テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

惜しむは、春。

2013-09-05 21:51:33 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 ♪るるゥ~♪ゆめでェもしィ~あえたらァ~♪」
「がるる!♪ぐるるるがるる~♪」(←訳:虎です!♪すてきなことね~♪)

 こんにちは、ネーさです。
 ……あのね、テディちゃに虎くん、
 ビミョーに違ってるわ。
 本日の読書タイムで御紹介いたしますのは、
 大瀧詠一さんの名曲『夢で逢えたら』とは題名が異なる
 こちらのエッセイ作品です~!

  



 
              ―― 夢でまた逢えたら ――



 著者は亀和田武(かめわだ・たけし)さん、2013年4月に発行されました。
 かつては雑誌の編集者、時代を風靡したマンガ誌の制作、
 TVコメンテーター、競馬評論、そして小説の執筆、と
 いくつもの顔を持つ著者・亀和田さんの、
 一種の青春回顧録がこの御本!……というべきでしょうか。

 題名の『夢でまた逢えたら』が意味するのは、いわば――

 一方通行の記憶。

「いっぽうゥつうこうゥ??」
「ぐるるがるぐる?」(←訳:片思いみたいな?)

 ええ、そうですね、
 或る出逢いがあって、
 自分にとってその出逢いは非常に印象深いものだったとしても、
 相手の人も同様に感じていた、だとは限りません。
 出逢ったことなど、
 きれいさっぱり、忘れているかもしれない……。

    そんな人たちにまつわる記憶をこれから書いてみよう

 御本の冒頭で、
 亀和田さんはそう記しています。

 たとえば、
 『ツービートっちゅう二人組の、たけしいうんや。ビートたけし』
 と紹介された、
 ブレイク前夜の北野武さんとの出会い。

「ひょわわわッ! なんというッ!」
「がるるぐるるっ!」(←訳:スゴイ出逢いっ!)

 出版やTVの世界に長年係わってきた亀和田さんに記憶の中には、
 そんな出逢いがゴロゴロ転がっているようです。

 『百万回生きたねこ』を手掛ける前の、佐野洋子さん。

 自作の名刺を配るナンシー関さん。

 堺屋太一さんと語り合ったプロレス。

 手塚治虫さんとの楽しい対談。
 TV曲の楽屋で、時間を忘れてお喋りしたこと。

「そッ、それはッ、すごいィ!」
「ぐるるる!」(←訳:いいなあ!)

 こう書くと、
 この御本って『実はボクは』的な自慢話集なの?と
 思ってしまいそうになりますが、
 亀和田さんの筆致は、
 むしろ誠実で、
 下手な偽りに流れず、
 事実と記憶を真剣に《記録》してゆくものです。

 また、
 御本の中盤で描かれる、
 国立の町とジャズ喫茶店と、
 作家・佐藤泰志さんをめぐる記憶・推測・追悼の文章は
 エッセイを超えた美しさ……

 まるで、短編小説を読んでいるかのような。

「ふむむゥ~…ふくざつなァ~」
「ぐるがるるぐる!」(←訳:でも貴重な記憶!)

 なつかしく、
 苦くも甘くもある幾つもの言葉と映像。
 
 前々回記事で御紹介した『サンドウィッチは銀座で』とは
 異なる趣きのエッセイ本ですが、
 ぜひ!のおすすめ作品です。
 マンガとTVが大好き!な御方は必読~!!
 
 
 
 
 

 
 
 
 
コメント
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