テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 『ギャッツビー』への扉 ~

2013-09-10 21:47:57 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ややッ! しらさぎィ!」
「がるる!ぐるるるぅ!」(←訳:虎です!鴨もいるぅ!)

 こんにちは、ネーさです。
 詐欺?ネギしょったカモ?いえいえ、違います。
 ツバメくんたちがいなくなったなぁと思ったら、
 河川敷には白鷺や鴨の群の姿が!
 もう冬なの?と目を疑いましたが、
 まだまだ!読書の秋はこれから!ってことで、
 さあ、本日の読書タイムは、こちらを、どうぞ~!

  



 
          ―― 『グレート・ギャッツビー』の世界 ――



 著者は宮脇俊文(みやわき・としふみ)さん、2013年5月に発行されました。
 『ダークブルーの夢』と副題が付されています。
 前回記事に続いて、こちらも米文学関連の御本ですよ。

「ふむふむッ!
 えいがァ、でスねッ♪」
「ぐるるがるるるぐるるー!」(←訳:映画化されたんだよねー!)

 人気スターさんたちが出演して、
 制作に巨額のお金をかけて、
 映画が公開されたのはつい先頃のことでしたね。
 スコット・フィッツジェラルドさん著『グレート・ギャッツビー』は
 映画人さんに人気が高いらしく、
 何年かおきに映画が企画されているようです。

 その人気の原因も、分からないではありません。
 水辺の豪邸、
 夜ごとそこで繰り広げられる華やかなパーティー、
 謎に包まれたギャッツビーという男の存在……。

「えにィ、なりまスゥ!」
「がっるぐるる!」(←訳:カッコいいよ!)

 読み手を魅了し、
 これを映像化してみたい!と熱望させる物語は、
 どこから生まれたのか?

 著者・宮脇さんは、
 『グレート・ギャッツビー』をはじめ、
 『冬の夢』『氷の宮殿』『バビロンに帰る』など
 作者スコット・フィッツジェラルドの短編作品をも
 文中にちりばめつつ、
 謎の男ギャッツビーの源流を探し求めます。

 米国中西部、
 フィッツジェラルドの故郷ミネソタの、
 凍てつくような雪景色。

 或いは、
 フィッツジェラルドさん終焉の地となったカリフォルニアのような、
 陽光あふれる“南”の土地。

「なんだかァ~ほんわかしたァ~」
「ぐるるるがるる!」(←訳:おとぎ話みたい!)

 前回記事で御紹介しました『サリンジャー』は
 多くの資料で足場をがっちり固めたヘヴィな評伝作品でしたが、
 こちらの御本は
 フィッツジェラルドさんの知られざる一面を暴いたり、
 時代性を裁くことを意図して書かれたものではなく、
 『ギャッツビー』の登場人物たち、
 そして作家フィッツジェラルドさんに注がれる優しい眼差しが
 なんとも心地よく感じられます。

 『グレート・ギャッツビー』を未読の御方も、
 この心地よさを入口として、
 フィッツジェラルドさんの世界へ、ぜひ!

「えいがだいすきィなァ、おかたもォ~♪」
「がる!」(←訳:ぜひ!)


 
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ゆるぎなき。

2013-09-09 21:58:09 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ちょーようゥッ!」
「がるる!ぐるるるがるぐる!」(←訳:虎です!重陽の節句です!)

 こんにちは、ネーさです。
 秋が来たなぁ~♪と実感できる今日9月9日は、重陽の節句!
 皆さま方の長寿を祈りながら、
 本日の読書タイムでは大作にして労作!を御紹介いたしますよ。
 こちらを、どうぞ~!

  



 
              ―― サリンジャー ――



 著者はケネス・スラウェンスキーさん、原著は2010年に、日本語版は2013年8月に発行されました。
 英語原題は『 J.D.Salinger : A Life Raised High 』、
 『生涯91年の真実』と日本語副題が付されています。

 米国の作家サリンジャーさん、といったら、
 もう、あらためて説明の必要もないくらいの――

「ゆうめいィ~さッかさんッ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:マスコミ嫌いの!)

 ええ、そうですね。
 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、
 『ナイン・ストーリーズ』、『フラニーとゾーイー』など、
 20世紀文学の古典と評される大ベストセラーを著した作家さんであり、
 そして……

 インタビューを嫌い、
 マスメディアを嫌い、
 隠遁生活を送った人物としても知られています。

「まるでェ~」
「がる!」(←訳:仙人!)

 そう、さながら《森の仙人さま》なイメージが根付いているサリンジャーさん。

 この御本は、著者・スラウェンスキーさんが7年の月日を費やして書き上げた
 サリンジャーさんの評伝です。
 もちろんのこと、
 自伝ではなく、遺族公認の伝記でもありません。

 が、注ぎ込まれた労力と情熱は半端じゃないわね。
 ファンの立場からサリンジャーさんの生涯を
 調べて調べて調べまくった、って感じかしら。

「はらんッばんじょうゥ!」
「ぐるがるる!」(←訳:意外でした!)

 隠遁者サリンジャーさん、
 寡作のひとサリンジャーさん……
 そんな虚報しか見聞きしてこなかった私たちに明かされるのは、
 波乱に満ちたサリンジャーさんの前半生と、
 もがき、苦しみ、それでも闘ってきた後半生、
 ふたつの対照的なドラマです。

 第二次大戦下、
 従軍したサリンジャーさんが体験することになるのは、
 米軍のノルマンディー上陸作戦。
 また、彼の部隊は、
 パリ解放、
 ダッハウをはじめとする強制収容所の解放の最前線にも
 駆り出されたのでした。
 目にせざるを得なかった、戦争の最悪の貌……。

 悪夢を超える現実の中、
 しかし、戦地でサリンジャーさんは書いていました。
 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の原稿を。

「せんじょうゥでッ!」
「がるぐるるぐる?」(←訳:戦場だからこそ?)

 混沌の戦地で、PTSDを病んで入院した病院のベッドで、
 やがては、やっと帰還を果たした自分のアパートで。
 彼は書きます。
 書いて、
 そしてやっとの思いで発表して、
 彼の手に転がり込んできたものは――

 御本の後半部分は、
 視方によっては、戦争よりも残酷で、
 つらく、痛々しくものに感じられます。

「くるしィでスゥ~…」
「がるるるるぐるる~…」(←訳:読んでると悲しい~…)

 J.D.サリンジャーさん(1919~2010)。

 サリンジャーさんを愛し、
 何を聴かされようと彼への敬愛を失わないでいられる。
 そんな活字マニアさんのみ、
 この御本を手に取ってください。


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― 戦国“茶友”紳士録 ―

2013-09-08 21:46:29 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 まさかのォ、かちのこりィ!」
「がるる!ぐるぐるがる!」(←訳:虎です!五輪開催です!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええっ?東京でオリンピック?本当に?と、今日は朝から驚かされましたね。
 開催に、賛成/反対、色々な声があるようですが、
 五輪出場を目指しているスポーツ少年少女のために
 (特にマイナー競技でがんばっている若い選手さんたちのために!)
 いまは素直に喜びましょう♪
 さあ、では、本日の読書タイムも――

「よォ~いィ!」
「ぐるっ!」(←訳:ドンっ!)

  



 
             ―― 戦国茶の湯倶楽部 ――



 著者は中村修也(なかむら・しゅうや)さん、画は川口澄子(かわぐち・すみこ)さん、
 2013年7月に発行されました。
 『利休からたどる茶の湯の人々』と副題が付されています。

 茶の湯……つまりは、茶道……その歴史となると……。

「ううッ、むずかしそうゥッ!」
「がるぐるぅ!」(←訳:頭が痛いぃ!)

 そうね、それが一般的な反応と言えそうね。
 私ネーさも、考えただけで足がシビレてきちゃいそうです。

 しかし、
 文学博士にして、日本茶道史と古代史を専門とする著者・中村さんは、
 茶道の歴史と
 茶道史上の偉人さんたちの物語を
 とても読みやすい御本に仕立ててくださいました!

 俗に謂う、
 『目からウロコ』で『なぁ~るほど』!

「ぽろぽろォ、でスかッ?」
「ぐるがるるる?」(←訳:落ちましたか?)

 日本人の大多数が持っている、
 茶道に対する概念は、
 利休さんに関する逸話に端を発しています。

 たとえば、朝顔のお話。

 利休さんのお庭に朝顔の花がそれは見事に咲いている、と
 耳にした秀吉公。
 茶会に招かれ、いそいそと利休さんのもとを訪ねてみたけれど、
 あれ?
 花なんて無いじゃないか!
 眉をひそめつつ茶室に入れば、
 そこには、一輪の朝顔の花が……。

「うむゥ! ゆうめいィなァ、おはなしィ、でス!」
「がるるぐっるるがる!」(←訳:みんな知ってるよね!)

 ところが、
 このエピソードは創作。

 利休さんの没後ずいぶんと時が経った江戸期・元禄時代の書物、
 『南方録(なんぽうろく)』から生まれ、広まったフィクション、なのですって。

「えええッ? ふぃくしょんッ??」
「ぐるるがっるるるっ??」(←訳:ホントじゃないのっ??)

 かように、既成の《むやみに偉大なる茶聖》像を壊しながら、
 中村さんは茶道の歴史を再構築してゆきます。

 出自不明の商人たちが
 茶の湯大好き!な大名諸侯を利用し、のし上がってゆくさま。

 大事な茶道具を最期まで渡さず、地獄へ道連れ!にしちゃった武将。

 信長さんに影響されて茶道に入れ込んだ秀吉さんの、
 茶碗は黒か?赤か?をめぐる趣味の真相。

 利休さんよりはるかに前の時代にも
 茶を好み、たしなむ《先輩》茶人たちが存在した……。

「じじつはァ、しょうせつゥよりィ~」
「がるる~!」(←訳:面白い~!)

 教科書には載っていない茶の湯の歴史本道!
 歴史好きな活字マニアさんには
 ことにおすすめです♪
 武将萌え!な方々も、ぜひ~!



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~ 『いま』と『むかし』のヴィジョン ~

2013-09-07 21:38:11 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス~!
 すこしずつゥ~あきィ~ッ♪」
「がるる!ぐるぐる!」(←訳:虎です!秋の風だ!)

 こんにちは、ネーさです。
 秋が来たみたいね!
 と実感できるようになった9月最初の週末は、
 またまたしてもアート情報をお送りしちゃいましょう。
 こちらを、どうぞ~!

  



       ―― 明治のこころ モースが見た日本のくらし ――



 東京・両国の江戸東京博物館(一階展示室)にて、
 会期は2013年9月14日~12月8日
 (月曜休館、ただし9/16、9/23、10/14、11/4は開館し、10/15、11/5は振替休館)、
 江戸東京博物館開館20周年記念の特別展です。

 先日は、冬――2041年1月より同博物館にて開催される『大浮世絵展』情報を
 お伝えしましたが、
 こちらは、江戸東京博物館・秋の企画展なのですよ。

「ぐるるがるるぐるる!」(←訳:明治のアレやコレや!)

  

「しゃしんもォ、たァ~くさんッ!」

  

 展示されるのは、
 明治の頃の普通の人々の生活に根差していた、
 さまざまな身の周り品――
 下駄や草履、メガネ、うちわ、
 ごはんをいれる御櫃(おひつ)、お茶碗、枕、
 見世物(興行)に使われた生き人形、
 密封されたまま130年も保存されてきた瓶入り砂糖菓子、などなど。

 これらは、アメリカから里帰りする
 エドワード・シルベスター・モースさん(1838~1925)のコレクションです。

「もーすはかせッ!」
「がるる!」(←訳:貝塚の!)

 大森貝塚の発見者として知られるモースさんの時代は、
 『ラピュタ』の時代背景を想わせます。
 そして、明治のこどもたちを撮った写真からは、
 『千と千尋の神隠し』に似た空気が感じられますよ。
 産業革命という波が、
 極東のここ日本へも
 怒涛の勢いで流れ込んできた時代、
 『風立ちぬ』の一歩前の時代……

 実は、本日は別の記事を用意していたのですけれど、
 昨日(9月6日)の宮崎駿さんの会見報道に接し、
 また映画『紅の豚』を拝見して、
 内容を変更しました。

 『明治のこころ』展のチラシには、
 こんなコピーが記されています。

  《そのころの未来に、わたしたちは生きている。》

「かこだけどォ、みらいィ!」
「がるるるぐるるる!」(←訳:ボクらは未来の子!)

 記者会見という大仕事を終えられた宮崎さん、
 そして拙ブログを読んでくださっている皆さまにも、
 どうか、うつくしく、楽しく、穏やかな休日が訪れますように。


 では、ここでオマケ画像!
 
 新発売『カルピスフルーツパーラー コクと香りの完熟ぶどう』♪
 まだまだ熱中症には用心怠りなく~!

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これが、名作挿絵!

2013-09-06 21:38:59 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うむゥ! まいにちがァ、たたかいッ!」
「がるる!ぐるるがる~がるるぐるる~…」(←訳:虎です!きついよね~連日の戦いは~…)

 こんにちは、ネーさです。
 連日の、毎日の闘いとは、さて、なんぞや?
 答えは、本日の読書タイムの、この御本にあり~♪

  



 
           ―― 聖なる怠け者の冒険 【挿絵集】――



 著者はフジモトマサルさん、2013年5月に発行されました。
 2009年6月9日から2010年2月20日に渡り、
 朝日新聞紙上に連載された森見登美彦さんの小説『聖なる怠け者の冒険』!
 この御本はその、新聞掲載時の挿絵を
 どん!
 と、一冊に再構成した【挿絵集】です。

「まいにちィ、びッくりィしてたのでスゥ!」
「ぐるるるぅがるる!」(←訳:クオリティ高すぎ!)

 ええ、本当に!
 日刊の新聞紙上に掲載される挿絵って、
 “精密”“細密”的な要素はあまり無い、と申しますか、
 それをやっていては画家さんが倒れてしまう、ものですよね。

 小説家さんと二人三脚で作ってゆく連載小説。
 毎日毎日、
 物語の場面に合致した画を描かねばならない、
 けれど小説家さんの筆が遅れたりすると、
 しわ寄せは挿絵画家さんのところに……。

「たいへんだァ~…」
「がるるるぅ~…」(←訳:厳しいよぅ~…)

 それを承知の上で、
 著者・フジモトさんは新聞小説挿絵という難行に打って出ました。
 しかも、

    あえていつもより絵を緻密に描いてみよう

 そんなルールを自分に課して。

「もゥ~むちゃッでスねッ!」
「ぐるるがるるるる!」(←訳:真面目なんだから!)

 おかげで、私たち読者は至福の時を過ごすことが出来ました♪

 街を騒がせる謎の《ぽんぽこ仮面》!
 鴨川に映る夜の灯!
 ごはん粒ひとつずつが描きこまれた玉子かけご飯!
 風情ある京都の風物!

 こんな挿絵見たことない!

 ですから、森見さん著『聖なる怠け者の冒険』を
 最初に本屋さんで手に取ったときは、
 ああ~……挿絵がのってないぃ~…と
 奈落の底に突き落とされた心地がしたものですが、
 こうして別冊?として【挿絵集】が刊行されて、
 ふぅ、ホッとしたわ♪♪

「めでたしィ、めでたしィ~!」
「がるるぐっるるる!」(←訳:装幀も凝ってるし!)

 いかにも新聞紙っぽい色と手触りの表紙。
 挿絵に添えられているフジモトさんと
 森見さんのコメントから
 さりげなく窺える修羅場の空気……。
 毎週が綱渡りでした、と森見さんは述べておられますが……。

「おつかれさまァでしたでス!」
「ぐるがるぐる!」(←訳:感謝してます!)

 小説を読ませてくださって、
 挿絵を見せてくださって本当にありがとうございます!
 と改めて感謝したくなるこの御本は、
 画文集としてうっとり眺めるのもおすすめな一冊です。
 小説『聖なる怠け者の冒険』をまだ読んだことがない御方も、
 フジモトさんの素晴らしいお仕事を目にすれば、
 きっと知りたくなりますよ♪

 こいつぁいったいどんな物語なんだ……?と。

「むふふッ♪
 みてからァ、よむかッ?」
「がるるがるぐるる?」(←訳:読んでから見るか?)

 なお、朝日新聞朝刊には、現在
 宮部みゆきさん著『荒神(こうじん)』が連載されています。
 題字と挿絵を担当されているのはマンガ家の、こうの史代さん!
 活字マニアさんは、こちらもぜひ~!


  
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惜しむは、春。

2013-09-05 21:51:33 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 ♪るるゥ~♪ゆめでェもしィ~あえたらァ~♪」
「がるる!♪ぐるるるがるる~♪」(←訳:虎です!♪すてきなことね~♪)

 こんにちは、ネーさです。
 ……あのね、テディちゃに虎くん、
 ビミョーに違ってるわ。
 本日の読書タイムで御紹介いたしますのは、
 大瀧詠一さんの名曲『夢で逢えたら』とは題名が異なる
 こちらのエッセイ作品です~!

  



 
              ―― 夢でまた逢えたら ――



 著者は亀和田武(かめわだ・たけし)さん、2013年4月に発行されました。
 かつては雑誌の編集者、時代を風靡したマンガ誌の制作、
 TVコメンテーター、競馬評論、そして小説の執筆、と
 いくつもの顔を持つ著者・亀和田さんの、
 一種の青春回顧録がこの御本!……というべきでしょうか。

 題名の『夢でまた逢えたら』が意味するのは、いわば――

 一方通行の記憶。

「いっぽうゥつうこうゥ??」
「ぐるるがるぐる?」(←訳:片思いみたいな?)

 ええ、そうですね、
 或る出逢いがあって、
 自分にとってその出逢いは非常に印象深いものだったとしても、
 相手の人も同様に感じていた、だとは限りません。
 出逢ったことなど、
 きれいさっぱり、忘れているかもしれない……。

    そんな人たちにまつわる記憶をこれから書いてみよう

 御本の冒頭で、
 亀和田さんはそう記しています。

 たとえば、
 『ツービートっちゅう二人組の、たけしいうんや。ビートたけし』
 と紹介された、
 ブレイク前夜の北野武さんとの出会い。

「ひょわわわッ! なんというッ!」
「がるるぐるるっ!」(←訳:スゴイ出逢いっ!)

 出版やTVの世界に長年係わってきた亀和田さんに記憶の中には、
 そんな出逢いがゴロゴロ転がっているようです。

 『百万回生きたねこ』を手掛ける前の、佐野洋子さん。

 自作の名刺を配るナンシー関さん。

 堺屋太一さんと語り合ったプロレス。

 手塚治虫さんとの楽しい対談。
 TV曲の楽屋で、時間を忘れてお喋りしたこと。

「そッ、それはッ、すごいィ!」
「ぐるるる!」(←訳:いいなあ!)

 こう書くと、
 この御本って『実はボクは』的な自慢話集なの?と
 思ってしまいそうになりますが、
 亀和田さんの筆致は、
 むしろ誠実で、
 下手な偽りに流れず、
 事実と記憶を真剣に《記録》してゆくものです。

 また、
 御本の中盤で描かれる、
 国立の町とジャズ喫茶店と、
 作家・佐藤泰志さんをめぐる記憶・推測・追悼の文章は
 エッセイを超えた美しさ……

 まるで、短編小説を読んでいるかのような。

「ふむむゥ~…ふくざつなァ~」
「ぐるがるるぐる!」(←訳:でも貴重な記憶!)

 なつかしく、
 苦くも甘くもある幾つもの言葉と映像。
 
 前々回記事で御紹介した『サンドウィッチは銀座で』とは
 異なる趣きのエッセイ本ですが、
 ぜひ!のおすすめ作品です。
 マンガとTVが大好き!な御方は必読~!!
 
 
 
 
 

 
 
 
 
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秋(と冬の?)アートニュース♪

2013-09-04 21:38:37 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おおッ、あめふりィ!」
「がるる!ぐるー!」(←訳:虎です!雨だー!)

 こんにちは、ネーさです。
 現在、あまりにも長く雨のない、
 日照りの日々が続いていた東京・八王子にも雨が降っています!
 久々の雨はありがたいけれど、
 各地の大雨が止みますように、
 水害が起きませんように、と祈りつつ、
 週の半ばの本日は、アート情報を、さあ、どうぞ~!

 まずは――

  


   
             ―― 大浮世絵展 ――


 東京都墨田区の江戸東京博物館(一階展示室)にて、
 会期は2014年1月2日~3月2日(1/6、1/27、2/3、2/10、2/17、2/24は休館予定)、
 国際浮世絵学会創立50周年記念と江戸東京博物館20周年記念を兼ねた特別展です!

「しゃらくさんッ!ほくさいさんッ!」
「ぐるるるるがるるるる!」(←訳:広重さんも歌麿さんも!)

  

 2014年1月開催ですから、
 秋を飛び越えて冬のアート情報になりますが、
 浮世絵好きさんにおすすめの展覧会ですよ♪

 で、今秋のおすすめ展覧会は、と申しますと――

  


         ―― モローとルオー 聖なるものの継承と変容 ――


 東京・汐留の、パナソニック汐留ミュージアム(ルオーギャラリー)にて、
 会期は2013年9月7日~12月10日、
 こちらは、
 汐留ミュージアム会館10周年を記念する特別企画展!

「ふらんすゥからァ、はるばるゥ!」
「がるるぐっるがるぅ!」(←訳:名作がやって来るぅ!)

  

 油彩画、素描、書簡など、
 約70点の作品が展示されるそうですが、
 半数以上の作品が日本初公開!

 19世紀後半にパリの国立美術学校の教授として
 多くの画家を育てたギュスターヴ・モローさんと、
 モローさんの教え子ジョルジュ・ルオーさんの二人展も世界初!

「ふァ~?
 ふたりはァ、せんせいィとォ、おでしィさんッ??」
「ぐるがる!」(←訳:意外かも!)

 モローさんの作品を観る際に注目していただきたいことは、
 その色彩の鮮やかさ……!
 特に、水彩画がすごいんですよ!

 同時代の画家さんたちの作品は
 油彩、水彩ともに、
 ずいぶんと劣化が進行してしまっている物が多いのです。
 絵具がヒビ割れたり、
 水彩画が紙にカビのシミができてしまったり……

 ところが、モローさんの作品は全般に、
 とても保存状態がいい!
 絵具の赤や青は、本物の宝石のよう!

 とりわけ、
 『絵具に血を混ぜた!』『いや、血そのもので描いたのだ!』と
 伝説が生まれたほど鮮烈な紅色は、
 比類がありません。

「じつぶつゥをォ!」
「ぐるがるる!」(←訳:ぜひ肉眼で!)

 パリのモロー美術館館長さん監修による展覧会、
 汐留付近に行く機会がある御方は、ぜひ御観覧を~♪



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秋の《美味》狩りへ!

2013-09-03 21:44:38 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぐぐぐゥーぐゥッ!」
「がるる!ぐるるーっ!」(←訳:虎です!ぐぐぐーっ!)

 こんにちは、ネーさです。
 はて? 今しがたの、ぐーぐー、ってな音は、何かしら?
 誰かがお昼寝の最中なのでしょうか?

「ちがいィまスゥ! いまのはァ~」
「ぐるるがっるるる!」(←訳:お腹が鳴ってる音!)

 ……わかりました、食欲の秋だい!ってことね。
 よござんしょ、本日の読書タイムは
 夜中に読むのは厳禁!な美味しい一冊を御紹介いたしますよ。
 こちらを、どうぞ~!

  



 
            ―― サンドウィッチは銀座で ――



 著者は平松洋子さん、単行本は2011年に、
 画像の文庫版は2013年7月に発行されました。
 フードジャーナリストにしてエッセイストの著者・平松さんによる、
 《美味しいもの》を食べて、お店を訪ねて、また食べて♪の記は、
 ほんとにもう、羨ましいと言いましょうか、
 食欲刺激されまくり、と言いましょうか、
 ちょいと小腹が空き始める午後11時前後に読んだりすると……

「うわァッ、どうしよゥッ!」
「がるるぐるぐるるるぅ!」(←訳:空腹で眠れなくなるぅ!)

 ってくらい、危険極まりない御本です。

 いえ、昼間に読むのも危険ですね。

「あきはァ、とくにィ~」
「ぐるる!」(←訳:危険だ!)

 表題となっている『サンドウィッチは銀座で』は、
 その題名通り、美味なるサンドウィッチを求めて
 銀座の名店、老舗、文壇バー等々を
 平松さんが訪ねます。

 皆さまよく御存知の『木村屋總本店』さん、
 『洋菓子舗ウエスト』さん、
 『銀座千疋屋』さんや、
 レトロ?な喫茶店『はまの屋パーラー』さん、
 バー『ロックフィッシュ』さん、
 歌舞伎座に近い『チョウシ屋』さん……

「せんびきやさんのォ、ふるーつさんどォ!」
「がるぐるるっ!」(←訳:ボク大好きっ!)

 『春を探しに』では、
 東京から離れ、鎌倉のお寺で精進料理を。

 『いただきます、社員食堂』では、
 文藝春秋本館社員食堂、
 女子栄養大学、
 横川電気、
 新潮社本館社員食堂、
 共産党本部社員食堂、
 沖縄の琉球新報社員食堂で食べ比べ。

「ぜいたくゥ!」
「ぐるる!」(←訳:珍体験!)

 溜め息しちゃう《食》のエッセイをより引き立てるのは、
 谷口ジローさんの画!

 『坊ちゃんの時代』『孤独のグルメ』で大人気の漫画家さんが描く
 劇画風のイラストやカットは、
 写真をはるかに超える説得力で迫ってきます。

 どぜう鍋(つまりドジョウ!)を、
 食わず嫌い大魔王の私・ネーさに
 美味しそう!食べたい!と思わせる画が
 この世に存在するとは……!

「くわずゥぎらいィはァ、いけませんッ!」
「がるるっ!」(←訳:だよねっ!)

 本文はもちろん、
 巻末の『文庫版のためのあとがき』まで、
 食いしん坊さんはしっかり熟読して、
 食欲の秋を満喫なさってくださいね~♪


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~ 翼もつもの ~

2013-09-02 21:44:22 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 むむゥ~…しんじられェないィ~…」
「がるる!ぐるるるぐる!」(←訳:虎です!信じたくない!)

 こんにちは、ネーさです。
 宮崎駿さんに関するニュースに呆然としてしまった週明けの今日9月2日。
 いやきっと!引退撤回も有り得るさ!と自分を励ましながら、
 本日の読書のお時間です。
 こちらを、どうぞ~!

  



 
                ―― 天翔る ――



 著者は村山由佳(むらやま・ゆか)さん、2013年3月に発行されました。
 『天翔る』は『あまかける』とお読みくださいね。

「あまかけるゥ?ッていうとォ~…」
「ぐるるるがるぅ?」(←訳:イカロスかなぁ?)
「あぽろんのォ、ばしゃッ?」

 天の高所を疾走する太陽神アポロンの馬車、というと
 熱々!のイメージがありますね。
 盛夏、溶けてしまいそうなほどの熱を発する、
 アポロンさん以外には御せぬ馬車と、
 馬車を牽く馬たち――

 ですが、
 この御本の主人公さんは太陽神さまではなく、
 ひとりの少女――人間です。

「ふァ~、にんげんッ♪」
「がるるぐっるぐる~」(←訳:なんかホッとする~)

 岩舘まりも(いわだて・まりも)さんは、
 小学校の五年生。

 まりも、という名から連想されるのは毬藻ですね。
 ころんとして可愛い、あのマリモ。
 
 そう、まりもさんが住んでいるのは
 毬藻の故郷・北海道です。
 札幌の、或る町に、
 お祖父さん、お祖母さん、そしてお父さんと、まりもさん、
 仲良く暮らす四人家族でしたが……

 試練が、まりもさんに襲いかかりました。
 悲しいけれど、ヒトのちからではどうしようもない、
 太陽神でさえも手を出すことの出来ぬ試練です。

 けれど、苦境から、
 まりもさんを救ってくれるものがあるとしたら、
 いえ、いるとしたら?

「うむッ!
 ここはァ、ほっかいどうゥ!」
「ぐるるるるがるるぐる!」(←訳:北海道にはアレがいる!)

 北海道のアレ、で活字マニアの皆さまには
 見当がつくでしょうか?
 人気コミック『銀の匙』の愛読者さんならば、
 もしや、とピンと来るかもしれませんね♪

 そしてまた物語の後半部分では、
 『銀の匙』にも描かれていない、
 日本では殆ど馴染みのないスポーツが登場します。

「ひゃわわわッ! はじめてェきいたのでスよゥ!」
「ぐるぐるがるるぐるるるー!」(←訳:こういう競技があるんだー!)

 私たち読み手に、
 新鮮な驚きと衝撃をもたらしてくれるそのスポーツの只中へ、
 のめりこんでゆくまりもさん。

 応援してくれる周囲の人々とともに、
 彼女が目指すところとは――?

「なにかがァ、かわるゥ??」
「がるるぐるぐる!」(←訳:変わりそうだね!)

 出来るだけ予備知識なしでこの御本をで読んでいただきたくて、
 今回の御紹介はとても言葉足らずなものになってしまいました。
 どうか、活字マニアの皆さま、
 物語の面白さ、素晴らしさを、
 御自身で発見し、体感してみてください!
 ぜひ!のおすすめ作品ですよ~♪
 
 
 
 
 
 
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月初めの、アートな美女たち。

2013-09-01 21:42:29 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ♪せぷてんばァ~♪」
「がるる!♪ぐるるがるがる~♪」(←訳:虎です!♪九月になれば~♪)

 こんにちは、ネーさです。
 風涼しい(はずの)9月……
 9月最初の読書タイムは、
 あの人気美術評論家さんの御本を、さあ、どうぞ~!

  



 
            ―― はじめてのルーヴル ――



 著者は中野京子さん、2013年7月に発行されました。
 つい先日、著者・中野さんブレイクのきっかけとなった『怖い絵』が 
 ようやく文庫化されましたが、
 こちらは単行本の新刊!
 しかも、標的はルーヴル!

「おおごしょッ、でスねッ!」
「ぐるるがーるる!」(←訳:天下のルーブル!)

 照明すべてを日立製LEDに替えたことでも話題になった、
 フランス最大の――ヨーロッパ最大の――おそらく世界最大の美術館、
 ルーヴル。

 この御本では、
 著者・中野さんがセレクトした、
 ルーヴルに行ったらこれだけは見ておかないと!
 ルーヴル所蔵品ではないけれど知っておかなくちゃ!な絵画69作品が
 詳しく取り上げられ、
 特徴、背景、
 そして各画家さんの天才ぶりも解説されています。

「ひょうしはァ~もッちろんッ!」
「がる・るる~!」(←訳:モナ・リザ~!)

 ルーヴル最高の華、
 巨匠の中の巨匠レオナルドさん描く『モナ・リザ』についての文章は、
 御本の巻末、最終章。

 最終章に到るまでのメニューは、
 
 『なんといってもナポレオン』に始まり、
 『フランスを作った三人の王』、
 『ルーヴルの少女たち』、
 『ルーヴルの少年たち』、
 『まるでその場にいたかのよう』、
 『その後の運命』他、
 美男美女、貴族や王さまたち有名人、
 歴史の決定的瞬間!が雨あられ。

「ひげきもォあるしィ~」
「ぐるるがる~!」(←訳:笑いもある~!)

 笑って拍手するしかない《画家の王》ルーベンスさんの生涯。
 栄光と転落がセットになってるダヴィッドさんの画業。
 レンブラントさんの光と影……。

 私ネーさ的には、
 ティツィアーノさんの作品『手袋の男』がイチ推しです!
 肖像画絵画の白眉!
 名前も階級も年齢も分からないけれど、
 かくも冴え冴えと描き切ったティツィアーノさんの筆の見事さよ!

「でもォ~やぱりィ~」
「がるるるる~ぐる・ぐるがるる~」(←訳:オオトリは~モナリザさんに~)
「さらわれちゃッたァ!」

 そうなのよね~、
 美人なんだか美人じゃないんだか、
 判断しがたい微笑みの《美女》、モナ・リザさん……。

 その《美女》ぶりはともかく、
 描いた画家ノレオナルドさんを著者・中野さんは、

   《端的に言えば変人である》

 と診断しておられます。

「えェッ? へんじんッ??」
「ぐるぅ~??」(←訳:なぜぇ~???)

 変人の変人たる所以(ゆえん)と、
 レオナルドさんの略伝も兼ねた第17章『モナ・リザ』は
 アート好きさん必読の楽しい一編となっていますよ。
 (まだ気温はあぢぢだけど)秋です!
 アートの秋の開幕は、ぜひこの御本で~♪
 


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