テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ その日、目にしたものは。 ~

2023-04-18 22:11:12 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あッちもォ、こッちもォ~!」

「がるる!ぐるがるぐる!」(←訳:虎です!予約録画追加!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 4月期の新ドラマの放送が次々と始まって、

 あれもこれもと録画設定に忙しい毎日ですね。

 今期のアタリはどれかなぁ?とTV番組表を眺めつつ、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 戦場のピアニスト ――

 

 

 著者はロナルド・ハーウッドさん、

 原著は2002年に、画像の日本語版は2003年2月に発行されました。

 英語原題は『THE PIANIST』、

 映画『戦場のピアニスト』の原作……というよりも、

 脚本、に近い作品です。

 

「ネーさッ、はまッてまスゥ!」

「ぐるるがるぐるる!」(←訳:なぜかあの映画に!)

 

 ええ、なぜか『戦場のピアニスト』にハマってしまって、

 先日は、

 『《戦場のピアニスト》を救ったドイツ国防軍将校:ヴィルム・ホーゼンフェルト』

 をご紹介いたしました。

 

 では原作も読んでみようかな、と手に取ったのが

 この『THE PIANIST』なのですが、

 前述しましたように、

 “原作小説”ではありません。

 

 表紙を開いて、

 冒頭から80ページまでは、

 映画に関する解説(プロダクションノート)、写真などが収録されています。

 そして、

 81~242ページに脚本、

 巻末には

 映画の脚本を手掛け、この『THE PIANIST』の著者である

 ハーウッドさんへのインタビューもあって、全体に

  ”映画『戦場のピアニスト』を知るための一冊“

 という印象です。

 

 ところが。

 おそらく、この御本の中で最もショッキングな、

 読み手の心を抉るパートは、

 脚本の部分でも、

 ハーウッドさんへのインタビューでもありません。

 

 39ページの、プロダクション・ノートの文章、

 『ポランスキー自身の体験が生きた場面』、

 これが途方もなく重い……。

 

「びッくりィしましたでスゥ!」

「がるるぐっるる??」(←訳:実体験だったの??)

 

 映画の中で、

 主人公シュピルマンさんが

 収容所へ送られる家族からひとり引き離されるシーンは、

 監督ポランスキーさんが実際に体験したものだった――

 

 あの場面は、少年時代のポランスキーさんが、

 ポーランドの古都クラクフのゲットーを脱出した際に

 ドイツ兵に見つかったときの経験が

 もとになっている、

 というのです。

 

「えいがァなのにィ~」

「ぐるがぅるるぅる!」(←訳:ノンフィクション!)

 

 監督のポランスキーさんもまた、

 シュピルマンさんと同じくユダヤ人であり

 戦争当時のポーランドに住んでいたのでした。

 

 ワルシャワやクラクフ、

 占領下にある他の多くの都市でも、

 寸分たがわぬ悲劇が起きていたのだと、

 私たちは改めて思い知らされます。

 

「たとえェいきのびてもォ~…」

「がるるるぐるるるるる……」苦しみは消えないんだ……

 

 死地へ――

 収容所へ連れ去られていった数万数十万数百万の人びとが、

 その日、目にした現実。

 

 戦争の狂気と、

 狂気がもたらした惨たらしい傷痕の記録は、

 息が苦しくなるほどです。

 けれど、これが記憶のまま過ぎゆき、

 決して繰り返されることのないようにと祈りながら、

 どうか皆さま、

 ぜひ、一読を。

 

 

コメント
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