テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 古典は、つねに新しく ~

2023-04-13 22:09:34 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ちゃァーじィ、かんりょうゥ!」

「がるる!ぐるるっるがるる~!」(←訳:虎です!張り切って読もう~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ブンブン飛び舞う黄砂や花粉もなんのその、

 前回のヤエザクラ見物で元気をたっぷりチャージしましたので、

 さあ、読書タイム復活!ですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― 変容するシェイクスピア ――

 

 

 著者は廣野由美子(ひろの・ゆみこ)さん、

 桒山智成(くわやま・ともなり)さん、

 2023年2月に発行されました。

 『ラム姉弟から黒澤明まで』と副題が付されています。

 

「えんげきかいィのォ、おうさまッ!」

「ぐるるるがる!」(←訳:偉大なる劇聖!)

 

 ウィリアム・シェイクスピアさん(1564~1616)。

 

 この御本でも、冒頭の『はじめに』の一行目に、

 《シェイクスピアほど後世に大きな影響を与えた作家はいない》

 とあるように、

 シェイクスピアさんの創作の数々は

 時間の波によって風化されることなく、

 世紀を超えて伝えられ、演じられ続けてきました。

 

 エリザベス朝と同じく、劇場の舞台で。

 児童文学に、映画に、翻案作品に。

 

 著者の廣野さんと桒山さんは、

 

 序章『小説の中のシェイクスピア』

 第1章『劇場の中のシェイクスピア』

 第2章『子供の世界のシェイクスピア』

 第3章『映画の中のシェイクスピア』

 

 の各章に分けて、

 《演劇》として世に出たシェイクスピア作品が

 いかに形を変えて広まっていったのかを

 分析してゆきます。

 

「たんていィしょうせつゥ?」

「がるるるぐる!」(←訳:児童文学にも!)

「はばひろォ~いッ!」

 

 著者・廣野さんが注目するのは、

 シェイクスピアさんの作品を児童文学と結び付けた

 姉メアリさんと弟チャールズの

 ラム姉弟による『シェイクスピア物語』。

 

 ラム姉弟の略伝をも兼ねた第2章の文章は、

 緊迫感がじわじわと高まる展開もあり、

 さながらドラマのようです……!

 

「どきどきィしまスゥ!」

「ぐぅるるるるるるるがるる!」(←訳:シェイクスピア愛の深さよ!)

 

 対照的に、

 第3章では不思議な躍動感が湧き出ます。

 

 20世紀の映画界の巨匠・黒澤明さんは、

 シェイクスピアさんの戯曲に、どう立ち向かったか――

 

 英語を母国語とする人々にとって、

 シェイクスピア作品は、やはり特別なもの。

 英語特融のリズム、言い回し、

 文学史に輝く《名台詞》を舞台上で語ることは

 最大の喜びです。

 

 しかし、

 魅惑の《名台詞》は、ときに“呪縛“にも変わり得るのだとも、

 ローレンス・オリヴィエ卿は、

 オーソン・ウェルズさんたちは知っていました。

 

 映画は結局、演劇を超えられないのか?

 演劇をなぞることしか出来ないのか?

 

「うむむむゥ~…めいさくのォ、おそろしさッ!」

「がるるっるぐるるるる~…」(←訳:映画化って難しいんだ~…)

 

 黒澤明さんも“呪縛“の存在を知っていたに違いありません。

 が、或るアドバンテージにも気付いていました。

 

 英語に、囚われない。

 名台詞に、惑わされない。

 作家シェイクスピア氏の生み出した物語は、

 ただ言語に頼るものではないはず、なのだから。

 

 ならば、非英語圏の映画監督である自分には、

 何が出来るのか――

 

「そのォこたえェがァ~」

「ぐるるる!」(←訳:蜘蛛巣城!)

 

 深く掘り下げる第2章、

 果敢に斬り込んでゆく第3章、

 ふたつの対比が素晴らしいシェイクスピア作品論は、

 映画好きさんに、

 歴史好きさんにもおすすめですよ。

 

 『乱』についても、

 黒澤さん以外の映画監督さんと

 シェイクスピア作品の影響に関しても

 じっくり論じて欲しい!と思わされる一冊です。

 黒澤さんのファンの方々は、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

コメント
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