「こんにちわッ、テディちゃでス!
ちゃァーじィ、かんりょうゥ!」
「がるる!ぐるるっるがるる~!」(←訳:虎です!張り切って読もう~!)
こんにちは、ネーさです。
ブンブン飛び舞う黄砂や花粉もなんのその、
前回のヤエザクラ見物で元気をたっぷりチャージしましたので、
さあ、読書タイム復活!ですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 変容するシェイクスピア ――
著者は廣野由美子(ひろの・ゆみこ)さん、
桒山智成(くわやま・ともなり)さん、
2023年2月に発行されました。
『ラム姉弟から黒澤明まで』と副題が付されています。
「えんげきかいィのォ、おうさまッ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:偉大なる劇聖!)
ウィリアム・シェイクスピアさん(1564~1616)。
この御本でも、冒頭の『はじめに』の一行目に、
《シェイクスピアほど後世に大きな影響を与えた作家はいない》
とあるように、
シェイクスピアさんの創作の数々は
時間の波によって風化されることなく、
世紀を超えて伝えられ、演じられ続けてきました。
エリザベス朝と同じく、劇場の舞台で。
児童文学に、映画に、翻案作品に。
著者の廣野さんと桒山さんは、
序章『小説の中のシェイクスピア』
第1章『劇場の中のシェイクスピア』
第2章『子供の世界のシェイクスピア』
第3章『映画の中のシェイクスピア』
の各章に分けて、
《演劇》として世に出たシェイクスピア作品が
いかに形を変えて広まっていったのかを
分析してゆきます。
「たんていィしょうせつゥ?」
「がるるるぐる!」(←訳:児童文学にも!)
「はばひろォ~いッ!」
著者・廣野さんが注目するのは、
シェイクスピアさんの作品を児童文学と結び付けた
姉メアリさんと弟チャールズの
ラム姉弟による『シェイクスピア物語』。
ラム姉弟の略伝をも兼ねた第2章の文章は、
緊迫感がじわじわと高まる展開もあり、
さながらドラマのようです……!
「どきどきィしまスゥ!」
「ぐぅるるるるるるるがるる!」(←訳:シェイクスピア愛の深さよ!)
対照的に、
第3章では不思議な躍動感が湧き出ます。
20世紀の映画界の巨匠・黒澤明さんは、
シェイクスピアさんの戯曲に、どう立ち向かったか――
英語を母国語とする人々にとって、
シェイクスピア作品は、やはり特別なもの。
英語特融のリズム、言い回し、
文学史に輝く《名台詞》を舞台上で語ることは
最大の喜びです。
しかし、
魅惑の《名台詞》は、ときに“呪縛“にも変わり得るのだとも、
ローレンス・オリヴィエ卿は、
オーソン・ウェルズさんたちは知っていました。
映画は結局、演劇を超えられないのか?
演劇をなぞることしか出来ないのか?
「うむむむゥ~…めいさくのォ、おそろしさッ!」
「がるるっるぐるるるる~…」(←訳:映画化って難しいんだ~…)
黒澤明さんも“呪縛“の存在を知っていたに違いありません。
が、或るアドバンテージにも気付いていました。
英語に、囚われない。
名台詞に、惑わされない。
作家シェイクスピア氏の生み出した物語は、
ただ言語に頼るものではないはず、なのだから。
ならば、非英語圏の映画監督である自分には、
何が出来るのか――
「そのォこたえェがァ~」
「ぐるるる!」(←訳:蜘蛛巣城!)
深く掘り下げる第2章、
果敢に斬り込んでゆく第3章、
ふたつの対比が素晴らしいシェイクスピア作品論は、
映画好きさんに、
歴史好きさんにもおすすめですよ。
『乱』についても、
黒澤さん以外の映画監督さんと
シェイクスピア作品の影響に関しても
じっくり論じて欲しい!と思わされる一冊です。
黒澤さんのファンの方々は、
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪