回は、同じ“世界史“ものでも、
『織物の世界史』。
表紙を彩るヴェラスケスさんの傑作『アラクネの寓話』に導かれ、
いざ、本文へと進んでみれば。
「むゥ? りねんッ?」
「ぐるるるぅ?」(←訳:麻ですかぁ?)
『リネン』
『綿』
『絹』
『合成繊維』
『羊毛』
と、5つのパートから構成されていて、
いちばん初めは『リネン』になっています。
ええ、そうなんです。
もしも《人類の友》と言える布地があるとしたら、
それは『綿』でも『絹』でもなく、
『リネン(麻)』であると申せましょうか。
綿花を栽培して収穫し、
『綿』を作り上げる技術や製法が整ったのは、
日本では江戸時代中期以降。
世界的にも、
『綿』の大量生産が可能になるのは、
産業革命が到来してからのこと。
『絹』はといえば、
古代ローマの時代からその存在が知られていましたが、
製造法は長く秘匿されていましたし、
そもそも安易に大量生産できるような品物ではありません。
けれど、『リネン』は。
「ぐんぐんッそだつゥ!」
「がるるぐいる!」(←訳:収穫も容易!)
植物の、亜麻(あま)を原料とする『リネン』。
紀元前7000年頃のトルコの遺跡内で
リネン片が発見された、といいますから、
人類と『リネン』のお付き合いは
少なくとも9000年超、になりますね。
そして、布地だけではなく。
糸、も人類にとって非常に重要なアイテムでした。
糸のおかげで、
ヒトは網(あみ)をこしらえ、
罠をしつらえ、
縄紐を縒(よ)って、
釣り糸を作り、
道具と道具をつないだり、が出来る。
獲物を捕獲したり、食べものを集めるためにも、
糸は欠かせないもの、だったのです。
衣服だって、
布を糸で縫い合わせたもの、ですしね。
「めだたないィけどォ~」
「ぐるるがるる!」(←訳:VIPなんだ!)
『リネン』から出発する
人類と織物の歴史を追いながら、
著者・タンハウザーさんは
合成繊維という新素材、
紡績技術のいっそうの進展も見逃していません。
米国でカジュアルウェアとなったデニム、
その“先端地“が日本へと移り、
藍染の美しさも加えられて、
タンハウザーさんとお友達が
日本製の藍染ジーンズにうっとりする場面には
デニム愛好家さんは嬉しくなっちゃうんじゃないかしら。
「じゃぱんぶるゥ~!」
「がるるぐるるるる!」(←訳:きれいなんだよね!)
織物の、過去と、未来。
ヒトと布は今後どう変容してゆくのかをも思索する力作は、
歴史好きな活字マニアさんに激おすすめですよ。
巻末の、訳者・鳥飼まことさんによる
『訳者あとがき』も含めて、
ぜひ、一読してみてくださいね~♪