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愛する人

2014年05月01日 00時05分51秒 | 洋画2009年

 ◎愛する人(Mother and Child 2009年 アメリカ・スペイン)

 上手な脚本だった。

 さすが、ロドリゴ・ガルシアっていうか、

 ガルシア・マルケスの息子ならではの上手さといったら、嫌がられるだろうか。

 たぶん、そんなことはないだろう。

 だって、親子の情というものは、どうしたところで不滅なんだと、

 かれはこの自作品でいっているんだから。

 アネット・べニングは、

 年老いた母の死を看取ることで、14歳で生んだ娘を探そうとし、

 ナオミ・ワッツは、

 心ならずも上司の子を宿してしまったことで、37年前に自分を捨てた母を探そうとし、

 ケリー・ワシントンは、

 子を産めないために20歳の大学生シャリーカ・エップスの産む子を養子にしようとする。

 この3人が繋がりそうで繋がらないままに物語は展開し、

 それぞれが、

 母と子の絆を意識することになる前後の人間関係をじっくり描いてる。

 こんなふうに書けば簡単だけど、

 なかなか難しい。

 しかも、登場人物たちの上手なすれちがいと、

 それを繋ぐための子供という象徴の使い方に、

 どれだけ苦心したことだろうって感心しますわ。

 ただ、なんていうのか、

 男性不信となっている女性が、

 なんとなく心を開いていくのと共に、

 母親になること、母親であったこと、母親として生きることに対して、

 すこしずつ眼を開いていくという構図が実によく組み込まれてる。

 脚本にはいろんな構成があるけれど、

 これは見本のひとつになるような作り方なんじゃないかなと。

 盲目の少女とのやりとりが、

 途中途中の要になってるのも、またいい。

 堪能できる映画だったわ。

 主役ふたりはあいかわらず綺麗だしね。

 なんとなく似てるふたりをキャスティングしてるのが、またオツなんだわ。

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