◇桜田門外ノ変(2010年 日本)
このブログのDENBEYというのは、ぼくのひいひいじいちゃんの名前だ。
いちおう、世襲名だから、いまでもきちんと届け出すれば、
ぼくも傳兵衛っていう名前を名乗れる。
まあ、名乗らないけどさ。
で、その傳兵衛さんが生前、ことあるごとに、
「井伊掃部が死んだ朝の雪はすごかった」
と、口癖のようにいってたらしい。
当時、傳兵衛さんは17歳だったっていうから、
たぶん、記憶ちがいじゃないんだろう。
その日に降った牡丹雪は、関東から関西一円に降り積もったみたいだ。
さぞかしすげえ雪だったんだろね。
で、
世にいう桜田門外の変だけど、
これは、安政7年3月3日(1860年3月24日)早朝、
江戸城桜田門外において、
水戸藩の脱藩浪士17名と薩摩藩士1名が、
彦根藩の大名行列約60名を襲撃して、大老の井伊直弼を暗殺した事件だ。
ところが、この映画は、
安政4年(1857年)正月から始まって、
文久2年(1862年)5月11日に終わる。
暗殺の中心人物のひとり、関鉄之介の斬首が最後のくだりになるんだけど、
変そのものの描写はさほど多いわけではなくて、
どちらかというと、
暗殺した浪士たちのその後に重点が置かれてる。
これは好みの分かれるところで、
その点、ずいぶん前に撮られた三船敏郎主演の『侍』は、
変そのものが佳境に用意されていたから、
観る側としても焦点がかなり一致してたような気がする。
まあ、原作に沿った脚本らしいんで、
純彌さんの構想というわけではないんだろうけど、
吉村昭はたぶん関鉄之介という人間を見つめたかったのかもしれない。
この映画は、どちらかといえば、茨城に建てられたオープンセットが有名で、
30万人くらいの観光客を集めたみたいで、
そういうことからいえば、
地域振興の映画制作としては成功だったんだろね。