今回の米中の株式上場問題は何ともおかしなもので、どう考えたら良いのか悩みました。
その謎を、宮崎さんが分り易く解説してくれています。これで、納得です。要は、世界の金の亡者対習皇帝の嫉妬の争いと言うことでしょう。
どちらも情けない限りですが、これでChinaとマネーゲームの終焉を迎えることが出来るのなら万々歳です。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和三年(2021)7月18日(日曜日)
通巻第6984号
中国企業のNY上場を排除するのではなかったのか?
米中の金融界は依然、相互依存関係。言うことと実態は違うゾ
バイデン政権が「ウイグル自治区に於ける人権無視、抑圧」に関与したとして、つぎかつぎへと妖しげな中国企業をブラックリ ストに載せている。
ましてラッキン珈琲の不正経理、水増し決算による上場は、投資家が大損をしたと言われ、中国企業への不信感の増大、中国企 業の社債格付けの劣化などから、ファンドの投資マインド後退とともに、中国企業そのものが上場を延期、もしくは取りやめも目 立つ。
中国の習近平にとってみれば、中国のエクサレントカンパニィが、そろいもそろって自国では上場せず、中国を避けてNY市場 で資金調達する行為そのものが、共産党統治を馬鹿にしている証拠だといきり立っている。
しかしながら、それこそが中国の金融への国際的評価であり、客観的状況だといえる。中国側からみると、海外へ中国の情報が漏 洩する安全保障上のリスクがあるとも考える。
ところが、一方で正反対の動きがある。なぜなら政治的には米中金融対立にみえても、実態は相互依存態勢だ。おたがいがス パッと関係を断ち切れないズブズブの爛れた関係にある。米中戦争とは言っても高関税と軍事技術関連企業のブラックリスト化く らいでサプライチェーンの改編は遅れている。
第一に米国企業の中国への直接投資は増えている。1160億ドルに対して中国の米国への直接投資は376億ドル。差引き 874億ドルが米国からの流失だ。
第二に証券投資はバランスが逆で、中国の米国再建保有は1兆960億ドル、米国のそれは3000億ドルである。
第三に中国の対米貿易黒字は依然として2850億ドルである。
最近とくに目立つ手口は「変動持ち分事業体(VIE)を通じておこなう「迂回上場」という巧妙なやり方、すでに中国企業 は、この手段で180兆円を調達したという
VIEを採用している中国企業にはアリババ、ピンドウドウ、京東集団、ネットイーズ、百度、滴滴、ビリビリなど。
▲中国企業の手口は巧妙にして複雑。規制当局の智慧では追いつかない
この仕組みは中国政府が外国資本の受け入れを規制したために、逆に「抜け穴」として発明され、本籍地がタックスヘブンのケ イマン諸島に置かれている。このため実態の把握に手間取った。
中国の最高裁判決は、このVIEは合法としているが、なにしろ中国は判例法の国家ではないため、いつ過去の判決の前提が ひっくり返るかも分からない。しかも法律は一晩で作って施行するのも得意技である。
中国は百万以上の顧客をもつ中国企業への規制も強めた。
国家インターネット情報弁公室は、「百万人以上の個人情報をもつ企業が海外で上場する場合は、審査を受けなければならな い」とし、しかも従来の45日間の審査期間を三ヶ月に延長した。
事実上、海外への上場はむずかしくなったと考えるべきだろう。
やり玉に挙がったのがテンセントや、バイトダンス(中国字節跳動科技)系のTIKTOK。これらのゲーム産業は原作が日本 のアニメであり、間接的に日本企業も影響をうけることになる。
だから滴滴はNY上場後に突如審査をうけたため、ファンドが売りにでたので時価総額を2兆3000億円減らした
さらに求人アプリの「BOSS」と、トランク配車アプリの運満々、貨車幇で六月にNY市場デビューを果たしたばかりだっ た。「中国の安全保障を脅かすリスクがある」として、厳密な審査が行われる。
これら中国株をファンドに取り入れてきた米国のファンドは真っ青だ。滴滴(DIDI)の時価総額を2兆3000億円ほど減ら した。
これはどうあっても共倒れになって貰いましょう。そうなれば、世界を悩ます大きな敵が一挙に消えることになります。
さて、どうなることやら。
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