テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 近代と現代をつなぐ ~

2018-01-21 22:14:16 | ブックス
「こんにちわゥ、テディちゃでスッ!
 ……ほんとォにィ~ふるゥかなァ~??」
「がるる!ぐるるるるがるる!」(←訳:虎です!降りませんように!)

 こんにちは、ネーさです。
 水仙のお花が道端で愛らしく咲いているというのに、
 大雪が降っちゃうんでしょうか……
 雨がいいなぁ雨にしときましょ!と天へのお願いもこめて、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



           ―― 牧野富太郎 ――



 編者はコロナ・ブックス編集部の皆さん、
 2017年11月に発行されました。
 『植物博士の人生図鑑』と副題が付されています。

「はかせェ~!」
「ぐるがるる~!」(←訳:植物ハカセ~!)

 はい、ご存知の活字マニアさんも多いことでしょう、
 ↑上の画像の、御本の表紙でにっこりしているのは、

 牧野富太郎(まきの・とみたろう)さん(1862~1957)。

 副題の通り、
 《植物博士》
 あるいは
 《日本植物分類学の父》と呼ばれた学者さんです。

「にほんのォ、しょくぶつゥがくのッ!」
「がるるる!」(←訳:お父さん!)

 学歴は、なんと小学校中退。

 それでいて、理学博士の博士号を取得。

 現在、牧野さんの誕生日である5月22日は
 《植物の日》に制定されている、という
 日本の歴代博士史上に於いても
 スペシャルな“知の巨人”さん。

 この御本では、
 牧野さんの評伝とともに
 御自身を『草木の精かも知れん』と形容した牧野さんが
 精魂を傾けて作成した植物画、ノート、
 牧野さんが収集した文献の写真資料などが
 紹介されています。

「こッ、このォしゃしんッ!」
「ぐるるるるぅ!」(←訳:おそるべしぃ!)

 日本植物学の父たる牧野さんに関する伝説のひとつが、

  お家がすごいことになっていた……!

 というものなんですが、
 これは、本当にスゴイわ!
 自宅の標本室で標本作成中の
 牧野博士のお写真が数点掲載されているんですけど、
 その背後には標本(標品)の山、山、山……

「ためいきィ~しかないィでスゥ!」
「がるるるぐる!」(←訳:さすがは博士!)

 江戸時代も末の頃、
 牧野さんは四国――高知県に生まれました。
 
 生家は裕福なお家でしたが、
 チビっ子・富太郎さんの興味はすでに
 家業よりも、植物学。
 いえ、当時そういった学問は本草学とされていたので、
 植物学なる呼称を、
 その中身を、
 切り拓き、耕していったのは、
 まさにこのひとりの博士――牧野さんでした。

「ぱいおにあァさんッ、でスねェ!」
「ぐっるるるるがる!」(←訳:カッコいいよパパ!)

 御本後半、92ページには
 『花の雲で東京を埋めりゃよい』
 と題された文章が収録されています。

  ―― 東京の都はどうしても桜の花で埋めにゃいかん ――

 そんな一文から始まる牧野博士の桜考察は、
 東京都民の皆さまに
 ぜひ読んでいただきたい名文です。
 書店さんで、図書館で、
 探してみ手くださいね~♪
 
 

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― 軌跡の版画たち ―

2018-01-20 21:55:34 | ミュゼ
「こんにちわァ、テディちゃでスゥ!
 ことしもォ~はじまりィましたでス!」
「がるるぐぅるるがる~!」(←訳:虎です!ショコラ祭り~!)

 こんにちは、ネーさです。
 年に一度のショコラの祭典《サロン・デュ・ショコラ》、
 今日20日と明日21日は三越伊勢丹系カード会員さんの特別招待日、
 そして22日~28日は一般のお客さんに向けて
 新宿NSビルにて開催されます。
 今回は時間帯別チケット(有料)を
 あらかじめ購入しないと入場できませんので、
 皆さま、御注意くださいね。
 さあ、ココロときめくショコラの香りにうっとりしながら、
 本日は読書をサボり、展覧会情報をお送りいたしますよ。
 こちらを、どうぞ~♪
 
  



           ―― 版画の景色 ――



 埼玉県さいたま市の埼玉県立近代美術館にて、
 会期は2018年1月16日~3月25日(月曜休館、ただし2/12は開館)、
 『現代版画センターの軌跡』と副題が付されています。

「げんだいィはんがのォ、てんらんかいィ?」
「ぐるがるる~!」(←訳:レアですね~!)

  

 現代の作家さんによる版画ばかりを集めた
 大規模な展覧会――

 ええ、確かに、
 公立美術館の展覧会としては
 珍しいものかもしれませんね。

 そしてまた、この企画展には
 “異色”とも言える要素が見受けられます。

 1974年に設立され、
 1985年に倒産した
 《現代版画センター》への哀惜と、
 その軌跡を辿りながらの再評価――という要素が。

「むむむゥ? とうさんッ?」
「がるるぐるる……!」(←訳:それは悲しい……!)

  

 アンディ・ウォーホールさん、
 安藤忠雄さん、
 礒﨑新さん、
 加山又造さん、
 船越保武さん……
 《現代版画センター》には
 画家さん、版画家さん、
 彫刻家さん、工芸家さん、映像作家さん、建築家さん他、
 多くのアーティストさんが関わり、
 作品が生まれました。

 ほぉら、いま大人気の↓この作家さんの作品も!

  

「ぐる♪がるるぅ!」(←訳:わあ♪かぼちゃ!)

 神々しささえ漂う
 草間彌生さんの《南瓜》(1982年)。

 このカボチャさんに会いたい御方は、
 ぜひ、さいたま市へ♪

 なお、会期中には一部の作品の展示替え、
 ゲストを迎えてのトークイベント、
 スライド・トークや
 学芸員さんによるギャラリートーク等の
 イベントも予定されています。

 美術館HPで詳細をご参照の上、
 お出掛けしてくださいね~♪

 



    ではここで、ショコラの季節のオマケ画像も!
   
    『グリコ』さんから新発売の、
    《HOBAL(ホーバル)》、
   
    「かかおォそーすゥとォ♪」
   
    「がぅるるるぐーる!」(←訳:キャラメルソース!)
    大粒のソース入りチョコレート……
    次はビター味もつくっていただきたい美味しさです♪

    それにしても週明けのお天気予報が気になります。
    関東南部でも積雪??
    できるだけの備えをして、
    どうか皆さま、穏やかな休日を!


  
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《幸福》な映画論。

2018-01-19 22:12:15 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでッス!
 みなさまァ、もーにんぐゥをォおよみィくださいィ!」
「がるる!ぐっるるるるる!」((←訳:虎です!載ってるんです!)

 こんにちは、ネーさです。
 現在発売中の『モーニング』誌に
 萩尾望都さんの新作短編が掲載されています!
 本屋さんで、コンビニの書籍コーナーで、
 皆さま、どうかチェックしてみてくださいね。
 さあ、ではここからは読書タイム、
 本日は、こちらの映画評論書を、どうぞ~♪
 
  



       ―― ブレードランナーの未来世紀 ――



 著者は町山智浩(まちやま・ともひろ)さん、
 単行本は2005年に、画像の文庫版は2017年10月に発行されました。
 『《映画の見方》がわかる本』とシリーズ題が付されています。

「あはァ! めいさくゥえいがァ、でスゥ!」
「ぐるるるがぅるるぐるるる!」(←訳:世界中にファンがいるよね!)

 ファン……
 あるいは、マニア諸氏と呼ぶべきでしょうか。
 
 リドリー・スコットさん監督の
 『ブレードランナー』(1982年)。

 公開当時はさっぱりウケず、ヒットせず、
 当然ながら興行収益も最悪だったこの映画は、
 時間を経るにつれ、
 じわじわと人気を高めてゆきました。

「いわゆるゥ~!」
「がるるぐーるー!」(←訳:カルトムービー!)

 熱狂的なファンさん多数を得て、
 それがまた作品を“進化”させます。

 公開当時のままのストーリー=オリジナル公開版、
 ディレクターズカット、
 ディレクターズカット/最終版等、
 さまざまな《顔》を持つ物語が
 ひとり歩きし始める――

「よくゥにてるけどォ~?」
「ぐるぐるがるるる!」(←訳:いろいろ違うんだ!)

 著者・町田さんは、この御本で
 『ビデオドローム』
 『グレムリン』
 『ターミネーター』
 『未来世紀ブラジル』
 『プラトーン』
 『ブルーベルベット』
 『ロボコップ』
 といった1980年代に製作された映画作品について
 論じています。しかし。

 やはり、
 最終章たる『ブレードランナー』が白眉なんです!

「かたりィつくせませんッ!」
「がるるぐるるる!」(←訳:広壮な物語世界!)

   『ブレードランナー』は間違いなく
   1980年代で最も重要な映画だ――

 町田さんは斯く断言しつつ、
 作品の細部を、
 画面の隅にこっそり仕掛けられた暗喩を、
 完成版からカットされてしまった幻のシーンを探し、
 想像力を加速させます。

 アンドロイドが、電気羊たちが見た夢は?
 主人公デッカードは、
 はたして人間なのか……?

「ううゥ~むゥ!」
「ぐるがる!」(←訳:議論百出!)

 監督さんは、
 脚本家さんは、
 出演者さんたちは、
 作品をどう思い、どう解釈していたのか。

 原作者フィリップ・K・デックさんが映画を観たら、
 どう感じただろうかなどとも妄想は募りますが、
 さて、貴方の『ブレードランナー』評は?

「まずはァ、えいがをォ~」
「がるるるる!」(←訳:観てからね!)

 映画好きさんには
 映画に比肩する名評論として知られるこの御本、
 『ブレードランナー』未見の方々は
 どうか、映画を観た後で
 この御本へ進んでくださいね。
 激おすすめです!!
 
 
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《誕生》の、一歩一歩。

2018-01-18 22:15:49 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふわわァ~! ぜんぽうゥちゅういィでスゥ!」
「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!濃霧だよ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 今朝の東京・多摩地域は濃い霧に包まれ、思わず、
 19世紀のロンドンってこんな感じ?と
 目を凝らしてしまいましたよ。
 そして、本日の読書タイムも……
 霧の中からゆっくり姿を現す巨象のような、
 こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



            ―― The Pen ――



 著者は池田学(いけだ・まなぶ)さん、2017年1月に発行されました。
 2017年、佐賀県立美術館・金沢21世紀美術館・日本橋高島屋を巡回した
 『池田学展 The Pen ――凝縮の宇宙――』の
 公式図録でもある画集です。

「ふわゥッ! おおものォでス!」
「ぐるる~!」(←訳:四角い~!)

 ↑上の画像からもお分かりでしょうけれど、
 縦横ともにほぼ30㎝、
 と一般的な展覧会図録よりも
 ひとまわり大きめサイズの御本は、
 まず、印刷がガンバってます。

 大判の絵画を撮影して図版に、というのは
 簡単そうでいて、実はとても難しい……
 
 なんてことを微塵も思わせず、
 展覧会の目玉でもあった著者・池田さんの最新作
 『誕生│Rebirth』(2013~2016)、
 その美しさ、
 画面から放たれる底知れぬチカラ、
 光と闇を写し取りました。

「なんというゥせかいィ!」
「がるるぐるるがるぐるるる!」(←訳:二次元なのに立体みたいだ!)

 御本の冒頭部分には、
 『誕生│Ribirth』の全景(全図というべきでしょうか)、
 そして部分図が掲げられ、
 巻末近くでは
 《『誕生』制作過程│The Making of Rebirth》
 と題された
 “生まれつつある『誕生』”の記録が収録されています。

「びじゅつかんッでのォ~!」
「ぐるがる!」(←訳:公開制作!)

 自室を出て、外へ。
 しかも、そこは
 米国ウィスコンシン州・チェゼン美術館のスタジオ。

 毎日、午後の一時間、一般に公開されるスタジオで、
 池田さんは描くのです。

 300.0×400.0㎝の紙に、
 ペン、インク、透明水彩。

「きのォとおくなるゥような~…」
「がるるぐる……!」(←訳:遠大な道程……!)

 池田さん御自身による制作の記録
 『マディソン日記』から抜粋された文章も添えられたこのパートは
 見応えも、読み応えも、ずっしり、ずしん!

「ながいィたびィでしたでス!」
「ぐるがるるるぐるる!」(←訳:実り豊かな旅でした!)

 また、この図録には、
 『誕生│Rebirth』以外の池田さんの作品も
 収録されています。

 大型の作品、小型の作品、
 どれも素晴らしい中で、
 私ネーさが大々好きなのは
 『ブッダ Buddha』(2000年)、
 『存在 Existence』(2004年)……
 いえ、『方舟 Ark』(2005年)も、
 『興亡史』や
 動物を描いた連作もステキなのよね~♪

「つまりィ~…」
「がるぐる!」(←訳:全部好き!)

 書店さんのアートブックコーナーでは
 おそらく一際目を惹いているに違いないこの御本、
 どうか皆さま、
 手に取ってページをめくり、
 池田さんのペンの息吹を、
 その宇宙を、
 感じ取り、読み取ってみてくださいね。
 アート好きさんに限らず、
 全活字マニアさんに、おすすめです!
 
 
   
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~ 《ハチミツ》と《ライオン》の世界へ ~

2018-01-17 21:58:04 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 またしてもォ~わだいにィなッてまスゥ!」
「がるる!ぐるるるがるぅ!」(←訳:虎です!ワクワクですぅ!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、またまた注目を浴びているのは、将棋界のニュース!
 若き新星と永世七冠の対決に胸躍らせる方々は、
 きっと↓この作品もお好きかと推しますよ~♪
 
  



        ―― 羽海野チカの世界展 ――



 新潟県新潟市の新潟市マンガ・アニメ情報館にて、
 会期は1月13日~2月18日(会期中無休)、
 『~ハチミツとライオンと~』と副題が付されています。

 はい、読書をサボっての本日の展覧会情報は、
 大人気コミックの原画展です♪

「えいがでもォ~あにめでもォ~」
「ぐるっる!」(←訳:大ヒット!)

  

 羽海野さんの長編デビュー作『ハチミツとクローバー』、
 そして新刊が発売されるたび
 ファンの方々をうふふと笑わせては
 ほろほろと涙させる『3月のライオン』は
 現在NHK総合TVでアニメ第2シリーズが放送中ですね。

「こうひょうゥ、なのでス♪」
「がるぐるるがるる!」(←訳:毎週楽しみだもん!)

  

 この展覧会では、
 『ハチミツとクローバー』『3月のライオン』両作品の原画を中心に
 『月刊MOE』での描き下ろしイラスト、
 羽海野さんの愛猫ブンちゃんのイラストなど
 150点以上の原画作品が展示されます。

 また、会場内のスペシャルショップでは、
 オリジナル複製原画、
 イベントオリジナルグッズなどの販売もありますよ。

「にいがたはァ、とおいィでスよゥ~!」
「ぐるるがる~!」(←訳:都内に来て~!)

 新潟での開催の次は
 首都圏や近郊での開催もあるかも……と期待しつつ、
 お近くの方々は、ぜひ、お出掛けを♪

 


    ではここで、オマケ画像も、じゃじゃん!
   
    『グリコ』さんの
    《ビスコ ウィンタースペシャル
     ストロベリーショートケーキ味
     ~発酵バター入り~》!
   「わおおォ♪これはァおいしィ~でス!」
   「がるぐる~!」(←訳:美味なり~!)
    ビスケット生地とクリームが
    ベストバランスなスペシャル《ビスコ》、
    大人さんもチビっ子ちゃんもお試しあれ♪



    
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いつまでも、瞼に。

2018-01-16 22:06:59 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 なんともォ~からふるゥ、なのでス!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!春の色だね!)

 こんにちは、ネーさです。
 花屋さんのウィンドウに、
 ピンク、オレンジ、紫、レモン……と並んでいたのは、
 フリージア&スイートピー♪
 明るい春の色から元気をわけてもらった今日は、
 さあ、またあの作家さんに御登場いただきましょう。
 こちらを、どうぞ~!

  



          ―― いちまいの絵 ――



 著者は原田マハさん、2017年6月に発行されました。
 『生きているうちに見るべき名画』と副題が付されています。

 前々回記事では、
 原田さんのフィクション作品『たゆたえど沈まず』を御紹介しましたが、
 こちらはアート評論ジャンルのノンフィクション作品、
 ということになりましょうか。

「こころにィ、ひめたァ~…」
「ぐるがる!」(←訳:我が一枚!)

 アート好きさんなら、こころのうちに
 持っているに違いありません。
 この絵が、もう好きで好きで。
 大好きで!という一枚を。

 いえ、ことさらアート好きと自認していない御方も、
 好きな絵っていえばこれだよな♪
 という一枚がおありでしょう。

「ありィまァ~ス!」
「がるぐるぅ!」(←訳:あるあるゥ!)

 そういった《アートあるある》に、
 かつては美術館に勤務した経験を持ち、
 現在はア-ト小説の名手として知られる
 著者・原田さんが挑んだなら。

 はたして、
 選ばれる“我が一枚”とは?

 誰もが知る名作なんでしょうか?

 玄人ごのみの隠れた逸品なんでしょうか?

「ここにはァ、えェ~とォ?」
「ぐるる~!」(←訳:26枚~!)

 原田さんのこころを打った、
 26の作品。

 御本の本文部分は文章のみ、挿絵もないのですけれど、
 冒頭にはカラー口絵が収録されていて、
 原田さんが選んだ作品の図版を見ることが出来ます。

 副題に『生きているうちに見るべき名画』とある通り、
 殆どの作品が
 美術館の公式カタログで最も目立つ場所に掲載されるような、
 あるいは美術の教科書に載っているような、
 メジャーな名作ではありますが。

 作品に向ける原田さんの目線は優しく、あたたかく、
 静かな、しかし、
 ずっしりと重い感動に満ちています。

 《この一枚》が、
 ここにある――自分の眼の前にある、という奇跡。

 この絵がここにくるまでの、長い長い道のり。

 そしてまた、
 自分がここで、こうして
 絵と相対していることも、
 奇跡としかいいようがない。

「しょうせつゥ、みたいィでスねッ!」
「がるぐぅるるぅるがるるるる!」(←訳:ノンフィクションなんだけど!)

 『一枚目』として取り上げられているのは、
 パブロ・ピカソさん作
 『アヴィニヨンの女たち』。

 20世紀の“節目の一枚”であった『アヴィニヨンの女たち』から、
 さて、原田さんの眼はどこへ向かうのでしょう?

 二枚目、三枚目と続く『見るべき名画』は
 いったい誰の、なんという作品か?

「なるほどォ~だッたりィ?」
「ぐるがっるる!」(←訳:意外だったり!)

 瞼を閉じれば、
 そこに浮び上がる、私の一枚。

 アート好きさんも
 歴史好きさんをも共感させる快作、
 ぜひのおすすめです♪
   
 
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怪異をつづれば。

2018-01-15 22:10:32 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ほうていィどらまもォ~おもしろいィでス!」
「がるる!ぐるぅるがる!」(←訳:虎です!ダジャレもね!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、日曜夜の新ドラマ初回もその面白さに拍手しましたよ。
 シュールなダジャレと脇役さんたちの奮闘につられ、
 次回の放送を首を長くして待ちながら、
 さあ、読書タイムも奮闘してみましょう♪
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~! 

  



    ―― H.P.LOVECRAFT H・P・ラヴクラフト ――



 著者はミシェル・ウエルベックさん、
 原著(底本)は2015年に、日本語版は2017年11月に発行されました。
 仏語原題は『H.P.LOVECRAFT:Contre le monde,contre la vie』、
 『世界と人生に抗って』と日本語副題が付されています。

 SFやファンタジー好きな活字マニアさんは、
 きっと耳にしたことは、
 いえ、きっと読んだことがあるに違いない
 《クトゥルフ神話》の創始者、
 ハワード・フィリップス・ラヴクラフトさん(1890~1937)。

 この御本は、ラブクラフトさんについての
 評伝エッセイ作品、
 と言ったらいいんでしょうか――

「テディちゃ、しッてまスゥ!
 こわァ~いィおはなしィ、なのでスよゥ!」
「ぐるーがるる!」(←訳:ホラーだよね!)

 ホラーなのか、怪奇小説なのか。
 或いは、コズミック・ホラー(宇宙的ホラー)とも形容される、
 その作品群の作者さんを。

   現代ホラーの父。

 と呼んでも、異論はありませんでしょう。

「こわいィだけじゃなくてェ~」
「がるるぐる!」(←訳:不思議千万!)

 怪異と不思議に満ちたラヴクラフトさんの
 《クトゥルフ神話》
 (クトルゥルーとも表記されます)。

 その神話世界の成り立ちを、
 著者・ウエルベックさんは考察します。

 細長い顔立ちの、
 不器用で、人見知りで、鬱屈を抱え、
 時に自分の古い家系に圧し潰されかけつつも、
 ただひとり、
 “物語る”道を歩んだ若者。
 
 真のジェントルマンでありながら、
 それともジェントルマンであるがゆえに、
 生涯、彼が見続けたもの……。

「さみしィ、うちゅうゥ?」
「ぐるるるるがるー?」(←訳:黄昏どきのホラー?)
 
 前半は“ラヴクラフト作品論”と
 それにラヴクラフトさんが生きた時代の様相が描かれていますが、
 御本後半の伝記の部分は
 読み手の感情を深く揺さぶります。
 
 また、冒頭には
 スティーヴン・キングさんの序文が収録されていて、
 これも素晴らしい“ラブクラフトと僕”論になっています。

「ちからァ、はいッてまス!」
「がるる!」(←訳:筆力が!)

 ホラー好きさんに、
 近代文学史好きさんに、
 そしてS・キングさんのファンの方々にも
 おすすめしたい一冊です。
 本屋さんで、図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね~♪



 
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揺れども、沈むことなく。

2018-01-14 22:13:54 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 しんさくゥどらまァ、はなざかりィ~♪」
「がるる!ぐるるがっるるぅ!」(←訳:虎です!チカラ入ってるぅ!)

 こんにちは、ネーさです。
 お正月気分が抜けて、各TV局は次々と
 新作ドラマをオンエアし始めました。
 先日放送された『アンナチュラル』は面白かったわ♪
 今週も新ドラの初回放送を楽しみにしながら、
 さあ、読書タイムもガンバります。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



         ―― たゆたえど沈まず ――



 著者は原田マハさん、2017年10月に発行されました。
 『FLUCTUAT NEC MERGITUR』とラテン語題名が付されています。

「らッ、らてんごッ??」
「ぐぅ~…がるるる~…」(←訳:はぁ~…ラテン語~…)

 私たち日本人にとっては
 ラテン語ってあまり馴染みがない言葉です。
 でも、ヨーロッパの人々にとっては
 生まれながらに接し、目にしている言語です。
 
 『FLUCTAUT NEC MERGITUR』は
 特にフランスの人には知られている言葉で、
 フランス語に訳すと
 『Il tangue mais ne coule pas』――
 日本語では、
 『揺れはするが、沈没はしない』。

 パリ市が標語としている言葉です。

「ぱりィのォ?」
「がるるぅ!」(←訳:標語かぁ!)

 そう、この物語の主役は、
 パリ――
 或いは、つかの間といえど、
 パリという街につどい、もがき、
 夢を見、生きた人びと、と言うべきでしょうか。

 その人びとのうちの、ひとり。

 そのひとりは、
 現代、この上なく偉大なアーティストとして
 世界中に知られています。

 フィンセント・ファン・ゴッホさん。

「あァ!そうでしたでス!」
「ぐっるるるるがるるるる!」(←訳:ゴッホさんも住んだんだ!)
「ぱりィにィ!」

 御本の表紙を飾っているのは、
 『星月夜』。

 ゴッホさんの代表作の一つとされる
 夜空と糸杉を描いたこの作品は、
 もちろん、一目で分かります。

 パリの風景ではない、と。

「みなみィでスよねッ!」
「がるるるるる!」(←訳:南フランスだ!)

 『星月夜』に行き着くまでに、
 ゴッホさんはどんな風景を目にしたのか。
 パリで、何を、どんな思いで目にしていたのか。

 いま、多くの人が識っています。

 そこに、浮世絵があった、と。

「ごッほさんはァ、にほんッだいすきィ~!」
「ぐるるるるがるるるるる!」(←訳:日本美術に惚れてました!)

 パリの街に、
 ゴッホさんと日本の美術をつなぐ
 日本人がいました。

 日本美術の販売と紹介を専門とする
 林忠正(はやし・ただまさ)さん。

 林さんとゴッホさんのつながりが、
 ゴッホさんの運命を、
 いえ、現代美術の運命を変えてゆきます。
 
 その“嵐のような”パリでの日々のものがたりを、
 アート好きな活字マニアさんは、ぜひ!

「ごッほさんッ、すきなァおかたもォ!」
「がるるぐる!」(←訳:一読をぜひ!)
 
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― みんなが知ってる、《表紙》の巨匠 ―

2018-01-13 22:07:17 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わぷるゥ! さむすぎてェ~…!」
「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!これが真冬だ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 結露が凍りつき(室内なのに!)、
 オリーブオイルが固まり、
 ハチミツも真っ白になってしまう多摩の冬です。
 ああハワイとか行ってみたいわぁと夢想しながら、
 さあ、本日は読書をシャキっとサボり、
 ↓こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪

  



           ―― 生頼範義 展 ――



 東京・上野の上野の森美術館にて、
 会期は2018年1月6日~2月4日(会期中無休)、
 『THE ILLUSTRATOR NORIYOSHI OHRAI』と英語題名が付されています。

「みんながァ、しッてるゥ~!」
「ぐるるるがる!」(←訳:見たことある!)
「あのォひょうしィ!」

 ええ、活字マニアさんならば
 書籍の表紙画として、
 映画マニアさんは映画のポスターとして、
 必ずどこかで目にしておられるのが
 生頼範義(おうらい・のりよし)さんの作品です。

  

「すたー・うぉーずゥ、ありまスゥ!」

  

「がるるるぐるるる!」(←訳:ゴジラもあります!)

 生頼範義さん(1935~2015)は
 日本を代表するイラストレーターとして知られています。

 吉川英治さん、平井和正さん、小松左京さん他、
 多くの作家さんたちの書籍の表紙画や、
 映画『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』、
 《ゴジラ》シリーズのポスター画など、
 誰もがどこかで一度は、
 いえ、一度ならず、二度三度と、
 目にした経験のある《OHRAI WORLD》――

 この展覧会では、
 生頼さんが遺した三千点以上の作品の中から
 選び抜かれた原画約250点が展示されます。

「おりじなるぐッずもォ、はつばいィちゅゥ!」
「ぐるるるるがっるるる!」(←訳:イベントもやってます!)

 期間中の毎週水曜日には
 学芸員さんによるギャラリートーク(申込み不要)、
 そして1月27日には
 ナイト・ギャラリートーク(限定50名)が
 開催される予定なんですけれど
 イベント付き前売り券は完売してしまったらしくて……

「にんきィなのでス!」
「ぐるるる!」(←訳:さすがだ!)

 なお、この展覧会では
 写真の撮影が可能なエリアが設けられていて、
 撮影&SNS投稿も大歓迎!なのだそうですよ。
 詳細を美術館HPや特設HPで御参照の上、
 皆さま、楽しいお出掛けを♪
 

    
    ではここで、新陳代謝促進!なオマケ画像も♪
   
    「おォ~!しせいどうゥ!」
    「がーるー!」(←訳:パーラー!)
   
    資生堂さんのサイトでお買い物をしたら
    焼き菓子のセットをいただいちゃいました。
    『フィナンシェ オ テ ジャポネ』、
    たいへん美味しゅうございます。
    「かおりィがァ、よいのでスゥ~」
    「ぐるるがるる!」(←訳:生地のキメも!)
    寒波が去るまで、あと少し…?
    受験生さんも活字マニアさんも、
    ご自愛しつつ、
    穏やかな休日をお過ごしくださいね♪

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いかなる宝玉も…?

2018-01-12 22:04:24 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 さくらさくよッきッとかッとォ!」
「がるる!ぐっる!」(←訳:虎です!トッパ!)

 こんにちは、ネーさです。
 合格を祈願するお菓子を目にする機会が増えてますね。
 コーヒーチェーン店の『ドトール』さんでは
 『ド通る』というスペシャルブレンドも発売されたとか♪
 受験生さんへ今日もエールを送りながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



    ―― 名画で読み解く イギリス王家 12の物語 ――



 著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、2017年10月に発行されました。
 2017年後半の美術界で話題をさらった
 《怖い絵展》――
 上野の森にできた長い行列は
 TVのニュースなどでも盛んに報道されていましたよね。

「そうぞうをォこえてェ、だいにんきィ!」
「ぐるるがるるぐる!」(←訳:寒波に負けぬ熱気!)

 そんな《怖い絵展》の
 “看板作”ともいえる作品が、
 この御本の第2章で論じられています。

 表紙にもなっている、
 ポール・ドラローシュさん作
 『レディ・ジェーン・グレイの処刑』。

 たった16歳と4ヵ月で。

 その若さで、
 ロンドン塔に送られ、
 命を失わなければならなかったのは、
 何故なのか。

「りゆうゥはァ……はんぎゃくゥざいィ!」
「がるるるるるぐる!」(←訳:信じられないけど!)

 16際の女の子に
 王座を簒奪(さんだつ)できるほどの知略があるでしょうか?

 おそらくは、なかった。

 なのに、気が付けば、いつの間にか、
 隣に処刑執行人が立っている。

 こんな“怖い”状況が生まれた、
 その背景とは?

「いりくんでェまスよゥ!」
「ぐるるるるっるるぅ!」(←訳:こんがらがってるぅ!)

 日本史でも、
 権力の代替わりや移行がものすごーく入り組んで複雑で、
 という時代がありますね。
 鎌倉、南北朝、室町期に似た混乱を
 英国に探すとすれば、それはこの、
 レディ・ジェーンが生きたチューダー朝とその前後、
 かもしれません。

 著者・中野さんは、
 シェイクスピアさんの戯曲で有名なリチャード三世の時代から、
 20世紀のウィンザー家の時代まで、
 王冠と権力の変遷を緻密に辿り、描写します。

 権力者たちの肖像を足がかりに。

「ごうかなァ、いしょうがァ~…」
「がぅっるぐるるぅ!」(←訳:かえって怖いよぅ!)

 収録されている図版は、
 サイズは小さいのですけれど、
 すべてカラーで、
 ドレスの豪奢なこと、
 宝石の見事なことも
 読み手の私たちに伝わってきます。

 そして、
 どんな高価な宝石も衣装も、
 彼ら/彼女らに
 幸福な王座を約束してはくれなかったことも。

「それがァ、れきしィ!」
「ぐるがるる!」(←訳:万国共通の!)

 肖像画好きなアート好きさんに、
 歴史好きな御方に、
 《怖い絵展》の思い出に浸りたい方々にも
 おすすめの新書ノンフィクション、
 皆さま、ぜひ、一読を♪
 
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