◇ボッカチオ'70(Boccaccio '70 1962年 イタリア)
とはいえ、ボッカチオの詩が原作になってるわけじゃなくて、
1970年におけるボッカチオ的な体裁をとった愛と官能のアンソロジーだ。
まあ、
マリオ・モニチェリ、フェデリコ・フェリーニ、ルキノ・ヴィスコンティ、ヴィットリオ・デ・シーカ、
なんていう連中がアンソロジーを編むなんてことは奇蹟に近いわけで、
よくもまあ成立したな~って感じではある。
実際は、モニチェリの知名度が低かったために他の3名のアンソロジーにされ、
1998年まで、ぼくらは完全版を観ることはできなかった。
ただ、
当時はかなりセンセーショナルだったかもしれないんだけど、
ぼくはフェリーニの撮った、
アニタ・エクバーグ主演の『アントニオ博士の誘惑』がいいなあ。
いやもうエクバーグのあまりにも豊満すぎる肉体は、
男が翻弄されるにはもってこいで、
日本人だったら、こんな経験したら、たじろいじゃうだろな~。
あとの3作はちょっと物足りなさがあるんだよね。
たしかにロミー・シュナイダーは硬質な中に官能が匂うし、
ソフィア・ローレンの官能的な体には萌えあがるものもあるけど、
物語がどうも古色蒼然とした観が出てきちゃってる。
そこへいくと、
フェリーニはさすがに時を超えて新鮮味があって、
人生を官能的に茶化したようなすっとぼけ方が、
ここでも魅力になってる気がするんだよね。