「こんにちわッ、テディちゃでス!
ふゥ~…ねむいィ~…」
「がるる!ぐるるがるるるぐる!」(←訳:虎です!それはお天気のせい!)
こんにちは、ネーさです。
低気圧やら寒暖差やら疲労のせいで、
つい眠くなりやすい春は、
心地良い睡眠導入のためにこの御本を……
いえ、スパっと眠気覚ましのために、
こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪
―― ひどい民話を語る会 ――
著者は、京極夏彦(きょうごく・なつひこ)さん、
多田克己(ただ・かつみ)さん、村上健司(むらかみ・けんじ)さん、
黒 史郎(くろ・しろう)さん、2022年10月に発行されました。
前回記事でご紹介しました『図解でよくわかる はじめての世界神話』とは、
まったくベクトル真逆?なのが、
はい、こちらの――
「みんわッ??」
「ぐるるぅ~…!」(←訳:民話かぁ~…!)
多くの先人たちによって、
練り上げられ、“完成品”になったものが
《神話》だとするならば、
《民話》は変幻自在な“語り”です。
著者の京極夏彦さんが、
御本冒頭の『はじめに』で述べておられるのは。
お爺ちゃん&お婆ちゃんが
子どもたちを相手に
囲炉裏端で語り聞かせる《民話》。
この”話し””語る“ことこそ、
かつてはエンターテインメントの本流であった。
お爺ちゃん&お婆ちゃんの“語り”は、
やりたい放題。
聞き手が喜ぶなら、とストーリーはどんどん変わってゆく。
面白可笑しくひね曲げてしまう。
そう、囲炉裏端には、無いのだ。
コンプライアンスも
ポリティカル・コレクトネスも。
その結果……
《ひどい民話》が誕生する。
「うふふふふッ♪」
「がるるっ♫」
昔話の代表、といえる『桃太郎』には
さまざまなバリエーションがあり、
かの民俗学者・柳田國男さんを困惑させた
怪作があったのだ、と
著者さんたちは語り合います。
教科書には載せられない、
シモネタ強めバージョンがあれば、
桃太郎は半グレだったバージョンがあり、
鬼に負けちゃうバージョンや、
ニートな桃太郎バージョンもある。
「ぷふふゥ! ひどいィ~!」
「ぐるるる~!」(←訳:ひどいよ~!)
鬼退治に行かない桃太郎。
それは、はたして桃太郎なのか?
と言いたいところですが、
お爺ちゃん&お婆ちゃんはたぶんこう言うことでしょう。
いや、いいじゃないか、
鬼退治パスしちゃっても。
面白ければ、それで。
牛の糞やら、
キラーアイテムきな粉やら、
鬱展開やら、
恐ろしい事件。
そんな話も
囲炉裏端でフィクショナルにお喋りすれば、
高確率で……民話に?
「それもォ~ひどいィ!」
「がるるるぐる!」(←訳:ひどくて怖い!)
昔話のようで昔話ではない、
伝説みたいだが伝説ではない、
グレーゾーンに身をひそめる
《ひどい民話》の魅力と魔力。
4人の著者さんたちの博学ぶりに感服し、
シュールな御話に大笑いしたり、
この《民話》がいつしか《神話》になっちゃったりしたら、
どうしよう?と心配させられたりもする
愉しくも奇々怪々な一冊は、
全活字マニアさんにおすすめですよ。
本屋さんで、図書館で、
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪