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聯合艦隊司令長官 山本五十六

2014年05月02日 01時51分17秒 | 邦画2011年

 ◇聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実(2011年 日本)

 なんで、こんなに題名が長いんだ?

 という素朴な疑問はもとより、

 キャッチコピーの「誰よりも、戦争に反対した男がいた。」というのを、

「ほんとにそうなの?」

 という疑問をもって観た日本人はどれだけいるんだろ?

 ていうか、

 連合艦隊ではなく聯合艦隊と表記するんなら、

 なんで大東亜戦争じゃなくて太平洋戦争と表記したんだろ?

 帽子の二本の白線もさることながら、

 山本五十六の愛人だった河合千代子がまるで無視されていることや、

 ギャンブルが好きで仕方がなかったことや、

 ロンドン軍縮条約のおり「潜水艦の数を減らすな」と叫んだことや、

 ともかく、いろんなことが抜け落ちてる気がしてならないんだけど、

 いったいどこまで「実像に迫る」とかいう宣伝文句と合致してるんだろ?

 山本五十六を全否定するつもりもないし、

 戦争を美化するつもりもないんだけど、

 かつて東映が製作した反戦映画『大日本帝国』の方が主題は濃厚だった。

 大東亜戦争の正体についてもうすこし掘り下げないと、

 これまでの戦争映画となんら変わるところがないんじゃないかといわれても、

 仕方がないようにおもえちゃうんだけど、どうなんだろ?

 日米開戦は絶対にしてはならないという覚悟があるのなら、

 それを最後の最後までつらぬきとおすべきで、

 もっというなら叛乱をひきおこしてでも開戦を阻止するべきで、

 そういう軍人はぼくの知るかぎりひとりもいなかった、はずだ。

 にもかかわらず、なんでこの時代まで、

 米内、山本、井上の三人に、

 戦争反対論の要をしょわせるのかよくわかんないんだよね。

 もうすこしいえば、アメリカに対して、

「リメンバー・パールハーバー」

 という開戦の一大口実を作らせてしまったのは、

 申し訳ないながら、まぎれもなく山本五十六その人で、

 しかも、真珠湾攻撃で空母を一隻も撃沈できず、

 さらには、ミッドウェイ海戦を惨敗に追い込んだのも、そうだ。

 真珠湾やミッドウェイ以外に戦術はなかったのかという反省が、

 いまだに見られない物語ができてしまうのは、なぜなんだろう?

 山本五十六という提督の描き方がいっこうに変わらないのは、なぜなんだろう?

 昭和30~40年代の邦画の方が、

 もっと戦争に対していろんな角度から迫ってたような気がするのは、

 ぼくだけなんだろうか?

 まあ、なんにしても、ひとつだけ知りたいのは、

 この映画の主題はなんだったんだろうってことかしらね。

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