「孤高の日本画家 田中一村」<o:p></o:p>
一村は50歳のとき奄美大島に渡り、昭和52年に69歳で亡くなりました。奄美パークの一角にある「田中一村記念美術館」に訪れた時は「田中一村没後30年 秋の常設展」を開催中でした。<o:p></o:p>
なんといっても目を奪われるのは亜熱帯植物ビロウ、オオタニワタリなどと蝶、アカショウビンなどを巧みに組み合わせた、色彩豊かな「奄美の杜シリーズ」です。
中でも「アダンの木」と「奄美の杜⑥~クワズイモとソテツ」の2点は「この絵だけは誰にも譲れない、閻魔大王へのお土産なのですから」と所持していたのですが、支援者にどうしてもと請われて「それではどちらか」というと、夫は前者を妻は後者が気に入り結局2点共手放した、と案内の人は説明しました。ちなみに前者は50万円で譲ったのだそう。ただし展示作品は残念ながら複製です。
「クワズイモとソテツ」は一枚の絵の中に男の性と女の性、人の誕生から枯れ果てるまでを葉肉の厚い2つの植物で表現しています。微妙に変化する緑色と、花が咲き結実して倒れるまでの色の変化は神秘的でさえあります。写真は絵葉書を撮影したものです。
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小さい時から大人顔負けの「天才的画才」を発揮した彼ですが、奄美の自然の中で動植物をいきいきと、また幻想的に描いた作品で花開いたといえます。シリーズのすべては16点しかないのですが、一村は「本当に自分が描きたいものだけを描く」と病や不遇な境遇の中で、染色工をしながらわずかな蓄えで絵を描いたそうです。<o:p></o:p>
彼の手紙の一節には「私の繪の最終決定版の繪がヒューマニティであろうが、畫の正道であるとも邪道であるともなんと批評されても私は満足なのです。それは見せるために描いたのではなく私の良心を納得させる為にやったのですから・・・」と書き送っています。
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写真:一村の絵を彷彿させるあやまる岬のアダンの木と海。アダンは海岸線に多く、花は5~6月に咲き、8月~11月に黄赤色に熟すらしいが、今年は暑いせいか、その実はまだまだ青い。(その後聞いたところでは、気温が足りないこの時期は熟すことができないそうです)
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