テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

14世紀の、あちらと、こちら。

2017-06-20 21:55:51 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスッ!
 むむゥ! れんじつのォ、だいィにゅーすゥ!」
「がるる!ぐるがるるるぐる!」(←訳:虎です!いま将棋界が熱い!)

 こんにちは、ネーさです。
 そうね、突然どうしたんだ?と言いたくなるくらい、
 盛り上がりまくってますね、将棋界が。
 特に明日は藤井四段の対局があるそうですから、
 シロウトの私たちも、
 28連勝の記録に並ぶのか?とソワソワしてしまいますが、
 それまでの間合いは、さあ、読書タイムで!
 本日は、こちらのコミック作品を、どうぞ~♪
 
  



          ―― ケルン市警 オド 2 ――



 著者は青池保子(あおいけ・やすこ)さん、2017年6月に発行されました。
 中世の修道院を舞台にした
 《修道士ファルコ》シリーズからのスピンオフストーリーの主役は、
 薬草に知識に長けていることで一目置かれる修道士・オドさん。

 いえ、修道士になるよりも前の、
 俗人時代のオドさんです。

「いッぱんしみんッ、だッたころォにはァ~…」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:お役人さんでした!)

 ドイツの都市・ケルン。

 現在も、大聖堂の街として、
 観光客さんに大人気のケルンですが、
 中世の頃にはもう、都市の整備がけっこう進んでいたようです。

 オドさんが市警として生活しているのは
 14世紀のケルン。

 日本では、ええと、足利幕府の時代になるのかしら?

「なんだかァ、どいつゥのほうゥがァ~?」
「がるるるるぅ?」(←訳:ススんでるぅ?)

 御本の冒頭に簡単な解説が記されていますね。

 当時のケルンの人口は約3万人、
 14世紀半ば頃から市参事会の下部組織として
 警視のもとに治安役人(警吏)が常設された――

 オドアケル・ショルツさんは、
 その警吏のひとりである、と。

「まじめなァ、おやくにんさんッ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:全力で職務遂行!)

 今回、オドアケル・ショルツさんこと市警オドさんが
 取り組んでいるのは、
 一件の不審死事件です。

 8歳の子どもが、
 食中毒で命を落とした……と医師は見立てたのですけれども、
 オドさんは納得しません。

 食中毒にしては、おかしくないか?
 
「ふァいッ! おかしィでス!」
「がるぐるる……?」(←訳:真の死因は……?)

 調査を続けるうち、
 オドさんが気付いたのは、
 或る貴族の農園の秘密。

 高い塀の内、
 外からは窺い知れぬ農園の奥で育てられているのは――

「ぎょぎょぎょッ??」
「ぐるぐるぅ!」(←訳:ゾクゾクぅ!)

 と、ほんの少し粗筋を御紹介しただけでもお分かりのように、
 この《市警オド》シリーズ、
 完全に本格ミステリ!

 とりわけ、シリーズ2作目となるこの御本では、
 フーダニットとハウダニットが交錯し、
 複雑な人間模様を織り成しています。

 オドさんは農園の秘密を看破できるのか?
 事件の黒幕は、誰なのか?

「さいごォまでェ、だいこんせんッ?」
「がるぐるるるー!」(←訳:目が離せないー!)

 14世紀当時のドイツと日本を
 思い浮かべながら、
 較べてみながら読んでゆけば、
 梅雨どきの憂さも忘れてしまう一冊です。

 マンガはあんまり読まないんだけど~という御方も、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね。
 おすすめですよ♪
 
 
 
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見仰げば、そこに。

2017-06-19 22:15:29 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 やぱりィ、いるゥのでス!」
「がるる!ぐるがるるるるる!」(←訳:虎です!姿は見えないけど!)

 こんにちは、ネーさです。
 日ごと、どんどん強く濃くなるツバメくんの気配……
 いったい我が家の庭のどこにいるんだー??と調べておりましたら、
 ん? 良い香りがする? 
 おお、クチナシのお花が咲いてる~♪と脱線してしまいました。
 えー、ツバメくん探索は明日に繰り延べることにして、
 気を取り直しての読書タイム、
 本日は、こちらを、どうぞ~♪
 
  



            ―― 作家の山旅 ――



 編者は山と渓谷社の皆さん、2017年3月に発行されました。
 『紀行とエッセーで読む』と副題が付されています。
 いつもでしたら、著者さんのお名前をここで記すのですが、
 申し訳ありません、あまりに大勢なので、ええと……

「ひとりィ、ふたりィ、さんにィ~んッ~…」
「……ぐるる!」(←訳:……48人!)

 はい、48作家さんそれぞれの《山のものがたり》が、
 この御本には収録されています。

 まずオープニングは、
 小泉八雲さん著『富士山(抄)』。

 次に、幸田露伴さん著『穂高岳』。

 というように、
 近代~現代にかけて日本の文壇で活躍した作家さんたちによる
 山をテーマにした作品が選出されています。

「いがいィなァ、かおぶれェでスッ!」
「がぅっるぐっるる!」(←訳:ちょっとビックリ!)

 山と縁ある作家さん、というと
 例えば、
 斎藤茂吉さんと茂吉さんの故郷の山・蔵王山。

 詩人であり彫刻家である高村光太郎さん。

 山岳信仰へ想いを懸けたであろう折口信夫さん――

 こういった“山系”作家さんたちとの出会うことに
 驚きませんはしませんけれど、この御本では、

  えっ? この作家さんが
  《山》をテーマに書いてたの?

 と驚かされる作品にも出会います。

「やまおとこォじゃなさそうゥなのにィ~?」
「ぐるるがぅるるっるる?」(←訳:都会派じゃなかったの?)

 与謝野晶子さん、実は山ガールだった!

 谷崎潤一郎さんも、青春時代は山歩きを?

 川端康成さんだって、軽井沢の野道をてくてく歩く?

「じつはァ、だいすきィ??」
「がるぐぅーる!」(←訳:高原ウォーク!)

 若き日は健脚を誇った文豪さんたちの
 意外な山歩き自慢話は楽しく、
 一方、詩人・歌人さんたちが
 山に捧げた詩歌は清々しく香ります。

 ことに、おすすめしたいのは
 堀口大學さんの
 『山腹の暁』と『富士山 この山』
 という2作品!

 ふもとから霊峰を見仰ぐ童子の、
 てらいのない心を文字に汲み変えたような『富士山 この山』は、
 読後感も格別です。

「まどをォあけてェ~」
「ぐるるるがるるるるる!」(←訳:富士山を探したくなる!)

 そして、トリをつとめる
 北杜夫さん著『山登りのこと』には
 ヒマラヤ登山隊の一員であった北さんならではの
 山への想いが描かれています。

 これからの登山シーズン、
 登山好きな御方は山へ向かう列車の中で、
 長距離バスの中で、
 インドア派の御方は自宅でゆっくりと、
 《山のものがたり》を、ぜひ♪
 
 
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~ 記憶の光 ~

2017-06-18 21:51:37 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あややッ? このォこえェはッ??」
「がるる!ぐるるるがるる?」(←訳:虎です!ツバメの子の声?)

 こんにちは、ネーさです。
 今朝から我が家周辺でツバメの親子の声が?
 え? もう巣作りの季節は過ぎたわよね?
 エサ探し? 遊びに来たの? 迷子?
 なんかよく分からないけど逞しく育つんだぞー!と屋根を見上げながら、
 さあ、ここからは(ちょっと心配しつつ)読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



          ―― 母の記憶に ――



 著者はケン・リュウさん、2017年4月に発行されました。
 日本オリジナルの短編集第二作となるこの作品には
 『MEMORIES OF MY MOTHER AND OTHER STORIES』と
 英語題名が付されています。

「いまァ、ぐんぐんッ!」
「ぐるがるる~!」(←訳:人気上昇中~!)

 ええ、そうなんですよね。
 日本オリジナルのケン・リュウさんの作品集第一作
 『紙の動物園』が刊行されたのは2015年のことでしたが、
 同年度のベストSFランキングでも上位に食い込み、
 もちろん売れ行きも好調で、
 新刊への期待は高まるばかり!

「そしてェ、ようやくゥ~…!」
「がるるる!」(←訳:来ました!)

 この御本には、訳者・古沢嘉通さんが選んだ14篇と、
 著者ケン・リュウさんから2篇を推薦される等の経緯もあり、
 最終的には計16篇の短編作品から構成されることとなりました。

 御本の冒頭の
 『烏蘇里羆(ウスリーひぐま)』、
 中ほどに収録されている『ループのなかで』他、
 いずれも読み手に嘆息させる素晴らしい作品、
 なのですけれども……

 ここは敢えて、
 表題作品『母の記憶に』を激おすすめいたします!

「ほんぶんッ、きゅうじゅうななァぺーじィでス!」
「ぐーるがるる……」(←訳:えーと原題は……)

 『母の記憶に』――
 『Memories of My Mother』(2012年)。

 短い。短いです。
 2段組みで印刷するポケミスの、
 5ページ分にも満たぬ短編作品です。
 
 が、この短い作品の中に、
 想像を絶する“長さ”が叩き入れられています。

「とくべつなァ、みじかさッ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:凝縮された時間!)

 そこは、おそらく現在の私たちから見れば
 《未来の世界》なのでしょう。

 ただ、《未来》ではあっても
 《完全な世界》ではありません。
 人々は、病気にかかる。
 《未来》にしてなお、治らぬ病気もある――

 少女エミーさんの母親も、
 治らぬ病に身を蝕まれています。
 医師から宣告された余命は、たったの二年。

 二年で、何が出来るのか。
 可愛い我が子のいまを、将来を、
 知らぬまま、見ぬままに
 病に屈してしまうのか。
 それでいいのか?

「だからッ、おかあさんはァ~」
「ぐるるがるるるる!」(←訳:一計を案じました!)

 母親が立てた計画、
 実行にうつしたその計画は、
 娘のエミーさんの眼にはどう映り、
 日々にゆらぎをもたらすのか。

 母と娘の、“二年間”は
 喜びなのか、哀しみなのか――

「なんどもォなんどもォ!」
「がるるるるぅる!」(←訳:読み返しちゃう!)

 この作品は、この作品だけは、
 SFぅ?好きじゃないもん!という活字マニアさんも、
 読みこぼしてはなりません。
 本年度ベストに推したい傑作なんですから、
 皆さま、ぜひ~!
 
 
 
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― リアルを、絵画で ―

2017-06-17 22:14:11 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わほッ? とんぼォ??」
「がるる!ぐるぅ!」(←訳:虎です!毛虫ぃ!)

 こんにちは、ネーさです。
 ジャングル真っ盛りな我が家の庭には、えーと、その、
 いろんなヤツらが棲息している模様です……
 まあね、これが生物多様性ってヤツよね~と溜め息しつつ、
 さあ、本日は読書をサボって
 ↓こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪

  



        ―― リアル(写実)のゆくえ ――



 栃木県足利市の足利市立美術館にて、
 会期は2017年6月17日~7月30日まで(月曜休館、ただし7/17は開館)、
 『高橋由一、岸田劉生、そして現代につなぐもの』と副題が付されています。

「ふゥむむゥ! ほんものォ、みたいィでス!」
「ぐるるがる!」(←訳:写実画だね!)

  

 写実――
 見た通りに、
 実物そっくりに描く。

 欧米にも“スーパーリアリズム”などと呼ばれる
 写実を重視したジャンルの絵画はあるんですけれど、
 日本の“写実”画には、
 欧米のものにはない或る特徴が存在します。
 それは、

  《写真のようには描かない》。

「しゃしんとォ、おなじィではァ~…」
「がるるるる!」(←訳:つまらない!)

 写真では得られない何か。

 その《何か》を求めて、
 日本の写実画は明治の黎明期から
 大正、昭和、そして平成の現代にまで繋がっています。
 
  

 この展覧会は、
 つい先日まで神奈川県平塚市の美術館で
 開催されていたものですが、
 今日6月17日から栃木県足利市に巡回&開催となりました。
 
 平塚での開催時はTVの美術番組で
 ここに出展されている作品が紹介されたこともあり
 たいそう反響があったそうですよ。

「ええッ? それはァ??」
「ぐるがるっ?」(←訳:どの作品っ?)

 それはね、
 現代の写実作家・犬塚勉(いぬづか・つとむ)さんの
 『梅雨の晴れ間』(1986)です。

 展覧会へお出掛けするアート好きさんは、
 どうか、お見逃しなく!
 
 
 


   さて、今回のオマケ画像は、おやつじゃなくて……
   
   いま、ものすご~い状態になっちゃってる
   『夜廻り猫』の――
   
   2017年カレンダー!
   「ひゃあァ!」
   「がるるるっ!」(←訳:プレミアっ!)
   拙ブログで御紹介した直後に手塚治虫賞を受賞、
   以後、本屋さんネット書店さんでも売切れ状態になっている
   大人気の『夜廻り猫』……!
   ひょんなことからカレンダーをいただいて、
   「ありがたやッ!」
   「ぐる!」(←訳:嬉し!)
   健気なニャンズとともに書物の国をさまよいながら、
   皆さま、どうか穏やかな休日を♪


      
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ひょっこり、ネコすがた♪

2017-06-16 22:05:25 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 きょうふのォ、あまやどりィ~!」
「がるる!ぐるるるがるっ!」(←訳:虎です!カミナリ怖いっ!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日のような突然の大雨に襲われたとき、
 この子たちはどうしているのかなぁ……
 本日の読書タイムは、そんな風にしんみりしてしまう
 写真集を御紹介いたしますよ。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪
 
  



          ―― 世界のねこみち ――



 著者は岩合光昭(いわごう・みつあき)さん、2017年4月に発行されました。
 はい! もはや説明の必要もなし、と言えましょうか。
 《猫フォト》といえば、この御方!
 クオリティは保証付き!
 日本はもとより世界中のニャンコに好かれる写真家・岩合さんの、
 ニャンコ写真集です。

「みんなァ、のらにゃんこォなのにィ~!」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:モデル猫みたいだ!)

 そうね、そこが岩合さんのお写真の
 特徴の一つ、なのでしょうか。

 被写体となっているのは、
 首輪を着けたニャンコちゃんもいるのですけれど、
 圧倒的に野良ニャンコ、
 もしくは飼われていても家の内も外も気ままに出歩く、
 “自由”なネコちゃんたちが大勢を占めています。

 なので、人間に対してどうしても警戒を解かず、
 距離を取りたがるはずのニャンコたちが、
 岩合さんのレンズの前では、
 なぜか、リラックス~♪

「のどかァでス~♪」
「がるるる~♪」(←訳:ユルいね~♪)

 この御本に登場するニャンコたちは、
 ヨーロッパ、
 中東・アフリア、
 南北アメリカ、
 オセアニア、
 アジア、のニャンコたちです。

 仔猫もいれば、大人なニャンコも。
 『魔女宅』のジジくんみたいに真っ黒な子もいて、
 短毛種もいれば、長毛種もいて。
 赤茶系のトラちゃん、
 キジトラちゃんも、三毛ちゃんも、
 ハチワレ模様の子もいる――

 お写真の背景がイタリアだったり、
 イスタンブールのモスクでなかったら、
 あら?この子って日本のこ?と間違えてしまうくらい、
 どの子もグローバルなルックスをしています。

「それにしてもォ~…!」
「がる!」(←訳:遠い!)

 アフリカ大陸の東に浮かぶ、
 マダガスカル島。

 そんな遠いところへ、
 岩合さんはネコたちを撮りに行く。

 ヴェネツィアの細い路地で、
 岩合さんの視線が捕えるのは、
 ゴンドラではなく、
 キオスクの新聞の束にもたれるネコ。

 エクアドルのサンタクルス島では、
 イグアナとにらめっこするトラネコを。

 ハワイでは、サーファーになるネコも発見し。

「ちきゅうッてェ~?」
「ぐるるがっる?」(←訳:猫の星だった?)

 御本の巻末には、
 『岩合さんの撮影に一日密着!』
 というコーナーもあり、
 読み手はほのぼのさせられます。

 日々のすべてをニャンコ撮影に捧げる、
 ニャンコとの佳き出会いを求めて、
 歩く、歩く……

「にゃんこォまいすたァー!」
「がるるぐる!」(←訳:猫撮り職人!)

 出歩きもままならない季節には、
 ちょっと羨ましくも、
 時には心配にもなってしまう、
 外猫たちの、門も扉も、屋根も塀もない、
 自由の天地。

 ネコ写真好きな御方におすすめの、
 少~し肩の力を抜きたい御方にもおすすめの、
 《ねこみち》の一瞬。

 本屋さんの写真本(ペット本?)コーナーで、
 皆さま、ぜひ♪

 
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過去から、そして?

2017-06-15 22:01:20 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 ふおォ? これはァ、あさもやァ?」
「がるる!ぐるるがるるる!」(←訳:虎です!お山もぼんやり!)

 こんにちは、ネーさです。
 今朝の関東地方は靄が発生した地域も多かったようですね。
 水墨画のような白い薄靄はすぐ消えてしまいましたが、
 本日の読書タイムで御紹介いたしすのは、
 儚く、しかし強靱な、《古典》の美!
 さあ、こちらを、どうぞ~♪
 
  



            ―― 茶の湯 ――



 『別冊太陽 日本のこころ251』は、2017年6月に発行されました。
 『時代とともに生きた美』と副題が付された創刊45周年を記念する今号は、
 つい先日(6月4日)まで上野の東京国立博物館で開催されていた
 『特別展示 茶の湯』の関連本でもありますね。

「だいきぼなァてんらんかいィ、でしたでス!」
「ぐるがるる!」(←訳:国宝だらけ!)

 そうね、
 御本の表紙になっている志野茶碗も国宝ですし、
 他にも国宝の曜変天目、
 国宝の青磁花入、
 国宝の大井戸茶碗、と
 日本の茶文化の極みと言えるお道具たちがつどった展覧会は
 美術界の話題となりました。

   その展覧会を紙上で再現してしまおう!

 というような意気込みが感じられるのが、
 まさにこの別冊太陽版『茶の湯』です。

「おしゃしんッ、きれいィでス!」
「がるるぐる!」(←訳:資料も多数!)

 精度の高い写真資料の魅力をいっそう引き立てるのが、
 充実した解説の文章とコラムです。

 御本冒頭の、

 《茶の心をたずねる――茶の湯名言により》

 に始まり、

 第一章《茶の湯の歴史》

 第二章《わび茶の大成》

 第三章《武家の茶》

 第四章《茶道への展開と利休の道統》

 第五章《近代の茶道》

 と続く本文、
 林家晴三さんと千宗屋さんの対談を順に読んでゆけば、
 中世~近代の日本史と《茶》の係わりが
 遠望できる――かもしれません。

「おちゃのォ、せかいィはァ~」
「ぐるがる!」(←訳:広大です!)

 私ネーさの個人的な好みではありますけれど、
 巻末近くに収録されているエッセイ作品も
 ひどく考えさせられるものでしたよ。

 作家の葉室麟さん著『お茶の作法』、
 建築家の藤森輝信さん著『茶室の外観はなぜ印象に残らないのか』、
 大徳寺第五百三十世・泉田玉堂さん著『《茶禅一味》の心』――

 正面から、そして核心から、
 《茶とは?》と問う、
 深遠な文章です。

「こたえはァ、どこにィ?」
「がるるぐるる!」(←訳:近くて遠くに!)

 それにしても、
 《茶の湯》って不思議です。

   未来永劫、なくならない――

 もし、そんなものがあるとすれば、
 それは《茶》の世界なのではないか。

 AIだの量子コンピューターだの、
 最新&最先端の技術がどうなろうと、
 ヒトが生存し続ける限り、
 いえ、ヒトが消え去ったとしても、
 《茶》が滅びることはないのでは……?

「ひゃくねんッ、にひゃくねんッ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:未来で生きる!)

 読み物としても
 茶道具の写真集としても楽しめるこの一冊、
 皆さま、ぜひ、手に取ってみてくださいな♪
 
 

 
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椅子また椅子!

2017-06-14 22:10:55 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 わわゥ! つばめッ、いましたァでスッ」
「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!高速飛行~!)

 こんにちは、ネーさです。
 都内で巣作りするツバメは減ってしまったという噂ですけど、
 今日はヒューンと飛行するツバメちゃんたちを目撃できて
 とってもハッピーな気分ですよ♪
 では、今日もツバメちゃんのように猛スピードで、
 おっと、週の半ばは読書をサボっての~んびりすることにして、
 こちらの展覧会情報を、さあ、どうぞ~♪
 
  



         ―― ウィンザーチェア ――



 長野県長野市の長野県信濃美術館にて、
 会期は2017年7月1日~8月27日(水曜休館、ただし8/16は開館)、
 『日本人が愛した英国の椅子』と副題が付されています。

「ふァ?? いすゥ??」
「ぐるがるる!」(←訳:木の椅子だ!)

 拙ブログで御紹介する展覧会は
 絵画の展覧会がどうしても多くなってしまってますが、
 実は、“立体造形”系の展覧会、
 ことに《椅子》の展覧会って、珍しくないらしいのよ。

 つまり、
 《椅子》のファンさんって大勢いる、ってことね。

  

「むふふむゥ! いすゥまにあッ!」
「がるぐるがるる?」(←訳:家中椅子だらけ?)

 自宅に何十脚もの椅子をコレクション……する御方は、
 さすがに少数派だとしても、
 現代日本の生活ではもはや欠かせぬ
 便利な家具――《椅子》。

 その《椅子》の、紛れもない基本形のひとつが、
 18世紀前半にイギリスで生まれたとされる
 ウィンザーチェア(Windsor chair)です。

 ↑いちばん上の画像で、
 チラシ(フライヤー)表面を飾っているのは
 『コムバック・アームチェア』(18世紀 イギリス)。

 次の、上から二番目の画像に写っているのは、
 18世紀や19世紀、
 なかには17世紀に制作されたという
 長寿な《椅子》さんもあります。

「ふァうゥ! ながいきィなのでス!」
「ぐるがるるぅ~…!」(←訳:丈夫なんだぁ~…!)

  

 この展覧会には、
 日本国内に現存するウィンザーチェアの優品たちが
 ずらりと勢揃いします。

 日本民藝館の所蔵品で
 かつては柳宗悦さんの所有品だったもの、
 静岡市立芹沢銈介美術館所蔵の
 芹沢銈介さんが愛用した一脚、
 といった履歴を持つ《椅子》は、
 歴史の重みも、ずしーん!

「かッこいィ!」
「がるるぐる!」(←訳:時代の証人!)

 長野県信濃美術館は、
 善光寺さんから徒歩3分の場所にあります。

 イベントやワークショップも予定されていますので、
 夏休みに長野市を訪れるアート好き&《椅子》大好きな方々は、
 ぜひ、お出掛けを♪
 
 
 

   さて、今回のオマケ画像はアイスではなくて……
   
    『グリコ』さんの
    《クリームコロン 大人のレモン》!
    「あはァ!れもんッ!」
    「ぐるるる!」(←訳:大流行中!)
    冷蔵庫で、或いは冷凍庫で、
    キリリっと冷やしてから召し上がれ~♪

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未知なる世界――質屋?

2017-06-13 22:14:42 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 さァ~むゥ~いィ~ッ??」
「がるる!ぐるるる!」(←訳:虎です!ぶるるる!)

 こんにちは、ネーさです。
 梅雨寒の直撃を受けているここ東京・多摩地域……
 いやいや、グチってばかりじゃダメですね。
 今日も読書に元気を貰って
 体温を高く、免疫力も高く!
 なので、さあ、本日はすこぶる愉快なコミック作品を、どうぞ~♪
 
  



     ―― 七つ屋 志のぶの宝石匣(ほうせきばこ) 1&2 ――



 著者は二ノ宮知子(にのみや・ともこ)さん、
 1巻は2014年11月に、2巻は2015年11月に発行されました。
 『のだめカンタービレ』ですっかり大人気漫画家さんとなった
 著者・二ノ宮さんが、この作品で挑むのは……

 質屋さんの世界ー!

「ふァッ! こちらがァ、だいいッかんッ、でスゥ!」

  

「ぐるるるがっるー!」(←訳:第2巻はこっちー!)

  

 質屋さん。

 その存在は、現代文学好きな活字マニアさんよりも、
 時代小説が好き!
 歴史ノンフィクションが好きさ!な活字マニアさんに
 より馴染み深いものかもしれませんね。

 お江戸の時代の庶民さん、お武家さんも、
 現金が必要になったら質屋さんへ行く。
 刀剣、書、着物、お布団を持ち込んで、
 お金に換える――

「いまはァ、あんまりィ?」
「がるるるる?」(←訳:聞かないね?)

 ええ、もちろん、質屋は絶滅した訳じゃありません、
 現代でも営業しています。

 ただし、だいぶ傾向というか、
 内実は変化しているうようで、
 質草としてお金に換わることが多いのは、
 宝石やブランド品なんですって。

「むむッ? きらぴかのッ?」
「ぐるるるがっる!」(←訳:アクセやバッグ!)

 けれど、或る日。

 江戸時代から続く老舗の質屋・倉田屋(くらたや)さんに
 持ち込まれたのは、
 ありきたりな質草ではありませんでした。

「うきゃきゃッ? これはッ!」
「がるるぐるる!」(←訳:小さな男の子!)

 まあつまりはね、
 質屋さんが知人さんの子を預かることになった、ってことで、
 男の子は質屋さんのお家ですくすくと育ちます。
 学校にもちゃんと通って、
 いいところに就職して、
 会社での勤務内容も高く評価されてて。
 何も不満はなさそうで。
 でも。

 胸の奥に、ちょっとした鬱屈を抱えたまま、だったんです。
 小さなころの、
 家族と離ればなれになったあの日からの、
 変わらぬ思い。

  ―― 我が家に繁栄をもたらしてきた宝石の行方は? ――

「ほうせきィ~?」
「ぐるるがる!」(←訳:家伝の秘石!)

 そうして、北上顕定(きたがみ・あきさだ)さんは
 父祖が遺した宝石の在り処を虎視眈々と追い求め、
 家族を離散させた何者かを追い詰めてゆく……

 と、そんなサスペンスドラマだと思ったら、
 大間違い~!!

「ふァ?」
「がるっ?」

 著者さんは、なんたって『のだめ』作者の二ノ宮さんです。
 宝石の謎も、
 顕定さんの思念も、
 笑いの衣に包んで予想外の方向へ引っ張ってゆきますよ♪

「じゃあァ、ほうせきィはッ?」
「ぐるるー?」(←訳:どこにー?)

 いえいえ、
 謎解きはそんなにチャチャッと終わりませんとも!
 現在も進行中の《七つ屋》ものがたり、
 4巻まで刊行されておりますが、
 まずはこちらの、1巻2巻で入門を。
 梅雨の湿気払いにおすすめのコミック作品、
 一読してみてくださいな~!
 
  
 
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初期の《華》咲く!

2017-06-12 22:12:37 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うぎゃッ! くッつくゥ~!」
「がるる!ぐるるるる~!」(←訳:虎です!剥がれない~!)

 こんにちは、ネーさです。
 いやもうぅ、DIYしようかと瞬間接着剤を手にしてみたら、
 接着剤が指にくっついてしまい、エラいことに……!
 もう当分DIYはいいや~向いてないんだわ~と諦めの境地から、
 さあ、すっぱり立ち直るためにも、
 本日の読書タイムはアグレッシブに!こちらの御本を、どうぞ~♪

  



        ―― 007 逆襲のトリガー ――



 著者はアンソニー・ホロヴィッツさん、
 原著は2015年に、日本語版は2017年3月に発行されました。
 新たな《007》の物語、
 イアン・フレミング財団公認の“ボンド”ストーリーは、
 ええ、呆気にとられるほどアグレッシブー!

「むゥ? どこがァ?」
「ぐるるるがるるるるぐるぅ?」(←訳:いつものボンドさんでしょ?)

 コードネーム《007》――
 英国秘密情報部(MI6)00部門(ダブルオーセクション)諜報員、
 ジェームズ・ボンドさん。

 多くの方々は、ボンドさんの名を聞いて、
 映画のボンドさんを思い浮かべることでしょう。

 活字マニアの、
 つまりイアン・フレミングさんの原作作品を読んでいる方々も、
 スクリーンでボンドさんを演じた俳優さんたちの顔を、
 完全に無視するわけにはいきませんね。

 そうして、この『逆襲のトリガー』を手にしたなら……

 イメージせずにはいられないボンド役の俳優さんは……

「あのおかたァ、でスねッ!」
「がるるぐるる!」(←訳:功労者だよね!)

 ショーン・コネリーさんの、
 小粋なタキシード姿。
 颯爽としたスーツ姿。

「ふァいッ! もッちろんッ!」
「ぐるるーがる!」(←訳:コネリーさん!)

 うん?なぜコネリーさんなんだ?
 なぜロジャー・ムーアさんや
 現ボンド役のD・クレイグさんじゃないんだ?という疑問には、
 こうお答えしましょう。

 物語の舞台は……1960年代。

「ろしあァ、まだァありませんッ!」
「がるぐるるる!」(←訳:ソ連だもんね!)

 50年前。
 それは、ソヴィエト連邦が未だ健在の時代です。
 米国とソ連が、冷戦真っ最中の時代です。
 携帯電話はなく、
 デジタルカメラもなく、
 ゲーム機もPCもない時代です。

 そしてまた、
 ソユーズだのアポロ計画だのが進行中であった時代でもあります。

「げつめんにィ、いちばんのりィ!」
「ぐるるがる!」(←訳:宇宙に進出!)

 米ソの両陣営がテクノロジーの絶対を信じ、
 競争を繰り広げている一端で、
 《007》もまた競争に身を投じる事態となりました。

 狭い運転席と、
 目もくらむようなスピード、
 エンジンの轟音。

 上司Mさんに、
 ボンドさんはニュルブルクリンクで行われる
 カーレースに出場を命じられたのです。

「ええッ? きけんッでスよゥ!」
「がるるぐーるる!」(←訳:最難関レースだ!)

 最難関であろうと
 ソ連のスパイによる罠が待っていようと、
 ボンドさんは闘わねばなりません。

 誰と?
 何と?

 それを知るには、
 まずニュブルクリンクへ――

「さいしんのォ、ましんとォともにィ!」
「ぐるるるがるるるる!」(←訳:出来れば勝ちたいね!)

 奇妙な命令は、
 ボンドさんにどんな世界を体験させるのか――

 『ゴールドフィンガー』の後日譚としれ設定されたこの物語は、
 S・コネリーさんファンの方々に、
 初期スタイルのボンドが好き!という御方におすすめです。
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 
 
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~ 曲線と極限の道 ~

2017-06-11 22:12:46 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あじさいィでらはァ、おおにぎわいィ?」
「がるる!ぐるるるるがるぐる~!」(←訳:虎です!お出かけの際は注意~!)

 こんにちは、ネーさです。
 鎌倉の、“あじさい寺”とされるお寺さまの周辺は
 交通規制が実施されるほどの混雑だそうですよ。
 いいなぁ♪混んでてもいい行ってみたいなぁ♪などと想い馳せつつ、
 さあ、今日も読書タイムです。
 本日は、こちらの御本の“別世界”へ、ひとっ跳び~♪
 
  



         ―― 山月記・名人伝 ――



 著者亜中島敦(なかじま・あつし)さん、2016年12月に発行されました。
 《教科書で読む名作》とシリーズ題名が付されています。

 先日は、同じ《教科書で読む名作》シリーズの一作
 芥川龍之介さんの『羅生門・蜜柑』を御紹介しましたが、
 こちらは中島敦さん(1909~1942)の名作・代表作を集めた一冊ですよ。

「ふァいッ! とらでス!」
「ぐるがるー!」(←訳:虎の物語ー!)

 ええ、そうですね、
 表題作品『山月記』の素晴らしさは、
 これも先頃
 『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 獣』を御紹介しました折に
 あらためて確認しました。
 
 この御本では、『山月記』の原典ともいうべき
 中国の説話『人虎伝』も収録されていて、
 それも読みどころのひとつ、と申せますものの。

 今日は、もうひとつの表題作品の方に
 ぐぐっと注目してみましょう♪

「というぅとォ?」
「がるる?」(←訳:名人伝?)

 『名人伝』が発表されたのは、
 1942年――昭和17年でした。

 中島さんが世を去る年のことでしたが、
 文庫にして僅か13ページのこの作品には
 長編にも匹敵する、
 ひとりの《名人》の歩みが微笑ましくも力強く、
 それでいて奇妙なくらいスッキリと描かれています。

「めいじんにィ、なるためェにィ!」
「ぐるがる!」(←訳:全力傾注!)

 突き詰めれば、
 それは第一行目ですべてが記されています。

 趙(ちょう)の邯鄲(かんたん)に住まう
 紀昌(きしょう)さんの志は、ただひとつ。

  《天下第一の弓の名人になろう》

「うゥ~むゥ! てんかァだいいちィ~…!」
「がるるるる!」(←訳:難しいねえ!)

 紀昌さんの目標が、
 国が主催する武芸大会で優勝してやろう!
 メダリストになろう!
 であったなら、それはまだ簡単な道のりだったでしょうに。

 誰かを追い越す、という一点に絞ってもよかったのに。

 彼の目指す《名人》への道は、
 その純粋さが仇になってか、
 真っ直ぐな道ではないのでした。

 先の見えない、
 曲がりくねった細い道。

 道を行けば行くほどに、
 紀昌さんはヒトの世から離れてゆくようです。

 やがて彼が登りつめた鋭峰で
 目にしたのは、いったいどのような景色であったのか――

「みたいィようなッ?」
「ぐるるがるるるる?」(←訳:みたくないような?)

 『名人伝』を『山月記』を、
 また『悟浄歎異』を読みながら
 私ネーさの脳裏に聴こえてきたのは
 RADWIMPSさんの『棒人間』でした。

 ♪僕は人間じゃないんです♪というあのフレーズが
 月に吠える虎の影に、
 弓を構える青年の背後に、
 砂漠をゆく悟浄さんの足取りに重なります。

 ヒトと、
 ヒトでない何か。
 彼らに寄り添う歌と言霊。

 読み逃がせない解説&注釈ももちろん、
 中島さんのファンの方々に激おすすめの一冊、
 手に取ってみてくださいね♪

「おとなもォ、こどももォ~」
「がる~!」(←訳:ぜひ~!)

  
 
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