テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 聖地への旅 ―

2013-09-19 21:31:21 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 むゥ? おはながァ、むずむずゥ?」
「がるる!ぐるぐるがる!」(←訳:虎です!喉がヘンです!)

 こんにちは、ネーさです。
 どうやら秋の花粉シーズンが到来したようですね。
 すちゃっ!とマスクを装着して、
 さあ、読書で花粉を追い払っちゃえ!
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



 
         ―― 丘の上の修道院 ル・コルビュジエ 最後の風景 ――



 著者は笵毅舜(ニコラス・ファン)さん、原著は2011年に、日本語版は2013年6月に発行されました。
 原題は『THE CONVENT ON THE HILL LE CORBUSSIER'S LAST VISION』です。
 前回記事では、
 20世紀美術の巨匠ダリさんの展覧会を御紹介いたしました。
 こちらの御本は、
 20世紀建築界の巨匠ル・コルビュジエさんの作品をテーマとする写真集です。

「うむむゥ! しゅうどういんッ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:本物の修道院だ!)

 ル・コルビュジエさんこと、
 シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ・グリさん。

 1887年スイスで生まれ、
 フランスを中心に活動したル・コルビュジエさんは
 1965年、南フランスで海水浴中に心臓発作を起こし、
 還らぬひととなりました。

 既に内外で名を成していたル・コルビュジエさんの功績に、
 フランス政府は国葬をもって応えようとしましたが、
 その手配の最中、
 一枚のメモが見つかったのです。

 そこには、

   寿命の尽きる日が来たら、
   遺体をラ・トゥーレット修道院の教会堂に
   一晩留め置いてほしい

 という願いが記されていました。

「おそうしきィ、でスかァ~…」
「がるるぐるる……」(←訳:悲しいお別れ……)

 しかし。
 この遺言には矛盾がありました。

 ル・コルビュジエさんは、かねてから、
 自分は無神論者であると名言していたのです。

 無神論者でありながら、
 なぜ、
 この世で過ごす最後の一夜に
 修道院という場所を選んだのでしょう?

 いえ、その疑問より以前に、
 無神論者であるル・コルビュジエさんが
 どうしてまた、
 修道院――つまり宗教施設を造ることになったのか?

「むむむむゥ~??」
「ぐるる!」(←訳:謎です!)

 著者・ファンさんは
 ラ・トゥーレット修道院に長期滞在する機会を得ました。

 『薔薇の名前』で修道士・バスカビルのウイリアムが
 秘密を解いてゆくように、
 ファンさんはレンズを通し、
 偉大な建築家の真意に思いを馳せます。

 この修道院の、成り立ちとは?
 そこに、答えはあるのだろうか……?

「どこかにィ?」
「がるるるる?」(←訳:答えはある?)

 フランスのリヨン郊外、
 ドメニコ会の僧侶たちが守る、
 丘の上のラ・トゥーレット修道院への旅。

 魂を削るかのような著者・ファンさんの洞察、
 訳者・田村広子さんの丁寧な訳文で、
 活字マニアの皆さまもぜひ、
 丘の上への旅を!



 
コメント
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