テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

黄金のチケットを手に。

2019-09-10 23:16:26 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うゥ! うらやましィ~のでス!」
「がるる!ぐるるぅるる!」(←訳:虎です!憧れちゃうよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 はるか西の彼方、スペインで開催中の
 《ブエルタ・ア・エスパーニャ2019》は、
 最終週に入って佳境を迎えていますが、
 気になるのは……沿道の観客さんに長袖多し?
 スペインってもう寒くなってるのかしら?と、
 今日も猛暑の東京から羨望の溜め息をもらしつつ、
 さあ、ここからは読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御御本を、どうぞ~♪
 
  


 
   ―― ドナルド・キーンのオペラへようこそ! ――



 著者はドナルド・キーンさん、2019年4月に発行されました。
 『われらが人生の歓び』と副題が付されています。

「ふァ? おぺらァ、でスかッ??」
「ぐるるるがーるぐる?」(←訳:オペラとキーン先生?)

 ドナルド・キーンさん(1922~2019)。

 いうまでもなく、
 日本文学と日本文化研究の第一人者であり、
 外国出身の学術研究家としては
 初めて文化勲章を受賞した
 比類なき“智の巨人”さんですね。

 けれど、キーンさんが超、いえ、
 超超超超超……と、
 アタマに超を100個付けちゃってもいいくらいの
 オペラ愛好家さんだったとは、
 申し訳ありません、
 私ネーさ、知りませんでした。

「はじまりィはァ、しょうねんじだいィ!」
「がるるぐるがるるぐるる!」(←訳:蓄音機から流れるアリア!)

 キーンさんがまだ幼かったころ、
 お家にがお父さんの蓄音機がありました。

 その蓄音機で聴いた曲といえば、
 《道化師》《真珠採り》や《リゴレット》などの、
 それもイタリア人テノール歌手によるオペラ作品で、
 交響曲や室内楽のレコードはまったく無かった――
 キーンさんはそう回想します。

 ニューヨーク育ちのキーンさんですから、
 蓄音機のレコードを聴き、
 トスカニーニさん指揮のNBC交響楽団の演奏を
 劇場やラジオ放送で聴き、
 そして、メトロポリタン歌劇場で
 “人生初”のオペラを観ることとなりました。

「もうゥこのさいィ!」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:定期会員になろう!)

 メトロポリタン歌劇場、
 通称“メト”の定期会員になったキーンさんは、
 ニューヨークで、
 そしてケンブリッジ大学留学中はロンドンで、
 数多の舞台に接し、
 すっかりオペラのとりこになってゆきます。

 モーツァルトさんの『フィガロ』、
 ビゼーさんの『カルメン』、
 ベートーヴェンさんの『フィデーリオ』……

「ふかまるゥ~ねッきょうゥ!」
「がーるるる・ぐーるるる!」(←訳:ノーオペラ・ノーライフ!)

 この御本では、
 キーンさんとオペラとの出会い、
 オペラについてのエッセイ、
 著名なオペラ作品の解説、
 オペラ歌手さんについての評論等、
 キーンさんの《オペラ論》が展開されていますが、
 さて、
 キーンさんが最も愛するオペラ歌手さんは、というと。

「あのォおかたァ、でス!」
「ぐるるるるる!」(←訳:20世紀の星!)

 マリア・カラスさん(1923~1977)こそが、
 キーンさんにとっての
 唯一無二の歌姫でした。

 『マリア・カラスを偲ぶ』
 と題された終章には、
 カラスさんの公演のチケットを手に入れるため、
 コヴェントガーデンの入場券売場に並んだ思い出が
 詳しく記されています。

 大評判の公演ですから、
 チケットの売れ残りなどあるはずがない。
 でも、とりあえず並んでみようと、
 10~15人ほどの行列に加わってみる……も、
 辛抱強く待つうち。

 列に並んでいた人は、ひとり、ふたりと、
 諦め顔で離れてゆく。
 まもなく開演と告げられた時には、
 キーンさんの前に並んでいたのは、
 わずか3、4人。

「これはァ、もしやッ!」
「がぅるるる!」(←訳:チャンスが!)

 チケットを握りしめ、
 劇場へと急ぐキーンさん。
 はたして、間に合うのか?

「いそげやァ、いそげッ!」
「ぐるがっるぅ!」(←訳:間に合ったぁ!)

 かくして、
 マリア・カラスさんの『ノルマ』は
 キーンさんの眼に、耳に、こころに、
 確固として焼き付けられることとなりました。
 
「けッしてェ、わすれないィ!」
「ぐるるがる!」(←訳:永遠の歌姫!)

 キーンさんのオペラ熱には
 どうやら伝染力があるようです。
 読み進んでゆけば、
 だんだん、どんどん、ほぉら、
 オペラが観たく、聴きたくなってゆく――

 そんな不思議な気分を、
 活字マニアの皆さまも
 ぜひ、体感してみてくださいね。
 おすすめですよ♪
 


 
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光と、花の庭。

2019-09-09 22:27:13 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おみまいィもうしあげまスゥ!」
「がるる!ぐるがるるぅ~…」(←訳:虎です!でも茹だるぅ~…)

 こんにちは、ネーさです。
 皆さま、ご無事でしょうか。
 ここ八王子では、台風15号による被害は
 あまり無かったものの、
 9月らしからぬ暑さにアタマがクラクラしています。
 熱中症にならぬよう、冷たい飲み物を用意したら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
     ―― 原田マハの印象派物語 ――



 著者は原田マハさん、2019年6月に発行されました。
 『7histoires d'impressionnistes』と仏語題名が付されています。

「しょうせつゥでスかァ?」
「ぐるがるるる?」(←訳:美術ガイド本?)

 この御本の本文は4つのパートに分かれています。

 先ずは、印象派の作品に出会える美術館の紹介。

 『愚かものたちのセブン・ストーリーズ』と題された
 7人の画家さんの《物語》。

 著者・原田さんが辿る《ノルマンディー紀行》。

 そして、2017年4月に行われた
 三菱一号館美術館館長の高橋明也さんと
 原田さんの対談
 《人生にただ一度しかない展覧会》
 が収録されています。

 『セブン・ストーリーズ』には
 小説的な描写が織り込まれ、
 美術館を紹介する部分と《ノルマンディー紀行》は
 ノンフィクションですから、
 この御本が狙っているのは
 フィクションとノンフィクションの
 “いいとこどり”でしょうか。

「おしゃしんッ、わんだふるゥ!」
「がるぐるるぅ!」(←訳:これいいなぁ!)

 美術の教科書にあるような
 “お行儀の良い”写真ではなく、
 それゆえにじっと見入ってしまうのが、
 本文6ページの
 『14歳の小さな踊り子』です。

 油彩やパステル、素描など、
 数多くの踊り子(バレリーナ)を描いたドガさんの、
 これは立体作品――ブロンズ像なのですけれど、
 ブロンズの表面の質感、
 衣装のしわ、
 髪に着けたリボンの結び目までもくっきり捉えられて、
 いまにも『小さな踊り子』が
 ふっと動き出しそうな……。

「いきてるゥみたいィ!」
「ぐるるぅ!」(←訳:凄いよぅ!)

 そのドガさんも登場するのは、
 《愚かものたちのセブン・ストーリーズ》。

 《モネの物語》
 《ベルト・モリゾとマネの物語》
 《メアリー・カサットとドガの物語》
 《ルノワールの物語》
 《カイユボットの物語》
 《セザンヌの物語》
 《ゴッホの物語》

 という、
 7つの《物語》では、
 画家さんたちの年表、代表作の図版と併せて、
 原田さんが“幻視”した
 《世界でいちばん美しい愚かものたち》の生涯が
 敬愛の思いとともに語られます。

「どのォおはなしィもォ~」
「がるるぐっるぅる~♪」(←訳:好きになっちゃう~♪)

 花々が咲き、柳が揺れるモネさんのお庭、
 エトルタの崖と、
 オンフルールの港。

 写真も文章も、
 高橋さん×原田さんの対談も、
 印象派好きな御方、
 19世紀フランス美術好きな方々には
 ぜひのおすすめですよ。
 本屋さんで、図書館で、
 探してみてくださいね。
 
 

  
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ちっちゃな違いが、大きな理由に?

2019-09-08 21:31:59 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うゥ~…ぶるぶるゥ!」
「がるる!ぐるるる!」(←訳:虎です!怖いよう!)

 こんにちは、ネーさです。
 迫りくる台風の恐怖に怯える日曜日となりました。
 どうか被害がありませんように、
 皆さま御無事で、と祈りながらの読書タイムは、
 元気いっぱいのベストセラー作品から
 パワーをいただいちゃいましょう。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪
 
  


 
      ―― 続 わけあって絶滅しました。 ――



 監修は今泉忠明さん、著者は丸山貴史さん、
 絵はサトウマサノリさん、ウエタケヨーコさん、北澤平祐さん、
 2019年7月に発行されました。
 大人気を博した『わけあって絶滅しました』の続巻には
 『世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』と
 副題が付されています。

「ぜつめつゥ!」
「ぐるがるる~!」(←訳:縁起悪いよ~!)

 はいはい、落ち着いて。
 確かにね、
 《絶滅》してしまった生物さんたちがこの御本の主役ですが、
 それだけではないんですよ。

 まずは、目次に記された6つの章題を眺めてみましょうか。

  1.《古生代で絶滅》

  2.《中生代で絶滅》

  3.《新生代で絶滅》

  4.《現代で絶滅》

  5.《絶滅しそうでしていない》

  6.《わけあって繁栄しました》

「んッ? していないィ??」
「がる~??」(←訳:繁栄~??)

 ええ、そうなんです。
 御本の前半部分は《絶滅》した生きもの、
 そして後半部分では、
 《絶滅》しなかった生きものに
 主役が交代してゆきます。

「そのォちがいィはァ?」
「ぐるるるがるるる?」(←訳:どこから生じたの?)

 絶滅か、生存か。

 中生代(ジュラ紀)を代表する
 肉食恐竜アロサウルスが絶滅したのは、
 彼らがエサとする巨大な恐竜たち(例えばアパトサウルス)が
 激減してしまったから。

 そう、どれほど強くても
 それだけじゃ生き延びられない。

 一方、
 新生代の哺乳類オオツギホコウモリの場合は、
 敵が少ない環境で暮らすうちに
 だんだん身体が大きくなって、
 飛ぶのをサボっていたら、
 侵入してきたドブネズミたちに
 食べられてしまったから。

 そう、油断してると、
 やっぱり生き延びられない。

「うゥ~むゥ……!」
「がるっるぐるるる……」(←訳:世界ってフクザツ……)

 生き延びた生物の例として
 挙げられているもののひとつは、
 サメ。

 なぜ生き延びたのかというと、
 “最強”を目指さなかったから。

 時代のナンバーワンにならなくてもいい、
 魚竜やモササウルスより弱くていい、
 彼らの陰でこっそりひっそり生きてゆけたら
 それで充分♫

「そッ、そうなのッ?」
「ぐるるがる??」(←訳:それが勝因??)

 滅びたもの、
 生き残ったもの。

 《自然絶滅》の悲喜劇と、
 人間が絶滅させた《人為絶滅》。

 進化の不思議と
 地球の未来について深く考えさせられる科学ノンフィクションは、
 大人にも、チビっ子ちゃんたちにもおすすめです。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~!
 


 
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― 美々しき明治の風景を ―

2019-09-07 19:28:40 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふゥ! わくわくゥでスよゥ!」
「がるる!ぐるるがるるる!」(←訳:虎です!開幕はもうじき!)

 こんにちは、ネーさです。
 バスケに続いて、
 ラグビーワールドカップもすぐに始まりますね。
 出場国チームはそろそろ
 本気のキャンプイン!している頃でしょうか。
 選手さんたちにエールを送る準備をしながら、
 さあ、週末の今日は読書をサボり、
 ↓こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪

  


 
        ―― おかえり 美しき明治 ――



 東京・府中市の府中市立美術館にて、
 会期は2019年9月14日~12月1日
 (休館日は祝日を除く月曜日と、9/17,9/24,10/15,11/5)、
 『Welcome Back “Beautiful Meiji”』と英語題名が、
 『《明治の微笑み》をあなたに』と日本語副題が付されています。

「いまァ、ちゅうもくゥなのはァ~」
「ぐるるがるるる!」(←訳:近代の日本美術!)

  

 明治の時代、
 多くの外国人が
 未知なるものに惹かれて、
 新政府から招聘されて、
 開国されたばかりの
 極東の島国へとやって来ました。

 その中には、
 画材を抱え持った英国人画家さんたちもいて、
 美しい日本の風景を写し取り、
 本国に持ち帰っていったのです。

「たびのォ、きねんひんッ!」
「がるるぐるる!」(←訳:大事にしよう!)
 
  

 画家さんたちが帰国する前、
 作品を目にする機会を得た若い日本人画家たちは
 その色彩、瑞々しさに魅了され、
 やがて日本独自の水彩画《みずえ》を
 生み出してゆくことになります。

「そらもォ、みどりィもォ、すがすがしィ~!」
「がるるぐるるるる!」(←訳:空気が澄んでるよ!)
  
  

 この展覧会では、
 チャールズ・ワーグマンさん、
 ロバート・チャールズ・ゴフさん、
 アルフレッド・イーストさん
 といった英国人画家さんの作品と、
 木下藤次郎さん、
 笠木治郎吉さんたち日本人画家さんの作品
 約300点が展示されます。

 風景画だけじゃありません、
 ↓下の画像は、
 エレン・ウィルモットさんによる植物画
 『バラ属』(バラ図鑑)。

「めいじのォ、ばらッ??」
「ぐるるる!」(←訳:きれいだ!)

  

 そして、
 『花を摘む娘』をはじめとする
 “謎の画家”木下藤次郎さんの
 水彩作品13点も一挙公開!

「ふむむゥ? なぞのォがかさんッ?」
「がるるぐるるるる!」(←訳:解明が待たれます!)

  

 前期が9月14日~10月20日、
 後期が10月22日~12月1日、と
 展示は前後期に分けられています。
 また、
 高階秀爾さんによる講演会や
 学芸員さんによるクロストークなど
 イベントも予定されています。

「もよりのォ、えきィはァ~」
「ぐるるるがるるるぐる!」(←訳:京王線の東府中駅です!)

 アート好きな皆さま、
 ぜひ、お出掛けくださいね♪
 




    では、ここでオマケ画像も~♪♫
   
    『アサヒグループ食品』さんの
    《1本満足バー 3本+1本》は
    期間限定のお得なパックです。
    オリジナルデザインの
    バナナタルト試供品付き、ですって。
   「らぐびーかんせんのォ、おともにィ!」
   「がるるるぐるがるるる!」(←訳:応援する時のエネ源に!)

   台風接近の週末となりました。
   どうか皆さま、
   戸締まりを万全に、
   警戒も万全に!





   
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~ おんじの来た道 ~

2019-09-06 22:26:02 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うぎゅゥ~まけちゃッたでスゥ~…」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!ドンマイだよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 バスケW杯日本代表は米国に完敗となりましたが、
 まだまだ、7日にはニュージーランド、
 9日にはモンテネグロとの対戦が予定されています。
 八村塁くんが離脱してしまったチームジャパンに
 さらなるエールを送りながら、
 さあ、今日も読書タイムとまいりましょう。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  


 
    ―― 『ハイジ』が見たヨーロッパ ――



 著者は森田安一(もりた・やすかず)さん、
 2019年7月に発行されました。
 大人にもチビっ子にも広く親しまれる『アルプスの少女ハイジ』、
 その原作小説と
 日本でアニメ化された『ハイジ』を対比させつつ、
 欧州の歴史をも探るノンフィクション作品です。

 ……が、
 私ネーさ、本題に入る前に
 ちょいとばかり言いたいことがございます。

「わわゥ? おこッてるゥ??」
「ぐるる!」(←訳:怖いぞ!)

 現在、NHKで放送中の朝ドラ『なつぞら』。
 毎朝きちんと拝見しております。
 だって、アニメーターのお話だっていうから、
 日本のアニメーションを
 ここまで育て上げた方々の物語だっていうから。

 でもね、出てこないじゃん!
 『白蛇伝』と
 『太陽の王子ホルスの大冒険』を想わせる作品がチラッと登場して、
 おお!これから『どうぶつ宝島』が
 『長靴をはいた猫』が、
 『赤胴鈴之介』が、
 『アトム』や『鉄人28号』といった
 アニメ史上重要な意味を持つ作品も出てくる……と思ったら。

 ぜ~んぜん出てこないじゃありませんか~!

「……かなしィでスゥ~…」
「がるるぐる~…」(←訳:寂しいよね~…)

 今日は出るか、明日こそは出るかも、と
 期待に期待を重ねてきたのに……
 すっかり裏切られた気分です。

 ていうか、
 そもそもTVに期待したのが間違ってたんだわ、
 やっぱり本だ!
 活字マニアは活字マニアらしく、
 書物の世界に立ち戻ろう!
 と思い改めまして、
 この御本を手に取った次第です。

「げんさくゥのォ、はいじィ!」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:高畑さんのハイジ!)

 著者・森田さんは『ハイジ』の歴史を辿ります。

 ヨハンナ・シュピリさん(1827~1901)の
 『ハイジの修業時代と遍歴時代』が、
 どういう形で日本へやって来たか。

 ペーターやハイジの生活から窺われる
 19世紀スイスの教育事情や、
 “働く子どもたち”の存在。

 フランクフルトへの移動手段となった
 スイスの鉄道網、
 夢遊病など医学についての認識。

 スイスの温泉大国ぶりと、
 おばあさんの心を癒す讃美歌。

 さまざまな『ハイジ』世界の考察が為されてゆく中で、
 際立って素晴らしいのが、
 
 《おじいさんの履歴――スイス傭兵制》

 の章です。

「ふァ? ようへいィ??」
「がるるぐるるる?」(←訳:アルムおんじが?)
 
 彼には名前がない。
 おそらくは、トビアス、ではないかと推察される。
 出身地は、スイス南部のドムレシュク。
 
 アルムおんじは、
 そのドムレシュクの、
 “もっとも裕福な農場の持ち主”
 だったのですが、
 仰天の《波乱と流転の人生》を送ることに……!

「ふゥ! そうぞうゥいじょうゥ!」
「ぐるるる!」(←訳:大遍歴だ!)

 統一前夜のイタリア半島に
 吹き荒れる戦乱と混乱、
 揺れ動くヨーロッパ各国の政治制度、
 王座に忍び寄る破滅の兆し――

 欧州近代史を凝縮したかのような、
 アルムおんじの経歴は、
 私たち読み手を圧倒します。
 
「わかきィひのォ、おじいさんッ!」
「がるるるぐるるるるる…?」(←訳:どんな顔してたんだろ…?)

 アニメの『ハイジ』には描かれなかった、
 原作の小説『ハイジ』にも詳述されなかった、
 アルムおんじの隠された物語へのアプローチは、
 歴史好きな御方に、
 もちろん『ハイジ』ファンの方々にもおすすめですよ。
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪
 



 
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~ 探し歩く《世界》 ~

2019-09-05 22:33:12 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 もふふッ♪ かッちゃッたのでスゥ!」
「がるる!ぐるるがるるるー!」(←訳:虎です!来年のカレンダー!)

 こんにちは、ネーさです。
 すでに雑貨屋さんにはハロウイングッズと、
 2020年のカレンダーが出揃っていて、
 可愛い小さめのカレンダーを買ってしまいました。
 次は手帳だ!どれにしよう?と楽しく悩みながらも、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  


 
       ―― 世界文学アンソロジー ――



 編者は秋草俊一郎さん、戸塚学さん、奥彩子さん、
 福田美雪さん、山辺弦さん、2019年7月に発行されました。
 『いまからはじめる』と日本語副題が付されています。

「せかいじゅうゥ、あッちこッちィからァ~」
「ぐるるがるるる!」(←訳:集めてみました!)

 収録されているのは、
 27人の著者さんによる、27の作品。

 27作品の原著は、
 フランス語あり、イタリア語あり、中国語あり、
 スペイン語も英語もあって、日本語も、と
 とてもワールドワイドなわけですが、
 御本の『まえがき』で
 編者のひとり、秋草俊一郎さんは
 次のように述べています。

   『世界文学』というと、
   あまりに大仰で、力が入り過ぎてしまう。

   《世界のいろいろな場所で、
    いろいろなことばで書かれた話》

   ぐらいに思ってもらったほうがよさそうです。

「なァ~るほどッ!」
「がぅるぐるるがるる~!」(←訳:じゃあ気楽に行こう~!)

 そうですね。
 お言葉に甘えさせてもらって、
 どーんと気楽に読んでみましょう!
 ということで。

 第1章《言葉――すべてのはじまり》のエミリ・ディキンソンさん、
 第2章《自己――まるで檻のような》のアンデルセンさんも、
 第3章《孤独――記憶はさいなむ》のジェイムズ・ジョイスさん、
 第4章《家族――かけがえのない重荷》の石垣りんさん、
 第5章《戦争――崩れゆく日常》のフリオ・コルタサルさん、
 第6章《環境――わたしたちを取り巻く世界》の石牟礼道子さん、
 第7章《愛――いつだってつなわたり》のコレットさん、
 第8章《悪――絶対やってはいけません》のカフカさんも、
 きれいにスッ飛ばして、
 私ネーさが目指したのは、

 第9章《生死――この世のむこう側》の、

 ジュール・シュペルヴィエルさん著
 『沖合の少女』。

「すッとばしィすぎィでス!」
「ぐるがるぐぅる!」(←訳:ほぼ巻末じゃん!)

 御本の本文中、最終章となる第9章には、
 3つの作品が収められています。

  ディラン・トマスさんの詩
  『あのおだやかな夜におとなしく入ってはいけない』

  ジュール・シュペルヴィエルさんの
  『沖合の少女』

  ガブリエル・ガルシア=マルケスさんの
  『世界でいちばん美しい溺れびと』

 いずれも、章題の通り、
 《この世のむこう》にふと踏み込んでしまったような、
 黄泉の国からの風に頬を撫でられたかのような、
 幻想的な空気を湛える美しい作品ですが。

 私ネーさのイチ推しは、
 なんといっても『沖合の少女』!

「ふらんすゥのォ、さッかさんッ!」
「がるぐるるる!」(←訳:でも南米育ち!)

 『沖合の少女』、
 或いは『波の上の少女』の題名で知られるこの短編小説は、
 地上に住む私たちが
 “決して出会えない”
 ひとりの少女のものがたりです。

   どこか遠く、
   大西洋の沖合の水面に、
   赤レンガの家々が立ち並び、
   鐘楼がそびえる村がある……

   そこにはひとりの少女が暮らしているけれど、
   彼女の声は、姿は、
   誰の耳にも届かず、
   誰の眼にも映らない……

 自動人形師ムットーニさんこと武藤政彦さんの上演会で、
 この『沖合の少女』をテーマにした作品を拝見して以来、
 ずっと原作の小説を探していたのですが、
 やっと、ああやっと、巡り会えましたよ!
 なので、大満足です!

「なんどもォ、よみかえしてェまス!」
「ぐるるるがる!」(←訳:その度に感激!)

 27人の作家さんの、
 魂がこめられた27の作品たち。

 私ネーさにとってのベストは
 『沖合の少女』でしたけれども、
 読み手さんそれぞれにとっての
 ここころ震わせる作品は、
 やはり、それぞれ異なることでしょう。

 自分だけのベストを探しに、
 皆さまも、はるかな《世界》へ、ぜひ♪
 

 
 
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オランジェリーが、横浜へ!

2019-09-04 21:38:54 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 だんだァ~んッとォ、みえてきましたでス!」
「がるる!ぐるるがるるる!」(←訳:虎です!今年の優勝候補!)

 こんにちは、ネーさです。
 《ブエルタ・ア・エスパーニャ2019》は、
 休息日明けの難関TTステージを終え、
 やや上位陣が絞られてきた感があります。
 後半戦に向けてのバトルや如何に!と見守りながら、
 本日は読書……をサボって、
 こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪

  


 
   ―― ルノワールとパリに恋した12人の画家たち ――



 神奈川県横浜市の横浜美術館にて、
 会期は2019年9月21日~2020年1月13日
 (毎週木曜日休館、12/28~1/2の年末年始は休館)、
 『横浜美術館開館30周年記念 オランジェリー美術館コレクション』
 と日本語副題が付されています。

「うむむゥ~んッ! おおばんッぶるまいィ~!」
「ぐるるるるがる!」(←訳:怖いくらい豪華!)

 はい、そうなんです、
 豪気に豪華な大盤振舞い!なのは、
 秋の横浜美術館の企画展!

  

 パリのセーヌ河岸――
 テュイルリー宮殿のオレンジ温室(オランジェリー)を
 改修して造られたこの美術館の“看板”作品は、
 モネさんの《睡蓮》連作です。

「でもォ、もッちろォ~んッ!」
「がるるるぐるがぅるるる!」(←訳:モネさんだけじゃないよ!)

  

 1965年に寄贈された
 画商ポール・ギョームさんのコレクションを中心として
 オランジェリー美術館が所蔵するのは、
 エコール・ド・パリの傑作の数々――

 ルノワールさんの『ピアノを弾く娘たち』、
 マティスさんの『赤いキュロットのオダリスク』、
 ピカソさんの『布を纏う裸婦』
 ルソーさんの『婚礼』など、
 ヨーロッパでも屈指の絵画コレクションです。

「ふゥッ!
 ためいきィ、でまスゥ~♫」
「ぐるるがるるる!」(←訳:揃えも揃えたり!)
 
  

 この展覧会では、
 オランジェリー美術館が所蔵する
 146点の作品のうち約70点が、
 21年ぶりに来日し、展示されます。

「あッ、このおかたッ!」
「がぅーるぐる!」(←訳:ギョームさん!)

 はい、小さいんですけど、上の画像の向かって左側の、
 アメデオ・モディリアーニさんの作品名は、
 『新しき水先案内人 ポール・ギョームの肖像』。

 この帽子の御方が、
 ギョームさんなんですね。
 
  

 長期に渡って開催される企画展では、
 講演会やギャラリーガイド、
 ミニレクチャー、アトリエ講座など
 イベントも予定されています。

 また、特典付きのチケットも
 既に販売されていますよ。

 数量限定の
 《リサとガスパールのオリジナルマスコット付きチケット》は、
 2種類あって、各¥2.500です。

「きゃわいィ~♫」
「ぐるる~♪」(←訳:欲しい~♪)

 アート好きな皆さまは、
 さあ、張り切って
 秋&初冬の横浜へお出掛けを!
 




    では、ここでオマケ画像も、ちょいっと。
   
    『クラシエ』さんの
    《ヨーロピアンシュガーコーン ダブルショコラ》は、
    秋の新作ですって。
    「まだまだァ、あついィのでェ~」
    「がるるるぐるるる!」(←訳:パクパク行けます!)
    ショコラ好きさんにおすすめです♪


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― この手で、選ぶ ―

2019-09-03 23:08:59 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 はぴィ~ばァすでいィ、どらちゃんッ!」
「がるる!がっるーぐるる~!」(←訳:虎です!ハッピー誕生日~!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日9月3日は、ドラえもんくんのお誕生日!
 ドラちゃん、おめでとう!
 世界中の科学者さん、どうか兵器や銃ではなく
 ドラちゃんを一日でも発明しておくれ!と願いつつ、
 さあ、本日の読書タイムは
 こちらの御本を、どうぞ~♪

  



     ―― ぼくたちが選べなかったことを、
        選びなおすために。 ――



 著者は幡野広志(はたの・ひろし)さん、
 2019年5月に発行されました。
 現在、ネット書店さんの“闘病記”ジャンルで
 トップをひた走るベストセラー本……ではありますが、
 “闘病”という枠組みには収まり切れない、
 大きな意味を持つ作品です。

「しゃしんかさんッ、なのでス!」
「ぐるるるがる~!」(←訳:八王子市在住~!)

 著者・幡野さんは
 2010年に『海上遺跡』で『Nikon Juna21』受賞、
 2012年にはエプソンフォトグランプリ入賞、と
 輝かしい経歴をお持ちの写真家さんであり、
 そして。

 現在、闘病只中の《患者》さんでもあります。

 幡野さんが身体の異変に気付いたのは、
 2017年の3月のことでした。
 
 背中から、腰にかけての痛み。
 これは……

「しょくぎょうゥびょうゥ??」
「がるぐるぅ?」(←訳:腰痛かなぁ?)

 写真を撮る――プロのカメラマンである、とは、
 重い荷物を抱え、
 あちこちを移動する激務の連続に他なりません。

 腰痛くらいじゃ休めないよ、とボヤきながらも、
 幡野さん、痛み止めを飲んでは
 病院へ足を運びました。

 整形外科へ、
 内科へ、
 鍼灸院へ。

 けれど、どの病院でも
 痛みの原因は判然とせず、
 精神的な問題ではないかとまで言われたのち。

 精密検査の結果、
 病名が明らかになりました。

 背骨に腫瘍……がん細胞がある。

「えッ?」
「ぐるる!」(←訳:そんな!)

 お医者さんの説明に耳を傾けた幡野さんは、
 まさかそんな、とは思わなかったそうです。

  《少しほっとしている自分がいた。》

 そう、痛みの正体は分かった、
 精神的な問題じゃなかったんだ、
 れっきとした病気、
 病気がもたらした激痛だったんだ、
 と、安堵さえ感じて。

「でッ、でもォ!」
「がるるるるぐるるるがるる!」(←訳:そこからがたいへんだよう!)

 痛みの原因は分かった、けれど。

 そこから、嵐をも上回るたいへんな日々が始まります。

 家族に、病名を告げる。
 より精密な検査。
 写真のお仕事をキャンセル。
 友人さん知人さんからのお見舞いコールラッシュ。
 痛苦と副作用を伴う治療の開始。
 がんであることをブログで公表。
 親族からの干渉……。

 幡野さんは、明るい筆致で、
 ユーモアも交えてこれらの出来事を綴っていますが、
 実際にはこの御本に記した以上の、
 やるせなく、つらい毎日だったことは間違いありません。

 そんな時間の中で、
 幡野さんが考えに考え、
 考え抜いたのは。

 自分にとって大切なものは何か。

「ほんとうゥのォ、ほんとうゥにィ~…」
「ぐるるがる……!」(←訳:大事なもの……!)

 今こそ、決めなくては。

 何が必要か、不要か。
 何を選び、
 何と生きるか。

 幡野さんが下す決断を、
 その想いを、
 皆さま、
 終章まで、
 『あとがき』まで、
 その先の『謝辞』までも
 丁寧に読み進んでみてください。
 どうか、ぜひ。
 

 
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~ 越える峠は…180! ~

2019-09-02 22:05:00 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 えッとォ、たぶんッあきィ~?」
「がるる!ぐるるる?」(←訳:虎です!秋だよね?)

 こんにちは、ネーさです。
 秋にしてはアイスクリームの消費量が多過ぎる気もしますが、
 そろそろやって来る頃合いでしょうか、
 そう、世に言う《読書の秋》が。
 そこで本日の読書タイムは、
 《読書の秋》のための参考書にしたくなる一冊を
 ご紹介いたしますよ。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  


 
        ―― 芥川賞ぜんぶ読む ――



 著者は菊池良(きくち・りょう)さん、
 2019年6月に発行されました。
 『84年間 180作品』と副題が付されています。

「ひゃわわッ! まさかァ~?」
「ぐるるる?がるる?」(←訳:読んだの?全部を?)

 遡れば、1935年。

 新進作家さんに贈る賞を作ろう!
 と思い立ったのは、
 菊池寛さんでした。

 その前年、直木三十五さんが亡くなったことを機に、
 大衆文芸作品に直木さんの名を冠した賞を、
 そして純文学作品には
 芥川龍之介さんの名を冠した賞を贈ろう!と。

「しんさいんさんッ、すごいィでス!」
「がるるるるぐるる!」(←訳:なんという顔触れ!)

 選考委員は、谷崎潤一郎さん、
 川端康成さん、横光利一さんたち、
 当時の日本の文壇を代表する文豪さんがずらり。

 そうして、第一回目の芥川賞を受賞したのが
 石川達三さんの『蒼氓(そうぼう)』。

 以来、芥川賞&直木賞は
 《日本で唯一の、何十年も続く文学新人賞となった》
 と、著者・菊池さんは記します。

「だからァ、ひゃくゥはちじゅうゥ!」
「ぐるるるるがるるる!」(←訳:84年分の歴史の量!)

 この御本の内容は、
 3つのパートに分けられています。

   先ずは、
   《昭和》の芥川賞受賞作品から、
   ベスト20を著者・菊池さんが独自の感覚で選出。

   その次は、
   《平成》の芥川賞作品を振り返り、
   山あり谷ありの30年間の推移を回想して。

   最後に、
   《昭和》の受賞作品に再び注目し、
   前出のベスト20以外の作品について熟考する。

 という具合ですね。

「ふァ~、それはァ~…」
「がるるるぅ~…」(←訳:重労働だぁ~…)

 肉体的にも頭脳的にも
 超級重労働であることは間違いない
 180作品読破に挑むのは、
 『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』
 の共著者として、
 日本の読書界を衝撃と笑いの渦中に突き落とした
 菊池良さん。

 菊池さんのハートを
 見事に捕えた20作品とは?

 それまで勤めていた会社を辞めるほど、
 この『ぜんぶ読む』に没入した菊池さんが、
 180作品読破ののち、
 行き着いた境地とは?

「ほかにもォ、ありまスゥ!」
「ぐるるるるがるるるる!」(←訳:読みどころ笑いどころ!)

 雑学的なコラム、
 漫画家つのがい さんによる漫画&イラスト、
 芥川賞作家さんの出身都道府県データ、
 芥川賞作家さんの受賞年齢データなど、
 あるあるネタや
 初耳情報も全編にちりばめられたこの御本で、
 活字マニアの皆さま、
 《読書の秋》の準備を、ぜひ♪
 
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フィクションだけれど、ちょっぴりリアルな?

2019-09-01 22:41:52 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 いざッ、わァーるどォかッぷゥ!」
「がるる!ぐるっるる!」(←訳:虎です!始まったね!)

 こんにちは、ネーさです。
 《FIBAバスケットボールワールドカップ2019》が
 上海にて開幕しました!
 1次ラウンド第1戦で日本(FIBAランキング48位)は
 トルコ(同17位)に負けちゃいましたけど、
 9月3日にはチェコ(同24位)と、
 5日には米国(同1位)との対戦が予定されています。
 ガンバレ~!!と声を限りに応援しながら、
 さあ、読書タイムも抜かりなく!
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
         ―― 誰そ彼の殺人 ――



 著者は小松亜由美(こまつ・あゆみ)さん、
 2019年5月に発行されました。
 『Who Done It in The Dark?』と英語題名が付されています。
 『誰そ彼』は『たそがれ』とお読みくださいね。

「もうゥ、すッかりィ~おなじみィ~!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:法医学ミステリ!)

 2018年に放送されたTVドラマ『アンナチュラルズ』は、
 私ネーさも毎週楽しみに拝見しておりました♪
 今シーズンも法医学を題材にしたドラマ
 『監察医 朝顔』が放送されていて、
 たいそう人気も視聴率も高いとか。

 では、視線をTVから
 書店さんへと転じてみると……?

「ふァいッ! ありまスよゥ!」
「がるぐる!」(←訳:これこれ!)

 この御本には
 《医療ミステリ×本格ミステリ》
 と印刷された帯がかかっていて、
 それだけでも書店さんの小説本コーナーでは
 目立ちそうなものですが。

 もうひとつ、私たちの眼を釘付けにするのは……

 《現役解剖技官(法医学)、驚異のデビュー作!》

 という字句です。

「ほッ、ほんものォのッ?」
「ぐるがるるる!」(←訳:現役技官さん!)

 著者・小松さんは現在、
 或る大学の法医学教室に勤務しておられる
 本物の臨床検査技師さんです。
 
 つまり、実際の技官としてのお仕事が
 この作品に反映されているものと
 思われますが。

「いろいろォ、びッくりィ!」
「がるっるぐるるるる?」(←訳:現場ってこうなんだ?)

 器具がきれいに整理整頓され、
 照明の下、
 解剖医さんや技官さんが勢揃いして、
 黙祷ののち、
 粛々と執刀――

 っていうばかりが、
 解剖じゃない?

 依頼されれば、
 執刀医さんは器具と白衣を詰めたバッグを抱え、
 法医解剖室の外へ
 どんどん出ていっちゃう?
 
 そして現場で、
 もしくは現場近くの医療機関に場所を提供してもらって
 猛スピードで検屍所見開始、
 なんてことも?

「しらなかッたでス!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:意外にワイルド!)

 法医学って、
 教室や解剖室の内部でのみ
 進められるものじゃないんだ……と、
 痛感させられるのは、
 表題作品『誰そ彼の殺人』と、
 それに続く『蓮池浄土』です。

 『蓮池浄土』の粗筋を
 少~しだけ、ご紹介してみますと――

 杜乃宮(もりのみや)大学医学部法医学教室の解剖技官
 梨木楓(なしき・かえで)さんは、
 今日もがっくり落ち込んでいます。
 
 また呼び出しだ……
 せっかくの休日、
 映画館か美術館か博物館にでも
 出掛けようとしていたところなのに。
 
 急いで身支度を出勤用に替えて、
 医学部のキャンパス前へ行ってみれば、
 捜査車両で連れてゆかれたのは
 大学のある仙台から
 車で片道2時間もかかる
 小さな村。

「とおいィ~でス!」
「がるる~!」(←訳:疲れた~!)

 辿り着いたそこは、蓮池村。

 蓮の花が美しく咲く池を囲んで家々が点在する
 静かな村落は、
 事件の発生に大騒ぎ!

 のはずが、
 警察の車両はなし、
 たったひとりを除いて捜査員さんの姿はなし。

 づやら、事件性は薄いものと判断され、
 捜査員さんは引き上げてしまったもよう?

「ちょッとォまッたァ!」
「ぐるるがる!」(←訳:油断は禁物!)

 楓さんの上司である
 准教授・今宮貴継(いまみや・たかつぐ)さんは
 次々と不審な点を見出してゆきます。

 これは……捜査員さんたちを
 早く呼び戻さないと!

「やぱりィ!」
「がるる!」(←訳:だよね!)

 短編4作品から成る、
 フィクションではあるけれど、
 ノンフィクション的な趣向も巡らされた
 エンタな連作ミステリは、
 ミステリ好きさんに、
 法医学に興味をお持ちの方々におすすめです。
 
 本屋さんで、図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね~♪
 
 
 
 
 
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