◇レインメーカー(1997年 アメリカ 135分)
原題 The Rainmaker
監督 フランシス・フォード・コッポラ
◇原告側弁護人
ジョン・グレシャムにフランシス・フォード・コッポラとくれば、これはもう期待大で観るしかない。
なんてことをいうのは、ぼくには似合わない。
だって、ジョン・グレシャムの本を読んだことがないんだから。
だから、正確にいえば、グレシャム原作の映画といわないといけない。活字嫌いのぼくは、よほどおもしろい映画に出会っても、なかなか原作には手がのびない。でも、あれこれと映画を見てる内に「これ意外におもしろいかも」とかおもうのは、グレシャムの原作だったりすることがある。そこへもって、コッポラはぼくの贔屓の監督だから、期待大になるわけだ。
いたって予定調和な裁判劇ではあったけど、弁護士という職業についてどうしてもつきまとう胡散臭さと巨大なものに戦いを挑むドンキホーテ的な正義感とが上手に組み合わさっているのは感じられた。タイトルの「レインメーカー」ってのがよくわからなかったんだけど、どうやら「金を雨に例え、雨が降るように大金を稼ぐ弁護士」のことらしい。あ、なるほどね、とおもった。
ダニー・デビートが実にうまく、法廷という職場における老練さを軽く演じてる。マット・デイモンが青二才の分、パラリーガルとしての立場をよくわきまえながらも、ちゃんと仕事をこなしてる。なんで、これだけ裏情報にも精通したおっさんが司法試験を6回もすべってるのかよくわからないところもあるんだけど、やっぱりどこか抜けてるんだよね、たぶん。そんなふうにおもわせるところが、うまい。
まあ、マット・デイモンもまたさほど優秀でないロー・スクール出の若造で、こういう野心はあっても優しさが仇になっっちゃうかもしれない危うさをもった人間には、ちょうどうまく嵌まるようにパラリーガル役として作られてる。そういうちょっとしたところがうまいのは、原作なのかそれとも演出なのかはわからないけどね。