テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ いつかきっと、の願いを。 ~

2023-04-09 22:05:33 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きょうからァ、ほうそうゥかいしィ~!」

「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!熱演でした!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日4月9日からEテレで放送が始まったのは、

 『青のオーケストラ』!

 大人気の原作コミックがアニメ化と、

 流麗なヴァイオリンの音色に拍手を送ったあとは、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― 黒衣の外科医たち ――

 

 

 著者はアーノルド・ファン・デ・ラールさん、

 原著は2014年に、画像の日本語版は2022年12月に発行されました。

 オランダ語原題は『ONDER HET MES』

 (英語版題名は『UNDER THE KNIFE』)、

 『恐ろしくも驚異的な手術の歴史』と日本語副題が付されています。

 

「しゅッ、しゅじゅつゥ……!」

「ぐるるがるるぐる~…」(←訳:考えるだけで痛い~…)

 

 外科手術の歴史。

 

 人類の歴史は、

 “どんな状況でも生き延びよう“とする生きものの歴史、

 でもありますが、

 その中でも、医学――外科手術の歴史は、

 目にはっきりと映る《死神との闘い》と言えましょうか。

 

 流れる血を止める。

 傷口を塞ぐ。

 折れた骨をもとの位置に。

 といった“人体を修復する作業“は、

 古代より連綿と行われてきたもの、ですけれど。

 

「いがいィにもォ~?」

「がるるるぐるっる!」(←訳:ハズレが多かった!)

 

 滅菌のために消毒?

 術後は清潔?

 麻酔で痛みを軽減?

 なんていうことは、近代に到って以後の思考で、

 かつてはトンデモない”治療“が行われていたのでした。

 

 いや、近代であろうとも、

 ミスや誤解は珍しくなかったようです。

 その一例が……

 

 奇術師フーディーニさんの悲劇。

 

「いだいなるゥ~まじしゃんッ!」

「ぐるるがるるる!」(←訳:世紀の脱出王だ!)

 

 鎖に縛られて木箱に密閉され、

 その木箱をニューヨーク湾に投げ入れられても、

 はい、脱出!

 手錠をかけて、水を満タンにしたミルク缶に入れられて、

 それでも脱出!

 

 生き埋めや拘束衣や逆さ吊りや、

 あらゆるピンチから脱出してみせた

 奇術師フーディーニさんは自分の頑健さに疑いを持たず、

 どんな拳にも倒れないぞ、と

 観客さんを挑発していたほど。

 

 その挑発が仇となり、

 脇腹に打撃されたことが原因で亡くなったのだと、

 まことしやかに伝えられてきました。

 

 でも、真の死因は……虫垂炎。

 

「ちゅうすいえんッてェ~…」

「がる!」(←訳:盲腸!)

 

 虫垂炎の手術は、

 1887年、米国フィラデルフィアのモートン医師によって成功し、

 フーディーニさんの時代には

 手術の方法が広く知られてしました。

 

 しかし、

 不調を自覚していながらも、

 さまざまな不運が重なり、

 フーディーニさんは早くに治療を受けられなかったようです。

 

「ううゥ、もッたいィないィ……!」

「ぐるがるる~…」(←訳:悲し過ぎる~…)

 

 同じく近代、

 いえ、ほぼ現代の悲劇と言えるのは、

 かの有名なケネディ大統領の暗殺事件です。

 

 私ネーさ、この御本で初めて知りました。

 ケネディさんは即死ではなかった、と。

 

 よくTVなどで取り上げられるニュース映像はあまりに衝撃的で、

 そこまで思い到らなかったのですが、

 病院に搬送された大統領はまだ絶命しておらず、

 外科医師さんたちは全力で治療に取り組むも、

 その甲斐もなく……。

 

「あうゥ~…」

「がるるぐる……」(←訳:これも悲劇……)

 

 悲劇はなおも加速します。

 暗殺事件のわずか2日後、

 同じ病院に運ばれてきたのは、

 ケネディの暗殺者とされる人物……!

 

 ひとつの病院の手術室で

 国家の歴史が大きく動いてゆく、

 その瞬間とは。

 

「しゅじゅつッてェ、やぱりィ~」

「ぐるるる!」(←訳:恐ろしい!)

 

 現役の外科医さんである著者ファン・デ・ラーるさんが語る

 古今の外科手術の歴史は、

 ヒトの《闘い》の記録であり、

 強大な力をふるう死神への

 ひそかな宣戦布告でもありましょうか。

 いつかはきっと、の願いをこめての。

 

 歴史好きな活字マニアさんや

 ノンフィクション好きな方々には

 激おすすめの労作ですよ。

 本屋さんで、図書館で、ぜひ、探してみてくださいね~♪

 

 

コメント
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