テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 橋を、守らば。 ~

2023-04-11 22:09:49 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 つつじィにィ、ぼたんッ!」

「がるる!ぐるるる~!」(←訳:虎です!藤の花も~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 初夏めいた気温のせいでしょうか、

 お花さんたちがパパパパーン!と咲き競っていますね。

 たっぷり目の保養をした後は、さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― 江戸のかほり ――

 

 

 著者は藤原緋沙子(ふじわら・ひさこ)さん、

 編者は菊地仁(きくち・めぐみ)さん、

 2022年12月に発行されました。

 『藤原緋沙子傑作選』と副題が付されています。

 

 2002年にデビューした著者・藤原さんは、

 2022年に作家生活20周年を迎えました。

 この御本は、

 

 《隅田川御用帳》

 《橋廻り同心・平七郎控》

 《藍染袴お匙帖》

 《浄瑠璃長屋春秋記》

 

 という、藤原さん著作の人気のシリーズから

 短編1篇ずつを選んで構成したアンソロジー作品です。

 

「おえどォ、でスねェ~」

「ぐるがるるる!」(←訳:町のざわめき!)

 

 縁切り寺の御用宿を舞台とする《隅田川御用帳》、

 お江戸では珍しい女性の医師さんが主人公の《藍染袴お匙帖》、

 行方不明の妻を探す浪人さんを主役とする《浄瑠璃長屋春秋記録》、

 とシリーズの特色がそれぞれに異なる中で、

 私ネーさが感心させられたのは、

 

 《橋廻り同心・平七郎控》シリーズ。

 

「えどのォまちをォ~まもりまス!」

「がるぐる!」(←訳:特に橋を!)

 

 江戸の町を守る同心さん、といえば、

 十手をかざし、盗人たちと闘って捕まえて、と

 治安の維持が職務のお役人さんが有名ですが。

 

 立花平七郎(たちばな・へいしちろう)さんは、

 定橋掛(じょうはしがかり)、

 通称を橋廻り(はしまわり)という、

 木槌(きづち)を手にして

 江戸の町を見回るお役人さん、なのです。

 

 川にかかっている橋に、

 壊れたり、傷んだりしている箇所はないか。

 橋のたもとの広場を不法に使う者はいないか。

 川の整備に問題はないか。

 

 などなど、橋と川にかかわる案件を

 担当する要員な訳で。

 

「せきにんッじゅうだいィ~でスよゥ!」

「ぐるるるがるるぐるる!」(←訳:お江戸は水の都だもん!)

 

 21世紀の現代と違って、

 昔むかしの江戸の町は、

 天然の河川と大小の運河が縦横に走る水運の都。

 平七郎さんたちが管理している江戸の橋の数は、

 なんと、125にも上ります。

 

 まことに責任重大な、

 “町を守る“お仕事です、けれど、も……

 

 十手を持つ定町廻り(じょうまちまわり)を

 花形とするなら、

 橋廻りは閑職。

 バカにされやすいお役目、なんですよねえ。

 

「むむゥ~…くやしいィ~!」

「がるるる!」(←訳:ぷんすか!)

 

 今日もまた、平七郎さんたちは

 定町廻りの役人たちから

 ちょっとした嫌がらせを受けました。

 

 橋げたの下に浮かぶ木切れの間に、

 白い手が、ちらほら。

 ああ……これは。

 

「あわわわッ!」

「ぐるるるがる~…!」(←訳:南無阿弥陀仏~…!)

 

 いわゆる“土座衛門“を、引き上げて、

 番屋へ運んで検死をしたら、

 橋廻りは首を突っ込むな、と言われ。

 しかも、

 遺体の死因をろくに調べようとせず。

 

「むむゥ、それはァ~ひどいィ!」

「がっるるるるぐるるがる!」(←訳:怒っていいぞ平七郎さん!)

 

 怒る、というより、

 《謎》を放っておけない質の平七郎さんは

 密かに調へ始めます。

 哀れな遺体が橋の下に流れ着くまでに、

 いったい何が起こったのか――

 

 橋廻り、という役職から見えてくる、

 江戸の町を、安寧を守ろうと努めた多様な職と、人びと。

 

 新鮮な驚きをもたらしてくれる江戸のものがたり4選は、

 時代小説好きな方々に、

 歴史好きな活字マニアさんに、おすすめですよ。

 お堀や橋脚、

 忙しく川面を行き交う荷船を思い浮かべながら、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

  

 

コメント
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