テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

ゆるぎなき。

2013-09-09 21:58:09 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ちょーようゥッ!」
「がるる!ぐるるるがるぐる!」(←訳:虎です!重陽の節句です!)

 こんにちは、ネーさです。
 秋が来たなぁ~♪と実感できる今日9月9日は、重陽の節句!
 皆さま方の長寿を祈りながら、
 本日の読書タイムでは大作にして労作!を御紹介いたしますよ。
 こちらを、どうぞ~!

  



 
              ―― サリンジャー ――



 著者はケネス・スラウェンスキーさん、原著は2010年に、日本語版は2013年8月に発行されました。
 英語原題は『 J.D.Salinger : A Life Raised High 』、
 『生涯91年の真実』と日本語副題が付されています。

 米国の作家サリンジャーさん、といったら、
 もう、あらためて説明の必要もないくらいの――

「ゆうめいィ~さッかさんッ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:マスコミ嫌いの!)

 ええ、そうですね。
 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、
 『ナイン・ストーリーズ』、『フラニーとゾーイー』など、
 20世紀文学の古典と評される大ベストセラーを著した作家さんであり、
 そして……

 インタビューを嫌い、
 マスメディアを嫌い、
 隠遁生活を送った人物としても知られています。

「まるでェ~」
「がる!」(←訳:仙人!)

 そう、さながら《森の仙人さま》なイメージが根付いているサリンジャーさん。

 この御本は、著者・スラウェンスキーさんが7年の月日を費やして書き上げた
 サリンジャーさんの評伝です。
 もちろんのこと、
 自伝ではなく、遺族公認の伝記でもありません。

 が、注ぎ込まれた労力と情熱は半端じゃないわね。
 ファンの立場からサリンジャーさんの生涯を
 調べて調べて調べまくった、って感じかしら。

「はらんッばんじょうゥ!」
「ぐるがるる!」(←訳:意外でした!)

 隠遁者サリンジャーさん、
 寡作のひとサリンジャーさん……
 そんな虚報しか見聞きしてこなかった私たちに明かされるのは、
 波乱に満ちたサリンジャーさんの前半生と、
 もがき、苦しみ、それでも闘ってきた後半生、
 ふたつの対照的なドラマです。

 第二次大戦下、
 従軍したサリンジャーさんが体験することになるのは、
 米軍のノルマンディー上陸作戦。
 また、彼の部隊は、
 パリ解放、
 ダッハウをはじめとする強制収容所の解放の最前線にも
 駆り出されたのでした。
 目にせざるを得なかった、戦争の最悪の貌……。

 悪夢を超える現実の中、
 しかし、戦地でサリンジャーさんは書いていました。
 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の原稿を。

「せんじょうゥでッ!」
「がるぐるるぐる?」(←訳:戦場だからこそ?)

 混沌の戦地で、PTSDを病んで入院した病院のベッドで、
 やがては、やっと帰還を果たした自分のアパートで。
 彼は書きます。
 書いて、
 そしてやっとの思いで発表して、
 彼の手に転がり込んできたものは――

 御本の後半部分は、
 視方によっては、戦争よりも残酷で、
 つらく、痛々しくものに感じられます。

「くるしィでスゥ~…」
「がるるるるぐるる~…」(←訳:読んでると悲しい~…)

 J.D.サリンジャーさん(1919~2010)。

 サリンジャーさんを愛し、
 何を聴かされようと彼への敬愛を失わないでいられる。
 そんな活字マニアさんのみ、
 この御本を手に取ってください。


コメント
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