テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 明日の《民話》 ~

2023-04-26 22:07:50 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ふゥ~…ねむいィ~…」

「がるる!ぐるるがるるるぐる!」(←訳:虎です!それはお天気のせい!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 低気圧やら寒暖差やら疲労のせいで、

 つい眠くなりやすい春は、

 心地良い睡眠導入のためにこの御本を……

 いえ、スパっと眠気覚ましのために、

 こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― ひどい民話を語る会 ――

 

 

 著者は、京極夏彦(きょうごく・なつひこ)さん、

 多田克己(ただ・かつみ)さん、村上健司(むらかみ・けんじ)さん、

 黒 史郎(くろ・しろう)さん、2022年10月に発行されました。

 

 前回記事でご紹介しました『図解でよくわかる はじめての世界神話』とは、

 まったくベクトル真逆?なのが、

 はい、こちらの――

 

「みんわッ??」

「ぐるるぅ~…!」(←訳:民話かぁ~…!)

 

 多くの先人たちによって、

 練り上げられ、“完成品”になったものが

 《神話》だとするならば、

 《民話》は変幻自在な“語り”です。

 

 著者の京極夏彦さんが、

 御本冒頭の『はじめに』で述べておられるのは。

 

    お爺ちゃん&お婆ちゃんが

    子どもたちを相手に

    囲炉裏端で語り聞かせる《民話》。

 

    この”話し””語る“ことこそ、

    かつてはエンターテインメントの本流であった。

 

    お爺ちゃん&お婆ちゃんの“語り”は、

    やりたい放題。

    聞き手が喜ぶなら、とストーリーはどんどん変わってゆく。

    面白可笑しくひね曲げてしまう。

 

    そう、囲炉裏端には、無いのだ。

    コンプライアンスも

    ポリティカル・コレクトネスも。

 

    その結果……

    《ひどい民話》が誕生する。

 

「うふふふふッ♪」

「がるるっ♫」

 

 昔話の代表、といえる『桃太郎』には

 さまざまなバリエーションがあり、

 かの民俗学者・柳田國男さんを困惑させた

 怪作があったのだ、と

 著者さんたちは語り合います。

 

 教科書には載せられない、

 シモネタ強めバージョンがあれば、

 桃太郎は半グレだったバージョンがあり、

 鬼に負けちゃうバージョンや、

 ニートな桃太郎バージョンもある。

 

「ぷふふゥ! ひどいィ~!」

「ぐるるる~!」(←訳:ひどいよ~!)

 

 鬼退治に行かない桃太郎。

 それは、はたして桃太郎なのか?

 と言いたいところですが、

 お爺ちゃん&お婆ちゃんはたぶんこう言うことでしょう。

 

    いや、いいじゃないか、

    鬼退治パスしちゃっても。

    面白ければ、それで。

 

 牛の糞やら、

 キラーアイテムきな粉やら、

 鬱展開やら、

 恐ろしい事件。

 そんな話も

 囲炉裏端でフィクショナルにお喋りすれば、

 高確率で……民話に?

 

「それもォ~ひどいィ!」

「がるるるぐる!」(←訳:ひどくて怖い!)

 

 昔話のようで昔話ではない、

 伝説みたいだが伝説ではない、

 グレーゾーンに身をひそめる

 《ひどい民話》の魅力と魔力。

 

 4人の著者さんたちの博学ぶりに感服し、

 シュールな御話に大笑いしたり、

 この《民話》がいつしか《神話》になっちゃったりしたら、

 どうしよう?と心配させられたりもする

 愉しくも奇々怪々な一冊は、

 全活字マニアさんにおすすめですよ。

 本屋さんで、図書館で、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする