「こんにちわッ、テディちゃでス!
きょうからァ、ほうそうゥかいしィ~!」
「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!熱演でした!)
こんにちは、ネーさです。
今日4月9日からEテレで放送が始まったのは、
『青のオーケストラ』!
大人気の原作コミックがアニメ化と、
流麗なヴァイオリンの音色に拍手を送ったあとは、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪
―― 黒衣の外科医たち ――
著者はアーノルド・ファン・デ・ラールさん、
原著は2014年に、画像の日本語版は2022年12月に発行されました。
オランダ語原題は『ONDER HET MES』
(英語版題名は『UNDER THE KNIFE』)、
『恐ろしくも驚異的な手術の歴史』と日本語副題が付されています。
「しゅッ、しゅじゅつゥ……!」
「ぐるるがるるぐる~…」(←訳:考えるだけで痛い~…)
外科手術の歴史。
人類の歴史は、
“どんな状況でも生き延びよう“とする生きものの歴史、
でもありますが、
その中でも、医学――外科手術の歴史は、
目にはっきりと映る《死神との闘い》と言えましょうか。
流れる血を止める。
傷口を塞ぐ。
折れた骨をもとの位置に。
といった“人体を修復する作業“は、
古代より連綿と行われてきたもの、ですけれど。
「いがいィにもォ~?」
「がるるるぐるっる!」(←訳:ハズレが多かった!)
滅菌のために消毒?
術後は清潔?
麻酔で痛みを軽減?
なんていうことは、近代に到って以後の思考で、
かつてはトンデモない”治療“が行われていたのでした。
いや、近代であろうとも、
ミスや誤解は珍しくなかったようです。
その一例が……
奇術師フーディーニさんの悲劇。
「いだいなるゥ~まじしゃんッ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:世紀の脱出王だ!)
鎖に縛られて木箱に密閉され、
その木箱をニューヨーク湾に投げ入れられても、
はい、脱出!
手錠をかけて、水を満タンにしたミルク缶に入れられて、
それでも脱出!
生き埋めや拘束衣や逆さ吊りや、
あらゆるピンチから脱出してみせた
奇術師フーディーニさんは自分の頑健さに疑いを持たず、
どんな拳にも倒れないぞ、と
観客さんを挑発していたほど。
その挑発が仇となり、
脇腹に打撃されたことが原因で亡くなったのだと、
まことしやかに伝えられてきました。
でも、真の死因は……虫垂炎。
「ちゅうすいえんッてェ~…」
「がる!」(←訳:盲腸!)
虫垂炎の手術は、
1887年、米国フィラデルフィアのモートン医師によって成功し、
フーディーニさんの時代には
手術の方法が広く知られてしました。
しかし、
不調を自覚していながらも、
さまざまな不運が重なり、
フーディーニさんは早くに治療を受けられなかったようです。
「ううゥ、もッたいィないィ……!」
「ぐるがるる~…」(←訳:悲し過ぎる~…)
同じく近代、
いえ、ほぼ現代の悲劇と言えるのは、
かの有名なケネディ大統領の暗殺事件です。
私ネーさ、この御本で初めて知りました。
ケネディさんは即死ではなかった、と。
よくTVなどで取り上げられるニュース映像はあまりに衝撃的で、
そこまで思い到らなかったのですが、
病院に搬送された大統領はまだ絶命しておらず、
外科医師さんたちは全力で治療に取り組むも、
その甲斐もなく……。
「あうゥ~…」
「がるるぐる……」(←訳:これも悲劇……)
悲劇はなおも加速します。
暗殺事件のわずか2日後、
同じ病院に運ばれてきたのは、
ケネディの暗殺者とされる人物……!
ひとつの病院の手術室で
国家の歴史が大きく動いてゆく、
その瞬間とは。
「しゅじゅつッてェ、やぱりィ~」
「ぐるるる!」(←訳:恐ろしい!)
現役の外科医さんである著者ファン・デ・ラーるさんが語る
古今の外科手術の歴史は、
ヒトの《闘い》の記録であり、
強大な力をふるう死神への
ひそかな宣戦布告でもありましょうか。
いつかはきっと、の願いをこめての。
歴史好きな活字マニアさんや
ノンフィクション好きな方々には
激おすすめの労作ですよ。
本屋さんで、図書館で、ぜひ、探してみてくださいね~♪