テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

《画集》で大冒険!!

2017-05-21 21:50:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 こんどこそォ~きめちゃおうゥッ!」
「がるる!ぐるるる!!」(←訳:虎です!新記録へ!!)

 こんにちは、ネーさです。
 はい、我らがユヴェントスはリーグ優勝に王手をかけております。
 今日こそ!今度こそ!の願いを込めて、
 試合開始の笛を待ちながら、
 さあ、読書タイムもしっかりと行きましょう。
 本日は、こちらのアートブックを、どうぞ~♪
 
  



         ―― ヨーロッパの幻想美術 ――



 解説と監修は海野弘(うんの・ひろし)さん、2017年4月に発行されました。
 『世紀末デカダンスとファム・ファタール(運命の女)たち』と
 副題が付されたこの御本は……

 この春、私ネーさが
 “最も驚かされた一冊”です!

「ふァ? びッくりィ、でスかッ?」
「ぐるるるるる?」(←訳:どこらへんが?)

 それはね、もう、
 御本を手に取っていただければ一目瞭然なんですけどね、
 アートジャンルの御本や画集といった書籍は
 殆どの場合、

   白地に図版(絵画)を置く

 というデザインが基本となっています。
 
 いちばん分かり易い例が、
 展覧会の図録でしょうか。

「ふァいッ! しろいィ、ぺーじにィ」
「がるぐる!」(←訳:絵を印刷!)

 ところが、この御本には。

 地が白いページなんて
 一ヶ所もないんです。

 マーブル模様、水玉模様、格子にグラデーション、
 花、蝶、幾何学や江戸小紋風、と
 どのページも、
 いえ、御本全体に、
 “過剰”と表現したくなるほどの装飾が施されています。

「はではでェ、でスねッ!」
「ぐるるる!」(←訳:にぎやか!)

 こういう背景デザインに
 この画を置くかー!

 と、最初に目にした時は度肝を抜かれたんですが、
 何度か見返すうち、不思議なことに
 しっくりくる、というか、
 けっして悪くない、
 むしろ地のデザインが画を活性化させているかのような
 奇妙な感じがしてきました。

 ギリギリだけれど、
 アリなのか、この画面構成……!

「ありィ、でスねッ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:楽しいからアリ!)

 斯様にデザインはブッ飛んでいても、
 監修の海野さんによる解説文は、
 ご安心ください、
 王道です。

 《象徴主義のヨーロッパ周遊》
 《デカダンス・モダン もう1つの世紀末》
 《世紀末のイコノロジー》

 本文を以上のような3つの章に分け、
 フランス象徴派、
 ベルギー象徴派、
 ラファエル前派、
 ドイツ象徴派、
 ウィーン分離派……と、
 19世紀後半以降にヨーロッパで湧き興った幻想美術と
 その担い手となった画家さんたちが
 紹介されてゆきます。

 合間には
 コラム『世紀末を彩る群像 ファム・ファタール』も掲載され、
 メアリー・シェリーさん、
 アルマ・マーラーさん、
 ルー・サロメさん他
 《運命の女》についての記述もありますよ。

「よみものとォしてもォ~」
「ぐるるる!」(←訳:面白すぎ!)

 観ながら、
 読みながら、
 象徴主義からシュールレアリズムまでの歴史を辿る。
 絵画の森の中の、
 うねった道を歩いてゆく――

 アートディレクションは原条令子さん、
 デザインは八田さつきさん。

 勇気ある勝負に打って出たこのおふたりの名を
 心にしかと刻みつつ、
 いわゆる《世紀末アート》好きな御方は、
 ぜひ、一読&一覧を!
 
 

 
 
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ジャポンで、再会?

2017-05-20 21:57:23 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 かんぜんにィ、なつゥ~??」
「がるる!ぐるるがるるる!」(←訳:虎です!かき氷ください!)

 こんにちは、ネーさです。
 えーと、まだ5月なんだけどぉ、
 サンダル出しちゃおうかなぁ~?なんて考えてしまう週末は、
 読書をサボって展覧会情報をお送りしますよ。
 こちらを、どうぞ~♪

  



         ―― アルチンボルド 展 ――



 東京・上野の国立西洋美術館にて、
 会期は2017年6月20日~9月24日
 (月曜休館と7/18は休館、ただし7/17、8/14、9/18は開館)、
 『Nature into Art Arcimboldo』と英語題名が付されています。

「うむむゥ! テディちゃ、みたことォありまスゥ!」
「ぐるるがる!」(←訳:有名な絵だ!)

  

 ジュゼッペ・アルチンボルドさん(1526~1593)は、
 イタリアのミラノに生まれ、
 ウィーンとプラハのハプスブルク宮廷で活躍した画家さんです。

 代表作は、やっぱり↑この↓《四季》シリーズでしょうか。

「はるはァ、はなばなッ♪」
「がるぐるるがる!」(←訳:夏は果実と野菜!)
 
  

「あきはァ、しゅうかくゥ!」
「ぐるがる?」(←訳:冬は休息?)

  

 季節がもたらす恵み、様々なモチーフを組合せて描かれた
 絵画史上に名高い奇作《四季》。

 《春》はマドリードの王立サン・フェルナンド美術アカデミー美術館、
 《夏》と《秋》は米国のデンバー美術館、
 《冬》はウィーン美術史美術館に収蔵と、
 世界各地に散らばっていた4作品が、
 この夏、日本の地で集結する運びとなりました。

「おほッ♪ こッちのもォ~!」
「がるぐる!」(←訳:奇々怪々!)

  

 ↑こちらの『庭師/野菜』(1590年頃)は
 イタリアのクレモナ美術館が所蔵する
 肖像画/静物画なんですよ。

「ふほほゥ! とりッきィ~!」
「ぐるがるるるぅ!」(←訳:挑戦してるなぁ!)

  

 この展覧会では、
 世界各地の主要な美術館が所蔵する
 アルチンボルドさんの油彩画10数点や素描を中心に、
 画家さんの《謎》に迫ります。

 アルチンボルドさんは宮廷の装飾や衣装をデザイン、
 祝典や馬上槍試合などのイベントを企画し、
 水力技師でもあり、
 楽器や噴水も発明したりと
 非常にマルチな才人であったそうですから、
 いうなれば……
 “もうひとりのレオナルド”、かしら?

「うるとらァゆにーくゥ!」
「がるるぐる!」(←訳:万能のひと!)

 ミステリアスなアート大好き!な御方は、
 既に前売り券も発売されておりますので、
 美術館HPを参照の上、
 お出掛けスケジュールを設定してくださいな。
 講演会やスライドトークも
 予定されていますよ♪

「たのしィ~なつやすみィ!」
「ぐるるがる!」(←訳:上野へぜひ!)




   では、美味しいオマケ画像も、ここで♪
  
   『シャトレーゼ』さんの
   《ダブルシュークリーム》、
   今日のような暑い日は……
   「ひやしィまス!」
   「がるるる!」(←訳:冷凍庫で!)
   凍り始める寸前まで冷やしたら、
   ゆっくり、スプーンでいただきます♪
   「ちべたッ!」
   「ぐるるっ!」(←訳:んまいっ!)
   明日もまた暑くなりそうですから、
   どうか皆さま、熱中症に注意して、
   穏やかな休日を!

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こころへ、とどけ。

2017-05-19 21:52:38 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうはァ、かんぜんなァ~」
「がるる!ぐるるるるーるがる!」(←訳:虎です!アイスクリーム日和!)

 こんにちは、ネーさです。
 アイスクリームと日傘も必須の明る~い春の日は、
 さあ、このところ拙ブログではすっかり恒例の
 あのシリーズで読書タイムですよ。
 こちらを、どうぞ~♪

  



    ―― 文豪ノ怪談 ジュニア・セレクション 霊 ――



 編者は東雅夫(ひがし・まさお)さん、2017年3月に発行されました。
 先日は同シリーズの『呪』の巻を御紹介したばかりですが、
 来たわね、『霊』が!

「こわいィしりーずゥ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:今度も怖そう!)

 古今の文豪さんたちが手がけた怖い話や不思議な話を通じ、
 日本語と日本文学の奥深い魅力に親しんでもらおうと編まれた
 文学ビギナーさん向けのアンソロジーシリーズ、
 《文豪ノ怪談ジュニア・セレクション》。

 こちらの『霊』巻に於ける著者さんは収録順に
 星新一さん、倉橋由美子さん、岡本綺堂さん、
 室生犀星さん、水木しげるさん、三浦哲郎さん、久生十蘭さん。

 御本の表紙には、やや大きめに、
 星新一さんと室生犀星さんのお名前が書いてあります。

 なるほど、それも道理だ、と思わせてくれるのは、
 いちばん初め――
 目次の次のページから始まる
 星新一さん著『あれ』。

「……そのォ、だいめいィ……!」
「がっるるぐるる……!」(←訳:すっごく怖いぞ……!)

 物語の幕が開くのは、
 あるホテルの一室。

 ひとりの会社員さんが
 出張でその地方都市を訪れ、
 ホテルに宿泊したのです、が。

 静かな真夜中に、
 彼はふと、目を覚まします。

 背中のあたりに、つめたいものが――

「ひいいいィ!」
「ぐるがるぐるっ!」(←訳:もう充分怖いっ!)

 ホテルで。夜中に。奇怪な気配。

 な~んだ、そんなの。
 よくある話じゃん。定型ってヤツだよ。

 と、鼻で笑う活字マニア諸氏もおられましょうが、
 この後の展開が、おそろしい。

「むぐぐゥ? もッとォ、おそろしィことがッ??」
「がるるるるるるぅ!」(←訳:考えたくないよぅ!)

 普通でない体験をした人は、
 心の内にその体験を閉じ込めておけるものでしょうか。
 ついつい、誰かに打ち明けたい、
 聞いてもらいたい、と
 考えてしまうものではないでしょうか。

 会社員さんは親しい同僚さんに
 静かな夜の不思議な体験を話します。

 すると、より不可思議な出来事が
 彼の身に……?

「ええええェッ?」
「ぐるるぅ!」

 この『霊』巻を導く“言霊”のような
 星新一さんの短編に、さあ、盛大な拍手を!

「こッ、こわいィけどォ!」
「がるるるるるる!」(←訳:すばらしいんだ!)

 でもね、残念なニュースがあるのよ。

 金井田英津子(かないだ・えつこ)さんによる絵にも
 賛嘆の拍手を送りたいこの『霊』巻をもって、
 《文豪ノ怪談ジュニア・セレクション》シリーズは
 完、のようです。
 ああ、もったいない……(←溜め息)。

「ふァ? おわりィ?」
「ぐるっるぅるる?」(←訳:終わっちゃうの?)

 いつかまた、
 再開してほしい《文豪ノ怪談》シリーズ。

 『夢』『恋』『獣』『呪』『霊』から成るシリーズの、
 どれがおすすめかといえば、
 ええ、そうですねえ、
 『夢』もしくは『恋』の巻から
 《怪》の世界へ
 ちょっとずつ踏み入ってみてはいかがでしょうか。

 《怪》だけれど、ただの《怪》ではない
 文豪さんたちの見た夢。

 大人な方々も少年少女さんたちも
 どうか、ぜひぜひ、
 一読してみてくださいね~♪



 
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~ ポチたちの《歴史》な足跡 ~ 

2017-05-18 21:58:33 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッッス!
 こッぱァ、いただきィましたでスゥ!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!まずは一冠!)

 こんにちは、ネーさです。
 我らがユヴェントス、コッパ・イタリア獲得しました!
 選手さん&スタッフさんに今回も拍手を送りつつ、
 次はリーグ優勝を決めちゃってほしいと願いを込め、
 さあ、本日も元気よく読書タイムです~♪

  



         ―― 犬たちの明治維新 ――



 著者は仁科邦男(にしな・くにお)さん、2017年2月に発行されました。
 『ポチの誕生』と副題が付されたこの御本は、
 《犬にとっての幕末~明治維新》をテーマとする
 ノンフィクション作品です。

「にんげんとォ、どうようゥにィ~」
「ぐるるるがる!」(←訳:ワンコも大変!)

 明治維新と、
 維新に伴う価値観・文化観の大きな変化。

 その変化は、日本の犬たちの上にも
 当然ながら及びました。

 江戸時代の日本には、
 “飼い犬”――
 犬は誰かの所有物であるという概念がなかった、と
 著者・仁科さんは御本冒頭の『はじめに』で記します。

「えッ? じゃあァ~…」
「がるる?」(←訳:八房は?)

 滝沢馬琴さんの『南総里見八犬伝』に登場する
 八房(やつふさ)のような、
 大名家で飼われている犬は
 『手飼いの犬』と呼ばれていました。

 ことわざの、『飼い犬に手をかまれる』も
 江戸初期には『手飼いの犬に手をかまれる』だったんですって。

 言葉としての“飼う”は、ありはしたんですけど、
 現代の私たちが考える“飼う”の意味とは
 ずいぶん違うものであったらしくて。

「ふむふむッ、それがァ、とつぜんッ!」
「ぐるがる!」(←訳:意識改革!)

 転換点のひとつは、
 ペリー提督の来航だった、と申せましょうか。

 条約を締結後、
 日本を出港するペリー提督の船には、
 ジャパニーズ・ドッグたち、
 それにジャパニーズ・キャッツ、キジ、オシドリ、
 といった動物たちも乗せられていました。

「もしかしてェ?」
「がるるる?」(←訳:おみやげ?)

 ペリー提督だけでなく、
 米国の初代日本総領事ハリスさんも犬が好き。
 
 彼らに影響されてか、
 日本が開国したあと、欧米では
 ジャパニーズ・ドッグ=狆(ちん)が
 大々人気となったのでした。

「いまはァ、しばいぬゥ!」
「ぐるがーるぐるる!」(←訳:柴犬ブームだよね!)

 江戸の『手飼いの犬』の時代から、
 特定の飼い主がいる『飼い犬』の明治へ。
 ワンコたちにふりかかる、
 変革の嵐とは。

 《西郷どんの犬》の章、
 明治期の犬の名前を巡る混沌、
 《薩摩の犬》の悲しい運命など、
 驚きの発見も詰まったこの御本、
 動物好きな活字マニアさん必読の一冊です!
 本屋さんで、図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね~♪
 


 
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~ 横浜で出会う本と《歴史》 ~

2017-05-17 22:08:20 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おォ! きょうりゅうゥ、はッけんッ??」
「がるる!ぐるるるー!」(←訳:虎です!肉食竜だー!)

 こんにちは、ネーさです。
 違います、恐竜じゃなくてトカゲです。
 ……でも、シダの葉の陰から陰へ走る姿を目撃すると、
 我が家のお庭がジュラシックパークに見えてきたりしますね。
 ひととき太古のロマンに浸りながら、
 さあ、本日は読書をサボり、
 展覧会情報、いえ、文学展情報を、どうぞ~♪

  



        ―― 没後20年 司馬遼太郎 展 ――



 神奈川県横浜市のそごう美術館(そごう横浜店6F)にて、
 会期は2017年6月2日~7月9日(会期中無休)、
 『21世紀“未来の街角“で』と副題が付されています。

「むむゥ! れきしのォ、ろまんッ!」
「ぐるがるる!」(←訳:今も大人気!)

 そうですね、いまも絶大な人気を誇る
 司馬良太郎さん(1923~1996)の作品の舞台となっているのは
 もちろんジュラ期や白亜紀ではなく、
 主に室町時代から近代にかけての日本です。

 『梟の城』『関ヶ原』『竜馬がゆく』
 『坂の上の雲』『街道をゆく』――

  

「めいさくのォ、しょはんぼんッ!」
「がるるぐるる!」(←訳:作品の初出誌!)
「きちょうゥでスゥ!」

 この展覧会では、
 司馬遼太郎記念館が所蔵する司馬さんの単行本、
 『関ヶ原』発表時の週刊誌などの資料や、
 
  

 『竜馬がゆく』単行本あとがきのための自筆原稿、
 神奈川県(相州)と縁深い武将・北条早雲さんを描く『箱根の坂』、
 『街道をゆく横浜散歩』の挿絵原画など
 司馬さんが綴った《歴史》の数々が紹介されます。

「みごたえェ、よみごたえェ~!」
「ぐっるる!」(←訳:ずっしり!)
 
 没後20年を経ても
 読み継がれる司馬さんの御本。

 会期中には記念の講演会も予定されています。
 歴史小説大好き!な活字マニアさんは、
 詳細を美術館HPでご確認の上、
 ぜひ、横浜へお出掛けを~♪




    ではここで、オヤツなオマケ画像も、じゃじゃん!
   
    『湖池屋』さんの
    《ドンタコスひとくちDELI クワトロチーズピザ》は
    チーズが主役のスナックですね。
    「かりかりッ♪」
    「がるる!」(←訳:ぱくく!)
    チーズマニアさん、実食されたしー!

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こころも、おののく。

2017-05-16 22:12:18 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あやめッ、さきましたでスゥ!」
「がるる!ぐるがるるる~!」(←訳:虎です!紫がまばゆい~!)

 こんにちは、ネーさです。
 庭の新緑の中に、ぽつん、と目を惹く紫色のお花……
 かっこいいぜアヤメくん!
 できるだけ長く咲いておくれよと祈りながら、
 さあ、今日も読書タ~イム!
 本日は、拙ブログではもはやお馴染みの?
 こちらのアンソロジーシリーズを、どうぞ~♪
 
  



     ―― 文豪ノ怪談 ジュニア・セレクション 呪 ――



 編者は東雅夫(ひがし・まさお)さん、2017年3月に発行されました。
 『恋』『夢』『獣』に続いて御紹介いたしますのは
 《文豪ノ怪談》シリーズの、《呪(のろい》……!
 いやーもう、
 この巻題名を一瞥しただけで――

「はてしなくゥ、こわいィ!!」
「ぐるるがる!」(←訳:充分に怖い!)

 古今の文豪さんたちが手がけた《怖い話》から
 日本語と日本文学の奥深い魅力に親しんでもらうことを目的に編纂された
 文学ビギナーさん向けのアンソロジー
 《文豪ノ怪談 ジュニア・セレクション》。

 この《呪》に収録されている作品の著者さんは、
 収録順に、

 岡本綺堂さん、三遊亭圓朝さん、小泉八雲さん、
 田中貢太郎さん、柳田國男さん、久生十蘭さん、
 小松左京さん、三島由紀夫さん、吉家信子さん、
 郡虎彦さん、日夏耿之介さん。

「こんかいィもォ、ごォーじゃすゥ!」
「がるぐる!」(←訳:強力だね!)

 『半七捕物帳』の岡本綺堂さん、
 民俗学の泰斗・柳田國男さん、
 “小説の魔術師”の異名をとる久生十蘭さん、
 少女小説家として名高い吉屋信子さん、
 詩人の日夏耿之介さん……と
 1ミリの隙すら無い鉄壁の執筆陣ですが、
 敢えて。

 私ネーさが推したいのは、この御方です。

 三遊亭圓朝(さんゆうてい・えんちょう)さん!

「おなまえェはァ~…」
「ぐるがる!」(←訳:かねがね!)

 1839年に生まれ、1900年に没した圓朝さんは
 幕末から明治にかけて活躍した、
 近代落語の祖と謳われる落語家さんです。

 当選ながら、私たちは圓朝さんの《芸》を
 ライブで拝聴することはできませんけれども、
 現在に至るまで語り継がれているのは――

 圓朝さんの、怪談語りの素晴らしさ!

「あううううッ、きッとォ~…」
「がるるぐる!」(←訳:迫真の名演!)

 『真景累ヶ淵』も『怪談牡丹燈籠』も
 圓朝さんの語りあってこそ
 傑作の名を得た御噺といえましょうが、
 この御本のために編者・東さんが選んだ作品は、
 『百物語』なのでした。

「でッ、でるのでスかッ?!?」
「ぐるるっ??」(←訳:本物がっ??)

 短いです。
 本文は、たったの2ページ分。
 東さんが付した注釈を含めても、
 『百物語』の総量は、4ページ弱。

 その4ページ弱の中に、
 答えのない怖さが刻印されている――

 探偵小説のような、事件の謎解きや解決はなし。
 ハッピーエンディングも、もちろんなし。

 ただ怖さだけが、
 読み手(聞き手)の掌にひっそりと取り残される、
 これが稀代の名人の語り。

「まいりィましたでスゥ!」
「がるるるぅ!」(←訳:感服ですぅ!)

 作家さんたちの作品と併せ、
 編者・東さんによる注釈と解説も、
 どうぞ、じっくりお楽しみくださいね。
 全活字マニアさんにおすすめのアンソロジー本、
 ぜひ、一読を♪

 
 
 
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いきもの、不思議尽くし。

2017-05-15 22:12:59 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ネーさッ、どんまいィッ!」
「がるる!ぐるるる!」(←訳:虎です!次だよ次!)

 こんにちは、ネーさです。
 ユーヴェが久々にコロ負けしちゃったので、
 ちょっと、いえ、だ~いぶ落ち込んでおりますが、
 こんな時は、さあ、読書タイムもパアッと明るく!
 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪

  



          ―― しくじり動物大集合 ――



 著者は新宅広二(しんたく・こうじ)さん、絵はイシダコウさん、
 2017年3月に発行されました。
 『進化に失敗したポンコツな動物たち』と副題が付されています。

「ぽッ、ぽんこつゥ~?!?」
「ぐるるっ!」(←訳:ひどいっ!)

 まあまあ、落ち着いて。
 ポンコツ呼ばわりはしていても、
 その内容は、愛情にあふれた、良い意味でのポンコツです。

 完璧な生きものなどいない。
 あらゆる種に、個体に、
 どこかしらポンコツな部分は存在するものなのだ。

 むしろ、そんなポンコツな部分を背負いながらも
 淘汰の厳しい高波をくぐり抜け、
 よくぞ現在まで生き延びてきたもんじゃないか、偉いぞ!

「……それはァ、ほめことばァ、でスかァ?」
「がるる……!」(←訳:怪しい……!)

 あら、誉めてるんですよ、本気で。

 だってね、
 ヤギの頭蓋骨に隙間が空いているのは、
 仲間と頭突きで挨拶するため、って
 スゴイと思いません?

 そう、本気の頭突き、
 助走をつけてガツーン!と豪快に頭突きしてもダメージゼロ、
 全く問題なし、っていうのは
 もう誉めるっきゃないわ!

「ううッ? ずつきィ?」
「ぐるる~!」(←訳:痛そう~!)

 鳥を飼っておられる方々が御存知でしょうけど、
 セキセイインコって
 とても良い匂いがするんですって。

 額や頭から放つ
 バターや穀類のような香ばしいそのニオイは
 『インコ臭』というもので、
 しかし。

 当の本人、いえ、本鳥は、
 嗅覚が鈍い。

 嗅覚が鈍いクセに、
 なぜまた良い香りを出したりしてるのか、
 理由は不明……。

「えェ~とォ……?」
「がるるるる……」(←訳:どうなんだろ……)

 スッポンは元気の源だ!と思われた原因は、
 あまりの脚の速さのため。

 陸上での逃走時の最高速度は
 瞬間的に時速40㎞以上を超える?

「はやッ!」
「ぐるるる??」(←訳:40㎞/h??)

 あんなに速いんだから
 きっと身体の中に元気が詰まってるに違いない!と誤解したのは、
 スッポンの落ち度ではなく、
 人間の早とちりだという気がしますが。

 と、このように、
 動物たちが抱える矛盾・謎・意味不明の習性や能力などが
 カラーイラストとともに紹介されるこの御本、
 実は、児童書なんです。

 チビっ子ちゃんにも少年少女さんたちにも
 もちろんおすすめ♪
 また、絶滅が危惧される動物についてのコラム等は
 大人が読んでも考えさせられます。

「たようせいィ、たもつゥためにはッ?」
「がるるるるぐる?」(←訳:どうしたらいい?)

 文系さんも理系さんも楽しめる
 愉快な動物ノンフィクション、
 皆さま、ぜひ、一読を♪
 
 
 
 
 
 
 
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ナビ派で、ゆうるり。

2017-05-14 22:15:57 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうもォ、おおいちィばんッ!」
「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!元気玉の出番だ!)
「よォしッ! ていィやあァ~ッ!」

 こんにちは、ネーさです。
 ふぅ、我らがユヴェントスはまたも天王山です。
 勝利もしくは引分けでリーグ戦の優勝が決まる……!
 ここはスパっと決めてくれぃ!と祈りながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらのアートブックを、どうぞ~♪

  



           ―― かわいいナビ派 ――



 監修・著者は高橋明也(たかはし・あけや)さんと杉山菜穂子(すぎやま・なおこ)さん、
 2017年2月に発行されました。
 拙ブログでもたびたび御紹介しております
 『かわいい印象派』『かわいい禅画』他が好評の
 《かわいい》シリーズから、
 この春に誕生しましたのは、
 『かわいいナビ派』!

「ええェ~とォ、なびはッてェ~…」
「ぐるがるぐるるっ?」(←訳:どの辺りですかっ?)

 『ナビ派』の『ナビ』とは、
 ヘブライ語で『予言者』の意味を持つ言葉です。

 1888年、夏。
 フランスのブルターニュ地方で休暇を過ごしていたパリの若い画家
 ポール・セリュジエさんが、
 先輩画家ポール・ゴーギャンさんのアドバイスのもと、
 小さな作品を即興的に描きました。

 その作品は、
 セリュジエさん自身をも驚かせます。

 これは、僕が学校で描いているような絵じゃない……?

「じぶんでェ、びッくりィ?」
「がるぅっる!」(←訳:大ショック!)

 パリにもどったセリュジエさんは、
 画塾の仲間の、
 ピエール・ボナールさん、
 モーリス・ドニさん、
 ポール・ランソンさんを巻き込み、
 ひとつのグループを結成します。

 それが、『ナビ派』の始まりでした。

「ふむむんッ! そこがァ、しゅッぱつてんッ!」
「ぐるるるるるぅ!」(←訳:1888年かぁ!)

 著者・高橋さんは
 いくつかのキーワードから
 『ナビ派』の特長を示唆してゆきます。

 プリミティヴ。
 日本の版画からの影響。
 身近な日常生活にあるような、親密さ。
 画面(作品のサイズ)は小さめ。
 グラフィックアートの分野でも、活躍!

「なるほどォ、どこかしらァ~♪」
「がぅるる!」(←訳:ジャポン!)

 この御本に収録されているナビ派の作家さんたちの
 作品を見てみると、
 ええ、たしかに日本美術の影響が感じられますね。

 遠近法なんて無用。

 平面的な構成や彩色、大好き!

 掛け軸風の、縦に長い画面。

 人物画に“彫りの深さ”はなく、
 北斎さんの『北斎漫画』に出てくるような、
 笑顔のチビっ子ちゃんたちが
 楽しそうに遊んでいる――

「かわいいィでス!」
「ぐるがっるる!」(←訳:頬がふっくら!)

 御本の後半では、
 《“美しきイコンのナビ”モーリス・ナビ》という、
 ナビ派最年少の画家モーリス・ドニさんを
 取り上げた章があるのですが……

 ここはもう、本当にかわいい!
 ドニさんが描いた恋人マルトさんの肖像画、
 赤ちゃんの、子どもたちのまぁるい顔、
 そこに刺す光。

 ドニさんの胸に灯る、
 あたたかな、やさしい想いが
 伝わってくる作品たち。

「このォやさしさがァ~」
「がるる!」(←訳:ナビ派!)

 張りつめて切れそうな糸ではなく。
 ふんわり、ゆるやかな、
 森の風のような。

 忙しくてクタクタだわぁ、
 なんだか疲れちゃった……という方々は、
 どうかこの御本を手に取ってみてくださいね。
 かわいくてやさしい色と線の中で、
 はい、深呼吸を、ぜひ♪
 
 
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19世紀の、あの街へ。

2017-05-13 21:58:16 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 やッとォ、きこえェましたでスゥ!」
「がるる!ぐるるるがるー!」(←訳:虎です!ウグイス来たー!)

 こんにちは、ネーさです。
 ウグイスくんの“ホケキョ♪”が今年は聞こえないわぁ~…
 と、ちょっと悲しい思いをしていましたら、
 来た! 来た来た、来ましたよ~!
 なんと玄関の軒下に飛来して、大音量の“ホケキョ♪”!!
 やったぜ!のガッツポーズとともに、
 本日は読書をサボり、↓こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪  
 
  


    
         ―― 19世紀パリ時間旅行 ――



 東京都練馬区の練馬区立美術館にて、
 会期は2017年4月16日~6月4日(月曜休館)、
 『Le Voyage dans le Temps du XIXe Siecle:
  A la recherche des rues perdues』と仏語題名が、
 『――失われた街を求めて――』と日本語副題が付されています。

「むゥ? うしなわれたァ~…」
「ぐっる?」(←訳:街って?)

 プルーストさんの名著『失われた時を求めて』を
 少しばかりヒネった題名を冠するこの展覧会は、
 はい、もちろん、
 『失われた時を求めて』で描かれている
 フランスの首都パリを主題としており、
 練馬区独立70周年を記念する特別展でもあります。
 
  

「あはァ! これはァ~♪」
「がるる・ぐるーがる!」(←訳:アンリ・ルソーさん!)

 いちばん上の画像の、
 チラシ(フライヤー)表面はモノクロの版画ですので、
 すこぶる地味に感じるかもしれませんが、
 出展作家さんは豪華なんですよ。

 近年、評価上昇中の
 ピエール・ヒュヴィス・シャヴァンヌさんをはじめ、
 アンリ・ルソーさん、
 モーリス・ユトリロさん、
 ポール・シニャックさん、
 ピエール=オーギュスト・ルノワールさん!
 
  

「これはァ、めずらしィ??」
「ぐるるーるがるるぐるる・」(←訳:ルノワールさんの風景画?)

 19世紀のパリ――
 そこはアート好きさんだけでなく、
 日本の活字マニアさんにとっても馴染み深い場所でしょう。

 『失われた時を求めて』はもとより、
 バルザックさんやヴィクトル・ユゴーさんの作品、
 『オペラ座の怪人』、
 ルブランさんの《アルセーヌ・ルパン》シリーズ……

「ほかにもォ、いっぱいィ!」
「がるるぐるがる!」(←訳:名作の舞台パリ!)

 絵画、衣装など、
 さまざまな美術作品から展望する、
 いにしえのパリ。

 鹿島茂さんのコレクションで見る『レ・ミゼラブルの世界』ミニ展示、
 特別講演会、
 学芸員さんによるギャラリートーク他、
 関連イベントも開催されます。

 また、会期中展示替えが予定されておりますので、
 詳細を美術館HPで御確認の上、
 お出掛けしてくださいね♪
 
 
 
 
    では、週末のオマケ画像も、ここで!
   
    『井村屋』さんの
    《やわもち もらびもち》!
   「おォ?もッちりィ!」
   「ぐる~る!」(←訳:のび~る!)
    『ハーゲンダッツ』さんの《華もち》とは
    似て異なるラクトアイス、
    これもまた美味しゅうございます。
    熱中症を警戒したい暑い日の、
    クールダウン時にもおすすめの冷菓で、
    皆さま、どうか、穏やかな休日を♪
    
    
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花々を、見て&読んで。

2017-05-12 22:10:43 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 しんりょくゥ、まぶしすぎィなのでスゥ!」
「がるる!ぐるがるるる!」(←訳:虎です!五月だからね!)

 こんにちは、ネーさです。
 南関東ではそろそろ藤の季節が終わり、
 一年で最もバラが美しいシーズンが訪れようとしています。
 本日の読書タイムも、
 花・花・花の御本を、さあ、どうぞ~♪

  



          ―― ときめく花図鑑 ――



 文は中村文さん、写真は水野克比古さん、監修は多田妙恵子さん、
 2017年2月に発行されました。
 山と渓谷社さんから刊行されている《ときめく図鑑》シリーズは、
 『ときめくカエル図鑑』『ときめくコケ図鑑』
 『ときめく縄文図鑑』など、
 ユニークなテーマの図鑑として評判ですが――

「このォごほんはァ、おはなッ♪」
「ぐるがるぐるるるー!」(←訳:安心して読めるよー!)

 はい、両生類や爬虫類アレルギーの方々、
 リラックスしてくださいな。
 この御本のテーマは『花』です。
 『カエル』ではありません。

 そして、美しい花たちのお写真が多数!

「ぶんしょうゥもォ~」
「がるぅる!」(←訳:オシャレ!)

 《花の記憶》
 《花の物語》
 《花の生態学》
 《華麗なるバラの世界》
 《そして人は花を》

 と、五つのストーリーで構成された本文の、
 《華麗なるバラの世界》では
 ええ、バラ好きさんはワクワクさせられることでしょう。

 人類にとって
 バラ科の植物がいかに大きな意味を持つものなのか、
 どれほど愛されてきたのか、
 じんわりと伝わってきます……

「うめもォ、さくらもォ~!」
「ぐるるがる!」(←訳:バラ科です!)
「もももォ、あんずもォ!」

 古代のギリシアやローマの時代、
 中国でも、オリエントの地でも、
 バラの花は愛され、大切にされてきました。

 日本では『そうび』『しょうび』の名で
 歌に詠まれていますけれど、
 絵画(日本画)では『薔薇』と表記されることが多い、かな?

「かおりィ、よしッ♪」
「がるるぐる!」(←訳:精油も良品!)

 おっと、ついついバラに注目してしまいましたが、
 バラ以外のお花も紹介されていますよ。

 《花の物語》の章では、
 ウメ、サンシュユ、コブシ、モクレン、サクラ、
 モモ、ボケ、ヤマブキ、ボタン、シャクヤク……と
 私たちもよく目にする花たちのプロフィールが
 短くも鮮烈に綴られています。

「もうすぐゥ、さくのはァ~」
「ぐるるる!」(←訳:アジサイ!)

 花と人のかかわりに想いを馳せたいのなら、
 本文8ページの
 《人と花とおもかげと》がおすすめです。

 『日本と花』と聞いて思い出す五人、として
 ここで挙げられているのは、

 植物学者の牧野富太郎さん、
 千利休さん、
 徳川家康さん、
 フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトさん、
 シャルル・マルタン・エミール・ガレさん。

「ふァ? いえやすゥさんッ?」
「がるぐるっ?」(←訳:なぜまたっ?)

 タヌキ親爺なんてディスられちゃう家康さん、
 江戸城内に『御花畑』を作っておられたそうな。

 もしかしたら、
 江戸時代に園芸文化が興隆したのも
 家康さんのおかげ、なのかも?

「たぬきィおじさんさんがッ?」
「ぐるがるる!」(←訳:お花愛好家!)

 花たちのお写真を眺めて楽しい&
 花にまつわるエピソードを読んでも楽しい
 五月の読書タイムに最適最上の花図鑑を、
 皆さま、ぜひ、手に取ってみてくださいな♪
 
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